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80話 1日目
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「ふぅ……」
こんなに早く起きるとは思わなかった。時刻はまだ六時をまわる前。やはり、昨日の事がまだ響いてるんだろう。
今日から一週間。この間で俺は俺の思いを全部はき出す。やりたいことも全部やる。なにもせずに後悔はしたくない。
「さて、今日は俺が弁当でも作るか」
普段は瑠魅に頼ることが多かった。自分でも作るし売店で買う時もあるが、やはり瑠魅の作る弁当は美味しかった。
「ふあぁぁ……」
慣れない時間に起きたせいで瞼が重い。まずは顔を洗ってから弁当の準備をした方が良さそうだな。
俺は眠気と葛藤しながらドアを開けた。すると、不意に美味しそうな香ばしい匂いが俺の鼻を刺激した。
俺はその匂いで意識が覚醒して、足早にリビングへと向かう。
「あ、おはよう、蓮翔」
「え、あぁ……おはよう瑠魅」
「もう少しで朝食できるから待っててね」
「……あぁ」
咄嗟のことに驚いて、弁当を作ろうとしていたことすらも頭から飛んで、俺は定位置へと無意識に向かっていた。
最近はパンを焼いてジャムを付けて終わりだったから、余計に食欲が出た。
「お弁当も作っておいたから忘れないでね?」
「あ、あぁ……」
呆気に取られ、そんな言葉しか出てこない。未だに状況を把握できるほど脳が起きてないみたいだ。
そこから五分ほどして瑠魅が朝食を出し始めたので、そこからは俺も皿出しなどを手伝った。
少し前までは当たり前とすら思えた光景なのに、俺はこの状況に懐かしさすら感じていた。
「「いただきます」」
目の前には朝食らしいメニューが並ぶ。目玉焼きにウィンナー、トマト。それに味噌汁にお米。久々の光景に俺は感動すら覚えた。
「美味い……!」
料理次第で味が顕著に変わるメニューではないけど、このメニューたちに俺はどんな高級食材をも超える価値があると思えた。味噌汁が体に染みる。さっきまで寝ぼけていた頭がハッキリと覚醒する。
「………」
「………」
脳内には昨日のあのことがグルグルと回る。瑠魅のこの行動も少なからず昨日の俺の言葉に影響を受けているはず。こういう好意的な行動を起こしてくれるということは、まだ俺にも希望はあるはず。
「瑠魅」
「うん?どうしたの?」
「今日からさ……俺と一緒に登校してくれないか?」
今までは俺が朝に弱いこともあり基本的に別々に登校していた。下校は一緒の時も多かったけれど、それでさえ週に二回や三回程度だった。
改めてこういう事を言う気恥しい。これで断られたら俺はどうすれば良いのかと言う怖さもある。瑠魅との間に流れるこのちょっとした無言がこれほど恐ろしく感じたのはたぶん初めてだ。
「うん……良いよ」
「それは良かった。断られたどうしようかなって思ったよ」
一気に体を縛る緊張が解れる。チラリと瑠魅を見ると朝食に箸もつけず俺の方を見ていた。
初めは特に気にも止めずに朝食を食べていたが、少しずつその事が気恥しくなってきて、ついに俺は我慢できずに声をかけることにした。
「どうかした?」
「ううん。それだけかなって」
「それだけって……?」
その一言で俺の脳内にはある二つの単語が思い浮かんだ。昼休みと下校だ。
もし俺が本気で分からなければ瑠魅の方から言って来てくれるだろう。でも、瑠魅がわざわざ臭わせるような言い方すると言う事は、俺から誘った方が良い、のだろう。
「………そうだな。昼休みも一緒にご飯を食べてくれるか?」
何もかもが初めてでどうすれば良いのか分からなかった。弁当の誘い方もこれで良いのか分からないし、これからもどうやって瑠魅と一緒に同じ時間を共有すれば良いのかも分からない。
でも、目の前にいる瑠魅の表情を見れば分かる。少なくとも俺の誘い方は間違ってはいないと言うことは。
「うん。もちろん……!」
瑠魅のその微笑みを見るだけで、俺も無意識に笑顔になれた。
~~~~~~~~~~~~~~
お久しぶりです。ここのところまったく投稿できず、9月に関しましては初めての投稿となり大変申し訳ございません。
9月下旬にまた投稿が滞る可能性があるため、それまでにあと二話程度は投稿出来れば良いなと思います。
最終話まで残り僅かとなりましたが、最後まで読んでいただけると幸いです!
拙い部分多々あると思いますが、これからも是非作品共々よろしくお願いします!
こんなに早く起きるとは思わなかった。時刻はまだ六時をまわる前。やはり、昨日の事がまだ響いてるんだろう。
今日から一週間。この間で俺は俺の思いを全部はき出す。やりたいことも全部やる。なにもせずに後悔はしたくない。
「さて、今日は俺が弁当でも作るか」
普段は瑠魅に頼ることが多かった。自分でも作るし売店で買う時もあるが、やはり瑠魅の作る弁当は美味しかった。
「ふあぁぁ……」
慣れない時間に起きたせいで瞼が重い。まずは顔を洗ってから弁当の準備をした方が良さそうだな。
俺は眠気と葛藤しながらドアを開けた。すると、不意に美味しそうな香ばしい匂いが俺の鼻を刺激した。
俺はその匂いで意識が覚醒して、足早にリビングへと向かう。
「あ、おはよう、蓮翔」
「え、あぁ……おはよう瑠魅」
「もう少しで朝食できるから待っててね」
「……あぁ」
咄嗟のことに驚いて、弁当を作ろうとしていたことすらも頭から飛んで、俺は定位置へと無意識に向かっていた。
最近はパンを焼いてジャムを付けて終わりだったから、余計に食欲が出た。
「お弁当も作っておいたから忘れないでね?」
「あ、あぁ……」
呆気に取られ、そんな言葉しか出てこない。未だに状況を把握できるほど脳が起きてないみたいだ。
そこから五分ほどして瑠魅が朝食を出し始めたので、そこからは俺も皿出しなどを手伝った。
少し前までは当たり前とすら思えた光景なのに、俺はこの状況に懐かしさすら感じていた。
「「いただきます」」
目の前には朝食らしいメニューが並ぶ。目玉焼きにウィンナー、トマト。それに味噌汁にお米。久々の光景に俺は感動すら覚えた。
「美味い……!」
料理次第で味が顕著に変わるメニューではないけど、このメニューたちに俺はどんな高級食材をも超える価値があると思えた。味噌汁が体に染みる。さっきまで寝ぼけていた頭がハッキリと覚醒する。
「………」
「………」
脳内には昨日のあのことがグルグルと回る。瑠魅のこの行動も少なからず昨日の俺の言葉に影響を受けているはず。こういう好意的な行動を起こしてくれるということは、まだ俺にも希望はあるはず。
「瑠魅」
「うん?どうしたの?」
「今日からさ……俺と一緒に登校してくれないか?」
今までは俺が朝に弱いこともあり基本的に別々に登校していた。下校は一緒の時も多かったけれど、それでさえ週に二回や三回程度だった。
改めてこういう事を言う気恥しい。これで断られたら俺はどうすれば良いのかと言う怖さもある。瑠魅との間に流れるこのちょっとした無言がこれほど恐ろしく感じたのはたぶん初めてだ。
「うん……良いよ」
「それは良かった。断られたどうしようかなって思ったよ」
一気に体を縛る緊張が解れる。チラリと瑠魅を見ると朝食に箸もつけず俺の方を見ていた。
初めは特に気にも止めずに朝食を食べていたが、少しずつその事が気恥しくなってきて、ついに俺は我慢できずに声をかけることにした。
「どうかした?」
「ううん。それだけかなって」
「それだけって……?」
その一言で俺の脳内にはある二つの単語が思い浮かんだ。昼休みと下校だ。
もし俺が本気で分からなければ瑠魅の方から言って来てくれるだろう。でも、瑠魅がわざわざ臭わせるような言い方すると言う事は、俺から誘った方が良い、のだろう。
「………そうだな。昼休みも一緒にご飯を食べてくれるか?」
何もかもが初めてでどうすれば良いのか分からなかった。弁当の誘い方もこれで良いのか分からないし、これからもどうやって瑠魅と一緒に同じ時間を共有すれば良いのかも分からない。
でも、目の前にいる瑠魅の表情を見れば分かる。少なくとも俺の誘い方は間違ってはいないと言うことは。
「うん。もちろん……!」
瑠魅のその微笑みを見るだけで、俺も無意識に笑顔になれた。
~~~~~~~~~~~~~~
お久しぶりです。ここのところまったく投稿できず、9月に関しましては初めての投稿となり大変申し訳ございません。
9月下旬にまた投稿が滞る可能性があるため、それまでにあと二話程度は投稿出来れば良いなと思います。
最終話まで残り僅かとなりましたが、最後まで読んでいただけると幸いです!
拙い部分多々あると思いますが、これからも是非作品共々よろしくお願いします!
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