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第2話
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飛び起きると自分が寝ていたはずの部屋ではなく、神殿?の中に転がっていた。大理石のような素材で作られている床、建物の作りや柱の形状は間違いなくギリシャの神殿そのものだ。先ほどは外だと思ったのだが、どうやら室内らしい。
だが、神殿というにしては少し、というか、かなりぼろい。至るところにツタが生えてるし、柱もところどころ欠けている箇所がある。
とりあえず、ここがどこなのか確認しなければ、そう思って立ち上がり、辺りを少し見まわすと、高さ5メートルはありそうな祭壇のようなものがあった。中央には見たこともないような不思議な花が供えられているし、左右には同じぐらいの大きさのグリフォンみたいな生き物の彫刻が置いてある。恐る恐る触ってみても、何も起こらない。
ひょっとして俺は謎の儀式みたいなやつをされて、別の世界に飛ばされてきたのだろうか?いや、だとしたら俺をここに召還した人がここにいるはず。だがいくら周りを見ても人はいないし、気配もない。
ならば、この祭壇が勝手に人を召喚する感じなのか。もしそうだとしたら、他の人もこの祭壇の力でここに飛ばされてくる可能性がある。だが、定期的に人が召喚されるような場所を、こんなぼろくなるまで放っておくとは思えない。それに、そんな重要な祭壇なら警備の一人や二人が常駐しているだろう。
待てよ。逆にものすごく邪悪な場所で、警備はこの場所に入れない。その代わり、神殿の周りには大量の兵士がいる、なんてこともあり得る。外に出たら「悪魔め!」とか言われて殺されたりするのかもしれない。
「ただ、ここにいても始まらないか・・・」
幸い、祭壇の向かい側に扉がある。ひょっとしたらここから外に出れるかもしれない。外に出た瞬間に殺される、なんてことにはなりませんように、そう祈りながら俺は扉を開けた。
扉を開けると、そこは外だった。と言っても、「悪魔め!」とか言われて兵士に取り囲まれるなんてことはない。それどころか人一人いなかった。見渡す限り、木しかない。どうやらここは森の中のようだ。森の中にポツンとある神殿、こんな状況でなければ、ロマンしか感じないような場所だ。
よく見ると、地球にはないような木、植物が生えている。植物に詳しいわけではないが、花びら一枚一枚に歯を生やしている植物や、虹色の葉っぱを生やす木が地球に存在しないことは分かる。
「結局何処なんだよ。ここは・・・・」
「ホント何処なんだろうね」
「ぎゃぁぁ!!!」
「わぁぁぁ!!!」
「お前っ、木本!!いきなり話しかけるんじゃねぇ!びっくりするだろうが!!!」
「川上君こそ大声上げないでよ!びっくりするじゃない!!」
木本は純白のモンゴルの民族衣装、(確かデールとか言った気がする)みたいな服に身を包んでいたが、ところどころに土や木の枝が引っかかっていた。
「ところで木本、その格好どうした?」
「川上君だって同じだよ」
「へっ?」
よくよく自分の服を見てみると、確かに俺も木本と同じ服を着ているではないか。先ほどから肌に違和感を感じてはいたが、まさか服が変わっているとは思わなかった。
「え?なんで着替えてんだ?ここに来た時に勝手にこんな服装になったのか?」
「わからない。でも多分そうじゃない?」
「木本、なんかよくわからない世界に召喚されたっていうのに、落ち着いてるな」
「まぁ、焦っても始まらないし」
それはそう。焦ったところで状況が変わるわけではない。それよりここがどこなのか、他の人がいるのかどうかを知るのが最優先だ。異世界に来たことよりも陳腐な怖い話のほうが怖いのか、というツッコミは心の中で済ませておく。
「お前もあの神殿にいたのか?」
「そうだね。気づいたらあそこにいた。祭壇みたいなのがある部屋」
「横にグリフォンみたいなのがいる祭壇だろ?俺もそこにいた」
「で、扉を開けたらここに出た。さっきまで周りの様子見てみたんだけど、近くに人がいる感じはしなかったね」
随分と肝が据わって居るな。誰かに会ったら殺される可能性だってあるし、そうじゃなくてもよくわからん生き物の餌になることもあり得たのに。
「あの歯が生えてる植物は大丈夫だったか?」
「あれは多分虫みたいなのしか食べないよ。あ、ほら」
木本が指をさしたほうを見てみると、30センチはあろうかというトンボみたいなやつが、花の近くを通ろうとしている。その瞬間、花が花びらを閉じてトンボを食べた。そうとしか、表現しようがない。しばらくすると、花びらがまた開いたがトンボの肉や羽は見当たらない。どうやら完全に消化したようだ。
「なるほど」
食虫植物に歯が生えたみたいなものか。確かに下手に近づかなければ害はなさそうだ。
「でもどうしてこんな場所に来たんだろうな。地球ではないだろうし・・・」
「そうだね・・・・・まさか」
木本がはっとした顔でつぶやいた瞬間、俺の頭にもおそらく木本と同じものが浮かんだ。というか、もうそれしかないような気がする。
「・・・・百物語か」
そう口にすれば、木本は「うん」と頷いた。クソが!!やっぱりあんなものやるんじゃなかった。あんなものをやったのが理由でこんな異世界に飛ばされたんだとしたら、橋本をぶん殴らないと気が済まない。待てよ。そういえば橋本と松田はどこだ?
「そういえば橋本と松田は来てないのか?」
「今のところは私も見てないね・・・多分百物語をやった部屋で寝たのがダメだったんじゃないかな」
「あぁ、なるほど・・・」
そこまで言って、ふとおかしなことに気づいた。俺たちは百物語を完成させたわけではない。99話目で終わりにしたはずだ。つまり、霊やそういう類の存在を呼んだわけではない。ならば、なぜだ。
「どうしたの?」
「いや、百物語が理由だとしたらつじつまが合わない部分があるな、と」
「それって・・」
何?と木本が聞こうとした瞬間
「あんたたち、誰?」
そこには魔法使いみたいな杖を持ち、先住民のようなペイントをした若い男性が立っていた。
だが、神殿というにしては少し、というか、かなりぼろい。至るところにツタが生えてるし、柱もところどころ欠けている箇所がある。
とりあえず、ここがどこなのか確認しなければ、そう思って立ち上がり、辺りを少し見まわすと、高さ5メートルはありそうな祭壇のようなものがあった。中央には見たこともないような不思議な花が供えられているし、左右には同じぐらいの大きさのグリフォンみたいな生き物の彫刻が置いてある。恐る恐る触ってみても、何も起こらない。
ひょっとして俺は謎の儀式みたいなやつをされて、別の世界に飛ばされてきたのだろうか?いや、だとしたら俺をここに召還した人がここにいるはず。だがいくら周りを見ても人はいないし、気配もない。
ならば、この祭壇が勝手に人を召喚する感じなのか。もしそうだとしたら、他の人もこの祭壇の力でここに飛ばされてくる可能性がある。だが、定期的に人が召喚されるような場所を、こんなぼろくなるまで放っておくとは思えない。それに、そんな重要な祭壇なら警備の一人や二人が常駐しているだろう。
待てよ。逆にものすごく邪悪な場所で、警備はこの場所に入れない。その代わり、神殿の周りには大量の兵士がいる、なんてこともあり得る。外に出たら「悪魔め!」とか言われて殺されたりするのかもしれない。
「ただ、ここにいても始まらないか・・・」
幸い、祭壇の向かい側に扉がある。ひょっとしたらここから外に出れるかもしれない。外に出た瞬間に殺される、なんてことにはなりませんように、そう祈りながら俺は扉を開けた。
扉を開けると、そこは外だった。と言っても、「悪魔め!」とか言われて兵士に取り囲まれるなんてことはない。それどころか人一人いなかった。見渡す限り、木しかない。どうやらここは森の中のようだ。森の中にポツンとある神殿、こんな状況でなければ、ロマンしか感じないような場所だ。
よく見ると、地球にはないような木、植物が生えている。植物に詳しいわけではないが、花びら一枚一枚に歯を生やしている植物や、虹色の葉っぱを生やす木が地球に存在しないことは分かる。
「結局何処なんだよ。ここは・・・・」
「ホント何処なんだろうね」
「ぎゃぁぁ!!!」
「わぁぁぁ!!!」
「お前っ、木本!!いきなり話しかけるんじゃねぇ!びっくりするだろうが!!!」
「川上君こそ大声上げないでよ!びっくりするじゃない!!」
木本は純白のモンゴルの民族衣装、(確かデールとか言った気がする)みたいな服に身を包んでいたが、ところどころに土や木の枝が引っかかっていた。
「ところで木本、その格好どうした?」
「川上君だって同じだよ」
「へっ?」
よくよく自分の服を見てみると、確かに俺も木本と同じ服を着ているではないか。先ほどから肌に違和感を感じてはいたが、まさか服が変わっているとは思わなかった。
「え?なんで着替えてんだ?ここに来た時に勝手にこんな服装になったのか?」
「わからない。でも多分そうじゃない?」
「木本、なんかよくわからない世界に召喚されたっていうのに、落ち着いてるな」
「まぁ、焦っても始まらないし」
それはそう。焦ったところで状況が変わるわけではない。それよりここがどこなのか、他の人がいるのかどうかを知るのが最優先だ。異世界に来たことよりも陳腐な怖い話のほうが怖いのか、というツッコミは心の中で済ませておく。
「お前もあの神殿にいたのか?」
「そうだね。気づいたらあそこにいた。祭壇みたいなのがある部屋」
「横にグリフォンみたいなのがいる祭壇だろ?俺もそこにいた」
「で、扉を開けたらここに出た。さっきまで周りの様子見てみたんだけど、近くに人がいる感じはしなかったね」
随分と肝が据わって居るな。誰かに会ったら殺される可能性だってあるし、そうじゃなくてもよくわからん生き物の餌になることもあり得たのに。
「あの歯が生えてる植物は大丈夫だったか?」
「あれは多分虫みたいなのしか食べないよ。あ、ほら」
木本が指をさしたほうを見てみると、30センチはあろうかというトンボみたいなやつが、花の近くを通ろうとしている。その瞬間、花が花びらを閉じてトンボを食べた。そうとしか、表現しようがない。しばらくすると、花びらがまた開いたがトンボの肉や羽は見当たらない。どうやら完全に消化したようだ。
「なるほど」
食虫植物に歯が生えたみたいなものか。確かに下手に近づかなければ害はなさそうだ。
「でもどうしてこんな場所に来たんだろうな。地球ではないだろうし・・・」
「そうだね・・・・・まさか」
木本がはっとした顔でつぶやいた瞬間、俺の頭にもおそらく木本と同じものが浮かんだ。というか、もうそれしかないような気がする。
「・・・・百物語か」
そう口にすれば、木本は「うん」と頷いた。クソが!!やっぱりあんなものやるんじゃなかった。あんなものをやったのが理由でこんな異世界に飛ばされたんだとしたら、橋本をぶん殴らないと気が済まない。待てよ。そういえば橋本と松田はどこだ?
「そういえば橋本と松田は来てないのか?」
「今のところは私も見てないね・・・多分百物語をやった部屋で寝たのがダメだったんじゃないかな」
「あぁ、なるほど・・・」
そこまで言って、ふとおかしなことに気づいた。俺たちは百物語を完成させたわけではない。99話目で終わりにしたはずだ。つまり、霊やそういう類の存在を呼んだわけではない。ならば、なぜだ。
「どうしたの?」
「いや、百物語が理由だとしたらつじつまが合わない部分があるな、と」
「それって・・」
何?と木本が聞こうとした瞬間
「あんたたち、誰?」
そこには魔法使いみたいな杖を持ち、先住民のようなペイントをした若い男性が立っていた。
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