14 / 39
14 夜会への招待
しおりを挟む
それを見た感想は、舌打ちくらいしてもいいかな?だった。
王宮で行われる、夜会への招待状。
御丁寧に端っこには、言う事を聞かないと今すぐ牢獄か娼館か選ばせてあげると書いてあるそれが私のもとに届けられていた。
何で今さら私の所に、それも、ユリウスがいない時にわざわざ。
今では国中ユリウスの功績の噂で持ちきりだ。
あと半年もしないうちに北の地を完全に掌握できる。
あの広大な土地が、この国の物になる。
それから凱旋すれば、王位を継ぐものとして誰も異はとなえない。
それが面白くない側妃が、王子妃の私を夜会に引っ張りだすことでユリウスを貶める気でいるんだ。
いい迷惑だ。
そんな事をしても、もうユリウスの評価は確固たるものだ。
それに、私を蹴落として、その座を狙う令嬢の格好の的になるだろう。
うんざりだ。
ユリウスは戦場で命を掛けているのに、王都ではこんな馬鹿げた茶番が行われるのだから。
別に、来いと言うなら、出てやる。
辛うじて持っていたドレスを引っ張りだし、家の事情でお金が必要な使用人のアビーに多めのお金を渡して、着替えるのを手伝ってもらった。
他の使用人は私には手を貸してくれないから、アビーがいて助かったけど、お金で動きすぎるのも怖いなと彼女を見て感じていた。
一応人を見て選んだつもりだけど、でも、人の本心なんかなかなか分からないものだからね、用心するに越したことはない。
そしてドレスだけを身にまとい、その会場へ足を踏み入れていた。
夜会が開始されて早々、目の前にはクスクスと笑う令嬢達。
それを、特に表情を変えずに見つめ返していたから、舌打ちをされていた。
令嬢が舌打ちって、どうなの?
それも、舌打ちしたいのはこっちだ。
私のドレス正面には、ワインのシミが広がっていた。
真っ赤なシミが。
空になったグラスを持っている子達を横目に流して、行きたい場所へ移動する。
私が移動すると、その辺にいた貴族は道を開けてくれていた。
場違いなほど質素と言ってもいいベージュのドレスに真っ赤なシミ。
私の異様な風態に多少の良心がある中立派の貴族は見て見ぬふりを決めていたし、呆れた視線を投げかけてくるのは、第一王子派の人達だ。
“ユリウス殿下の恥となるのに、何故こんなところへ”
そんな声も聞こえた。
ざっと見ても側妃派よりはその数は多い。
やっぱりユリウスはもう大丈夫だ。
遠くに姿が見える側妃は、招待しておいてこっちには見向きもしないけど、勢力の変化に気付いているのかな。
まぁ、いい。
どちらの派閥から見ても近いうちに私が排除の対象になるのは変わりない。
端の方に行って、料理を手に取る。
すぐに私は、嘲笑を浮かべた令嬢に囲まれていた。
「あら。これはこれは見窄らしい王子妃様で」
ご飯を食べにきた。
私は今日、ご飯を食べに来たんだ。
壁の花になったつもりで、ひたすらもぐもぐしていく。
「見て。装飾品を何一つ身に付けていないわ」
あ、これ何のお肉だろ。
「ユリウス様の関心がない証拠ね」
ソースが美味しいな。
「見ました?リゼット嬢のネックレス」
はー、美味しいご飯は幸せだなぁ。
ここ、大事だよ。
生きる為には、食べないとだし。
「ユリウス様が贈られたそうね」
あとは、デザートをっと。
「羨ましいわ。身分を越えた愛って、物語みたい」
これ、何て名前なのかな?
最近おやつがなかったから、甘いものは嬉しい。
デザートに夢中の私が何の反応も示さないものだから、嘲りを向けていた人達は面白くないと言いたげな顔を隠しもせずに離れて行った。
やっと諦めてくれたか。
側妃派の家の者達は、私を貶めるように指示されていたんだろうけど、相手にするつもりはない。
時間と労力の無駄だから、何を言われても絶対に相手にしないと心に決めてここに来ていた。
何か反応を返せば、あの人達を喜ばせるだけだ。
王宮で行われる、夜会への招待状。
御丁寧に端っこには、言う事を聞かないと今すぐ牢獄か娼館か選ばせてあげると書いてあるそれが私のもとに届けられていた。
何で今さら私の所に、それも、ユリウスがいない時にわざわざ。
今では国中ユリウスの功績の噂で持ちきりだ。
あと半年もしないうちに北の地を完全に掌握できる。
あの広大な土地が、この国の物になる。
それから凱旋すれば、王位を継ぐものとして誰も異はとなえない。
それが面白くない側妃が、王子妃の私を夜会に引っ張りだすことでユリウスを貶める気でいるんだ。
いい迷惑だ。
そんな事をしても、もうユリウスの評価は確固たるものだ。
それに、私を蹴落として、その座を狙う令嬢の格好の的になるだろう。
うんざりだ。
ユリウスは戦場で命を掛けているのに、王都ではこんな馬鹿げた茶番が行われるのだから。
別に、来いと言うなら、出てやる。
辛うじて持っていたドレスを引っ張りだし、家の事情でお金が必要な使用人のアビーに多めのお金を渡して、着替えるのを手伝ってもらった。
他の使用人は私には手を貸してくれないから、アビーがいて助かったけど、お金で動きすぎるのも怖いなと彼女を見て感じていた。
一応人を見て選んだつもりだけど、でも、人の本心なんかなかなか分からないものだからね、用心するに越したことはない。
そしてドレスだけを身にまとい、その会場へ足を踏み入れていた。
夜会が開始されて早々、目の前にはクスクスと笑う令嬢達。
それを、特に表情を変えずに見つめ返していたから、舌打ちをされていた。
令嬢が舌打ちって、どうなの?
それも、舌打ちしたいのはこっちだ。
私のドレス正面には、ワインのシミが広がっていた。
真っ赤なシミが。
空になったグラスを持っている子達を横目に流して、行きたい場所へ移動する。
私が移動すると、その辺にいた貴族は道を開けてくれていた。
場違いなほど質素と言ってもいいベージュのドレスに真っ赤なシミ。
私の異様な風態に多少の良心がある中立派の貴族は見て見ぬふりを決めていたし、呆れた視線を投げかけてくるのは、第一王子派の人達だ。
“ユリウス殿下の恥となるのに、何故こんなところへ”
そんな声も聞こえた。
ざっと見ても側妃派よりはその数は多い。
やっぱりユリウスはもう大丈夫だ。
遠くに姿が見える側妃は、招待しておいてこっちには見向きもしないけど、勢力の変化に気付いているのかな。
まぁ、いい。
どちらの派閥から見ても近いうちに私が排除の対象になるのは変わりない。
端の方に行って、料理を手に取る。
すぐに私は、嘲笑を浮かべた令嬢に囲まれていた。
「あら。これはこれは見窄らしい王子妃様で」
ご飯を食べにきた。
私は今日、ご飯を食べに来たんだ。
壁の花になったつもりで、ひたすらもぐもぐしていく。
「見て。装飾品を何一つ身に付けていないわ」
あ、これ何のお肉だろ。
「ユリウス様の関心がない証拠ね」
ソースが美味しいな。
「見ました?リゼット嬢のネックレス」
はー、美味しいご飯は幸せだなぁ。
ここ、大事だよ。
生きる為には、食べないとだし。
「ユリウス様が贈られたそうね」
あとは、デザートをっと。
「羨ましいわ。身分を越えた愛って、物語みたい」
これ、何て名前なのかな?
最近おやつがなかったから、甘いものは嬉しい。
デザートに夢中の私が何の反応も示さないものだから、嘲りを向けていた人達は面白くないと言いたげな顔を隠しもせずに離れて行った。
やっと諦めてくれたか。
側妃派の家の者達は、私を貶めるように指示されていたんだろうけど、相手にするつもりはない。
時間と労力の無駄だから、何を言われても絶対に相手にしないと心に決めてここに来ていた。
何か反応を返せば、あの人達を喜ばせるだけだ。
7
あなたにおすすめの小説
妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。
彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。
公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。
しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。
だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。
二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。
彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。
※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!
貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
妹と寝たんですか?エセ聖女ですよ?~妃の座を奪われかけた令嬢の反撃~
岡暁舟
恋愛
100年に一度の確率で、令嬢に宿るとされる、聖なる魂。これを授かった令嬢は聖女と認定され、無条件で時の皇帝と婚約することになる。そして、その魂を引き当てたのが、この私、エミリー・バレットである。
本来ならば、私が皇帝と婚約することになるのだが、どういうわけだか、偽物の聖女を名乗る不届き者がいるようだ。その名はジューン・バレット。私の妹である。
別にどうしても皇帝と婚約したかったわけではない。でも、妹に裏切られたと思うと、少し癪だった。そして、既に二人は一夜を過ごしてしまったそう!ジューンの笑顔と言ったら……ああ、憎たらしい!
そんなこんなで、いよいよ私に名誉挽回のチャンスが回ってきた。ここで私が聖女であることを証明すれば……。
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
婚約破棄イベントが壊れた!
秋月一花
恋愛
学園の卒業パーティー。たった一人で姿を現した私、カリスタ。会場内はざわつき、私へと一斉に視線が集まる。
――卒業パーティーで、私は婚約破棄を宣言される。長かった。とっても長かった。ヒロイン、頑張って王子様と一緒に国を持ち上げてね!
……って思ったら、これ私の知っている婚約破棄イベントじゃない!
「カリスタ、どうして先に行ってしまったんだい?」
おかしい、おかしい。絶対におかしい!
国外追放されて平民として生きるつもりだったのに! このままだと私が王妃になってしまう! どうしてそうなった、ヒロイン王太子狙いだったじゃん!
2021/07/04 カクヨム様にも投稿しました。
私の手からこぼれ落ちるもの
アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。
優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。
でもそれは偽りだった。
お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。
お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。
心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。
私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。
こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら…
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。
❈ ざまぁはありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる