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28 胃が痛い(アンベール)
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数日後、俺は憂鬱な思いを抱えて、ユリウス様の元へ向かっていた。
その報告をしなければならないからだ。
ユリウス様の指示したことは、タイミングよくアダム様からの情報提供もあり、さほど時間をかけずに調べる事ができた。
何故アダム様がそれを知らせてくれたのかは分からないが、その情報が正しいという証明はすぐにできた。
部屋に入ると、ユリウス様から、視線だけで早く報告しろと促される。
「ユリウス様が、ティエラ様に送った手紙は、リゼットに渡っていたようです。ユリウス様とティエラ様の仲が深まることは、側妃にとっては面白くなかったのでしょう。夜会用に贈られたネックレスも、リゼットが当たり前のように使っていましたよ。そしてそんな女に、ラザールは誑し込まれていたようです。媚薬でも使われたのかと思いましたけどね。それはないようでした」
この時点で部屋から逃亡したくなった。
おそらく、あの夜会用の贈り物は側妃への警告の意味もあったはずだ。
ティエラ様に手を出すなと。
それを逆手にとって、ラザールが利用された。
あの場合は、利用されたラザールにも責任はある。
「そして、もう一つ。これを」
ユリウス様の目の前に、大量の手紙の束を差し出した。
「全て、ティエラ様からユリウス様に宛てたも」
「どこにあった……」
最後まで言わせてはもらえずに、低く、怒りを孕んだ声が響く。
「側妃に買収された者が、ことごとくこれが殿下に渡る事を阻止していたようです。でも、やはり恐れはあって、処分することはできなかったようです」
殿下が贈ったものは子爵家が横取りし、ティエラ様が送ったものは側妃に妨害されていたと言うことだ。
そして、殿下を思うあまりのラザールの暴走。
「人が命がけで戦って、戦場で身動きがとれないでいるのをいいことに、あの女は本当に好き勝手にしてくれたな……側近の一人ですら満足に管理できなかったのだから、俺も同じだが……あの女共への復讐は、後だ。今はティエラが先だ」
ユリウス様は、ティエラ様の手紙を一つ一つ丁寧に開封していく。
それだけで、どれだけ相手の事を想っているのか知ることができた。
誰もが、ユリウス様の心はティエラ様には向いていないと思っていたはずだ。
嫌がらせの為に宛てがわれた、お飾りの妃だと、皆が思っていた。
俺も、結婚当初からお二人を見ていなかったら、同じことを思っていたはずだ。
だからと言って、ラザールの行動は愚行でしかない。
ユリウス様が、ティエラ様の身の安全を考えて、その想いを口にしなかったのも今なら分かる。
これも、報告した方がいいのか?
俺の寿命がまた縮むな。
「それから、ユリウス様が出征されてすぐに、ティエラ様は城の離れに移されていました」
ピタリと手紙を読む手が止まった。
「予算を削られ、人はつかず、生きるギリギリの生活を強いられていたようです」
「ラザールは、たしかに言ったよな?相応しい生活をしていると」
「その生まれに相応しい生活と、アイツは言ったのでしょうね」
殺気に晒されて、部屋から逃げたくなった。
「生活資金を稼ぐために、町の酒場で働いていた痕跡もあります」
それを伝えると、奥歯をギリっと噛み締めているのが分かった。
「ティエラは、まだ見つからないのだな……」
「俺の知り合いにも、ティエラ様の捜索をお願いしていますが、まだ見つかったとの知らせは……」
「……俺が探しに行く」
「堪えてください。この北方の地域を制圧できる目前なのです。今貴方がいなくなれば、今までの苦労が無駄になります」
ユリウス様は卓に肘を突き、苛立たしげに頭を抱えていた。
そして、俯いたまま、呻くように言った。
「3日……もうこれ以上は待たない。頭を叩き潰す……」
完全に制圧する為に、最後の総攻撃を仕掛けると。
それは、無茶で強引な命令だったが、異を唱える者はいなかった。
そして口にした通りの事を、このお方は成し遂げていた。
その報告をしなければならないからだ。
ユリウス様の指示したことは、タイミングよくアダム様からの情報提供もあり、さほど時間をかけずに調べる事ができた。
何故アダム様がそれを知らせてくれたのかは分からないが、その情報が正しいという証明はすぐにできた。
部屋に入ると、ユリウス様から、視線だけで早く報告しろと促される。
「ユリウス様が、ティエラ様に送った手紙は、リゼットに渡っていたようです。ユリウス様とティエラ様の仲が深まることは、側妃にとっては面白くなかったのでしょう。夜会用に贈られたネックレスも、リゼットが当たり前のように使っていましたよ。そしてそんな女に、ラザールは誑し込まれていたようです。媚薬でも使われたのかと思いましたけどね。それはないようでした」
この時点で部屋から逃亡したくなった。
おそらく、あの夜会用の贈り物は側妃への警告の意味もあったはずだ。
ティエラ様に手を出すなと。
それを逆手にとって、ラザールが利用された。
あの場合は、利用されたラザールにも責任はある。
「そして、もう一つ。これを」
ユリウス様の目の前に、大量の手紙の束を差し出した。
「全て、ティエラ様からユリウス様に宛てたも」
「どこにあった……」
最後まで言わせてはもらえずに、低く、怒りを孕んだ声が響く。
「側妃に買収された者が、ことごとくこれが殿下に渡る事を阻止していたようです。でも、やはり恐れはあって、処分することはできなかったようです」
殿下が贈ったものは子爵家が横取りし、ティエラ様が送ったものは側妃に妨害されていたと言うことだ。
そして、殿下を思うあまりのラザールの暴走。
「人が命がけで戦って、戦場で身動きがとれないでいるのをいいことに、あの女は本当に好き勝手にしてくれたな……側近の一人ですら満足に管理できなかったのだから、俺も同じだが……あの女共への復讐は、後だ。今はティエラが先だ」
ユリウス様は、ティエラ様の手紙を一つ一つ丁寧に開封していく。
それだけで、どれだけ相手の事を想っているのか知ることができた。
誰もが、ユリウス様の心はティエラ様には向いていないと思っていたはずだ。
嫌がらせの為に宛てがわれた、お飾りの妃だと、皆が思っていた。
俺も、結婚当初からお二人を見ていなかったら、同じことを思っていたはずだ。
だからと言って、ラザールの行動は愚行でしかない。
ユリウス様が、ティエラ様の身の安全を考えて、その想いを口にしなかったのも今なら分かる。
これも、報告した方がいいのか?
俺の寿命がまた縮むな。
「それから、ユリウス様が出征されてすぐに、ティエラ様は城の離れに移されていました」
ピタリと手紙を読む手が止まった。
「予算を削られ、人はつかず、生きるギリギリの生活を強いられていたようです」
「ラザールは、たしかに言ったよな?相応しい生活をしていると」
「その生まれに相応しい生活と、アイツは言ったのでしょうね」
殺気に晒されて、部屋から逃げたくなった。
「生活資金を稼ぐために、町の酒場で働いていた痕跡もあります」
それを伝えると、奥歯をギリっと噛み締めているのが分かった。
「ティエラは、まだ見つからないのだな……」
「俺の知り合いにも、ティエラ様の捜索をお願いしていますが、まだ見つかったとの知らせは……」
「……俺が探しに行く」
「堪えてください。この北方の地域を制圧できる目前なのです。今貴方がいなくなれば、今までの苦労が無駄になります」
ユリウス様は卓に肘を突き、苛立たしげに頭を抱えていた。
そして、俯いたまま、呻くように言った。
「3日……もうこれ以上は待たない。頭を叩き潰す……」
完全に制圧する為に、最後の総攻撃を仕掛けると。
それは、無茶で強引な命令だったが、異を唱える者はいなかった。
そして口にした通りの事を、このお方は成し遂げていた。
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