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第三世界 メルカド(金こそ全てだ!)
第五十九話 金策を考えよう
しおりを挟むさて、ここで問題です。
短期間で一兆円を稼ぐにはどうしたらいいか? もし良い案があるなら是非提案して欲しい。俺はない知恵を絞りつつも幾つか考えてみた。
その一、とりあえず一兆円を借りて物を買い、それを一兆円以上で売りさばく
お金だけ集めればいいのであれば、これがもっとも手っ取り早い。そもそも一兆円借りた時点で手元に金が入るからそれでいいのか?
「なあ、とりあえず百万ギルほど貸して欲しいのだが」
「はっ? 恐れ入りますがシド―様は手元に十五億ギルはお持ちかと存じますが……」
あまりに突拍子もない申し出に、コンシェルジュのお姉さんが目を丸くしていた。
「いいから、いいから」
「で、ではこの借用書にサインを……」
「ほいっと」
「では入金しますのでギルドカードをご提示ください」
「え? 審査とかしないの?」
「その必要はございません。シドー様は担保として十五億ギルをお持ちですので、この程度は塵のような金額です」
百万円稼ぐのって実際はかなりしんどい話なんだけどね……。
「あっ――」
「いかが致しましたか? もしかしてお戯れの発言だったのでしょうか」
コンシェルジュさんは笑顔の表情を崩さない。しかし、その瞳は笑っていなかった。
「いやそうじゃない。気にしないでくれ……」
結果から言うと、この方法は駄目だった。金を借りた瞬間に極微量ではあるが俺の体から魂の欠片が抜け出て行ったのだ。
それを目の当たりにした俺は背筋が冷たくなった。商売か何かで赤字になったらどうなるのか? 元々持っていた魂までも奪われるということじゃないだろうか。大赤字にでもなったら俺の魂は全て無くなってしまうのではないか? 地球とロージェンでゲットした魂の欠片を失うだけならまだしも、残りカスの残渣まで奪われたら俺はどうなってしまうのだろう。完全に無に帰してしまうのではないか?
これはある意味、魔物と戦うよりも危険が潜んでいるのかもしれない。
その二、竜の鱗を売りさばく
「なあ、さっきの黒竜の鱗なんだけど」
「はい、それがどうかいたしましたか?」
「例えば、あれを二千枚用意したら買ってくれるか?」
「ほふっ!?」
コンシェルジュが変わった声を上げた。
「い、いえそれは……。商品の価値が暴落するので不可能かと」
「まあそうだよな」
「そして、ご存じの通り黒竜は伝説級の竜種。数十年に一度、目撃情報が入る程度でございます。例え仕留めることが叶ったとしても全身から取ることができるのは八十一枚が限度ですし……」
あれ、それしか鱗なかったっけか。そういえば数えたことなかったな。つーか背中の鱗なんて数えれねーし。
「ですので最低でも二十五体は仕留めなければなりません。しかも、戦闘中に鱗も破損しますので、実際にはそれよりも遥かに多くの数が必要になります」
要するに不可能っていいたいのね。ただ俺の場合は自分のがあるけどね。鱗を剥いでも時間がたてば再生するのだ。ただし、生鱗を牙で剥ぐのは物凄く痛そうだからしないけどね。ママンに噛みつかれ、鱗ごと肉を剥がされていた時のパパンの絶叫。あの惨劇が今も頭から離れないのだ。
まあでも、生え変わりに落ちた古い鱗をたまに売る位ならある程度は稼げそうかな。
その三.モンスターを討伐したり、ダンジョンでゲットしたアイテムを換金する
まあこれが一番無難っていえば無難ではあるけど。
「なあ、過去最高額のアイテムって幾らなんだ?」
「わたくしの記憶が確かであれば確か勇者の剣でございます。今から数百年前になりますが、オークションで百億ギルという莫大な値がついたようです」
「なんでそんなもんが売られるんだよ……。ああ、勇者もいつかは死ぬもんな。財政困難に陥った国が泣く泣く国宝を手放したって感じか」
「いえ、記録では勇者本人が売ったようです」
「へ? なぜに?」
「博打好きだったようですね。剣を担保に金を借りまくっていたようです。負けが込んでとうとう売り払うしかなくなったのです。借金を返し手元に残ったお金も再び博打でスッたと記録されております」
「アホ勇者だな。魔王を倒して浮かれでもしていたのか」
「いえ、彼は勇者の剣なしで魔王に戦いを挑み、無残にも殺されました」
「馬鹿すぎる……」
「一か八かの掛けだと言って、特攻したそうです」
最期まで博打かよ。
「よくそれで世界が滅ぼされずにすんだな」
「勇者の剣を買った公爵が変わりに魔王を討伐しましたので事なきを得たそうです」
「それって勇者いらねーじゃん!」
なにそれ。勇者の剣さえ持ってれば誰でもいいわけ?
いずれにしろ、最高額でもたったの百億ギルだ。二十四時間馬車馬のようにダンジョンに潜っても、一兆ギルに届くことは一生無いような気がする。なんか特別なアイテムでも出現した時だけ潜るかだな。
その四.ギルドの依頼達成報酬で稼ぐ
「そんじゃ、ギルドクエストの過去最高額は?」
「一千億ギルです」
おお! キタコレ! これを十件こなせばミッションクリアー。
「その依頼内容は?」
「魔王討伐です」
「くぅぅ……」
あまりにめんどくさいクエストだ。下手すると数年がかりだし。それに……。魔王が十人も同時に現れることもないだろう。もし現れたら世界は一瞬で破滅だな。そういえば、ここの世界の魔族や魔王ってどういう扱いなんだろう。
それに魔王の出現を期待するのも罰当たりな話だしな。
「そういえば、勇者の剣を借金のカタなんかにしなくてもすんだんじゃないのか? 魔王を倒してクエスト報酬で金返せば良かったのにな」
「いえ、勇者が魔王を倒すのは義務ですので、クエスト依頼はでません」
「え? でもさっき――」
「魔王の討伐クエストが出たのは過去一度だけです。そしてそれを達成したのは勇者の剣を競り落とした公爵その人です」
百億で買って一千億ゲットしたのね。いい商売だな。
その五.商いで稼ぐ
もしかしたら、これならいけるかも。ただ、一兆ギルだよな。さっき金を借りた時のシステムからすると、売り上げ額じゃなく利益を出さないといけないのだろう。いわゆる純利益だ。そう考えると、いいところ売り上げの十パーセント程度だ。ということは十兆ギルの売り上げを確保しなければならない。
純利益で一兆円を越している日本企業は……。って、世界を股に掛ける天下の車会社一社くらいじゃねーかよ! あそこ従業員三十万人以上なはずだぞ。
むむむむ……。良い解決策が浮かばない。だが、前に進まないことには何も始まらない。一歩ずつ着実に前進あるのみか。とにかく色々とやってみよう。リスク分散も重要だしな。
「とりあえずは、卸・小売業ギルドにでも登録してこようかな」
「あそこは紹介状がないと登録できませんがお持ちでいらっしゃいますか?」
「冒険者ギルドでそれを書いてもらえるか?」
「大変申し訳ございません。ただいま紹介状は切らしております。毎年枚数が決まっているのです」
「え、そうなの? じゃあ次に手に入るのはいつ?」
「予約で一杯ですので、二、三年先になるかと」
「そんなに待てねーよ!」
「申し訳ございません。商業都市だけあって小売業は大人気なのです。最近になって紹介状を狙って冒険者ギルドに登録する輩まで出ており、わたくしどもも困り果てているところです」
「んん? そういえば……」
俺は懐から、一通の書状を取り出す。
「あ、それ紹介状ですね。大変失礼しました。すでにお持ちだったのですね。さすがはSSSランカーのシドー様でございます」
「あ、いや、まあな……」
この街に入って初めて話した魔道具の店主から貰ったものだ。これ銀貨一枚でオマケでついてきたんだよな。横流しすればめっちゃ儲かるのにな。あんなガメツイのに知らなかったのか。もしかして凄く人のいいお爺ちゃんだった? いやいや、あれはそんなわけねーな。多分、最近になって急に価値が吊り上がったのだろう。あぶねーあぶねー。捨てるゴミ箱を探していたんだよ。ここに来るまで見つからなくて良かったよ。
ということで、俺は卸・小売業ギルドへと足を伸ばすことにした。
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