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31② ー薬ー
「お邪魔いたします」
薬が届いた旨を伝えたら、ノエルが最初には見せなかった嘘くさい笑顔を湛えて店にやってきた。
忙しいのではなかったのか。手紙を送ったら日にちをおかず店に訪れた。
「新しい夢でも見て、進展でもありましたか? 歴史書でなにか分かったことでも?」
「……薬が手に入っただけです」
なにかを勘付いているようなノエルの返答だ。わざとらしく夢を口にするあたり、フィオナの話を信じていない。フィオナはそれを無視して薬を差し出す。
「王宮の書庫に来てまで、歴史書のなにを調べていたんですか?」
「歴史に興味があるだけですよ」
「魔法使いが封印されていた場所が、そこまで気になりますか?」
調べていることくらい分かっていると、ノエルは持ってきていた大きなカバンから、検査をするための器具を取り出しながら問うてくる。
「夢に見るんです。前にお伝えしたでしょう。森の中、ひっそりと建てられた石碑!」
あれから夢はまったく見ていないが、フィオナは夢が気になるのだと、ほうっと息を漏らす。
「実は、石碑だけでなく、男が現れる夢も見るんです」
「男……? どんな夢ですか?」
「青白い顔の黒髪の男で、空中に浮いたりして……」
ヴァルラムの話をどこまで伝えるか迷う。フィオナがセレスティーヌではないことが、想像できてしまうだろうか。すでにおかしいと思われているのに、詳細に話したら別人だと指摘されてしまうかもしれない。
セレスティーヌの体を返すには、体を乗っ取ったことを悟られない方がいい。それこそ魔物だと思われて封印されそうだからだ。
だが、
「夢で見た男は言ってました。僕は、男だから。呼び出すならば男がいいって。それで、エルネスト様は、私を生贄にでもして男を呼びたかったのではないかと考えたのです」
————だから怖くて、魔法陣がなんなのか調べたかったのだ。
そんな嘘と真実を混ぜて話をすると、ノエルは眉根を寄せた。疑心を持った瞳を向け聞いていたが、だんだん表情が険しくなる。
「まるで、絵本に載っている悪いモノが出てくるようではありません? だから私、怖くて……。エルネスト様は私に何をやらせたかったのかしら……?」
あれから夢はまったく見ていないが、フィオナは夢が怖いのだと震えてみせた。ヴァルラムのことは嘘ではないのだから、少しは信じてもらえるだろうか。
ちらり、と横目で確認すると、ノエルは厳しい顔をしていた。渋面のような、苦々しくも怒っているような顔。
「なにか、まずい夢でしょうか……?」
「なんとも言えません。それで、この薬が、あなたを生贄にでもするつもりで、渡されたかもしれないと。そのための薬かどうか、今すぐに調べます」
ノエルは眉を傾げたまま、ガラスの瓶になにかの液体を入れ、その薬を一滴まぜる。小さな魔法陣を描くと、その上に乗せた。
どうやって調べるのかと覗いていると、透明の液体だった薬が青紫になり赤色に染まった。それが瓶の中でボッと燃えて、瓶の底に焦げたカスが残った。
(あれのやり方、本で見たことあるわ。毒殺の時に調べる方法だったはず)
昔読んだ本に載っていたのを思い出す。あの残ったカスを特別な液体に付けて判断するのだが、変化した色の種類でなんの毒か分かるのだ。
(————あの色は)
「……毒薬のようなものですね。薬を飲んでから短時間で一時的に体を仮死状態にしますが、運が悪ければ目が覚めることはありません。これは使用しないことをお勧めします」
セレスティーヌはあれを飲み干し、魔法陣の上で倒れ込んだ。
深い眠りにつくだけで、死ぬわけではない。ただ薬の効果が強すぎれば眠りについたまま目が覚めることはなく、そのうち体が弱まり死に至る薬だ。
「あなたの言うとおり、生贄にしようとしたことは否めませんね。薬を飲んでも効くまで少々時間が要ります。その間に魔力を流し、あの魔法陣で何かを呼び寄せ、あなたの体に依らせるつもりだったかもしれないし、あなたの体を餌にしようとしたのかもしれない」
では、セレスティーヌは仮死状態から戻らず、魂になり、ヴァルラムが空いたその体にフィオナを依らせたということなのか。
「……夫人。大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫、です……」
フィオナは体がふらつくのをなんとか耐える。
では、もう一度仮死状態にして、セレスティーヌの体からフィオナが出て、セレスティーヌの魂を戻せば、彼女は元に戻るのだろうか?
そこにはきっと魔法陣が必要になる。魔法陣と、ヴァルラムの存在だ。彼がフィオナを連れてきたのだから、セレスティーヌも連れてこられるだろう。
「この薬の作り方は、禁書の中でも特に厳重に保管されている本に載っています。入手先を調べる必要があります」
「エルネストは作れるんですか?」
「……作れません。研究所に出入りできる魔法師か準魔法師である魔法使いしか、あの禁書を手にすることはできません。エルネスト様は研究所に入られる立場にはない」
「じゃあ、協力者がいるんじゃ」
「……一体、誰が」
ノエルは頭を押さえながら、小さく呟いた。
薬が届いた旨を伝えたら、ノエルが最初には見せなかった嘘くさい笑顔を湛えて店にやってきた。
忙しいのではなかったのか。手紙を送ったら日にちをおかず店に訪れた。
「新しい夢でも見て、進展でもありましたか? 歴史書でなにか分かったことでも?」
「……薬が手に入っただけです」
なにかを勘付いているようなノエルの返答だ。わざとらしく夢を口にするあたり、フィオナの話を信じていない。フィオナはそれを無視して薬を差し出す。
「王宮の書庫に来てまで、歴史書のなにを調べていたんですか?」
「歴史に興味があるだけですよ」
「魔法使いが封印されていた場所が、そこまで気になりますか?」
調べていることくらい分かっていると、ノエルは持ってきていた大きなカバンから、検査をするための器具を取り出しながら問うてくる。
「夢に見るんです。前にお伝えしたでしょう。森の中、ひっそりと建てられた石碑!」
あれから夢はまったく見ていないが、フィオナは夢が気になるのだと、ほうっと息を漏らす。
「実は、石碑だけでなく、男が現れる夢も見るんです」
「男……? どんな夢ですか?」
「青白い顔の黒髪の男で、空中に浮いたりして……」
ヴァルラムの話をどこまで伝えるか迷う。フィオナがセレスティーヌではないことが、想像できてしまうだろうか。すでにおかしいと思われているのに、詳細に話したら別人だと指摘されてしまうかもしれない。
セレスティーヌの体を返すには、体を乗っ取ったことを悟られない方がいい。それこそ魔物だと思われて封印されそうだからだ。
だが、
「夢で見た男は言ってました。僕は、男だから。呼び出すならば男がいいって。それで、エルネスト様は、私を生贄にでもして男を呼びたかったのではないかと考えたのです」
————だから怖くて、魔法陣がなんなのか調べたかったのだ。
そんな嘘と真実を混ぜて話をすると、ノエルは眉根を寄せた。疑心を持った瞳を向け聞いていたが、だんだん表情が険しくなる。
「まるで、絵本に載っている悪いモノが出てくるようではありません? だから私、怖くて……。エルネスト様は私に何をやらせたかったのかしら……?」
あれから夢はまったく見ていないが、フィオナは夢が怖いのだと震えてみせた。ヴァルラムのことは嘘ではないのだから、少しは信じてもらえるだろうか。
ちらり、と横目で確認すると、ノエルは厳しい顔をしていた。渋面のような、苦々しくも怒っているような顔。
「なにか、まずい夢でしょうか……?」
「なんとも言えません。それで、この薬が、あなたを生贄にでもするつもりで、渡されたかもしれないと。そのための薬かどうか、今すぐに調べます」
ノエルは眉を傾げたまま、ガラスの瓶になにかの液体を入れ、その薬を一滴まぜる。小さな魔法陣を描くと、その上に乗せた。
どうやって調べるのかと覗いていると、透明の液体だった薬が青紫になり赤色に染まった。それが瓶の中でボッと燃えて、瓶の底に焦げたカスが残った。
(あれのやり方、本で見たことあるわ。毒殺の時に調べる方法だったはず)
昔読んだ本に載っていたのを思い出す。あの残ったカスを特別な液体に付けて判断するのだが、変化した色の種類でなんの毒か分かるのだ。
(————あの色は)
「……毒薬のようなものですね。薬を飲んでから短時間で一時的に体を仮死状態にしますが、運が悪ければ目が覚めることはありません。これは使用しないことをお勧めします」
セレスティーヌはあれを飲み干し、魔法陣の上で倒れ込んだ。
深い眠りにつくだけで、死ぬわけではない。ただ薬の効果が強すぎれば眠りについたまま目が覚めることはなく、そのうち体が弱まり死に至る薬だ。
「あなたの言うとおり、生贄にしようとしたことは否めませんね。薬を飲んでも効くまで少々時間が要ります。その間に魔力を流し、あの魔法陣で何かを呼び寄せ、あなたの体に依らせるつもりだったかもしれないし、あなたの体を餌にしようとしたのかもしれない」
では、セレスティーヌは仮死状態から戻らず、魂になり、ヴァルラムが空いたその体にフィオナを依らせたということなのか。
「……夫人。大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫、です……」
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では、もう一度仮死状態にして、セレスティーヌの体からフィオナが出て、セレスティーヌの魂を戻せば、彼女は元に戻るのだろうか?
そこにはきっと魔法陣が必要になる。魔法陣と、ヴァルラムの存在だ。彼がフィオナを連れてきたのだから、セレスティーヌも連れてこられるだろう。
「この薬の作り方は、禁書の中でも特に厳重に保管されている本に載っています。入手先を調べる必要があります」
「エルネストは作れるんですか?」
「……作れません。研究所に出入りできる魔法師か準魔法師である魔法使いしか、あの禁書を手にすることはできません。エルネスト様は研究所に入られる立場にはない」
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ノエルは頭を押さえながら、小さく呟いた。
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