逃走中。待てと?殺されるのが分かってて待つわけないでしょぉぉぉ

奏千歌

文字の大きさ
18 / 39

18 ナイショだよ

しおりを挟む
「それで、ここからが本題だけど、姉さんは、“クロノス“って、分かるよね?」

 自分の命は大丈夫そうだと分かれば、目の前の餌に我慢できるわけがない私は、お菓子を口に入れてもぐもぐしていたので、それを吹き出しかけていた。

 内心焦りまくる。

 何でそれを知っているのか。

 ストップの魔法は、時を司る神、クロノスから力を借りて使うものだ。

 それは、リシュアである私か、ルゥしか知らない事だ。

「詳しいことは言えないけど、神様から力を借りたのは、姉さんだけじゃないってことだよ。神様の力の貸し方は様々で、僕と契約をしてくれた神様はより強力で大きな力を与えてくれているんだ」

 何か、アダムと話すのが怖くなってきた。

 11歳の彼が、妖艶な微笑を浮かべて私を見ている。

 何よ、神との契約って。

 私は、クロノスの気まぐれで、ほんの少しだけ力を借りているだけだ。

 魔法を使う時に一時的にで、自らの能力も必要になる。

「これは、神の存在を知っている姉さんだから話すんだよ?ナイショだからね」

 唇に人差し指を当てて、イタズラっ子のような顔を向けてくるけど、怖いよ、この子。

 誰にも言うなって脅しだから。

「それで、姉さんにやってもらいたい事なんだけど。ここに、薬品リストと毒、取引の記録を保管したものが隠されているんだ。子爵は自らの保身の為に、証拠を残してくれていたから助かったよ。バカだよね。自分の首をそれで刎ねる事になるのだから。で、それを姉さんに持ち出してもらいたいんだ」

 テーブルに広げた見取り図を指差しながら、説明してくれるけど、

「こんな、商会本部の奥とか、私一人では侵入不可能なんですけど!」

 まず、建物に入れてもらえないよ。

「途中まで僕が一緒に行くよ。それで、注意を引き付けておくから、姉さんの時を止める技で鍵を奪ってそこから取り出して持ってきてくださいね」

「簡単に言ってくれるけど、小心者の私にはこんな大それた事はできないよ。それに、ユリウスの迷惑にならない?本当に、側妃とダンスト家の罪を明るみにするだけ?ダンスト家の女が妻のユリウスは大丈夫なの?」

「遂行にあたっては、ティエラ姉さんは意外と肝が据わっているので余裕でしょう。あと、兄さんの心配はしなくても大丈夫ですよ。ユリウス兄さんのこの3年程の功績は、どんなお嫁さんがいても陰ることがないのは、ティエラ姉さんが一番分かっているのではないですか?」

 ニッコリとまた微笑まれるけど……

 うぇぇぇぇぇ

 失敗したら、真っ先に切り捨てられるな、これは。

 帰りたい……

 本日、何度同じ事を願ったことか。

 帰る家なんかないけど、

 家に帰りたい……

「この罪を世に出す時は、まず先にティエラ姉さんの安全を確保しますので安心してください」

「私は、多分、自分でどうにかできると思うけど……」

「いえいえ、そこは協力してもらう上での最低限の義務ですので。じゃあ、行きましょう」

「え?今からなの?」

 アダムはさっさと動き出し、存在を忘れていたトリスタンはその後に静かに付き従っていく。

 さらにその後ろを、慌てて私が追いかけていた。








しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!

貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。

【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。

文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。 父王に一番愛される姫。 ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。 優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。 しかし、彼は居なくなった。 聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。 そして、二年後。 レティシアナは、大国の王の妻となっていた。 ※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。 小説家になろうにも投稿しています。 エールありがとうございます!

妹と寝たんですか?エセ聖女ですよ?~妃の座を奪われかけた令嬢の反撃~

岡暁舟
恋愛
100年に一度の確率で、令嬢に宿るとされる、聖なる魂。これを授かった令嬢は聖女と認定され、無条件で時の皇帝と婚約することになる。そして、その魂を引き当てたのが、この私、エミリー・バレットである。 本来ならば、私が皇帝と婚約することになるのだが、どういうわけだか、偽物の聖女を名乗る不届き者がいるようだ。その名はジューン・バレット。私の妹である。 別にどうしても皇帝と婚約したかったわけではない。でも、妹に裏切られたと思うと、少し癪だった。そして、既に二人は一夜を過ごしてしまったそう!ジューンの笑顔と言ったら……ああ、憎たらしい! そんなこんなで、いよいよ私に名誉挽回のチャンスが回ってきた。ここで私が聖女であることを証明すれば……。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

見捨てられた(無自覚な)王女は、溺愛には気付かない

みん
恋愛
精霊に護られた国ルテリアル。精霊の加護のお陰で豊かで平和な国ではあったが、近年ではその精霊の加護も薄れていき、他国から侵略されそうになる。戦いを知らない国王は、スネフリング帝国に助けを求めるが、その見返りに要求されたのは──。 精霊に護られた国の王女として生まれたにも関わらず、魔力を持って生まれなかった事で、母である王妃以外から冷遇されているカミリア第二王女。このカミリアが、人質同然にスネフリング帝国に行く事になり─。 ❋独自設定有り。 ❋誤字脱字には気を付けていますが、あると思います。すみません。気付き次第修正していきます。

処理中です...