逃走中。待てと?殺されるのが分かってて待つわけないでしょぉぉぉ

奏千歌

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19 証拠集め

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 サロンを出て程なくして、お忍びのお嬢様を装う上品な外套を頭からすっぽりと被ると、アダムと一緒に馬車に乗っていた。

 その馬車を操っている御者はトリスタンだ。

 移動中は暇だから、向かい合わせで座るアダムに聞きたい事を聞いていた。

「ねぇ。ユリウスの事を教えてよ。元気にしているの?怪我はしていない?」

「大丈夫ですよ。大きな怪我も病気もなく、元気にされています」

「小さな怪我は……しているの?」

「かすり傷程度はあるようですね」

「そうなんだ……食事は?栄養はちゃんととれているのかな?」

「そこは補給はしっかりしているので、姉さんよりは良い物を食べていると思いますよ」

「あ、そうだよね。良かった」

「………ティエラ姉さんに、何か差し入れをしましょうか?」

「私は賄いもあるから、差し入れなんかいらないよ。ありがとう」

 そんな話をしていると、ダンスト家の商会本部へ到着していた。

 入り口に馬車が停まると、出迎えの人がいる中で、大人びた仕草のアダムにエスコートされながら馬車から降りる。

 深く、外套のフードを被ったままだ。

 アダムと並ぶと大体同じくらいの身長だった。

「こんにちはダンスト卿。突然の訪問にもかかわらず、出迎えてくださりありがとうございます」

 ダンストの当主、私の父親もその出迎えの中にいた。

 顔も見たくない奴なのだけどね。

「お越しいただき光栄です。殿下」

「こちらは私の友人の御令嬢なのですが、訳あって身分を隠させてもらいたいので、この姿のままなのを了承してください」

「はい、私どもは殿下のお心のままに従います」

 そんな感じで商会の奥まで案内してもらい、そして目的を遂行していた。

 時を止めた中、まずは鍵を拝借して、一度案内を再開してもらう。

 そして次の目的地付近でまた、時を止めていた。

 資料を確保して、鍵を元の場所に戻して私の任務はおしまいだ。

 後は何気ないふりをして、来た時と同じようにアダムと馬車に乗り込んで帰路についていた。

 時を止めている間に、父親を一発くらい殴っておいた方が良かったかな。

「はい、これ。私が時を止めている間に、私がアダムを攻撃するとかは思わないの?」

 馬車の中で抱いて当然の疑問を口にしながら、それをアダムに渡す。

「姉さんが子供の僕に、そんな事をできるわけないじゃないですか。ふふっ。僕の心配をしてくれているのですね。ありがとうございます。これ、ご苦労様でした。さすが、クロノス王に選ばれるほど特別なティエラ姉さんです」

 資料の確認をしていくアダムはそんな事をいうけど、

「その言い方はやめて。選ばれたわけでも、特別なわけでもない。あの神様が私に力を貸してくれたのは……」

 ルゥを……

 守れるようにって……

 思い出したら寂しくなるから、そこで考えるのをやめた。

 誰にも会わないうちにアダムとは別れ、私は私の生活に戻る。

 少しだけイレギュラーな事が続いたけど、ユリウスが帰ってくるまでは今後も私らしい生活をこの王宮で送るつもりだった。










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