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15 お腹いっぱいだよ
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何をされても相手はしないって、そんな決意をしていたのだけど、
「私と踊っていただけませんか?」
今度はローパー公爵家の嫡男ブライアンが私の目の前に立ち、その手を差し出していた。
ジャクリーンから保留にされている婚約者で、今は17歳になっていたはず。
優雅に微笑んでいるけど、その目が全く信用できなかった。
思いっきり、私を嘲笑している目だ。
私が踊れない事くらい、知った上での誘いだ。
私を通してユリウスを貶めたいのか、それともユリウスの嫉妬心でも煽りたいのか。
どちらにせよそんな事したって、ユリウスの関心は私に向いていないから、無駄な事なのに。
って事を自分で意識するのが辛いけど、目の前の面倒事を片付けないと。
私はもう、ご馳走様だ。
最低限の務めは果たした。
だから、会場全体に魔法をかけていた。
人が多いからほんの短時間だけど、それで十分だ。
10歳だったあの頃は、まだ3秒くらいしか持続しなかったけど、今はこれだけの人数でも数分は時を止める事ができる。
ちょうどいい所で見物をしていたジャクリーンを引き寄せて、その手をブライアンのものと重ねた。
それから、広間の出口に移動する。
魔法が解けると同時に時は動き出して、広間の喧騒が戻っていた。
視界の端で、ブライアンとジャクリーンが驚いた顔でお互いを見ているのが見える。
婚約者同士でお似合いだ。
それを確認して、私の姿が見つかる前に広間から退散していた。
デザートまで食べて、お腹いっぱいでとっても幸せ。
人のいない通路を、お腹を撫でながら気分良く歩いていたのに、
「おい、待て!」
ブライアンが追いかけてきていた。
「お前、何のつもりだ」
腕を掴まれ、忌々しげに私を睨みつけてくる。
「何とは?」
「俺の誘いを断って、ただで済むと思うのか?」
「貴方が誘ったのは、ジャクリーン様ではなかったですか?それは皆さんが見ていましたよね?」
掴んでいる指が、音がしそうなほど肌に喰い込んできて顔をしかめる。
「どんな手を使ったんだ!俺は確かにお前を!」
「どんな手と言いましても、貴方が手を引いていたのはジャクリーン様でしたよ。公爵家の子息ともあろうお方が、理解に苦しむ事を言いますね」
「この、ユリウスの情婦ごときが生意気な」
短気なブライアンは、顔を醜悪に歪ませながら手を振り上げてきて、その手を見つめながら魔法を使うか、避けるか一瞬考えたけど、でも、そのどちらもする必要はなかった。
ブライアンの振り上げた腕を背後から掴んでいる人がいた。
私とブライアンは、同時に背の高いその人を見上げる。
「王族に向けた暴行など見過ごせませんが、さらに女性に手をあげるなどもってのほかです」
「あ、くっ、この女が王族だと?」
冷静な様子の男の腕をブライアンは振り払えないようだった。
「第一王子妃様ですが?」
ブライアンの暴行を止めたその人は、近衛騎士の制服を着ている。
王族専門の護衛騎士だ。
「兄上の留守中に、姉君が暴行を受けたなどとあってはならない事です。これ以上騒ぎを大きくせずに大人しく会場に戻ってくださいね。ローパー卿」
近衛騎士の後ろで、恐ろしいほどに綺麗な冷笑をブライアンに向けているのは、驚くことに側妃の息子で、第二王子のアダムだった。
歳はたしか、11歳になったばかりだったかな?
アダムの姿を見て、真っ青になったブライアンは言葉を発することもなく急ぎ足で広間に戻っていった。
「私と踊っていただけませんか?」
今度はローパー公爵家の嫡男ブライアンが私の目の前に立ち、その手を差し出していた。
ジャクリーンから保留にされている婚約者で、今は17歳になっていたはず。
優雅に微笑んでいるけど、その目が全く信用できなかった。
思いっきり、私を嘲笑している目だ。
私が踊れない事くらい、知った上での誘いだ。
私を通してユリウスを貶めたいのか、それともユリウスの嫉妬心でも煽りたいのか。
どちらにせよそんな事したって、ユリウスの関心は私に向いていないから、無駄な事なのに。
って事を自分で意識するのが辛いけど、目の前の面倒事を片付けないと。
私はもう、ご馳走様だ。
最低限の務めは果たした。
だから、会場全体に魔法をかけていた。
人が多いからほんの短時間だけど、それで十分だ。
10歳だったあの頃は、まだ3秒くらいしか持続しなかったけど、今はこれだけの人数でも数分は時を止める事ができる。
ちょうどいい所で見物をしていたジャクリーンを引き寄せて、その手をブライアンのものと重ねた。
それから、広間の出口に移動する。
魔法が解けると同時に時は動き出して、広間の喧騒が戻っていた。
視界の端で、ブライアンとジャクリーンが驚いた顔でお互いを見ているのが見える。
婚約者同士でお似合いだ。
それを確認して、私の姿が見つかる前に広間から退散していた。
デザートまで食べて、お腹いっぱいでとっても幸せ。
人のいない通路を、お腹を撫でながら気分良く歩いていたのに、
「おい、待て!」
ブライアンが追いかけてきていた。
「お前、何のつもりだ」
腕を掴まれ、忌々しげに私を睨みつけてくる。
「何とは?」
「俺の誘いを断って、ただで済むと思うのか?」
「貴方が誘ったのは、ジャクリーン様ではなかったですか?それは皆さんが見ていましたよね?」
掴んでいる指が、音がしそうなほど肌に喰い込んできて顔をしかめる。
「どんな手を使ったんだ!俺は確かにお前を!」
「どんな手と言いましても、貴方が手を引いていたのはジャクリーン様でしたよ。公爵家の子息ともあろうお方が、理解に苦しむ事を言いますね」
「この、ユリウスの情婦ごときが生意気な」
短気なブライアンは、顔を醜悪に歪ませながら手を振り上げてきて、その手を見つめながら魔法を使うか、避けるか一瞬考えたけど、でも、そのどちらもする必要はなかった。
ブライアンの振り上げた腕を背後から掴んでいる人がいた。
私とブライアンは、同時に背の高いその人を見上げる。
「王族に向けた暴行など見過ごせませんが、さらに女性に手をあげるなどもってのほかです」
「あ、くっ、この女が王族だと?」
冷静な様子の男の腕をブライアンは振り払えないようだった。
「第一王子妃様ですが?」
ブライアンの暴行を止めたその人は、近衛騎士の制服を着ている。
王族専門の護衛騎士だ。
「兄上の留守中に、姉君が暴行を受けたなどとあってはならない事です。これ以上騒ぎを大きくせずに大人しく会場に戻ってくださいね。ローパー卿」
近衛騎士の後ろで、恐ろしいほどに綺麗な冷笑をブライアンに向けているのは、驚くことに側妃の息子で、第二王子のアダムだった。
歳はたしか、11歳になったばかりだったかな?
アダムの姿を見て、真っ青になったブライアンは言葉を発することもなく急ぎ足で広間に戻っていった。
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