16 / 26
第16話 第二王子、エリオット・エラージュの怒り
しおりを挟む
その報告を聞いて、私は人生で初めて思考が停止する事態に陥っていた。
予定を変更して急ぎ王都に戻ると、入れ違うように、5機の装甲機が走り出していた。
突如現れたダチョウのようにも見える、大型の黒い未知の乗り物に人々は騒然としているけど、エリュドランの人達は目もくれずに淡々と走り去っていった。
あれは私も見るのは三度目だが、やはりあれには圧倒される。
馬など足下にも及ばない速さで、どこだろうと駆け抜けていくし、一度戦争になれば、あの圧倒的な破壊力で負けるのは我が国だろう。
去って行ったあの中に、アニー嬢も乗っていたはずだ。
アニー嬢の婚約者である、カムリ侯爵家の家紋が見えた。
本人が自ら迎えにきたのではないだろうか。
さらに帰路を急ぐ。
城内で事の詳細を聞き、言っても無駄だと思っても兄上の執務室に行かざるを得なかった。
理解が追いつかない者に分かるように伝えなければならない労力を、知っている。
それでも普段と変わらない様子の兄上に、苛立ちを募らせる。
「アリアナ嬢は、元々は公爵家の令嬢で、ご自分の力で男爵位を与えられた方だ。御両親が亡くなられて、父の姉君が公爵家を継いだから、彼女は男爵の家名を名乗っているのです!!彼女のおじ君は、あの国の国王ですよ!?私は説明しましたよね!?ロッソ姉妹は、国賓級の大切な要人だと。兄上はいったい、何を聞いていたのです!!シンシアに甘すぎることが、国の崩壊につながるのですよ!!何故、父の指示を仰がなかったのですか!」
この事態を予想しなかった、私が悪いと思うしかないのだろうか。
ああ、くそっ、誰がこんな事態を予測できるものか!
妹のついた嘘のせいで、兄が、国家崩壊を招きかねない要人の国外追放を行うなどと!
「田舎国家相手に、大袈裟な」
ここにきてもまだ、この人は理解していない。
「兄上は、外の世界を知らないからです。外から見れば、この国こそ、閉ざされた田舎国家と言われているのですよ!!」
「お前に愛国心はないのか。我が国を愚弄するな」
「愛しているからこそ、この国の将来の為に改革を促さなければならないのです。このままでは近い将来、地図上からこの国は消えてしまいます!!東側の似たような弱小国で足を引っ張りあっている間に、西側の帝国に攻め込まれて、終わりです!」
怒りに任せて吐き出した言葉がどれだけ届いたのか、やはり兄上に焦りはないように見える。
もう、諦めるしかなかった。
「弟として、貴方を王太子にしてあげたいと願った思いは、今ここで完全に消滅しました。私はこれから、帝国の使者の方とも会わなければなりません。兄上は王の元へ向かってください」
最後にそれを告げると、何故お前が指示を出すといった表情をしていた。
予定を変更して急ぎ王都に戻ると、入れ違うように、5機の装甲機が走り出していた。
突如現れたダチョウのようにも見える、大型の黒い未知の乗り物に人々は騒然としているけど、エリュドランの人達は目もくれずに淡々と走り去っていった。
あれは私も見るのは三度目だが、やはりあれには圧倒される。
馬など足下にも及ばない速さで、どこだろうと駆け抜けていくし、一度戦争になれば、あの圧倒的な破壊力で負けるのは我が国だろう。
去って行ったあの中に、アニー嬢も乗っていたはずだ。
アニー嬢の婚約者である、カムリ侯爵家の家紋が見えた。
本人が自ら迎えにきたのではないだろうか。
さらに帰路を急ぐ。
城内で事の詳細を聞き、言っても無駄だと思っても兄上の執務室に行かざるを得なかった。
理解が追いつかない者に分かるように伝えなければならない労力を、知っている。
それでも普段と変わらない様子の兄上に、苛立ちを募らせる。
「アリアナ嬢は、元々は公爵家の令嬢で、ご自分の力で男爵位を与えられた方だ。御両親が亡くなられて、父の姉君が公爵家を継いだから、彼女は男爵の家名を名乗っているのです!!彼女のおじ君は、あの国の国王ですよ!?私は説明しましたよね!?ロッソ姉妹は、国賓級の大切な要人だと。兄上はいったい、何を聞いていたのです!!シンシアに甘すぎることが、国の崩壊につながるのですよ!!何故、父の指示を仰がなかったのですか!」
この事態を予想しなかった、私が悪いと思うしかないのだろうか。
ああ、くそっ、誰がこんな事態を予測できるものか!
妹のついた嘘のせいで、兄が、国家崩壊を招きかねない要人の国外追放を行うなどと!
「田舎国家相手に、大袈裟な」
ここにきてもまだ、この人は理解していない。
「兄上は、外の世界を知らないからです。外から見れば、この国こそ、閉ざされた田舎国家と言われているのですよ!!」
「お前に愛国心はないのか。我が国を愚弄するな」
「愛しているからこそ、この国の将来の為に改革を促さなければならないのです。このままでは近い将来、地図上からこの国は消えてしまいます!!東側の似たような弱小国で足を引っ張りあっている間に、西側の帝国に攻め込まれて、終わりです!」
怒りに任せて吐き出した言葉がどれだけ届いたのか、やはり兄上に焦りはないように見える。
もう、諦めるしかなかった。
「弟として、貴方を王太子にしてあげたいと願った思いは、今ここで完全に消滅しました。私はこれから、帝国の使者の方とも会わなければなりません。兄上は王の元へ向かってください」
最後にそれを告げると、何故お前が指示を出すといった表情をしていた。
2
あなたにおすすめの小説
【完結】レイチェル・パーシヴァルの書簡集
通木遼平
恋愛
「僕と同じ、虹色の虹彩を持っている女性と出会えたら――やぶさかではありませんね」
フォルトマジア王国の若き魔術師団長があげた結婚相手の条件が、王立学院に通うレイチェル・パーシヴァルを悩ませていた。しかも今年で学院も卒業だから進路のことも考えなければいけない。彼女は学院に入学した時から学費などの援助をしてくれるアラン・スミシーという男に手紙で日々の出来事や悩み事を打ち明ける。
そんな彼女の手紙と、魔術師団長の結婚の行方。
※他サイトにも掲載しています
俺の可愛い幼馴染
SHIN
恋愛
俺に微笑みかける少女の後ろで、泣きそうな顔でこちらを見ているのは、可愛い可愛い幼馴染。
ある日二人だけの秘密の場所で彼女に告げられたのは……。
連載の気分転換に執筆しているので鈍いです。おおらかな気分で読んでくれると嬉しいです。
感想もご自由にどうぞ。
ただし、作者は木綿豆腐メンタルです。
旦那様の愛が重い
おきょう
恋愛
マリーナの旦那様は愛情表現がはげしい。
毎朝毎晩「愛してる」と耳元でささやき、隣にいれば腰を抱き寄せてくる。
他人は大切にされていて羨ましいと言うけれど、マリーナには怖いばかり。
甘いばかりの言葉も、優しい視線も、どうにも嘘くさいと思ってしまう。
本心の分からない人の心を、一体どうやって信じればいいのだろう。
職業『お飾りの妻』は自由に過ごしたい
LinK.
恋愛
勝手に決められた婚約者との初めての顔合わせ。
相手に契約だと言われ、もう後がないサマンサは愛のない形だけの契約結婚に同意した。
何事にも従順に従って生きてきたサマンサ。
相手の求める通りに動く彼女は、都合のいいお飾りの妻だった。
契約中は立派な妻を演じましょう。必要ない時は自由に過ごしても良いですよね?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる