転生したらなぜか双子になってたけどそれはそれで便利だし気にせずこの素晴らしき世界を楽しみます

気まぐれ八咫烏

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水の精霊編

コモドリザード討伐クエスト完了報告

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船に着いたらスピカは一度自宅に戻るというので船の前でお別れした。

一応、明日の朝ギルドで合流してクエスト報告などを行う約束だ。



リンダとライカは船にいたのでジャスパを紹介。

そのまま夕食となって今日の出来事を話していた。

ジャスパが実は竜なんだって教えたら驚いていた。

竜であること、人化(正しくは獣人化だけど)が出来ることも、これから一緒に旅をすることも。

そしてジェスパの興味は人族の食事だったりする。

驚いたには驚いたが、そもそも竜の姿を見ていないからかジーナもリンダもすぐに打ち解けた。

レンは打ち解けてはいるように見えるけど、やっぱりどこか警戒している。



ジーナとリンダも竜の姿を見たら警戒するのかな?

まぁ、中級冒険者程度だったら会敵即全滅が常識だからそうなっても仕方ないとは思う。

が、一度仲良くなった後でもそうなるのかな?



「ところでジーナとリンダは俺達がクエストに行っている間どうしてたの?」



「私たちはずっと剣の修行をしてたよ。森にもいったけどね」



「そうにゃ。歯ごたえの無い雑魚ばかりだったから結局ここに戻ってジーナと模擬戦してたにゃ。そこらの魔物よりジーナの方がずっと強いにゃ」



共に切磋琢磨できる相手が近くにいるというのは恵まれてるってことだな。

ということは、二人はメキメキ腕が上がっているということだ。



「ジーナもリンダも強くなったよなー。そろそろ本気にならないとタイマンだと厳しいかなー」



「何言ってるにゃ!」



「剣術だけなら子供を相手にするようなものだし」



なんですと?

こういっちゃなんですが、俺だって毎日剣術の稽古はしてるんですよ?



「何でもありになったらジーナと二人がかりでも勝てる気はしないけどにゃ」



なんだか俺が卑怯な人に聞こえる不思議。

せめて魔法使用可能戦とか言ってくれれば。



「そういえば人族は剣をはじめ道具を使うよの。もともとが弱っちいのに創意工夫して頑張っとるのは面白い」



そういって割り込んできたのはジャスパだ。



「そりゃ、元からバカみたいに強いのは竜ぐらいでしょ。人族はもちろんだけど、獣族や魔族だって少しずつ鍛えて強くなっていくんだよ?」



「なんじゃ、それだとワシが怠けておるようではないか。ワシだって竜の中ではまだまだじゃからの。だがそのうち古代竜並みに強くなってやるわい」



「竜って伸びしろがどこまでもありそうでこわい」



「当然じゃ、ワシはまだ産まれてから10年ほどしか経っていないからの。まだまだこれから・・・」



「「「え?」」」



衝撃の新事実。



「なんじゃ?雁首揃えてその反応は?」

竜って言うくらいだし、しゃべり方もそうだけど絶対じじいと言って差し支えない年齢だと思っていた。



「まさかジャスパと同い年だとは思わなかったよ」

はい、ショタジジイとか思ってスミマセン。



意外にも同い年だったんだねー、って話は前世でもあったことだけど驚きが何十倍も違った。

流石異世界だぜ。



「ジャスパの意外な年齢が分かったのはいいとして、聞きたい事があるんだけど」



「なんじゃ?」



「いや、ほら変身してその恰好になっているけど他にもできるの?」



「そうじゃな、人族はもうこの恰好で固定されたから無理じゃな。他の種族になら出来ると思うが」



「いや、それ人族の恰好じゃないから。獣人族がその恰好ってのならまだ分かるけど」



「なんじゃ、そうなのか? ならこの恰好は獣人族固定として他の種族になら出来るぞ」

そんな簡単に固定されたものを変えれるのか……気持ちの問題なのかな?



「だったらちゃんとした人族の恰好になってみてよ」



「ふむ。ならばちょっと人族を代表して、服を脱いでよく見せてくれるか?」



「まぁいいけど。男の子だったら俺でもいいし女の子だったらユイがいるけど?」



「ワシは雄じゃから雌には変身できそうにないの」

ということは必然的に俺が人族を勝手に代表して体を見せなきゃいけないのか。

でもま、今の恰好は獣人族が近いというだけでこんな獣人族はたぶんいない。ツノと羽が無ければトカゲとか蛇とかの獣人って線はあるとは思うけど。

人族の町を動き回るならば見た目ちゃんと人族になっておいた方が便利なのは言うまでもない。



「仕方ないか」

そう呟いて俺のオールヌードを見せてあげた。

ま、子供の体だし見られても構わないんだけどね。前世では思春期前の子供ってこういうので恥ずかしいって気持ちもう少しあったと思うけどなんだか今は自分の体だけどだって子供でしょ?みたいな感覚があって恥ずかしい気持ちはほとんどない。



「ふむ、ではちょっとやってみるかの」

そういうとジェスパの体が光はじめたかと思うとそのシルエットから羽と尻尾がなくなっていった。

そして光がおさまった時にはすっかり人族の姿になっていた。。。。



ほぼ。



「さっきよりはずっと人族に近い見た目になったね」



「そうじゃろう、完璧じゃろう」

そういうジャスパの頭には青緑色の髪に隠れるように茶色の小さなツノがあった。



「そのツノ、さっきよりは小さくなって目立ちにくくなったけど無くすことは出来なかったの?」



「そうじゃの。完全にツノを無くしてしまうと魔力のコントロールが難しいからの。今はこれが精いっぱいじゃな。しかし、それ以外は完璧じゃろ?」

ジェスパは両手を広げくるりと一回転して全身を見せてくれた。



全裸で。



その股間には俺の体を参考にしたのか大きさもほぼ同じようなものが付いていた。



「なあ、さっきまでの恰好だと服を着ていたけどなんで今回は裸なの?」



「それは裸のケンを参考にしたんじゃ。仕方なかろう」



「人族っていうのはね、普段服を着ているんだ。だからこれを着てね」

そういうと俺の意思を汲んだレンが下帯と村人基本服装を渡してあげた。もちろん洗濯済みなやつだ。

部屋着ならこれで十分だろう。



ジェスパは俺を参考にしたと言っていたけど、顔つきは確かに少し似ている部分がある。

が、なぜか俺よりもイケメン度が高いような・・・。

髪色と瞳の色が青緑だからだろうか。



それは置いといて、とりあえず見た目はこれで人族っぽくなった。

ツノも髪を上手い事セットすれば大体隠れるし、見えていてもヘアアクセサリーの一種と言えなくもない。

それにフードのある服でも着せておけばまぁ分からないだろう。



「じゃあ、恰好のほうはこれでいいとして」



「なんじゃ、まだあるのか?」



「その恰好で戦闘を行うとすればどの程度強いの?」



「流石にこの恰好では全力で動き回ることはできぬな。じゃが、お主達のような童がまとめて掛かってきたところでねじ伏せるだけの力はあるぞ?」

ニヤっと残虐な笑みを見せる。



実際どの程度戦えるのかは知っておきたいところだ。

「じゃあ明日ギルドへ行ってクエスト報告なんかの手続きが終わったあと軽く戦ってみる?」



というとジャスパはさらに笑みを深め、了承した。

流石竜と言うべきか、その戦闘力には自信があるようだ。



いくら竜とはいえ、俺達がまとめてかかってもねじ伏せるとか本当かどうか確かめておきたい。

一応俺達はクラーケンとかも討伐したんだからそれなりには戦力があるはずだしね。



その後もジャスパについて興味津々な俺達は竜についてやジャスパ自身の事についていろいろ質問をしたり、逆にジャスパも人族や獣人族の生活に興味があったようでいろいろ聞かれた。

そんな会話を続けていたらあっという間に夜も更けたので続きは明日ということにしてみんなで休んだ。





翌日、俺とユイ、レンは冒険者ギルドに来ていた。そしてスピカと合流するとギルドに入った。


さっそく受付する。
「クエスト完了報告ですか? では、ギルドカードと討伐証明を出してください」



まずはギルドカードを渡す。そして。



「あの、討伐証明なんですけど思ったよりたくさん獲れまして。それに素材の買い取りなどもお願いしたいのですが量が多くここでは全て出せません」



そういうと俺達のギルドカードを確認して何のクエストを受けていたのか、どこに行っていたのかが分かったようで、では地下の倉庫で確認することになった。



「じゃあスピカは隣の受付でクエスト報告しておいでよ」

と伝えると俺達の方が気になる様子ではあったがそれをぐっと飲みこんで自身初となるクエスト完了報告をするのだった。



俺達が受付の人について地下に降り倉庫に入るとここに出してくれと言われた。

まずは魔法鞄からコモドリザードの尻尾の先をずらーーーーっと出し、その後魔石をボコボコ出し、ついでに食用肉をダダダダダンッと出し、さらには皮もポンポンポーンと出した。



ポカーン。



マンガだったらそんな擬音が出ていただろう。

俺達が出したのを見た受付の人は口が開いたまま固まってしまっていた。



「あのぉ~」



一応これでも食用肉は持って帰ってこれた分の内半分くらいは自分達用に取っているんだけど、それでも持てるだけ持って帰ったら結構な量だったようだ。それを見て固まったままのでそ、おそるおそる声を掛けてみる。



「え? あ!!ウォホン!」

声を掛けて正気を取り戻した受付の人は咳払いを一つして仕切りなおした。



「ではコモドリザード討伐はこれら証明部位により完了したことを確認しました。それで、魔石と肉と皮は買い取りですか?」



「はい」



「分かりました。ですが量が多いので買い取り内容や金額については明日のお昼過ぎにもう一度来てください。その時までにこちらも内容を把握や素材の鑑定をしておきます。クエスト報酬もその時にでかまいませんか?」



「はい、お願いします」



という返答を貰ったのでまた明日来ることになった。



俺達が倉庫から出て行こうとすると受付の人がこれどうしよう・・・と呟いていたが聞こえなかったことにしよう。



地下にある倉庫から出てくるとスピカがニコニコ顔で俺達を待っていた。

「待っててくれたんだ」



「もちろん! 今回ちゃんとクエストが出来たのもみんなのおかげだし! 初めて報酬も貰えたし今日はカイロスとフィルにも旨いものを食わせてやるんだ!」



偉い。初めての給料で両親にプレゼントする社会人の如く、初めての報酬で弟二人にごちそうするだなんてとても年相応とは言えない。もっとも前世の感覚ではだけど。



「そっか、そりゃ二人はきっと喜ぶな!」



そういいながら一緒にギルドを出た。

スピカは何か買って弟達の所へ戻るみたいなので俺達も途中まで付いて歩いた。



しばらく歩くと果物を中心に野菜もあるようなお店があった。



「ちょっとここで何か買っていくね」

そういいながらスピカは果物をいろいろ見て回り始めた。



俺達も何となく見て回っていたところ、どう見てもリンゴ。どう見てもミカン。どう見てもブドウ。どう見ても柿。どう見てもイチゴ等々、よく見慣れた果物もたくさんあった。

この世界、ちゃんと季節はあるのにどうなってるの?って感じだけど、なんでも果物は年中採れるそうだ。



その中に3個で銅貨1枚という格安の物を見つけた。

どう見ても柿。それも渋柿。

「すみませーん、これください」

「あいよ!銅貨一枚ね」

早速購入。

「毎度あり!」

「ありがとう、さっそく食べてもいい?」

「ああ、どうぞ」

おばちゃんが購入した渋柿を一つ慣れた手つきで皮をむき種を取って四等分に切ってくれた。

俺達はそれぞれ受け取って一斉に食べてみる。



「「「「しっぶ~~~~~い!」」」」



舌が痺れるような刺激があり、間違えようのない渋柿だ。

「ハハハッ!そりゃシブガッキだからね!大人から子供まで食べたらそんな顔になるよ!」

お店のおばちゃんに笑われた。

スピカやレンは食べたことあるだろうに、見事に四人そろって同じ顔をしていたようだ。



「そいつを美味しく食べるには、他の果物と一緒に箱に入れて数日置いておけば渋みが幾分か抜けるんだよ。だから他の果物も一緒にどうだい?」



「いや、せっかくだからこれを全部買っていくよ」

俺はそういうとさらに30個程おいてあった渋柿、この世界ではシブガッキらしいけどを指さした。

「そうかい? まぁ変わった子だねぇ。じゃあおまけして銅貨8枚でいいよ」

そういいながらも安くしてくれるおばちゃんは結構いいひとっぽい。



俺は購入した渋柿を魔法鞄にしまうとスピカの様子を目で追った。

するとリンゴとミカンを3個ずつ購入したようだ。



「じゃあ、俺達は船に戻るよ。スピカはどーする?」



「俺は早くカイロスとフィルにこれを食べさせてやりたいから帰るよ」



「そっか。んじゃまたなー」



「はーい、またねー」



そういって果物屋を出てスピカと分かれた。

船に戻る途中、魔法道具屋があったので立ち寄った。

町を探索してみるのはそれだけで楽しかったのでウロウロしながら戻っている途中に見つけた店だ。魔法道具ってその響きだけでワクワクしてしまう。

さっそく入ってみたがそのワクワクはすぐに無くなった。

目新しいものは何も無かったからだ。



「ご主人様たちは何を期待していたのですか?」

そんなレンの言葉に、何も返答できずに言葉が詰まってしまった。



しいて言うならば見たことのない魔法的な何かだ。



「目新しいものはなかったけど、よく考えたら魔法鞄を増やしておこうよ」

気を取り直して二人に提案する。



「だね。魔法鞄の中に魔法鞄を入れて、それをさらに魔法鞄に入れたら無限にものを収納できる!」



したり顔の俺とユイにちょっと残念なものを見る目でレンが教えてくれた。



「確かにそのような使い方は不可能ではないですが、いくらでも入れれたとしても重さは変わらないんですよ? すぐに持ち運びができない重量になりますよ」



そっか。魔法鞄ってたくさん入るけど重さはそのままだった。



「だとしても、空間の有効活用は出来るしコモドリザードの時みたいに捨てて行くのは勿体ない場面があるかもしれないじゃん? だったら、ある程度多めに魔法鞄を用意しておいても損はないよ」



「はっ! もしや超重量になった鞄を持たせて荷物運びが遅いとか理由をつけてお仕置きをしてくれるんですね!!」



クエスト中はその変態性をあまり見かけなかったのに、安全地帯にいるときはこうやってちょこちょこ変態性が顔を出すレン。



「ユイ、一人10個ずつ位買い足したのでいいかな?」

俺はあえてスルーしてユイと話す。



「そうだね、そのくらいあればいいね。見て、あそこの魔法鞄、少し高いけど今までのものよりもずっとたくさん入るみたいよ?」

そういいながら俺達は魔法鞄が置いてあるコーナーへと進んでいく。



「阿吽の呼吸で見事なスルー、さすがご主人様です」

なんて変態性に磨きがかかりはじめたレンの呟きは聞こえなかったことにしてユイと魔法鞄をいろいろみていく。



結局この店では今までと容量が同じ位の魔法鞄を22個と今までよりも容量がずっと大きい魔法鞄を14個入手した。

普通異世界転生物だったら無限に入るインベントリがあったりするんじゃないの?と思わなくもない。

しかし、そんな夢物語はこの世界になかった。あれば便利なのになぁ。

それでも、魔法鞄があるだけマシなのかもしれない。



そんな事を考えながら魔法道具屋を後に。

とりあえず用事は終わったので船に戻る。



そこで見たのは甲板で横たわるジーナ、リンダ、ジャスパの3人だった。

3人が頭を付け胴体をそれぞれ放射線状に伸ばす形で寝っ転がっていて、3人とも荒い息をしていた。





「なにしてんの???」

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