氷の公爵はお人形がお気に入り~少女は公爵の溺愛に気づかない~

塔野明里

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幕間 リボン

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 幕間 リボン

「同じリボンばかり付けているんだ。」

 夏になり本格に暑くなってきた。この執務室では窓を開ければ風が通るが、それでも汗がにじむ。
 渚は毎日髪を結い上げ、そのうなじの白さにクラクラする。

「それってぇこの間のデートで買ったやつ?」

「デートじゃない。あの買い物で買ってきたやつだ。」

 そんなに気に入っているのか。自分で選んで買ったから気に入っているだけ。きっとそうだ。あの男と買ってきたからではない。絶対に。

「水色ばかり付けて、他にも似合う物があるのに。」

「えっ?そのリボンって水色なの?」

 なぜカインが驚くのか。

「それってぇクローディアスの髪の色みたいな?」

「あぁ…たしかにそうだな。もっとピンクとか黄色とか可愛らしいものがあるんだが。」


『あぁ…これ全然気づいてないやつだねぇ。せっかく渚さんが可愛いことしてるのに。まぁ僕が言ったらつまんないし、しばらく黙っとこ。』

 * * *

「そんなにあれが気に入っているのか。」

 渚との夕食後、今日も彼女の髪には水色のリボンが揺れていた。

「いまだに手紙のやり取りしてるしな…。」

 前ほどの頻度ではないが、渚はあの騎士と手紙のやり取りを続けている。

「クローディアス様。渚様はご自分で選ばれたのですよ?あの色を。」

 侍女のジゼルはなぜか悲しげな顔をしている。何かあったのだろうか。

「そうだな……別にアイツからプレゼントされたわけじゃないしな……。」


『あぁ……どうして仕事では先読みも気遣いもできる当主様は渚さんに関してだけこんなにも鈍いのでしょう?』

 * * *

「お仕事は忙しいですか?暑くなってきたのでお体に気をつけてください。」

 夕食後のデザートを渚とともに食べるこの時間。これが唯一彼女と二人きりになれる時間だ。最近はアイスクリームを用意させている。別に出掛けなくても食べれるのだから。アイツと出掛ける必要などない。

「大丈夫だ。渚も何かあったらすぐに言いなさい。」

 最近はジゼルから刺繍や編み物を習っているらしい。いつか彼女の手作りのものをもらえたりしないだろうか。

「渚、そのリボン……。」

「は、はい?!」

 どうしてそんなに顔を赤らめるんだ?

「とても似合っている……。」

「ありがとうございます…!」


『良かった…。クロードは気づいてないみたい。変な意味じゃないけど、やっぱり気づかれたら恥ずかしいし…。絶対絶対秘密です!』


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