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第三十五話 別れ……
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「お飲み物は如何致しましょうか?」
スーツを決め込んだコンシェルジェがさりげなく訊いてきた。
「私はドラゴンフルーツカクテル!」
「でわ、わたくし本日はグレートビンテージワインでお願いしますわ」
「俺はスーパースパークリングで! 兄貴もこういう時くらい飲もうぜ!」
「ふむ、そうだな……。じゃあ最高級のウィスキーを頼む」
異世界だし、もう解禁でいいだろ。未成年の飲酒を禁じる法律もないし。向こうとこっちの歳を足せば成人になっているはずだしな。
初めて口にする酒はウィスキー。そう決めていた。
超がつくほどの糞親父だったけど、夜な夜なシーバスリーガルを旨そうにチビチビと飲んでいる姿をみて、凄く興味があったのだ。
「で? アクアは何を飲むんだ?」
「お肉!」
「お肉は飲み物じゃないぞ」
「かしこまりました」
あるんかい。
「乾杯したいから飲み物も頼んでくれよ」
「うーん、じゃあ私はなんか甘そうなこのトロピカーナというのでお願いします」
「かしこまりました」
たいして待たされることもなく、すぐに飲み物が配膳された。
「では、成功を祝してカンパーイ!」
アンヘレスの音頭に合わせてグラスを掲げる。普段はこういう宴会は気乗りしない俺だが、最後くらいはいいだろう。
おお……。初めて飲む酒は強烈だった。が、樽で熟成された芳醇な香りとどこか独特な甘みが癖になりそうだ。
「あの獣たちのお陰ですね! いまとなっては感謝です」
紅のカードを眺めながら、肉を頬張るアクア。ちょっと、お行儀が悪いですよ。
「あんなに悪名が高い海賊とは思いませんでしたわ」
ラスカルたち海賊には数多の冒険者が被害にあっていたようだ。しかも、高ランクの人族の冒険者がだ。でもそれも頷ける。魔力が高いほど例のアンチマジックフィールドの効き目が抜群なのだから。
殺された冒険者の中にはBランクも多く含まれていた。同行していた獣人族の何人かは難を逃れ、ギルドに通報していたようだ。結果、ラスカルたちはA級犯罪者として指名手配されたいたのだ。
俺たちはそんなA級犯罪者達の多くを生け捕りにしてきたことになる。最重要な奴には逃げられたけど。そんなのはギルドは知らないし。
「報酬はがっぽりで、いっきにみんなBランクに昇格したし、ほんと良いことづくめだったな」
「最短記録らしいですわ」
「日頃の行いがいいからよね!」
滅多に出会わない強敵や難敵、海賊にまで襲われた結果だけどな。普通に考えると運が悪いとしか思えない。これが日頃の行いだとは認めたくない。
「でも兄貴といると一気に強くなったのを実感するぜ!」
「ほんとです! 出会う前の数倍は強くなったと思います」
「そうか、いや俺も皆のお陰で強くなれたぞ。今までありがとうな」
「なに言ってるのよ! 次はAランクよ!」
「そんな甘くないですわよ。この国を見回してもそのレベルに達している冒険者は三十人ほどしかいませんわ。この場を使用できる冒険者でさえ、王都では百人に満たないのですわよ」
「確かに、ここ凄いよな」
城の中庭に大きく設けられたサロン。表現するのに困るような調度品類は冒険者には似つかわしくない。大きなテーブルがいくつも並び、そこにはそれぞれ専用のコンシェルジェがつくのだ。どんな高級な酒であろうとお金は一切かからない。所謂フリードリンク制だ。
クエストもわざわざ受付に並ぶ必要はない。リクエストをコンシェルジュに伝えれば、それに見合う物を幾つか見繕ってもってきてくれるようだ。頼まんけどね。
命がけで戦っても、Bランク以上というのはほんの一握りの冒険者しかなれない。その価値に見合ったステータスということだ。
「でも俺はなんか落ち着かない!」
レッドは終始そわそわしていた。尻尾も神経質そうに立っている。
「そう? こじんまりしてなんか落ち着くよ!」
「そうですわね」
いや、俺も落ち着かないぞ。コンシェルジュは目に付かないように控えてはいるが、それでもなんか見られているのが気になって仕方ない。
というか、そもそもお前ら二人と一緒にしないで欲しい。
「それで明日も潜るの? 次は十六階からよね?」
「え? 潜らないけど?」
「そっか、連続はきついよね。また二、三日休むの?」
「アンヘレス何か勘違いしていないか?」
「え?」
「俺はこの国を出るぞ。さっきギルドにも出国申請をしてきたところだ」
「俺とアクアもしてきた!」
「え……」
「なので、パーティは今日で解散。お別れということだ」
途中まではレッドとアクアと一緒かもしれないが、どこかの街で別れることになるだろう。
「うそ……」
「アンヘレスと姉――。いや! レオーラ! 今までありがとな!」
「これまで大変お世話になりました」
「あらあらあら」
信じられないといった顔つきのアンヘレス。レオーラは対照的ににこやかに微笑んでいた。
「いやよ! そんなの認めない!」
「Bランクになったら国外に出るって言ってあったろ。そもそもアンヘレスと出会ったのだって、国外に出るためにギルドランクを上げようとしていたからじゃないか」
「だってまだ地界への穴を踏破していないわ!」
「いや、それぜってー無理だし」
Sランクだって踏破できてないんだぞ。どこまで続くかまったくわからないのだ。
「それに! いまなら天界への道にだって登ることができるわ!」
「そうなのか?」
「そうよ! 私のお父さんに会ってくれればお願いするわよ!」
「却下。断固としてお断りする」
「なんでよ! うまくいけば神とも会えるかもしれないのよ」
「そこにはまったく興味がない」
「そんな……。な、なら! 私もついていくわ!」
「いや、無理だろ。自分の立場を考えろ」
「だって……。折角みんなと仲良くなれたのに……」
机に突っ伏したアンヘレスが号泣し始めた。ああ、どうしよう。困った奴だな。
「まったく騒がしい娘じゃのお」
スキンヘッドの親父が呆れたようにため息をつく。
「「「え?」」」
まるで元からそこに居たかのように、同じテーブルに腰かけていたのだ。一体いつの間に。
「おい禿、お前は誰だ?」
「お主は礼儀というものを弁えておらぬようだな」
「その言葉そっくりそのままお前に返す。赤の他人が勝手にパーティの卓に座る方がよっぽどどうかしてると思うぞ」
「ほっほっほ、まあ、確かにそうじゃな」
笑っていはいるが眼光が鋭い。こいつ何者だ。
「ところで、これについてじゃが」
「ん? それは……。俺らの出国申請書じゃないか。なんで禿がそれを」
「ルイスさん。お言葉を選んだ方がよろしいですわよ。頭はピカピカツルツルしておりますが、そのお方はこの国のギルドマスターですわ」
「レオーラ、お主……」
「なるほどな。で? そのギルドマスター様が何用だ」
「生憎じゃが、出国申請は許可できないと伝えにきたのじゃ」
「なんでだよ……」
「Bランクの出国は、この国のギルドに何らかのメリットがない限り許可できないからじゃ」
「なんだそれ。自由に出入りできるわけじゃねーのか。ならAランクに上げるまでは外には出さないと」
「まあ、メリットがない限りそうじゃな」
「糞、ならまた明日からダンジョンかよ」
俺はため息をつく。どうやらあてが外れたようだ。
「ただし、今回は条件つきでならば許可しても構わないぞ」
禿がニヤニヤと笑いながらそう提案してきた。
「なんだよ。その条件は?」
ギルドの使い走りになる気はないぞ。
「この国のゆる姫――。いや、第三王女の国外視察の護衛、および神官戦士による大陸内の魔族調査への同行。それが条件じゃ」
「なっ――」
「え!? それって――」
突っ伏していたアンヘレスがガバっと顔を上げた。涙と鼻水でグチョグチョだ……。
「おい! レオーラお前っ!」
「あらあらあら、奇遇ですわね。わたくしちょうど国外調査をしなければならないと思ってまして、ギルドに同行者を求めてましたのよ」
「レオーラ! 国外視察ってなに!」
「ですから、第三王女様が国外に視察されるのですわ。王様もすでにお認めになっているらしいですわよ」
「そんなのわたし聞いていないよ!」
「では行かれませんので?」
「行く! 絶対に行くよ!」
「兄貴……。俺には話がまったくわからないんだけど。第三王女様なんて高貴な方と一緒なんて俺は嫌だぞ! めんどくさい!」
「レッド酷いわ!」
「それに、神官戦士って頭のイカれた連中なんだろ?」
「レッドさんいい度胸ですわね……」
「お、お兄ちゃん! ほんとにわかってないの?」
「何がだ?」
首を傾げる駄犬。
「わかった……。その条件を飲もう。ただし、Aランクに上がったらその縛りはなくなるわけだな」
「ほっほっほ、その通りじゃ。が、Aランクになんぞ、そうそう昇りつめることは出来んぞ」
「それはやってみなければわからんだろ。お前でさえ成れたんだからな」
「お主……。ふむ、レオーラから聞いてはいたが、やはり無能とは思えない大きな力を感じるの。何者なんじゃ?」
「しがない田舎出身の冒険者だよ」
「お主まさか……」
「さっ! では二日ほど時間をくださいますか? 国外に出るには色々としなければならない手続きがございますの」
パンと手を打ち鳴らしレオーラが会話を中断させる。
「ああ、わかった。こっちも色々と買い物を済ませておきたいしな。アンヘレス、お前は本当にいいのか?」
「もちろんだよ! いまから待ち遠しいよ!」
「なあ兄貴、なんでアンヘレスとレオーラがついてくるんだ?」
「お兄ちゃんは黙ってて」
「お、おう……」
こうして、俺の気ままな一人旅の夢は潰えた。
でも――。
ゼッタイニアキラメナイ。
俺はいつかきっと孤独になる。
スーツを決め込んだコンシェルジェがさりげなく訊いてきた。
「私はドラゴンフルーツカクテル!」
「でわ、わたくし本日はグレートビンテージワインでお願いしますわ」
「俺はスーパースパークリングで! 兄貴もこういう時くらい飲もうぜ!」
「ふむ、そうだな……。じゃあ最高級のウィスキーを頼む」
異世界だし、もう解禁でいいだろ。未成年の飲酒を禁じる法律もないし。向こうとこっちの歳を足せば成人になっているはずだしな。
初めて口にする酒はウィスキー。そう決めていた。
超がつくほどの糞親父だったけど、夜な夜なシーバスリーガルを旨そうにチビチビと飲んでいる姿をみて、凄く興味があったのだ。
「で? アクアは何を飲むんだ?」
「お肉!」
「お肉は飲み物じゃないぞ」
「かしこまりました」
あるんかい。
「乾杯したいから飲み物も頼んでくれよ」
「うーん、じゃあ私はなんか甘そうなこのトロピカーナというのでお願いします」
「かしこまりました」
たいして待たされることもなく、すぐに飲み物が配膳された。
「では、成功を祝してカンパーイ!」
アンヘレスの音頭に合わせてグラスを掲げる。普段はこういう宴会は気乗りしない俺だが、最後くらいはいいだろう。
おお……。初めて飲む酒は強烈だった。が、樽で熟成された芳醇な香りとどこか独特な甘みが癖になりそうだ。
「あの獣たちのお陰ですね! いまとなっては感謝です」
紅のカードを眺めながら、肉を頬張るアクア。ちょっと、お行儀が悪いですよ。
「あんなに悪名が高い海賊とは思いませんでしたわ」
ラスカルたち海賊には数多の冒険者が被害にあっていたようだ。しかも、高ランクの人族の冒険者がだ。でもそれも頷ける。魔力が高いほど例のアンチマジックフィールドの効き目が抜群なのだから。
殺された冒険者の中にはBランクも多く含まれていた。同行していた獣人族の何人かは難を逃れ、ギルドに通報していたようだ。結果、ラスカルたちはA級犯罪者として指名手配されたいたのだ。
俺たちはそんなA級犯罪者達の多くを生け捕りにしてきたことになる。最重要な奴には逃げられたけど。そんなのはギルドは知らないし。
「報酬はがっぽりで、いっきにみんなBランクに昇格したし、ほんと良いことづくめだったな」
「最短記録らしいですわ」
「日頃の行いがいいからよね!」
滅多に出会わない強敵や難敵、海賊にまで襲われた結果だけどな。普通に考えると運が悪いとしか思えない。これが日頃の行いだとは認めたくない。
「でも兄貴といると一気に強くなったのを実感するぜ!」
「ほんとです! 出会う前の数倍は強くなったと思います」
「そうか、いや俺も皆のお陰で強くなれたぞ。今までありがとうな」
「なに言ってるのよ! 次はAランクよ!」
「そんな甘くないですわよ。この国を見回してもそのレベルに達している冒険者は三十人ほどしかいませんわ。この場を使用できる冒険者でさえ、王都では百人に満たないのですわよ」
「確かに、ここ凄いよな」
城の中庭に大きく設けられたサロン。表現するのに困るような調度品類は冒険者には似つかわしくない。大きなテーブルがいくつも並び、そこにはそれぞれ専用のコンシェルジェがつくのだ。どんな高級な酒であろうとお金は一切かからない。所謂フリードリンク制だ。
クエストもわざわざ受付に並ぶ必要はない。リクエストをコンシェルジュに伝えれば、それに見合う物を幾つか見繕ってもってきてくれるようだ。頼まんけどね。
命がけで戦っても、Bランク以上というのはほんの一握りの冒険者しかなれない。その価値に見合ったステータスということだ。
「でも俺はなんか落ち着かない!」
レッドは終始そわそわしていた。尻尾も神経質そうに立っている。
「そう? こじんまりしてなんか落ち着くよ!」
「そうですわね」
いや、俺も落ち着かないぞ。コンシェルジュは目に付かないように控えてはいるが、それでもなんか見られているのが気になって仕方ない。
というか、そもそもお前ら二人と一緒にしないで欲しい。
「それで明日も潜るの? 次は十六階からよね?」
「え? 潜らないけど?」
「そっか、連続はきついよね。また二、三日休むの?」
「アンヘレス何か勘違いしていないか?」
「え?」
「俺はこの国を出るぞ。さっきギルドにも出国申請をしてきたところだ」
「俺とアクアもしてきた!」
「え……」
「なので、パーティは今日で解散。お別れということだ」
途中まではレッドとアクアと一緒かもしれないが、どこかの街で別れることになるだろう。
「うそ……」
「アンヘレスと姉――。いや! レオーラ! 今までありがとな!」
「これまで大変お世話になりました」
「あらあらあら」
信じられないといった顔つきのアンヘレス。レオーラは対照的ににこやかに微笑んでいた。
「いやよ! そんなの認めない!」
「Bランクになったら国外に出るって言ってあったろ。そもそもアンヘレスと出会ったのだって、国外に出るためにギルドランクを上げようとしていたからじゃないか」
「だってまだ地界への穴を踏破していないわ!」
「いや、それぜってー無理だし」
Sランクだって踏破できてないんだぞ。どこまで続くかまったくわからないのだ。
「それに! いまなら天界への道にだって登ることができるわ!」
「そうなのか?」
「そうよ! 私のお父さんに会ってくれればお願いするわよ!」
「却下。断固としてお断りする」
「なんでよ! うまくいけば神とも会えるかもしれないのよ」
「そこにはまったく興味がない」
「そんな……。な、なら! 私もついていくわ!」
「いや、無理だろ。自分の立場を考えろ」
「だって……。折角みんなと仲良くなれたのに……」
机に突っ伏したアンヘレスが号泣し始めた。ああ、どうしよう。困った奴だな。
「まったく騒がしい娘じゃのお」
スキンヘッドの親父が呆れたようにため息をつく。
「「「え?」」」
まるで元からそこに居たかのように、同じテーブルに腰かけていたのだ。一体いつの間に。
「おい禿、お前は誰だ?」
「お主は礼儀というものを弁えておらぬようだな」
「その言葉そっくりそのままお前に返す。赤の他人が勝手にパーティの卓に座る方がよっぽどどうかしてると思うぞ」
「ほっほっほ、まあ、確かにそうじゃな」
笑っていはいるが眼光が鋭い。こいつ何者だ。
「ところで、これについてじゃが」
「ん? それは……。俺らの出国申請書じゃないか。なんで禿がそれを」
「ルイスさん。お言葉を選んだ方がよろしいですわよ。頭はピカピカツルツルしておりますが、そのお方はこの国のギルドマスターですわ」
「レオーラ、お主……」
「なるほどな。で? そのギルドマスター様が何用だ」
「生憎じゃが、出国申請は許可できないと伝えにきたのじゃ」
「なんでだよ……」
「Bランクの出国は、この国のギルドに何らかのメリットがない限り許可できないからじゃ」
「なんだそれ。自由に出入りできるわけじゃねーのか。ならAランクに上げるまでは外には出さないと」
「まあ、メリットがない限りそうじゃな」
「糞、ならまた明日からダンジョンかよ」
俺はため息をつく。どうやらあてが外れたようだ。
「ただし、今回は条件つきでならば許可しても構わないぞ」
禿がニヤニヤと笑いながらそう提案してきた。
「なんだよ。その条件は?」
ギルドの使い走りになる気はないぞ。
「この国のゆる姫――。いや、第三王女の国外視察の護衛、および神官戦士による大陸内の魔族調査への同行。それが条件じゃ」
「なっ――」
「え!? それって――」
突っ伏していたアンヘレスがガバっと顔を上げた。涙と鼻水でグチョグチョだ……。
「おい! レオーラお前っ!」
「あらあらあら、奇遇ですわね。わたくしちょうど国外調査をしなければならないと思ってまして、ギルドに同行者を求めてましたのよ」
「レオーラ! 国外視察ってなに!」
「ですから、第三王女様が国外に視察されるのですわ。王様もすでにお認めになっているらしいですわよ」
「そんなのわたし聞いていないよ!」
「では行かれませんので?」
「行く! 絶対に行くよ!」
「兄貴……。俺には話がまったくわからないんだけど。第三王女様なんて高貴な方と一緒なんて俺は嫌だぞ! めんどくさい!」
「レッド酷いわ!」
「それに、神官戦士って頭のイカれた連中なんだろ?」
「レッドさんいい度胸ですわね……」
「お、お兄ちゃん! ほんとにわかってないの?」
「何がだ?」
首を傾げる駄犬。
「わかった……。その条件を飲もう。ただし、Aランクに上がったらその縛りはなくなるわけだな」
「ほっほっほ、その通りじゃ。が、Aランクになんぞ、そうそう昇りつめることは出来んぞ」
「それはやってみなければわからんだろ。お前でさえ成れたんだからな」
「お主……。ふむ、レオーラから聞いてはいたが、やはり無能とは思えない大きな力を感じるの。何者なんじゃ?」
「しがない田舎出身の冒険者だよ」
「お主まさか……」
「さっ! では二日ほど時間をくださいますか? 国外に出るには色々としなければならない手続きがございますの」
パンと手を打ち鳴らしレオーラが会話を中断させる。
「ああ、わかった。こっちも色々と買い物を済ませておきたいしな。アンヘレス、お前は本当にいいのか?」
「もちろんだよ! いまから待ち遠しいよ!」
「なあ兄貴、なんでアンヘレスとレオーラがついてくるんだ?」
「お兄ちゃんは黙ってて」
「お、おう……」
こうして、俺の気ままな一人旅の夢は潰えた。
でも――。
ゼッタイニアキラメナイ。
俺はいつかきっと孤独になる。
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