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81話 1日目 2
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初めは気恥ずかしかった瑠魅との登校も学校が近づくに連れて薄れていった。
今までは何気なく見ていた世界が何故か明るく鮮やかに見えた。瑠魅と一緒に歩いて、他愛もない会話をしているだけなのに、俺の心は既に満たされているようだ。
「あ、おはよう、蓮くん。瑠魅ちゃんもおはよう」
「あぁ、おはよう」
「おはよう、那乃ちゃん」
学校が見えてきたタイミングで那乃と出会う。那乃には言わなければならないことがある。何度も言おうとして、その度に言えなかったことが……。
「二人が一緒に登校なんて珍しいね」
「まぁ、いつもは俺が遅いからな」
いついえば良いのか、そのタイミングがわからない。どうすれば、変な空気にしないで伝えられる……?そもそも今日は瑠魅に猶予を貰ってから初日。さすがに瑠魅を除け者には出来ないぞ。
だからと言って変に那乃を避ければ、その後の瑠魅と那乃の関係にも悪影響が出るかもしれない。
「…なぁ、那乃」
「っ!な、なに………!?」
「明日、昼休みに屋上来れるか?」
「え、ど、どういう……」
「それはその時に言うよ。来れたら来てくれ」
耳打ちするように声を沈めて那乃に要件だけを伝えた。
明日、少しの間、瑠魅を放置することになるけど瑠魅ならある程度の事情は汲んでくれると思う。今日は無理でも、明日なら……このグチャグチャになった関係性をどうにかできるかもしれない。
「瑠魅、那乃。今日は三人でお昼食べないか?」
「私は良いよ。那乃ちゃんは?」
「あ、うん。わたしももちろん良いよ!」
家に帰ったら瑠魅には言っておかないとな。その分、明日は今日以上に盛り上げないと。
~~~~
授業を聞く必要もなく、ひたすら瑠魅と何をしたいかを考えていたら、いつの間にか迎えていた昼休み。
俺と那乃は瑠魅の席に集まって周りの机を二つ拝借する。
いざご飯を食べようと弁当を開けると、校内放送で瑠魅が呼ばれた。瑠魅は若干焦った様子で筆記用具を持って行ってしまった。たぶん、この前の小テストの追試だろう。
「……蓮くんと瑠魅ちゃんのお弁当、ほとんど同じなんだね……」
「え……?あ、まぁ……色々あるしな」
そう指摘され、瑠魅の弁当の中身を見てみると、具材の大きさに違いはあれど、内容としては同じだった。
ラブコメの弁当イベントと言えば食材の交換とかがセオリーだと思うけど、俺らの場合はそうじゃないようだ。けど、これはこれで良い。やはりお揃いと言うのは何かこう、グッと来るものがある。
「にしても、那乃はいつも手作りで作ってるんだろ?凄いな」
「そうかな?慣れると意外と楽だよ」
「俺も早起き、頑張ってみようかな」
今日はたまたま起きられたけれど、明日以降も瑠魅と登校するなら早起きは欠かせない。出来れば、瑠魅と一緒に朝食作り……なんてな。
「蓮くん、なんだか楽しそうだね」
「そうか?俺にはよく分からないけど」
そこから俺と那乃は雑談をしながらご飯を食べ進める。瑠魅が戻ってきたのは、昼休みが終わる十分前だった。
「お疲れ様。どうだった?」
「手応えはあったけど、ちょっと不安なところもあるから、微妙かな」
「瑠魅なら大丈夫だろ。瑠魅の微妙は八十点台だろうしな」
「そうだよ。わたしでも七十三取れたんだもん!」
ずっと、こんな風に居られれば、きっと楽しいんだろうな。残りの期間もこんな景色が見られるようにするためにも、明日は絶対にミスできない。
「ああ!蓮くんまで何で笑うの!」
「ハハッ、悪い悪い」
今までは何気なく見ていた世界が何故か明るく鮮やかに見えた。瑠魅と一緒に歩いて、他愛もない会話をしているだけなのに、俺の心は既に満たされているようだ。
「あ、おはよう、蓮くん。瑠魅ちゃんもおはよう」
「あぁ、おはよう」
「おはよう、那乃ちゃん」
学校が見えてきたタイミングで那乃と出会う。那乃には言わなければならないことがある。何度も言おうとして、その度に言えなかったことが……。
「二人が一緒に登校なんて珍しいね」
「まぁ、いつもは俺が遅いからな」
いついえば良いのか、そのタイミングがわからない。どうすれば、変な空気にしないで伝えられる……?そもそも今日は瑠魅に猶予を貰ってから初日。さすがに瑠魅を除け者には出来ないぞ。
だからと言って変に那乃を避ければ、その後の瑠魅と那乃の関係にも悪影響が出るかもしれない。
「…なぁ、那乃」
「っ!な、なに………!?」
「明日、昼休みに屋上来れるか?」
「え、ど、どういう……」
「それはその時に言うよ。来れたら来てくれ」
耳打ちするように声を沈めて那乃に要件だけを伝えた。
明日、少しの間、瑠魅を放置することになるけど瑠魅ならある程度の事情は汲んでくれると思う。今日は無理でも、明日なら……このグチャグチャになった関係性をどうにかできるかもしれない。
「瑠魅、那乃。今日は三人でお昼食べないか?」
「私は良いよ。那乃ちゃんは?」
「あ、うん。わたしももちろん良いよ!」
家に帰ったら瑠魅には言っておかないとな。その分、明日は今日以上に盛り上げないと。
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授業を聞く必要もなく、ひたすら瑠魅と何をしたいかを考えていたら、いつの間にか迎えていた昼休み。
俺と那乃は瑠魅の席に集まって周りの机を二つ拝借する。
いざご飯を食べようと弁当を開けると、校内放送で瑠魅が呼ばれた。瑠魅は若干焦った様子で筆記用具を持って行ってしまった。たぶん、この前の小テストの追試だろう。
「……蓮くんと瑠魅ちゃんのお弁当、ほとんど同じなんだね……」
「え……?あ、まぁ……色々あるしな」
そう指摘され、瑠魅の弁当の中身を見てみると、具材の大きさに違いはあれど、内容としては同じだった。
ラブコメの弁当イベントと言えば食材の交換とかがセオリーだと思うけど、俺らの場合はそうじゃないようだ。けど、これはこれで良い。やはりお揃いと言うのは何かこう、グッと来るものがある。
「にしても、那乃はいつも手作りで作ってるんだろ?凄いな」
「そうかな?慣れると意外と楽だよ」
「俺も早起き、頑張ってみようかな」
今日はたまたま起きられたけれど、明日以降も瑠魅と登校するなら早起きは欠かせない。出来れば、瑠魅と一緒に朝食作り……なんてな。
「蓮くん、なんだか楽しそうだね」
「そうか?俺にはよく分からないけど」
そこから俺と那乃は雑談をしながらご飯を食べ進める。瑠魅が戻ってきたのは、昼休みが終わる十分前だった。
「お疲れ様。どうだった?」
「手応えはあったけど、ちょっと不安なところもあるから、微妙かな」
「瑠魅なら大丈夫だろ。瑠魅の微妙は八十点台だろうしな」
「そうだよ。わたしでも七十三取れたんだもん!」
ずっと、こんな風に居られれば、きっと楽しいんだろうな。残りの期間もこんな景色が見られるようにするためにも、明日は絶対にミスできない。
「ああ!蓮くんまで何で笑うの!」
「ハハッ、悪い悪い」
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