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第一世界 ロージェン(さあ、魔王討伐だ!)
第十二話 お風呂は静かに入りましょう
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「ここはやっぱりパイナップルよね」
「いあ、メロンも捨てがたいど!」
食後のカフェを嗜む俺の前で交わされる会話。高級アイスのお代わりは何にするか? 二人で作戦会議のようなものをしていた。ちなみに俺のカフェはサービススタッフが先ほど運んでくれた。所謂サービス品だ。俺ってばなんて安上がりな男なんだろう。畜生。
「なあ、オーグも一緒に温泉入らないか?」
「オラ、熱いのイヤだ!」
「あー、チャーシューになっちゃうもんな」
「違う!」
「あれ? チャーシューってこの世界にもあるのか?」
「カイトの話すことは時々意味わがらん。けど、それは否定しなければいけない気がしたダ」
「そんなに熱くないぞ。しかも運が良いと何らかの耐性スキルもつくようだぞ」
「え! ほんとダか!?」
「ちょっとカイト。オーグを騙して揶揄うのは止しなさい」
「いやほんとだぞ。実際に俺は熱耐性(小)が付いたしな」
まあ、火の神の加護の方が上位スキルだから俺にはまったく意味がないけどな。
「嘘……。風呂に入って耐性つくなんて聞いたことないわ」
んー。じゃあ確認してみろっていいたいけど、ルシアは鑑定を持ってないしな。持っていたとしても隠蔽スキルが五にまでレベルアップしたからそうそう見えないだろうけど。
「ここは銭湯じゃなくて天然の温泉なんだ。だからそういうこともあるんじゃないのか?」
「じゃあ私も入ろうかな……」
女風呂に同じ風呂があるかは知らないけどね。
「しかも……。風呂あがりの火照った体にアイス。あれは格別だぞ」
「オラ(私)も入るだ(わ)!」
なんて単純な奴ら。
「うわ!? コレが風呂だか。でっかい沼のようダ!」
「あ、風呂に浸かる前に生活魔法で体を綺麗にしろよ。それが最低限のマナーだからな」
あとオーグよ。これを一般的な風呂だとは思わないで欲しい。浴槽エリアだけで百メートル四方なんて通常は有り得ないからな。恐らくふんだんに温泉が湧いているからできるのだ。しかも、この宿以外はほとんど温泉なんて付いていないしな。湧き出す湯を一人占めしているに違いない。どっかの温泉テーマパークもビックリな施設だ。
「そして、俺のお薦めこれだ」
「流石カイトだ! 他と比べてここは一人も待っている人がいないダ」
「ああ、穴場だからな」
「んでオラはどしたらいいダ?」
「このトロッコに乗ってくれ。二人乗りだから俺は後ろに乗る。オーグは前だな」
「コレ楽しそうダ! 温泉ってトロッコに乗れるんダな。知ってたらもっと早く風呂に入ってたダ」
いや……。俺もここに来て初めて知ったよ。
「その輪っかに手と足を通して。そうそう」
「ああっ!? なんか固定されたダ!」
「ま、固定しないと危ないからな」
「温泉って危ないダか? さっきからオラの想像と全然違うだ」
ああ……。俺も温泉の定義をここで覆されたよ。
「ここは超上級だからな」
「へ? おわわわわ!?」
二人乗りのトロッコが大理石の床に敷設されたレールに沿って走り出す。
「あ、思ったよりゆっくりで安心したダ。これなら危なくないど!」
「ゆっくりだから超上級なんだけどな」
「あれが温泉だか?」
「そうだな。始めはアレかな」
「始め?」
「ああ、ここは何種類もの風呂が楽しめるコースなんだよ」
「カ、カイド!」
「なんだよ、さっきから騒々しいな。風呂は静かに楽しむものなんだよ」
「温泉って……。沸騰してるダ…か?」
俺が言葉を返す前に、待ち受ける浴槽へとトロッコが飛び込んだ。
「あづぅぅうう!?」
「そうか? 俺はそんなに熱さを感じないけどな」
「あづぅぅ!? ぐぅぅ! あぁぁああ!?」
あらら。もう言葉にもならないようだ。これこそまさに五右衛門風呂だよな。
三分程でトロッコは浴槽の外へと出た。
「このコースの浴槽はとにかく幅が狭いんだ。トロッコがぎりぎり入るほどの幅だろ。対して縦に長い。三十メートルほどもあるんだ。そこをこれがゆっくりと進むのさ」
「ぁぁぁ…ぃ…」
「あー、人の話はちゃんと聞こうぜ」
オーグはピクピクと痙攣していた。真っ赤に染まった肌。これがほんとの紅色の豚さん。
「ぁぁぁ…皮膚…が…」
俺は後ろからオーグの肩をポンと軽く叩く。
「大丈夫だ。直ぐに冷めるって」
ドボンと音がした。
「ぎ、ぎゃぁあああ!?」
「いやー、熱い風呂の後はやっぱり冷たい液体風呂だよな」
「ギャァァアア!!」
「だから聞いてる?」
水に魔力を込めるとその強さに応じて凝固点が大きく下がる。要は氷難くなる。因みにこの風呂は現在マイナス百度だ。
「ぁ……ぁ…ぁ…」
うーん。これだけ冷たいと凍傷になるか。あ、これもある意味火傷の一つだったけか。呑気にそんなことを考えているとトロッコは二番目の風呂から三番目の風呂へと進む。
「はぁぁぁ……。ご、ごれは……。気持ちぃぃい」
「ヒーリングの籠められた風呂だからな」
「カイド! 一体これはどうなってるダか!」
「うーん、逆向きに折り返しているところかな?」
「そったらことじゃない! 嫌だ嫌だ! オラもう降りるダ!」
手足をばたつかせようとするオーグ。だが手足の枷はビクともしなかった。
「無理だと思うぞ。それアダマンタイト製だから」
俺の言葉はオーグの耳には入っていなかった。彼の興味は次の風呂に釘付けだった。
「な…な……。あ、あれはなんダか!? や、闇が迫って――」
漆黒に塗りつぶされた空間がトロッコを包み込む。
「あぁぁああ!? 暗い! 怖い! 何も見えないだ! やめでげれぇえええ!」
「あれだよな。これってもう風呂の域を出ているよな」
光の元へ這い出した時、オーグは完全に白目を剥いていた。もごもごと口だけが動いていた。
「暗い怖い…怖い暗い怖い…こわい…」
「大丈夫だ! 次は明るいぞ」
「ギャァァアア!」
クリスマスに豚のイルミネーションがあったらまさにこんな感じかもしれない。オーグの全身がピカピカと光っていた。風呂のあちこちで雷が迸っていた。何万ボルトものライトニング風呂だ。
「ちょっと刺激の強めな電気風呂かな」
「た…たす…け…て……」
「おう、次で最期だぞ」
波打つ浴槽。それはもはや液体ですらない。風魔法の剃刀が隙間なく槽内に犇めいていた。
「がぁぁああ!? あ…ぁぁ……ぁ……ぁ………」
それを最後にオーグの声が途絶えた。豚は薄切り肉に変わり果てたのだ。
「はぁはぁはぁ……。うげぇえぇえ!」
「おい! 風呂場を吐しゃ物で汚すな! まったく……。やっぱり最初から超上級は無理があったかな」
「な、なんでオラは生きているだか!? 鍋でシャブシャブされていたはずでは!?」
「あー、それ幻だから。といっても完全に幻覚に陥ると脳には痛みも熱も伝わるんだよな」
基本的に入っていた浴槽はただの温めの温泉だ。なので死ぬことはない。おそらく……。
「温泉こぇぇ……温泉こぇぇぇ」
「あらら。もうこれ以上は無理そうだな。これからは普通の温泉を楽しもうと思っていたんだけど」
オーグを風呂から出し、着替えをさせて部屋まで引きずる。くそーやり過ぎたか。こいつめっちゃ重いよ。
「ほら、ついたぞ!」
ベッドにゴロンと寝かせる。
「温泉こぇぇ温泉こぇええ」
オーグは布団を被ってずっと震えていた。その様子にため息をついているとコンコンコンと部屋の扉が鳴った。
「はぁ、こんな時間に誰だよ」
部屋の扉を開けるとルシアが立っていた。ほんのりとシャンプーの香りが漂ってきた。上気した顔が少女とは思えないほど色めかしい。
「ど、どうした?」
不覚にもドギマギしてしまい、声が上ずってしまった。ルシアはそんな俺に妖艶に微笑む。両手もキラキラ?していた?
「うぁぁああ!?」
双剣が俺の首を狩りに来た。咄嗟にバックステップでそれを躱す。剣が交差してキンという甲高い音が鳴った。俺の前髪の一部は逃れられなかったようだ。バサッと斬り取られて床へと沈みゆく。
「ルシア!? お前何するんだよ! 今のは本気で死ぬぞ!」
「大丈夫よ。これも幻覚だから。多分ね……」
「あっ!? まさか……。お前もあれをやったのか」
「流石に怪しかったから中級コースにしたわ。それでも死ぬかと思ったわよ」
「いやまて!」
「問答無用!」
俺との距離を一瞬で詰めるルシア。不味い! 後ろはベッドでこれ以上は下がれない。
「待てよ! そんなことで俺について来れるとでも思ってるいるのか!」
「いまは関係ないでしょ!」
「あそこのオーグを見てみろよ!」
「えっ?」
「温泉こぇぇ……温泉こぇええ」
俺らの諍いには一切気づかずにただ震えていた。
「カイト! オーグに何をしたの!」
「超上級を受けてもらった」
「は!? 正気なの! 許せない!」
俺を睨みつけると再び剣を構える。剣に風の属性を付与し始めた。あれは不味い……。
「そ、その代償に氷、熱、雷、闇、風の耐性を全てを手に入れたぞ! 俺の目論見通りだ」
「えっ!? まさかそんな……」
「それに比べてお前はどうだ。俺の推奨したコースを取らずに中途半端な中級か。その結果はどうだったと思う?」
「え……ぁ……」
「耐性は一つもついていないよな。それが現実だ。ちなみに俺は全ての耐性がマックスだ」
これは本当だ。
「う、嘘……。カイト、そうだったの。温泉好き好きと言いながら、小さい頃からずっとそんな辛い訓練に耐えていたっていうの」
「ああそうだ」
ごめんなさい嘘つきました。産まれた時から十二神の加護のお蔭で全ての耐性がマックスです。
「俺の最終目標は魔王の打倒だ」
「えっ!? 嘘、そんな……。あなた勇者でもないのに」
「だから無理について来いとは言わない。でもその可能性があるなら常に危険と隣り合わせだ。耐性があって困ることはない。寧ろそれで命を救われる機会も多いだろう」
「あっ……」
「オーグの場合は俺と別れた後も冒険者稼業を続けるだろう。生きるか死ぬかは紙一重の差だ。耐性の有無でそれが決まることもあるだろう」
「カイト……。そこまで私たちのことを考えてくれていたのに……。ごめんなさい。私、カイトについて行くって決めたのに。こんな私じゃ足手纏いよね」
ルシアは自己嫌悪に陥り顔を伏せる。今にも泣き出しそうだった。
「あ、いや……」
オーグがちょっと調子に乗っていたんだ。だから、ちょっとからかってみただけなんだけど。まさか全ての耐性が付くなんて思ってもみなかったよ。一つ付けば僥倖かなーとか思っていた程度だし。
「私、風呂に戻って超上級に挑んでくるわ!」
「ええっ!? や、止めろ!」
「何で止めるのよ! 足手纏いはいらないっていいたいの!」
「いやそうじゃ……。あー、うん、そうだ! 一度似たようなことを経験してしまうと耐性が付き難いんだよ。幻とわかっている分ね」
ていうか普通はそんな簡単に付かないから。
「なら覚えるまで繰り返してくるわ。それがカイトの助言を無視した私への罰……」
そう言って踵を返す。
「ま、待てよ!」
俺は焦る。やばいよ。あんなの繰り返したら風呂場で白目剥いて失禁しかねない。
「そんなので明日から使い物にならなくなったら余計足手纏いだ!」
「うぅっ……」
「俺がもっと効率の良い方法を考えてやるから、それまで少し待て」
「わかった……。次ぎからは疑ったりしないから。ごめんね、そしてありがとうカイト」
「あ、ああ。そんな気にするな。じゃあまた明日な。お休み」
「うん。お休みなさい」
やべー罪悪感が半端ねー。でも取り合えず俺の命は繋ぎ止められた。さて、ルシアのために何か良い方法を考えないとな。
「なあ、カイド」
「え? あれ? お前いつの間に正気に戻ったんだ?」
ベッドの上でオーグが上半身を起こし俺を見つめていた。
「魔王を倒しに行くってほんぎか?」
「あ、聞こえてたのか」
「ほんぎなのか!?」
おいおい。いきなりどうしたんだ。いつになく真剣な眼差しで俺を見据えていた。雷に打たれて頭でもおかしくなったか。
「ああ……。そうだ本気だ。だから無理して――」
「なら、オラも一緒に行かせてけれ!」
「えっ? 何でだよ。わかっているのか。滅茶苦茶危険なんだぞ! かなりの確率でお前は死ぬぞ」
ここは正直に伝えていたおいた方がよさそうだ。
「ああ、オラその覚悟はあるダ」
「何でだよ。お前は世界平和とか興味あったっけ?」
「たしかに平和になればいいと思う。でも違うダ。オラの両親を殺したのは魔王ダ! 魔王がオラの村を襲っだって……」
「そうだったのか」
「院長先生がそう言っていたダ。だからオラ、なんとかして仇を取りたいダ。でも一人じゃ無理だって諦めていた。だから冒険者になって味方増やそうと思ってたダ」
ああ、なるほど。本当はそういう理由だったのか。
「でもカイトはちがた」
「ん?」
「一人で倒そうとしてたダ。一人でも立ち向かおうとしていたダ。しかも自分のためじゃなく世界平和のために。オラ尊敬するダ。だからオラも一緒に戦う。おねげえだ連れていってけれ! その為なら今日のような修行も耐えてみせるダ!」
決意の籠った瞳だった。うわ、マジ止めて。神様嘘ついてごめんなさい。そう懺悔したくなってきた。皆のためじゃなくて自分の魂を取り戻すのが目的だし。修行じゃなくて単に虐めただけだし。
「あ、ああ……。オーグの決意はよくわかった。今後のレベルを見て最終的には判断させてもらう。そ、それでいいか?」
「わがった」
「よし今日はもう遅いし、疲れただろうから休もうぜ」
主に俺の良心が磨り減り過ぎたよ。何でこいつらこんなに純真なんだよ。あれか? まさか俺の性格がかなり悪いのか? ま、まさかな……。
「いあ、メロンも捨てがたいど!」
食後のカフェを嗜む俺の前で交わされる会話。高級アイスのお代わりは何にするか? 二人で作戦会議のようなものをしていた。ちなみに俺のカフェはサービススタッフが先ほど運んでくれた。所謂サービス品だ。俺ってばなんて安上がりな男なんだろう。畜生。
「なあ、オーグも一緒に温泉入らないか?」
「オラ、熱いのイヤだ!」
「あー、チャーシューになっちゃうもんな」
「違う!」
「あれ? チャーシューってこの世界にもあるのか?」
「カイトの話すことは時々意味わがらん。けど、それは否定しなければいけない気がしたダ」
「そんなに熱くないぞ。しかも運が良いと何らかの耐性スキルもつくようだぞ」
「え! ほんとダか!?」
「ちょっとカイト。オーグを騙して揶揄うのは止しなさい」
「いやほんとだぞ。実際に俺は熱耐性(小)が付いたしな」
まあ、火の神の加護の方が上位スキルだから俺にはまったく意味がないけどな。
「嘘……。風呂に入って耐性つくなんて聞いたことないわ」
んー。じゃあ確認してみろっていいたいけど、ルシアは鑑定を持ってないしな。持っていたとしても隠蔽スキルが五にまでレベルアップしたからそうそう見えないだろうけど。
「ここは銭湯じゃなくて天然の温泉なんだ。だからそういうこともあるんじゃないのか?」
「じゃあ私も入ろうかな……」
女風呂に同じ風呂があるかは知らないけどね。
「しかも……。風呂あがりの火照った体にアイス。あれは格別だぞ」
「オラ(私)も入るだ(わ)!」
なんて単純な奴ら。
「うわ!? コレが風呂だか。でっかい沼のようダ!」
「あ、風呂に浸かる前に生活魔法で体を綺麗にしろよ。それが最低限のマナーだからな」
あとオーグよ。これを一般的な風呂だとは思わないで欲しい。浴槽エリアだけで百メートル四方なんて通常は有り得ないからな。恐らくふんだんに温泉が湧いているからできるのだ。しかも、この宿以外はほとんど温泉なんて付いていないしな。湧き出す湯を一人占めしているに違いない。どっかの温泉テーマパークもビックリな施設だ。
「そして、俺のお薦めこれだ」
「流石カイトだ! 他と比べてここは一人も待っている人がいないダ」
「ああ、穴場だからな」
「んでオラはどしたらいいダ?」
「このトロッコに乗ってくれ。二人乗りだから俺は後ろに乗る。オーグは前だな」
「コレ楽しそうダ! 温泉ってトロッコに乗れるんダな。知ってたらもっと早く風呂に入ってたダ」
いや……。俺もここに来て初めて知ったよ。
「その輪っかに手と足を通して。そうそう」
「ああっ!? なんか固定されたダ!」
「ま、固定しないと危ないからな」
「温泉って危ないダか? さっきからオラの想像と全然違うだ」
ああ……。俺も温泉の定義をここで覆されたよ。
「ここは超上級だからな」
「へ? おわわわわ!?」
二人乗りのトロッコが大理石の床に敷設されたレールに沿って走り出す。
「あ、思ったよりゆっくりで安心したダ。これなら危なくないど!」
「ゆっくりだから超上級なんだけどな」
「あれが温泉だか?」
「そうだな。始めはアレかな」
「始め?」
「ああ、ここは何種類もの風呂が楽しめるコースなんだよ」
「カ、カイド!」
「なんだよ、さっきから騒々しいな。風呂は静かに楽しむものなんだよ」
「温泉って……。沸騰してるダ…か?」
俺が言葉を返す前に、待ち受ける浴槽へとトロッコが飛び込んだ。
「あづぅぅうう!?」
「そうか? 俺はそんなに熱さを感じないけどな」
「あづぅぅ!? ぐぅぅ! あぁぁああ!?」
あらら。もう言葉にもならないようだ。これこそまさに五右衛門風呂だよな。
三分程でトロッコは浴槽の外へと出た。
「このコースの浴槽はとにかく幅が狭いんだ。トロッコがぎりぎり入るほどの幅だろ。対して縦に長い。三十メートルほどもあるんだ。そこをこれがゆっくりと進むのさ」
「ぁぁぁ…ぃ…」
「あー、人の話はちゃんと聞こうぜ」
オーグはピクピクと痙攣していた。真っ赤に染まった肌。これがほんとの紅色の豚さん。
「ぁぁぁ…皮膚…が…」
俺は後ろからオーグの肩をポンと軽く叩く。
「大丈夫だ。直ぐに冷めるって」
ドボンと音がした。
「ぎ、ぎゃぁあああ!?」
「いやー、熱い風呂の後はやっぱり冷たい液体風呂だよな」
「ギャァァアア!!」
「だから聞いてる?」
水に魔力を込めるとその強さに応じて凝固点が大きく下がる。要は氷難くなる。因みにこの風呂は現在マイナス百度だ。
「ぁ……ぁ…ぁ…」
うーん。これだけ冷たいと凍傷になるか。あ、これもある意味火傷の一つだったけか。呑気にそんなことを考えているとトロッコは二番目の風呂から三番目の風呂へと進む。
「はぁぁぁ……。ご、ごれは……。気持ちぃぃい」
「ヒーリングの籠められた風呂だからな」
「カイド! 一体これはどうなってるダか!」
「うーん、逆向きに折り返しているところかな?」
「そったらことじゃない! 嫌だ嫌だ! オラもう降りるダ!」
手足をばたつかせようとするオーグ。だが手足の枷はビクともしなかった。
「無理だと思うぞ。それアダマンタイト製だから」
俺の言葉はオーグの耳には入っていなかった。彼の興味は次の風呂に釘付けだった。
「な…な……。あ、あれはなんダか!? や、闇が迫って――」
漆黒に塗りつぶされた空間がトロッコを包み込む。
「あぁぁああ!? 暗い! 怖い! 何も見えないだ! やめでげれぇえええ!」
「あれだよな。これってもう風呂の域を出ているよな」
光の元へ這い出した時、オーグは完全に白目を剥いていた。もごもごと口だけが動いていた。
「暗い怖い…怖い暗い怖い…こわい…」
「大丈夫だ! 次は明るいぞ」
「ギャァァアア!」
クリスマスに豚のイルミネーションがあったらまさにこんな感じかもしれない。オーグの全身がピカピカと光っていた。風呂のあちこちで雷が迸っていた。何万ボルトものライトニング風呂だ。
「ちょっと刺激の強めな電気風呂かな」
「た…たす…け…て……」
「おう、次で最期だぞ」
波打つ浴槽。それはもはや液体ですらない。風魔法の剃刀が隙間なく槽内に犇めいていた。
「がぁぁああ!? あ…ぁぁ……ぁ……ぁ………」
それを最後にオーグの声が途絶えた。豚は薄切り肉に変わり果てたのだ。
「はぁはぁはぁ……。うげぇえぇえ!」
「おい! 風呂場を吐しゃ物で汚すな! まったく……。やっぱり最初から超上級は無理があったかな」
「な、なんでオラは生きているだか!? 鍋でシャブシャブされていたはずでは!?」
「あー、それ幻だから。といっても完全に幻覚に陥ると脳には痛みも熱も伝わるんだよな」
基本的に入っていた浴槽はただの温めの温泉だ。なので死ぬことはない。おそらく……。
「温泉こぇぇ……温泉こぇぇぇ」
「あらら。もうこれ以上は無理そうだな。これからは普通の温泉を楽しもうと思っていたんだけど」
オーグを風呂から出し、着替えをさせて部屋まで引きずる。くそーやり過ぎたか。こいつめっちゃ重いよ。
「ほら、ついたぞ!」
ベッドにゴロンと寝かせる。
「温泉こぇぇ温泉こぇええ」
オーグは布団を被ってずっと震えていた。その様子にため息をついているとコンコンコンと部屋の扉が鳴った。
「はぁ、こんな時間に誰だよ」
部屋の扉を開けるとルシアが立っていた。ほんのりとシャンプーの香りが漂ってきた。上気した顔が少女とは思えないほど色めかしい。
「ど、どうした?」
不覚にもドギマギしてしまい、声が上ずってしまった。ルシアはそんな俺に妖艶に微笑む。両手もキラキラ?していた?
「うぁぁああ!?」
双剣が俺の首を狩りに来た。咄嗟にバックステップでそれを躱す。剣が交差してキンという甲高い音が鳴った。俺の前髪の一部は逃れられなかったようだ。バサッと斬り取られて床へと沈みゆく。
「ルシア!? お前何するんだよ! 今のは本気で死ぬぞ!」
「大丈夫よ。これも幻覚だから。多分ね……」
「あっ!? まさか……。お前もあれをやったのか」
「流石に怪しかったから中級コースにしたわ。それでも死ぬかと思ったわよ」
「いやまて!」
「問答無用!」
俺との距離を一瞬で詰めるルシア。不味い! 後ろはベッドでこれ以上は下がれない。
「待てよ! そんなことで俺について来れるとでも思ってるいるのか!」
「いまは関係ないでしょ!」
「あそこのオーグを見てみろよ!」
「えっ?」
「温泉こぇぇ……温泉こぇええ」
俺らの諍いには一切気づかずにただ震えていた。
「カイト! オーグに何をしたの!」
「超上級を受けてもらった」
「は!? 正気なの! 許せない!」
俺を睨みつけると再び剣を構える。剣に風の属性を付与し始めた。あれは不味い……。
「そ、その代償に氷、熱、雷、闇、風の耐性を全てを手に入れたぞ! 俺の目論見通りだ」
「えっ!? まさかそんな……」
「それに比べてお前はどうだ。俺の推奨したコースを取らずに中途半端な中級か。その結果はどうだったと思う?」
「え……ぁ……」
「耐性は一つもついていないよな。それが現実だ。ちなみに俺は全ての耐性がマックスだ」
これは本当だ。
「う、嘘……。カイト、そうだったの。温泉好き好きと言いながら、小さい頃からずっとそんな辛い訓練に耐えていたっていうの」
「ああそうだ」
ごめんなさい嘘つきました。産まれた時から十二神の加護のお蔭で全ての耐性がマックスです。
「俺の最終目標は魔王の打倒だ」
「えっ!? 嘘、そんな……。あなた勇者でもないのに」
「だから無理について来いとは言わない。でもその可能性があるなら常に危険と隣り合わせだ。耐性があって困ることはない。寧ろそれで命を救われる機会も多いだろう」
「あっ……」
「オーグの場合は俺と別れた後も冒険者稼業を続けるだろう。生きるか死ぬかは紙一重の差だ。耐性の有無でそれが決まることもあるだろう」
「カイト……。そこまで私たちのことを考えてくれていたのに……。ごめんなさい。私、カイトについて行くって決めたのに。こんな私じゃ足手纏いよね」
ルシアは自己嫌悪に陥り顔を伏せる。今にも泣き出しそうだった。
「あ、いや……」
オーグがちょっと調子に乗っていたんだ。だから、ちょっとからかってみただけなんだけど。まさか全ての耐性が付くなんて思ってもみなかったよ。一つ付けば僥倖かなーとか思っていた程度だし。
「私、風呂に戻って超上級に挑んでくるわ!」
「ええっ!? や、止めろ!」
「何で止めるのよ! 足手纏いはいらないっていいたいの!」
「いやそうじゃ……。あー、うん、そうだ! 一度似たようなことを経験してしまうと耐性が付き難いんだよ。幻とわかっている分ね」
ていうか普通はそんな簡単に付かないから。
「なら覚えるまで繰り返してくるわ。それがカイトの助言を無視した私への罰……」
そう言って踵を返す。
「ま、待てよ!」
俺は焦る。やばいよ。あんなの繰り返したら風呂場で白目剥いて失禁しかねない。
「そんなので明日から使い物にならなくなったら余計足手纏いだ!」
「うぅっ……」
「俺がもっと効率の良い方法を考えてやるから、それまで少し待て」
「わかった……。次ぎからは疑ったりしないから。ごめんね、そしてありがとうカイト」
「あ、ああ。そんな気にするな。じゃあまた明日な。お休み」
「うん。お休みなさい」
やべー罪悪感が半端ねー。でも取り合えず俺の命は繋ぎ止められた。さて、ルシアのために何か良い方法を考えないとな。
「なあ、カイド」
「え? あれ? お前いつの間に正気に戻ったんだ?」
ベッドの上でオーグが上半身を起こし俺を見つめていた。
「魔王を倒しに行くってほんぎか?」
「あ、聞こえてたのか」
「ほんぎなのか!?」
おいおい。いきなりどうしたんだ。いつになく真剣な眼差しで俺を見据えていた。雷に打たれて頭でもおかしくなったか。
「ああ……。そうだ本気だ。だから無理して――」
「なら、オラも一緒に行かせてけれ!」
「えっ? 何でだよ。わかっているのか。滅茶苦茶危険なんだぞ! かなりの確率でお前は死ぬぞ」
ここは正直に伝えていたおいた方がよさそうだ。
「ああ、オラその覚悟はあるダ」
「何でだよ。お前は世界平和とか興味あったっけ?」
「たしかに平和になればいいと思う。でも違うダ。オラの両親を殺したのは魔王ダ! 魔王がオラの村を襲っだって……」
「そうだったのか」
「院長先生がそう言っていたダ。だからオラ、なんとかして仇を取りたいダ。でも一人じゃ無理だって諦めていた。だから冒険者になって味方増やそうと思ってたダ」
ああ、なるほど。本当はそういう理由だったのか。
「でもカイトはちがた」
「ん?」
「一人で倒そうとしてたダ。一人でも立ち向かおうとしていたダ。しかも自分のためじゃなく世界平和のために。オラ尊敬するダ。だからオラも一緒に戦う。おねげえだ連れていってけれ! その為なら今日のような修行も耐えてみせるダ!」
決意の籠った瞳だった。うわ、マジ止めて。神様嘘ついてごめんなさい。そう懺悔したくなってきた。皆のためじゃなくて自分の魂を取り戻すのが目的だし。修行じゃなくて単に虐めただけだし。
「あ、ああ……。オーグの決意はよくわかった。今後のレベルを見て最終的には判断させてもらう。そ、それでいいか?」
「わがった」
「よし今日はもう遅いし、疲れただろうから休もうぜ」
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神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
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−−−−−−
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誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
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