古書堂にようこそ。 ~短編集~

紫の鯨

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オカルト部 ~女子トイレの解~

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新学期から五日がたった頃。
「オカルト部?」
俺マサトは親友のエノモトからその部活の存在を知らされる。
「そう!オカルト部!」
「胡散臭そうだな。」
俺は苦笑いで言う。
「マサト!一回見学に行ってみようよ!!!」
「ったく...しょうがねぇなぁ。」


放課後。俺たちはオカルト部の部室前にいる。
「............マジで入るの?
「もちろん!いっくよー!」
ガラッと扉をあける。
おい!入室前にはノックだろ!?PTOをわきまえろよ!


「え!?」 


女性の声が聞こえる。
目に入ってきたのは少し服がはだけている女性と上半身裸の男。
女性は俺らの顔をみると逃げるように教室を逃げ出す。
「....なんで僕の楽しみを邪魔したのさ。」
「逆に聞くけど、なんで部室でこんなことしてるのさ。」
男は俺を睨み付ける。
図星だから。
「あのぉ....オカルト部に体験入部しに来たんですけど....」
エノモトがそう言葉を発すると男は人が変わったように笑顔になる。
「え!?本当!?オカルト部へようこそぉ!僕は部長のクサカベだよぉ!」
「まだ、入るわけじゃないけど....」
俺が言うと、拗ねたように
「ったく。今年の一年は冷たいねぇ。」
「まぁ!見学楽しそうだから、きました!」
エノモトが取り繕うように言う。


「んじゃ、今日夜に一回の女子トイレに集合な。」
 

「「は?」」


俺とエノモトはすっとんきょうな声をあげる。
「先輩?なにサラッと犯罪行為しようとしてるんですか?」
............苦笑いで俺が言う。
先輩は笑いながら言う。
「見に行くんだよ。夜に悪さをするっていうトイレの花子さん。」
エノモトと顔を見合わせる。
思った以上にやばい。


そして、夜。
「おー!来たな~!」
先輩が嬉しそうに言う。
「ったく....家抜け出すの大変だったんだぞ!」
あのあと、色々会話をして、この人はタメでいいということがわかった。 
「ううぅ....夜の学校....こわい。」
エノモトが泣きそうな声で言う。
「なんでお前オカルト部入ろうと思ったんだよ。」 
「だって!こんなことすると思わないじゃない!」
「ほら。お前ら!さっさといくぞ。」
女子トイレの扉を開けて入っていく。
マジの犯罪行為だ。 


「いねぇなぁ。」
「だから、トイレの花子さんなんてただの噂ですよ....」
俺がそういうと同時に一つの個室のドアがガタガタと揺れだす。
「うわぁぁぁぁぁぁあ!?」 
エノモトが悲鳴をあげて、気絶する。
本当にこいつなんのためにここにいるんだ。 
「....マジか。どうしよ。」
先輩が震えるような声で言う。
「俺が開けます。心霊なんてあるわけない。」
そして、俺が個室のドアをあける。
「............え。」
 

そこにはなにもいない。 


「......................あれ!?マジ!?」
さすがの俺も怖くなってきた。
すると、出口の扉からカリカリという音が聞こえてくる。
「......................ふりかえります?」
「............いっせーのーで。でふりかえよう。」
俺とクサカベが振り替える。
「いっせーのーで!」 
ふりかえり、扉を見る。


そこにはトイレから出ようとする猫がいた。


「なんだぁ............」
「ビビったぁ............」
ほっと胸を撫で下ろす。
「はっ!あれ!?どうしたの!?」
エノモトが起きる。
「原因はこいつだった。」
俺が猫を抱き抱えて見せる。
「なんだぁ。オカルトとかじゃなかったんだねぇ。」
「まぁ、俺的にはすこし残念だったけどな!」
あんた、散々怖がってたじゃねぇか。
「まぁ、トイレの花子さんの正体は猫!これで解決ですね。帰りましょう。」
「えー!つまんねぇー!」
「早く帰ろうよぉ............」
そうして、エノモトとクサカベはトイレから出ていく。
「............今回は見逃してやるから今後悪さするんじゃねぇぞ。」
「わかった」
トイレからおかっぱ頭の女の子が顔を覗かせる。
「マサトー!はやくー!」
「おう!すぐいく~」
そうして、俺もトイレを出ていく。


そして、先生に見つかった。
怒られて帰されて、親にも怒られ、ようやくベッドに入れたのは3時だ。
まぁ、あの子を守れたのだから、いいだろう。
あした、あいつらに復讐してやる。
そうして、俺は眠りについた。
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