家のしきたりが兄妹でイチャつけなのでクーデレ義妹とイチャコラしている内に惚れられていた

ひゃみる

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妹は昼休みにデレる

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「兄さん、お弁当を一緒に食べませんか?」

 昼休み、何故か妹の聖雪が遼を誘ってきた。
 先週まではそんなこと一切なかったので、どういった心境の変化だろうか?

「わかった」

 近くの机をくっつけようとした遼だが、それは聖雪によって止められた。

「あの……できれば二人きりで食べたいのですが……」

 頬を赤らめながら手足をモジモジとさせている。
 いきなりのことで驚く遼であるが、可愛い妹である聖雪に誘われて断るわけがない。
 頷いてからお弁当を持った二人は教室を出ていった。

☆ ☆ ☆

「屋上なんて初めてきましたよ」
「完全な二人きりだとここしかないからな」

 遼が聖雪を連れて来た場所は校舎の屋上。
 本来は立ち入り禁止で南京錠がかかっているのだが、遼は鍵を持っている。
 一学期の時に何となく訪れて南京錠が壊れているのを発見し、同じのを購入して壊れているのとこっそり入れ換えたのだ。
 たまに遼はここでアニメを観るために勝手に侵入している。
 他の人は鍵がかかっているので入ることはできなく、二人きりになるにはもってこいの場所。

「真面目な聖雪は立ち入り禁止のとこ来たくなかったか?」
「普段だったらそうですが、今日はもう来てしまったのでいいです」

 日陰になるとこを見つけ、聖雪はそこに腰かけた。
 遼も座り、持ってきたお弁当の布と蓋を取る。

「相変わらず美味そうだな」
「家事は昔からやっていましたからね」

 母子家庭で母親が仕事だったため、自然と聖雪は家事を覚えたようだ。
 だから今でもその家事スキルを発揮し、橋本家になくてはならない存在になっている。
 父親が再婚する前の遼は、簡単な料理を作って食べていたのだから。

 二人して「いただきます」と言い、お弁当を食べていく。
 思った通り美味しく、遼は無言でお弁当を完食するのった。

☆ ☆ ☆

「はあ~、ご馳走様」
「お粗末様です」

 お弁当を食べ終わった遼は、満足して「ありがとう」と聖雪にお礼の言葉を口にした。

「教室に戻る?」
「いえ、もう少しここにいます」

 日陰といっても外はまだ暑いのだが、聖雪は教室に戻ろうとしない。
 むしろもっといたいような……そんな雰囲気を感じさせる。

「あの……お弁当は美味しかったですよね?」
「そうだな。美味しすぎてもっと食べれそうなくらいだな」

 遼の言葉に少し頬を赤らめて聖雪は「そうですか」と口にした。
 今日は聖雪は本当にいつもと違っていて、遼の頭にははてなマークが浮かぶ。

「その……美味しかったのであれば、ご褒美ほしいです」
「ご褒美?」

 視線を遼から外して「はい」と頷く聖雪。
 先週からお弁当を作っていれるが、今までご褒美がほしいなんて言われたことなく、遼はさらにはてなマークが浮かんでしまう。

「ご褒美って何すればいいの? お金とかは無理だぞ」

 可愛い妹のためなら何でもしてあげたいと遼は思っている。
 ただ、高校生でバイトをしていないため、お金を請求されたら困ってしまう。

「お金なんて家族に請求しませんよ」
「それは良かった。俺はどうすればいいんだ?」

 金銭じゃないのは安心したが、聖雪は何を求めるのか遼にはわからない。
 でも、妹がご褒美を求めてきたのだから、シスコン兄はお願いを聞くに決まっている。

「兄さんにしてほしいご褒美は……頭を撫でてほしいです」
「頭を?」

 耳まで真っ赤になりながら「はい」と頷く。
 確かに頭を撫でられるのを嫌がってはいなかったが、聖雪から求めてくるなんて遼は一切思っていなかった。
 おねだりしてきたということは、頭を撫でられることが好きなのだろう。

「珍しい」
「い、いいじゃないですか。それに私が求めた時点で兄さんに拒否権はないはずです」

 頭を撫でてほしいのは無茶なお願いではないため、遼はしなければならない。
 だから遼は「わかった」と頷き、聖雪の頭を撫でる。
 撫でられたことですぐに聖雪は「えへへ」と笑みを浮かべた。

「あれか? もしかして頭を撫でてもらいたいから二人きりに?」
「悪いですか?」
「悪くはないよ。ビックリはしたけど」

 基本的に聖雪はクールなためか、自分からご褒美を求める人ではない。
 母子家庭だったというのもあるかもしれないが。
 だから遼は少し驚いてしまった。

「兄さんだってわかるでしょう? 家で一人きりの寂しさというのを」
「そうだな。夜まで一人っていうのは寂しいな」

 中学生くらいになったらだいぶマシにはなるものの、幼稚園や小学生の子供に一人はしんどい。
 話は聞いているから遼は知っているが、聖雪は幼稚園の時は祖父母が面倒を見ていてくれた。
 でも、聖雪が小学生低学年の時に祖父母は足腰を悪くしてしまい、面倒を見ることが出来なくなってしまったのだ。
 それからは母親が帰ってくるまで一人になり、聖雪は凄い寂しかっただろう。
 遼も同じような環境だったので、聖雪の寂しさは痛いほどわかる。

「今は慣れてきましたが、やっぱり寂しかったんです」
「そうか。彼氏とか作ろうと思わなかったのか? 作ってほしくないけど」

 聖雪は容姿が良いために、告白が絶えない。
 今のところすぐに断っているが、彼氏が出来れば少しは寂しさがなくなるだろう。

「好きでもないのに付き合うとかありえないですし、私が求めているものとは違います」
「そうか。今まで付き合ったことあるのか?」
「ありませんよ。中学生になってから告白されるようになりましたけど、大体の男子は容姿だけで好きになったり、胸とか足とか見てました」

 思春期になれば異性に興味を持つのは普通のことで、可愛い女の子のことは自然と目がいく。
 女の子はエッチな視線に敏感らしく、聖雪にはそういった視線が嫌だったのだろう。

「もしかして昔襲われそうになったりしたのか?」

 妹になる前のこととはいえ、聖雪がそんなことになっていたとしたら、遼に許せるわけがない。

「そんなことはないので、鬼の形相にならないでくださいよ」

 安心してホッとする遼であるが、そんなことを言われるなんて思っていなかったらしくて聖雪はため息をつく。

「だから暑くても黒いタイツをはいてるのか? 生足を見られたくないから」
「そうですね。紫外線が苦手というのもありますが。日焼けしたら真っ赤になってしまいます」

 日焼け対策だろう、聖雪は夏服なのに長袖のブラウスを着ている。
 それに加えて外に出る前はUVカットのクリームを塗っており、紫外線対策はバッチリだ。

「ならここにいない方がいいのか?」

 日影にはなっているが、今の時期は紫外線が強い。
 聖雪の身体を考えると、屋上にいない方がいいだろう。

「大丈夫ですよ。ちゃんと対策してますから日焼けはしませんよ」
「なら良かった」

 シスコンである遼には、聖雪に何かあったら我慢ならない。
 そもそも日焼け対策をしていないのであれば、聖雪は屋上に来ていないだろう。

「話を戻しますが、私が求めているのは兄さんのような人なんです」
「俺?」
「はい。性的な目で見るわけでもなく、私に愛情を向けてくれます」
「妹をそんな目で見るなんて兄として失格だろ」
「そうかもしれません。でも、兄さんは兄妹になる前からそんな目で見るなんてことはなかったですよ」

 ほとんど話したことはなかったが、聖雪はきちんとクラスメイトを見ていたようだ。
 遼が聖雪に興味を示さなかったのは、単に妹じゃないから。

「だから私はあのしきたりに従っているんですよ。いくらお母さんに幸せになってほしくても、流石に自分の身に危険を感じたら断ります」

 つい最近まで兄妹じゃなかったのだし、高校生で妹が出来たら思春期男子は性的な目で見てもおかしくない。
 妹が美少女だったら尚更だ。

「兄さんの温もりは私にとって心地好いんです。だからその……頭を撫でられたりイチャイチャするのは嫌ではありません」
「マジか。ずっとしたくなってしまう」
「それはダメです。人前だと恥ずかしすぎます」

 休み時間に頭を撫でられた時は、嫌がっていなかったが物凄く恥ずかしそうにしていた。

「でも、二人きりの時なら……いつでも大丈夫です」

 美少女が頬を赤らめながら上目遣いで言うのは反則だ。

「いつでもするが、別にご褒美にしなくても良かったんじゃ……」
「シスコンなら察してくださいよ。何かきっかけがないと言えなかったんですから」
「良くわからんが……」
「兄さんは鈍いみたいですね」

 少し呆れたらしく、再び聖雪はため息をつく。
 確かに遼は女っ毛がなかったために、多少は鈍感なのかもしれない。

「はは。俺は聖雪がいてくれるだけでいいがな」
「あ……兄さん……」

 二人きりならイチャつけるということで、遼は聖雪を自身に引き寄せた。

「兄さん、温かい……」

 よっぼど良いのか、聖雪は自分の顔を遼の胸にうずめる。
 遼の温もりに聖雪は完全に溺れてしまったようだ。
 予鈴がなるまで、二人はこのままで過ごすのだった。
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