同窓会にいこう

jaga

文字の大きさ
6 / 9

6:同窓会はここになりました

しおりを挟む
入行の手続きを済ませると児玉という行員は案内していく

「はい!みなさん警備員さんに元気よく挨拶しましょう!」

「おはようございます!」
田舎では大きな声であいさつは基本中の基本だ

「おはようございます!」
警備員さんは子供相手とは思えない敬礼であいさつを返す

「はい!よくできました、次はロッカールームへ案内します」

「銀行はお金や貴重な個人情報がたくさんありますので鞄や携帯電話はロッカールームにしまっておきます」

「今回は社会科見学なので学校指定のノートと筆記用具OKですが、本当は店頭からバックヤードに戻る際は手ぶらで戻ってきま~す」

「行員さんなんでですか?」

「は~い、君名前は?」

「小暮です!」

コグリンこと小暮が質問する

彼は親が当時としては早かったアジア雑貨の輸入と店舗展開で成功した金持ちらしくかなり大きな家に住んでおり頭も良かったはずだ

何度かタイやベトナム土産の変なお面や人形を見せられた記憶がある

「小暮君、君お年玉いくら貰いましたか?」

「えっと…じゅ…5万円です」

「おぉ~」
他の生徒からも「さすが」と言う意味を込めて揃って大きな声が上がる

いやコグリン…君今10万円と言おうとして5万円に変えたよね?

「5万円!?私の小遣いより多いね!うらやましい」

「小暮君、その5万円を二百銀行に預けていたけど、私が自分の鞄にこっそり持ち帰ってしまったらどうするかな?」

「えっと困ります」

「そして毎回、お昼やトイレ、帰る度に一人一人鞄の中に変なものを入れてないか確認するの大変ですよね」

「だから店頭とバックヤードを行き来する際は必ず手ぶらが基本です」

「わかりました、ありがとうございます」

「いい質問した小暮君に拍手、みんなも質問あったらドンドンしてね」

パチパチパチパチと生徒間でまばらに拍手が起こる

「では行内の中に入って行きます。店頭は通常に営業していますので騒いだり広がったりせずにお願いします」

児玉行員は店舗へ続く扉を開いて中へ入るように促す

俺は未来の竹久瞳と話すためにみんなより少し後ろ目で列に続くと横からわき腹をつつかれた

「うへあっ」

「ねぇ…ユウくん…さっきのなんなの…」


竹久瞳(小学生)はちょっと怒り気味の様子だった

「そのまま…です」

「またなんで敬語?それに明日もうどっかいっちゃうのに…困る」

「あっ…そうで…そうだよな、ごめん…」

「手紙書くから…」

「あっ…うん俺も書く」

竹久瞳(小学生)は少し複雑そうな表情を浮かべてまた女の子友達の元へ戻る

思えば手紙を貰ったが返して無かった気がする

年賀状も来ていたが返していなかった

田舎から東京に出てきて一気に環境が変わったせいで俺も色々いっぱいいっぱいで親には散々言われたが結局返したことはなく、中学二年生を過ぎると年賀状も来なくなった

小中学生の自分には東京と九州はとてつもない距離を感じ、手紙のやり取りすら無意味に感じていた

仮に返事をしあった所で何の意味がある?そんなつまらない考えしかなかったが

竹久瞳が可愛いとか抜きに、クラスメイト含めてもう会えないことだってあると考えると繋がりを自ら断つという行為は愚かに思えた

(江上くん一度も返事くれなかったよね)

『今思い出した、ごめん』

(それなのにあんな気を持たせる事言うんだもん)

えっ?さっきのセリフは初めて言ったと言うか実在しないはずの未来から来た6年2組の俺が言ったんですが?

俺の行動や言動で未来が既に上書きされ始めているってことなのか?

「はいっ!では銀行店内の説明をしまーす」

児玉行員は張り切って行内の部署について説明していく、一応未来の俺自身が興味のあることでもあるので面接対策になるかとノートにメモを取っていく

学校指定のノートについ懐かしさを感じるが今思えば完全にどっかの業者やメーカーと癒着だろ?とか考えてしまう

「銀行の店頭には大きく分けて預金や諸届を受ける場所、みんなのお金を増やす運用相談する場所、お仕事や家を買うためにお金借りる場所それぞれがあります」

「最近はコンシェルジュやクロークと言って事前にお客様を案内する受付のようなものも増えています」


「ねぇねぇ、あんたさっき瞳に告ったんでしょ?」

人が真面目に銀行員の話を聞きながらノートを書いてると茶化すように話しかけてくる

吉持だ…

吉持は俺にやたらウザ絡みしてくる女の子で、俺が女子とあまり話さなくなった原因を作った

俺は絵を描くのが好きだったのだが、吉持はアニメや漫画が好きらしく俺の絵を褒めてくれたので最初は嬉しかった

たまに○○のキャラ好きだから描いてと言われ、褒められるのが嬉しくて調べて描いていたが

そのうち男同士キャラのキスや、上半身裸の絵を描いてとか言う変なリクエストが増えてきて気持ち悪くなって断るようになってきた

どうやら姉の影響で男性同士の絡みやカップリングが好きなBL女子になっていたようだが

描いた絵にやたら鼻息荒く食いついて来たり、俺ら4人の絡みを見て大×ユウ尊いとかワッキーのネトリきたーとか叫ぶからむしろ嫌いに近い

こいつが女の子はみんなBL好き!と豪語しまくるので、擦り込みみたいに女子と話す機会が減ってしまった

「別に告ってない…
まぁ、ひーちゃんは特別だからな」

俺がそう言うと吉持は驚いた顔をした
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

【完結】『80年を超越した恋~令和の世で再会した元特攻隊員の自衛官と元女子挺身隊の祖母を持つ女の子のシンクロニシティラブストーリー』

M‐赤井翼
現代文学
赤井です。今回は「恋愛小説」です(笑)。 舞台は令和7年と昭和20年の陸軍航空隊の特攻部隊の宿舎「赤糸旅館」です。 80年の時を経て2つの恋愛を描いていきます。 「特攻隊」という「難しい題材」を扱いますので、かなり真面目に資料集めをして制作しました。 「第20振武隊」という実在する部隊が出てきますが、基本的に事実に基づいた背景を活かした「フィクション」作品と思ってお読みください。 日本を護ってくれた「先人」に尊敬の念をもって書きましたので、ほとんどおふざけは有りません。 過去、一番真面目に書いた作品となりました。 ラストは結構ややこしいので前半からの「フラグ」を拾いながら読んでいただくと楽しんでもらえると思います。 全39チャプターですので最後までお付き合いいただけると嬉しいです。 それでは「よろひこー」! (⋈◍>◡<◍)。✧💖 追伸 まあ、堅苦しく読んで下さいとは言いませんがいつもと違って、ちょっと気持ちを引き締めて読んでもらいたいです。合掌。 (。-人-。)

処理中です...