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前編
9 おかえりなさい、お姉様
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式が終わってしまえば今日は他に何もない為、テオと別れた後は馬車に乗って自宅に戻った。
「おかえりなさい!お姉様」
家に着くなり、先に帰ってきていたローザが、パタパタと駆け寄ってきた。
その足音すら、不快でしょうがない。
「お姉様とは、クラスが離れてしまいましたね。学園の方は、どうでしたか?」
「特に問題はありませんでした。ローザ様」
「お姉様、やめてください。ローザ様だなんて」
「そうお呼びしなければ、私がお叱りを受けますから」
もう帰ってきたのか、ローザの向こう側であの男も薄ら笑いを浮かべてこっちを見ている。気持ち悪い。
「アニストン伯爵家の方と早速仲良くされていたのを見たの。今度是非紹介してほしいわ!」
余計な事を言うな。
ほら見ろ。あの男が射殺す勢いでこっちを見ている。
「たまたま席が隣になったので、挨拶を交わしただけです。ローザ様に御紹介できるほどには親しくしておりません」
「そんな意地悪を言わないで!リュシアン様の側近候補の方なのになかなかお話しする機会がない方なの。私、避けられているのかしら」
白々しく頰に手を添えてため息をついて、しおらしいフリをしている。
それも、無きにしも非ずだな。
「ローザ様なら、直接お話した方がお相手の方も喜ばれるでしょう」
めんどくさい。テオに丸投げしてやる。
「それでは、私は授業の予習をしなければついていけませんので、部屋に下がらせてもらいます」
「もう!お姉様ったら、そんな邪険にしないでくださるかしら?ちょっとお茶を一緒にいただきながらお話しましょ!ね?いいでしょう?お父様」
私の腕を掴んでから、振り返ってわざわざあの男に言質を取っている。
「ローザの願いを叶えてあげるのは、当然のことだろう」
クソめんどくさいな。
そして部屋に引きずられるように連れて行かれて、
「申し訳ないわぁ。お姉様にこんな事をしていただいて」
案の定ローザに給仕をやらされていた。
上機嫌でソファーに座るローザのカップに、紅茶を注ぐ。
「それでね、お姉様。アニストン家のテオドール様でしょ?お姉様と仲良くなった方は」
立ったままの私に、ローザは話しかけてくる。
「私などと仲良くされる方はいませんよ。何度も言いますが、たまたま隣の席になっただけです」
「私、あの方と仲良くなりたいの」
聞いちゃいねーな。この女は。
「テオドール様って、リュシアン様に次いで優秀な方でしょ?将来有望だし、私には必要な人だと思うの」
テオはお前の兄だけどな。おそらくは。
「それに、リュシアン様程ではないにしても、抜きん出て見目麗しい方でしょ?」
そうか?テオの顔を思い浮かべても、何も思う事はない。
「私とお近付きになるのに相応しいわ」
見た目のいい奴を自分の周りに侍らせたいのか。
今現在、ローザにわずかに触れたおかげで、お茶会のたびに、リュシアンに隠れて色んな令息と仲良くしている様子が鮮明に脳内に映し出されている。
お前は確かにあの女の娘だよ。
あの女も見た目がいい奴が大好きで、過去に多くの男と関係をもっている。
でもやっぱり本命はアニストンの者だったようだけど。
あの女とも、この妹とも血の繋がりがあるのが信じられないな。
気持ち悪い。
結局、ポットの紅茶をローザが飲み干すまで付き合わされて、やっと解放されていた。
薄暗くなった部屋に戻り、一人で夕食を食べる。
ローザのせいで、自分の睡眠時間を削って予習にあてなければならなかった。
「おかえりなさい!お姉様」
家に着くなり、先に帰ってきていたローザが、パタパタと駆け寄ってきた。
その足音すら、不快でしょうがない。
「お姉様とは、クラスが離れてしまいましたね。学園の方は、どうでしたか?」
「特に問題はありませんでした。ローザ様」
「お姉様、やめてください。ローザ様だなんて」
「そうお呼びしなければ、私がお叱りを受けますから」
もう帰ってきたのか、ローザの向こう側であの男も薄ら笑いを浮かべてこっちを見ている。気持ち悪い。
「アニストン伯爵家の方と早速仲良くされていたのを見たの。今度是非紹介してほしいわ!」
余計な事を言うな。
ほら見ろ。あの男が射殺す勢いでこっちを見ている。
「たまたま席が隣になったので、挨拶を交わしただけです。ローザ様に御紹介できるほどには親しくしておりません」
「そんな意地悪を言わないで!リュシアン様の側近候補の方なのになかなかお話しする機会がない方なの。私、避けられているのかしら」
白々しく頰に手を添えてため息をついて、しおらしいフリをしている。
それも、無きにしも非ずだな。
「ローザ様なら、直接お話した方がお相手の方も喜ばれるでしょう」
めんどくさい。テオに丸投げしてやる。
「それでは、私は授業の予習をしなければついていけませんので、部屋に下がらせてもらいます」
「もう!お姉様ったら、そんな邪険にしないでくださるかしら?ちょっとお茶を一緒にいただきながらお話しましょ!ね?いいでしょう?お父様」
私の腕を掴んでから、振り返ってわざわざあの男に言質を取っている。
「ローザの願いを叶えてあげるのは、当然のことだろう」
クソめんどくさいな。
そして部屋に引きずられるように連れて行かれて、
「申し訳ないわぁ。お姉様にこんな事をしていただいて」
案の定ローザに給仕をやらされていた。
上機嫌でソファーに座るローザのカップに、紅茶を注ぐ。
「それでね、お姉様。アニストン家のテオドール様でしょ?お姉様と仲良くなった方は」
立ったままの私に、ローザは話しかけてくる。
「私などと仲良くされる方はいませんよ。何度も言いますが、たまたま隣の席になっただけです」
「私、あの方と仲良くなりたいの」
聞いちゃいねーな。この女は。
「テオドール様って、リュシアン様に次いで優秀な方でしょ?将来有望だし、私には必要な人だと思うの」
テオはお前の兄だけどな。おそらくは。
「それに、リュシアン様程ではないにしても、抜きん出て見目麗しい方でしょ?」
そうか?テオの顔を思い浮かべても、何も思う事はない。
「私とお近付きになるのに相応しいわ」
見た目のいい奴を自分の周りに侍らせたいのか。
今現在、ローザにわずかに触れたおかげで、お茶会のたびに、リュシアンに隠れて色んな令息と仲良くしている様子が鮮明に脳内に映し出されている。
お前は確かにあの女の娘だよ。
あの女も見た目がいい奴が大好きで、過去に多くの男と関係をもっている。
でもやっぱり本命はアニストンの者だったようだけど。
あの女とも、この妹とも血の繋がりがあるのが信じられないな。
気持ち悪い。
結局、ポットの紅茶をローザが飲み干すまで付き合わされて、やっと解放されていた。
薄暗くなった部屋に戻り、一人で夕食を食べる。
ローザのせいで、自分の睡眠時間を削って予習にあてなければならなかった。
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