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22章:安らげる場所/静かなる焦燥
1話:白百合を抱いて(ファウスト)
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夕刻に王都隣接の軍港へと辿り着いた皆は馬車で宿舎へと戻った。
先に連絡を受けていた医療府は全ての準備を整えてルイーズとコナン、他にも治療が必要な者達の治療に取りかかった。
結果、ルイーズは容態も安定し深夜目を覚ました。復帰に多少かかるものの、今まで通りの生活を送れると診断された。
コナンも傷跡は残るだろうが、今後に支障はないとのこと。
また、深手を負った第三のメンバーも順次リハビリを開始し、経過を見て調整できるとなった。
軽傷者の中ではゼロスの傷が深く、それを聞いたクラウルは一瞬顔色を無くしていた。
だが軽く縫った程度で戻ってきて、予想通りの顔をしているのを見たゼロスが「情けない顔しないでください」と一喝すると、ゆるゆると戻っていった。
案外上手くゼロスが舵を取っている姿を見て、妙に微笑ましくもあった。
今日、城の鐘が重く鳴った。
隊員達は普段とは違う全身真っ黒の隊服を着て一列に教会へと進んだ。馬車には棺が二つ納められている。その先頭を、ファウストは進んでいた。
あの後、直ぐにファウストはウルバスに事を報告した。途端顔色を悪くし、震えた彼は呟くように「そうですか……」とだけ言い、涙をこぼした。ファウストも気持ちが重く俯いた。
馬車を引き連れ百人単位で犠牲になった二人を迎えに行ったウルバスは、憔悴しきった顔で淡々と国葬の準備を整えた。
騎士団が国葬を行う教会は決まっている。そこへと棺を運び込み、改めて葬儀が重々しく行われた。胸に剣を抱き、綺麗な隊服の上には騎士団の旗が掛けられている。ファウストとウルバスがその胸に白百合を添え、他の隊員も白花を棺に入れる。
最後の祈りが終わり、棺は穴へと納められ、皆で土をかけて黙祷を捧げた。
「やりきれませんね」
ウルバスの言葉に、ファウストは静かに瞳を閉じた。
その夜、ファウストはなかなか喪服を脱げないでいた。随分久しぶりだった気がする。昔、戦場ではそれこそ毎日で纏めて日を決めて行うなんて乱暴な事をしたものだが、ここしばらく死者は出していなかった。
ずっしりと心に重く、何度目か分からない溜息が出る。これでも明日からはまた通常の仕事となる。今回は負傷や疲労の度合いが重いため、遠征休暇は五日とした。通常は三日なのだが。
だが、ファウストはそれを言っていられない。ジェームダルからダンが来た事で彼の国の内情やテロリストの事、その後の事も大きく動きそうだ。その状態でファウストが暢気に休暇では話にならない。
だが本当は休みを欲している。体ではなく、心のほうが。
ふと、部屋をノックする音に視線を向ける。立ち上がるのが億劫で明かりも灯していない。けれど彼は、それも分かっていてドアを開けた。
「ランバート」
夜に差し込む月明かりのように、柔らかく差す金色が今は眩しい。弱く声をかければ、ランバートは静かに側にきてそっと隣りに腰を下ろした。
「すまない、今は」
「こんな時だから、側にいるんだよ」
譲る気はない。青い瞳が見つめてくる。真剣な中に強さと優しさのある眼差しに見られて、弱い心が悲鳴を上げる。
「情けない俺を見るぞ」
「散々見てきたんだから、今更だよ」
「言うな」
「勿論」
軽口のような会話。口を開くのも億劫だった気持ちがほんの僅か上を向く。ランバートは不思議だ。とても自然に人を上向かせる。
ふと、手が差し伸べられ髪を梳いた。いい子だと撫でられているような、そんな錯覚すらしそうな優しい動きだ。
「いいよ、泣いても」
「なに?」
「泣きそうな、苦しい顔をしている。俺だけなら構わないだろ?」
驚いて、だが胸の奥は大きく軋む。軋んだ事にまた驚いた。
泣きたかったのかもしれない。守ってやりたかった仲間を、部下を守れなかった悔しさと歯がゆさに。
戦いの場では怒りになった。これ以上犠牲を出してたまるかと奮起した。だが今、こうして冷静になり、見送って、心の中は申し訳ない気持ちと苦しさと、亡くなった者達への謝罪で一杯になっていた。
頬を、僅かに濡らすものがある。優しく頬を撫でたランバートが困ったように笑っていた。
「頑張ったよ、ファウスト。手を尽くしたんだから、もういいんだよ」
「いいはずがない。死んだ者にとっては、そんな言葉では納得なんてできないだろ」
「それはそうだけど。でも、俺ならよくやったって、言って欲しいし」
苦笑するランバートの言葉に、ファウストは小さく「え?」と溢した。
「謝っては欲しくない。アンタだって力を尽くしていた、それは分かってる。どうしようもない時だってある。だから謝罪じゃなくて、感謝がいい。お前のおかげで仲間は無事だって、言ってくれればうかばれる。俺なら、そうして欲しい」
言われて、ふと思い出す。亡くなった隊員は苦しげな顔はしていなかった。静かな表情だった。
安らかだったのだろうか。苦しい思いを残してはいなかったのだろうか。憎んだりはしていなかっただろうか。
きっと、していなかっただろう。眠るような穏やかな表情には、そんな暗い感情は見えなかった。
「明日からは元のファウストでいて。俺も少しだけ手伝うからさ」
「お前も休みだろ?」
「取りやめて、ファウストと同じタイミングで取らせてもらう事にした」
「また勝手な」
「いいよ、一人ではつまらないし」
何でもない事のように笑うランバートを、ファウストはかき抱くようにきつく抱いた。心の中を照らすようなランバートの存在がとても尊く大切で、縋るように抱きしめていた。
「頑張ったよ、ファウスト。お疲れ様」
優しい動きで背を撫でる、それだけで全てが温度と色を取り戻す。そんな不思議な温かさから、ファウストはますますランバートを手放せなくなっていった。
◆◇◆
▼ランバート
声も出せずに涙を流した人の不憫を、ランバートは感じていた。
その人は今、疲れ果てた様に眠っている。ただ互いの温もりを分け合うように抱き合って眠る穏やかさをファウストは求めた。
ずっと、ある種の危うさを感じていた。船で見た背中、葬儀の背中は一人で耐えているみたいに孤独に見えた。きっと、これまでもこうして耐えてきたのだろう。
でも、ランバートは知っている。泣きたい程に心が苦しく辛い時に泣かないと、それはずっと心に溜まって行くのだと。デュオを失った時のランバートがまさにそれだった。そしてその後、泣く事を許してくれたのはファウストだった。
あの時の感謝を、今少し返せているだろうか。ふと、そんな事を思う。
「やっぱりアンタは優しすぎるんだよ」
小さく呟き、微笑んで肌に触れる。心なしか泣き疲れた子供みたいに、今は安らかで少し幼く見えるファウストは起きる気配がない。睡眠時でも些細な事で目を覚ます事が多いこの人のこんな姿はちょっと珍しい。
それだけ、疲れていたのだ。
優しくて、一人で抱え込んで悩んで、苦しむ人だから。必要以上に責任を感じているのに、それを誰にも言わないから。そんなアンタの心まで守りたいと、思うようになっている。それが自分の役目なんだと。
ランバートはそっと笑って瞳を閉じる。ようやく、安心して眠る事が出来る気がした。
先に連絡を受けていた医療府は全ての準備を整えてルイーズとコナン、他にも治療が必要な者達の治療に取りかかった。
結果、ルイーズは容態も安定し深夜目を覚ました。復帰に多少かかるものの、今まで通りの生活を送れると診断された。
コナンも傷跡は残るだろうが、今後に支障はないとのこと。
また、深手を負った第三のメンバーも順次リハビリを開始し、経過を見て調整できるとなった。
軽傷者の中ではゼロスの傷が深く、それを聞いたクラウルは一瞬顔色を無くしていた。
だが軽く縫った程度で戻ってきて、予想通りの顔をしているのを見たゼロスが「情けない顔しないでください」と一喝すると、ゆるゆると戻っていった。
案外上手くゼロスが舵を取っている姿を見て、妙に微笑ましくもあった。
今日、城の鐘が重く鳴った。
隊員達は普段とは違う全身真っ黒の隊服を着て一列に教会へと進んだ。馬車には棺が二つ納められている。その先頭を、ファウストは進んでいた。
あの後、直ぐにファウストはウルバスに事を報告した。途端顔色を悪くし、震えた彼は呟くように「そうですか……」とだけ言い、涙をこぼした。ファウストも気持ちが重く俯いた。
馬車を引き連れ百人単位で犠牲になった二人を迎えに行ったウルバスは、憔悴しきった顔で淡々と国葬の準備を整えた。
騎士団が国葬を行う教会は決まっている。そこへと棺を運び込み、改めて葬儀が重々しく行われた。胸に剣を抱き、綺麗な隊服の上には騎士団の旗が掛けられている。ファウストとウルバスがその胸に白百合を添え、他の隊員も白花を棺に入れる。
最後の祈りが終わり、棺は穴へと納められ、皆で土をかけて黙祷を捧げた。
「やりきれませんね」
ウルバスの言葉に、ファウストは静かに瞳を閉じた。
その夜、ファウストはなかなか喪服を脱げないでいた。随分久しぶりだった気がする。昔、戦場ではそれこそ毎日で纏めて日を決めて行うなんて乱暴な事をしたものだが、ここしばらく死者は出していなかった。
ずっしりと心に重く、何度目か分からない溜息が出る。これでも明日からはまた通常の仕事となる。今回は負傷や疲労の度合いが重いため、遠征休暇は五日とした。通常は三日なのだが。
だが、ファウストはそれを言っていられない。ジェームダルからダンが来た事で彼の国の内情やテロリストの事、その後の事も大きく動きそうだ。その状態でファウストが暢気に休暇では話にならない。
だが本当は休みを欲している。体ではなく、心のほうが。
ふと、部屋をノックする音に視線を向ける。立ち上がるのが億劫で明かりも灯していない。けれど彼は、それも分かっていてドアを開けた。
「ランバート」
夜に差し込む月明かりのように、柔らかく差す金色が今は眩しい。弱く声をかければ、ランバートは静かに側にきてそっと隣りに腰を下ろした。
「すまない、今は」
「こんな時だから、側にいるんだよ」
譲る気はない。青い瞳が見つめてくる。真剣な中に強さと優しさのある眼差しに見られて、弱い心が悲鳴を上げる。
「情けない俺を見るぞ」
「散々見てきたんだから、今更だよ」
「言うな」
「勿論」
軽口のような会話。口を開くのも億劫だった気持ちがほんの僅か上を向く。ランバートは不思議だ。とても自然に人を上向かせる。
ふと、手が差し伸べられ髪を梳いた。いい子だと撫でられているような、そんな錯覚すらしそうな優しい動きだ。
「いいよ、泣いても」
「なに?」
「泣きそうな、苦しい顔をしている。俺だけなら構わないだろ?」
驚いて、だが胸の奥は大きく軋む。軋んだ事にまた驚いた。
泣きたかったのかもしれない。守ってやりたかった仲間を、部下を守れなかった悔しさと歯がゆさに。
戦いの場では怒りになった。これ以上犠牲を出してたまるかと奮起した。だが今、こうして冷静になり、見送って、心の中は申し訳ない気持ちと苦しさと、亡くなった者達への謝罪で一杯になっていた。
頬を、僅かに濡らすものがある。優しく頬を撫でたランバートが困ったように笑っていた。
「頑張ったよ、ファウスト。手を尽くしたんだから、もういいんだよ」
「いいはずがない。死んだ者にとっては、そんな言葉では納得なんてできないだろ」
「それはそうだけど。でも、俺ならよくやったって、言って欲しいし」
苦笑するランバートの言葉に、ファウストは小さく「え?」と溢した。
「謝っては欲しくない。アンタだって力を尽くしていた、それは分かってる。どうしようもない時だってある。だから謝罪じゃなくて、感謝がいい。お前のおかげで仲間は無事だって、言ってくれればうかばれる。俺なら、そうして欲しい」
言われて、ふと思い出す。亡くなった隊員は苦しげな顔はしていなかった。静かな表情だった。
安らかだったのだろうか。苦しい思いを残してはいなかったのだろうか。憎んだりはしていなかっただろうか。
きっと、していなかっただろう。眠るような穏やかな表情には、そんな暗い感情は見えなかった。
「明日からは元のファウストでいて。俺も少しだけ手伝うからさ」
「お前も休みだろ?」
「取りやめて、ファウストと同じタイミングで取らせてもらう事にした」
「また勝手な」
「いいよ、一人ではつまらないし」
何でもない事のように笑うランバートを、ファウストはかき抱くようにきつく抱いた。心の中を照らすようなランバートの存在がとても尊く大切で、縋るように抱きしめていた。
「頑張ったよ、ファウスト。お疲れ様」
優しい動きで背を撫でる、それだけで全てが温度と色を取り戻す。そんな不思議な温かさから、ファウストはますますランバートを手放せなくなっていった。
◆◇◆
▼ランバート
声も出せずに涙を流した人の不憫を、ランバートは感じていた。
その人は今、疲れ果てた様に眠っている。ただ互いの温もりを分け合うように抱き合って眠る穏やかさをファウストは求めた。
ずっと、ある種の危うさを感じていた。船で見た背中、葬儀の背中は一人で耐えているみたいに孤独に見えた。きっと、これまでもこうして耐えてきたのだろう。
でも、ランバートは知っている。泣きたい程に心が苦しく辛い時に泣かないと、それはずっと心に溜まって行くのだと。デュオを失った時のランバートがまさにそれだった。そしてその後、泣く事を許してくれたのはファウストだった。
あの時の感謝を、今少し返せているだろうか。ふと、そんな事を思う。
「やっぱりアンタは優しすぎるんだよ」
小さく呟き、微笑んで肌に触れる。心なしか泣き疲れた子供みたいに、今は安らかで少し幼く見えるファウストは起きる気配がない。睡眠時でも些細な事で目を覚ます事が多いこの人のこんな姿はちょっと珍しい。
それだけ、疲れていたのだ。
優しくて、一人で抱え込んで悩んで、苦しむ人だから。必要以上に責任を感じているのに、それを誰にも言わないから。そんなアンタの心まで守りたいと、思うようになっている。それが自分の役目なんだと。
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