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ステラⅡ
1 十年後
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私の家となったのは、グリース王国王都にある、魔法士団本拠地。
何もわからないまま押しかけたにも関わらず、ギデオン様は私の保護者兼師匠となってくれました。
ギデオン様の元、無茶な修行をたくさんさせられましたが、おかげで魔法使いとして認めてもらえるようになりました。
感謝しかありません。
あれから10年。
私は16歳になりました。
特徴のある容姿を隠すために、常にローブを頭から被って行動しています。
奇人変人の集団である魔法士団の中で、案外目立たずに過ごすことができました。
グリース王国でも、タリスライト王国でも、魔力を持った魔法使いは希少であり、ここグリース王国では王都の城内に魔法使いを集めた部署があり、日々様々な研鑽や研究、任務が行われています。
魔法にはいくつかの属性があって、魔法使いによって、得意な属性が変わります。
その中でもエレンさんが扱う光属性は非常に珍しいもので、私が扱う闇属性も、同じく滅多に現れない属性でした。
闇属性ともう一つ、私には地属性もありますので、普段は植物園のお世話をしています。
広大なお城の敷地内にある植物園を任されていますが、屋内となるここもまた、とても広くて、そして高いガラス張りの天井の下にありました。
一つだけある扉は魔法が施されているので、特別な手順が必要で、勝手に出入りする事はできませんし、ここの場所もわかりにくくしてあります。
ここの管理を任されてからいくつか古代の珍しい種類の植物を復活させることができたので、この度、魔法使い上位の証である宝玉の位を賜りました。
私の位を表す“黒曜石”のネックレスと、金糸で刺繍がされた黒いローブが支給され、それが上位魔法使いの証となります。
師匠であるギデオン様は、強力な炎の魔法の使い手で、戦闘になるとちょっとアレになるのが問題なのですが、出会った頃にはすでに宝玉の位である紅玉を賜っていたようです。
結局、この国で私の出生届が出されていなかったので、私はどの家の子供でもなく、孤児として登録され、魔法士団が家となりました。
グリース王国の記録上では、婚外子であった上に、認知もされていなかったから、私は正式にはお父様の子供ではなかったのです。
それで良かったのだと思いました。
お父様の子供は、エステルお姉様だけで。
あの時の事を思い出すと、御屋敷の使用人達の、私に向ける視線や言葉を今なら理解できます。
私は、オードリー様からは夫を、エステルお姉様からは父親を奪った元凶そのもので、到底あの屋敷に受け入れられるはずもなかったのです。
お母様が何を思って、お父様と許されない関係を続けたのか。
お父様に妻として迎えられない事を納得されていたのか、オードリー様に対して何を思っていたのか、今となってはもう、わからない事です。
それに、お父様も。
お母様との関係に疑問を抱くのはもちろんなのですが、私をタリスライトから出した事や、男爵家に置き去りにしていった事など、無責任だと、言いたくなるのは当然の事でした。
あの日からお父様には会っていませんし、これから先も会う事はないはずです。
両親の事は、私が今さらアレコレ悩んでも仕方がない事なのかもしれませんが、エステルお姉様には今でも申し訳ない気持ちでいっぱいです。
遠く離れたここで、せめてお姉様の幸せを願うばかりですが、あの日記は捨てる事ができず、まだ私の手元にありました。
少し前に読み返してみると、子供の頃には理解できなかったものも、今ではわかることがありました。
オードリー様の日記には、長きにわたり帰らない夫が、別の国で愛する女性とその子供を授かっている事に、殺意すら伴う嫉妬の心を持ちながらも、それでも、自分の子供が誰かを恨む事のないように必死に心を押し殺している心情が綴られていました。
そして自らも、寂しさに耐えきれずに不貞を犯してしまった事により、その自責の念は、エステルお姉様を見るたびに積み重なって押し潰されていったと。
その日記は、オードリー様が亡くなる二日前まで記されていました。
最後の記述は“旦那様に会いたい”。
そして、エステルお姉様への謝罪。
自分がどういう存在なのか改めて理解して、暗くて冷たいナニかに囚われそうになる感覚に恐怖しました。
オードリー様を自殺に追い込んでしまった罪。
私が子供だったからと、知らないフリはもう、できないのです。
何もわからないまま押しかけたにも関わらず、ギデオン様は私の保護者兼師匠となってくれました。
ギデオン様の元、無茶な修行をたくさんさせられましたが、おかげで魔法使いとして認めてもらえるようになりました。
感謝しかありません。
あれから10年。
私は16歳になりました。
特徴のある容姿を隠すために、常にローブを頭から被って行動しています。
奇人変人の集団である魔法士団の中で、案外目立たずに過ごすことができました。
グリース王国でも、タリスライト王国でも、魔力を持った魔法使いは希少であり、ここグリース王国では王都の城内に魔法使いを集めた部署があり、日々様々な研鑽や研究、任務が行われています。
魔法にはいくつかの属性があって、魔法使いによって、得意な属性が変わります。
その中でもエレンさんが扱う光属性は非常に珍しいもので、私が扱う闇属性も、同じく滅多に現れない属性でした。
闇属性ともう一つ、私には地属性もありますので、普段は植物園のお世話をしています。
広大なお城の敷地内にある植物園を任されていますが、屋内となるここもまた、とても広くて、そして高いガラス張りの天井の下にありました。
一つだけある扉は魔法が施されているので、特別な手順が必要で、勝手に出入りする事はできませんし、ここの場所もわかりにくくしてあります。
ここの管理を任されてからいくつか古代の珍しい種類の植物を復活させることができたので、この度、魔法使い上位の証である宝玉の位を賜りました。
私の位を表す“黒曜石”のネックレスと、金糸で刺繍がされた黒いローブが支給され、それが上位魔法使いの証となります。
師匠であるギデオン様は、強力な炎の魔法の使い手で、戦闘になるとちょっとアレになるのが問題なのですが、出会った頃にはすでに宝玉の位である紅玉を賜っていたようです。
結局、この国で私の出生届が出されていなかったので、私はどの家の子供でもなく、孤児として登録され、魔法士団が家となりました。
グリース王国の記録上では、婚外子であった上に、認知もされていなかったから、私は正式にはお父様の子供ではなかったのです。
それで良かったのだと思いました。
お父様の子供は、エステルお姉様だけで。
あの時の事を思い出すと、御屋敷の使用人達の、私に向ける視線や言葉を今なら理解できます。
私は、オードリー様からは夫を、エステルお姉様からは父親を奪った元凶そのもので、到底あの屋敷に受け入れられるはずもなかったのです。
お母様が何を思って、お父様と許されない関係を続けたのか。
お父様に妻として迎えられない事を納得されていたのか、オードリー様に対して何を思っていたのか、今となってはもう、わからない事です。
それに、お父様も。
お母様との関係に疑問を抱くのはもちろんなのですが、私をタリスライトから出した事や、男爵家に置き去りにしていった事など、無責任だと、言いたくなるのは当然の事でした。
あの日からお父様には会っていませんし、これから先も会う事はないはずです。
両親の事は、私が今さらアレコレ悩んでも仕方がない事なのかもしれませんが、エステルお姉様には今でも申し訳ない気持ちでいっぱいです。
遠く離れたここで、せめてお姉様の幸せを願うばかりですが、あの日記は捨てる事ができず、まだ私の手元にありました。
少し前に読み返してみると、子供の頃には理解できなかったものも、今ではわかることがありました。
オードリー様の日記には、長きにわたり帰らない夫が、別の国で愛する女性とその子供を授かっている事に、殺意すら伴う嫉妬の心を持ちながらも、それでも、自分の子供が誰かを恨む事のないように必死に心を押し殺している心情が綴られていました。
そして自らも、寂しさに耐えきれずに不貞を犯してしまった事により、その自責の念は、エステルお姉様を見るたびに積み重なって押し潰されていったと。
その日記は、オードリー様が亡くなる二日前まで記されていました。
最後の記述は“旦那様に会いたい”。
そして、エステルお姉様への謝罪。
自分がどういう存在なのか改めて理解して、暗くて冷たいナニかに囚われそうになる感覚に恐怖しました。
オードリー様を自殺に追い込んでしまった罪。
私が子供だったからと、知らないフリはもう、できないのです。
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