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5 友達最高!
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メルは自分の思いつきに浮き浮きしているようだった。
「私達同い年だし、お話も合うんじゃないかしら!」
元々ほんのりピンク色をしたメルの頬が、さらに生き生きとした色合いになり、瞳の輝きも増した。
「友達……」
メルとは相反して、俺の方は落ち込んでいた。
(『友達』って、『ごめんなさい、友達でいましょう』とか『あなたは良いお友達よ』とか、女の子が遠まわしに男を振る時の定番ワードじゃ……)
もしかして、さっきから俺がメルに好意を持っているのがバレバレで、
『え、この地味顔、まさか私に気があるの? 私達の間で恋が始まるとか、勘違いをしているのかしら。だったら身の程をわきまえさせないとね』
みたいな、けん制的な意味で『友達』と釘をさされたのか?
俺の反応を見ると、メルの浮き浮きした表情はとたんに消えていった。
「……急に『友達になって』と言われても、やっぱり迷惑よね」
メルは、さっきとは打って変わって悲しそうな顔になった。
「どうか、私の今の申し出は忘れてちょうだい。……私、友達の作り方が分からなくて……、決して貴方に嫌な思いをさせるつもりではなかったの」
メルの悲しげな表情を見ていると、俺は自分に腹が立ってきた。
女の子にモテない人生ゆえの被害妄想のせいで、優しくて天使な子にこんな悲しい顔させるなんて。
(俺の大馬鹿野郎! 友達の何が悪いんだ! 友達最高じゃないか!)
俺は思わずメルの両手をぎゅっと握り締めた。
「なるなる!友達になる!」
メルは俺の勢いにとまどって目をぱちくりさせた。
「そ、そんな、無理をしなくていいのよ? トール、あんなに困ったような暗い顔をしていたじゃない」
「いや、あれはけん制かと思って落ち込んで……」
「けん制??」
「いやいや、気にしないで欲しい! とにかく、友達になるよ! むしろ、こちらからお願いします!!」
メルの手を握ったまま、俺は頭を下げた。
数秒後に顔を上げた時、今日見た中で一番輝いているメルの笑顔が俺の目の前にあった。
「嬉しいわ、トール……! これから、どうぞよろしくね」
メルが俺の手をそっと握り返した。
「うん、メル、よろしく!」
俺はメルの笑顔が戻った事にほっとしていた。
二人で手を取り合いながら、少しの間笑顔で見つめ合っていたが、メルがふとお互いの繋いだ手を見て固まった。
メルの頬がピンクから赤色に変化したと思ったら、彼女はくるっと俺に背中を向けた。
「友達になるって不思議な気持ちなのね、トール。なんだか私、胸がドキドキしているわ……」
(? 俺、初めて友達が出来た時、そんなドキドキしたかな?)
思い出そうとしたが、初めて出来た友達が誰だったのかも、あんまり覚えていない。
小さい頃は自然と友達が周りにいたので、メルみたいに淋しい思いをしなかったんだな。
それって、恵まれた事だったんだなあ。
深呼吸しているらしいメルの背中を見ながら、俺は自分が小さい頃の記憶に思いをめぐらせていた。
その時俺は、何か、心に引っかかるものを感じた。
けどその何かは、空中に浮かぶ小さな羽が、つかもうとすると逃げてしまうように、するっと消えてしまった。
そして、再びメルの後姿に意識を戻すと、メルの背中に流れる美しい銀色の髪の、そのすぐ下にもふっとしたしっぽがある事に気付いた。
(しっぽついてる!!!)
「私達同い年だし、お話も合うんじゃないかしら!」
元々ほんのりピンク色をしたメルの頬が、さらに生き生きとした色合いになり、瞳の輝きも増した。
「友達……」
メルとは相反して、俺の方は落ち込んでいた。
(『友達』って、『ごめんなさい、友達でいましょう』とか『あなたは良いお友達よ』とか、女の子が遠まわしに男を振る時の定番ワードじゃ……)
もしかして、さっきから俺がメルに好意を持っているのがバレバレで、
『え、この地味顔、まさか私に気があるの? 私達の間で恋が始まるとか、勘違いをしているのかしら。だったら身の程をわきまえさせないとね』
みたいな、けん制的な意味で『友達』と釘をさされたのか?
俺の反応を見ると、メルの浮き浮きした表情はとたんに消えていった。
「……急に『友達になって』と言われても、やっぱり迷惑よね」
メルは、さっきとは打って変わって悲しそうな顔になった。
「どうか、私の今の申し出は忘れてちょうだい。……私、友達の作り方が分からなくて……、決して貴方に嫌な思いをさせるつもりではなかったの」
メルの悲しげな表情を見ていると、俺は自分に腹が立ってきた。
女の子にモテない人生ゆえの被害妄想のせいで、優しくて天使な子にこんな悲しい顔させるなんて。
(俺の大馬鹿野郎! 友達の何が悪いんだ! 友達最高じゃないか!)
俺は思わずメルの両手をぎゅっと握り締めた。
「なるなる!友達になる!」
メルは俺の勢いにとまどって目をぱちくりさせた。
「そ、そんな、無理をしなくていいのよ? トール、あんなに困ったような暗い顔をしていたじゃない」
「いや、あれはけん制かと思って落ち込んで……」
「けん制??」
「いやいや、気にしないで欲しい! とにかく、友達になるよ! むしろ、こちらからお願いします!!」
メルの手を握ったまま、俺は頭を下げた。
数秒後に顔を上げた時、今日見た中で一番輝いているメルの笑顔が俺の目の前にあった。
「嬉しいわ、トール……! これから、どうぞよろしくね」
メルが俺の手をそっと握り返した。
「うん、メル、よろしく!」
俺はメルの笑顔が戻った事にほっとしていた。
二人で手を取り合いながら、少しの間笑顔で見つめ合っていたが、メルがふとお互いの繋いだ手を見て固まった。
メルの頬がピンクから赤色に変化したと思ったら、彼女はくるっと俺に背中を向けた。
「友達になるって不思議な気持ちなのね、トール。なんだか私、胸がドキドキしているわ……」
(? 俺、初めて友達が出来た時、そんなドキドキしたかな?)
思い出そうとしたが、初めて出来た友達が誰だったのかも、あんまり覚えていない。
小さい頃は自然と友達が周りにいたので、メルみたいに淋しい思いをしなかったんだな。
それって、恵まれた事だったんだなあ。
深呼吸しているらしいメルの背中を見ながら、俺は自分が小さい頃の記憶に思いをめぐらせていた。
その時俺は、何か、心に引っかかるものを感じた。
けどその何かは、空中に浮かぶ小さな羽が、つかもうとすると逃げてしまうように、するっと消えてしまった。
そして、再びメルの後姿に意識を戻すと、メルの背中に流れる美しい銀色の髪の、そのすぐ下にもふっとしたしっぽがある事に気付いた。
(しっぽついてる!!!)
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