初期ステータスが0!かと思ったら、よく見るとΩ(オメガ)ってなってたんですけどこれは最強ってことでいいんでしょうか?

夜ふかし

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20.エルフの村 その3

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塀の開いた所から村の中に入ってみると、すぐに茅葺の大きな建物が現れた。2階建の家みたいだが、どうやら俺達が今いる位置は、家の裏側のようである。なので、ここから玄関は見当たらず、壁の2階部分に手すり付きの窓がついているのが確認できる位だ。

「ラナ、たしか俺達は、隠し通路を使って村の一番奥側から入ってきたんだよな。って事は、村の一番奥にあたるこの建物が?」

確認するようにラナの方を向くと、ラナはこくんとうなずいた。

「ここが・・・族長と・・・師匠達の、家」

「やっぱりこの大きな建物がそうなのか!でも、ここからはどうするんだ?玄関も見当たらないから、俺達がいるのは多分裏側だよな?建物の脇を通って正面玄関にまわりこむのか?」

「・・・トオル・・・隠密、失格・・・。そんな事したら・・・正面で・・・見つかる・・・」

「分かったわ!この家の壁にもからくりを施してるのね!?」

「お姉様・・・発想が、天才・・・でも、勝手に・・・村の物、いじったら・・・族長・・・激怒」

「えっ?さっきの塀は、もちろん了解取ってからやってたんだよな?」

「・・・・・・。」

かすかに時効って聞こえた気がした。

「気を、取り直して・・・ここからは・・・こう、する」

ラナはそう言いながら、持ち運び用の忍者グッズであろうか、フック付ロープを取り出すと、その場でフックがついているロープの先の部分を空中で回転させ、軽く勢いをつけてから、2階の窓めがけてそれを投げた。

カチン。

どうやらラナが狙っていたのは、窓本体でなく手すりの方だったようで、先端のフックが窓の手すりに見事引っかかると、ラナはぎゅっぎゅっとロープを手前に引っ張った。縄を引っ張るのと連動してカチン、カチンと小さな音が2つ鳴った。

なるほど。
外れないようにフックをしっかり固定したわけだ。そしてここから壁を登って2階にいくんだな。

「これで・・・よし」

なんだかラナが本当に忍者っぽく見えてきたなと思っていたら、

ガラガラガラ。

窓が自動で開きだした。

いや、違う。誰かの声が聞こえるぞ。

「なんじゃ?何か窓から懐かしい音が聞こえたような気がしたんじゃが」

この声は・・・!

その窓から顔を覗かせたのはクロネだった。
さっき窓を開けたのもクロネだろう。

「師匠・・・やっぱり・・・今でも・・・気づいて、くれた」

話を聞くと、ラナがまだ小さい頃、隠し通路を通って修行に来ていた時は、さっきのカチンカチンという忍者式の呼び鈴で2階にいたクロネを呼び出していたのだという。フック付ロープは登るためのものじゃなく、澄んだ音が出るものを厳選したらしい。

クロネは俺達に気が付いて驚いた顔をしている。

「どうしてラナ達がここにいるんじゃ?今はエルフ族以外の者は村に入れなくなっておるはずなのに。あっラナか!さっきの音も、ラナがあの隠し通路を教えたんじゃな?」

「みんなで・・・師匠に・・・会いに・・・来た、です」

「クロネ!お前大丈夫なのか?なんか町で変な噂が流れているのを聞いてやって来たんだけど」

「クロネ!あなた怪我とかしてない?身体は大丈夫なの?」

「・・・みんな。ありがとうなのじゃ。あちきは、大丈夫なのじゃ。でも・・・今日は、このまま帰って欲しいのじゃ・・・今は、何も話せないのじゃ・・・」

声の大きさとその調子からすぐに分かった。クロネはいつもの元気をなくしているようであった。やはりエルフの村で何かが起こっているのか。

「俺達はクロネとシロネの力になりたくてここに来たんだ。何があったのか話してくれないか?そして力になれる事があれば何でも協力するぜ?」

「そうよクロネ!あなた達の力になりたいの!でもひとまずは、クロネが怪我とかしてないなら良かったわ。シロネも大丈夫なの?」

「シロネも大丈夫なのじゃ。でも・・・でも、父上が・・・やっぱりダメじゃ・・・ダメなのじゃ!これはエルフ族の話。エルフ族以外の他の種族の者には話せないのじゃ・・・」

「師匠・・・」

ぽつりと呟いたラナの方を見ると少し目を潤ませているようだった。

せっかくクロネに会えたのに。
それにやっぱり元気がない。
俺達には力になってあげられる事が何もないのか・・・?

さっきから何ができるかをずっと考えてはいるんだが、話も聞けない状況じゃ、まずはじめに何をしていいのかさえ分からない。一体どうしたらいいんだ?

「僕の力が必要かい?」

声のする方を向くと、宙に浮いた子狐が小さな手をグーにして親指を立てていた。

そうか!!
キュウならもしかすると・・・

「クロネ!キュウは?キュウはどうだ!?ほら、キュウも心配して一緒に着いてきてくれたんだぜ!」

そう言って宙に浮いていたキュウの胴を両手で支え、さらに高くに上げた。

「キュウちゃん・・・キュウちゃんも来てくれたんじゃな・・・」

「そうだ!さっきクロネがしてた話だけど、キュウはエルフ族とか他の種族とか、そんな種族にまったく関係がない精霊なんだから構わないだろ?それにキュウも、この前クロネが屋敷に遊びに来てくれて帰ってからさ、クロネがいなくなって寂しい!寂しい!って、ずっと泣いてうるさかったんだ。頼むよ!せっかくキュウがここまで来たんだから、キュウに少しだけでも付き合ってあげてくれないか?」

「おい、僕はそんな事言ってな・・・」

キュウの口を手で塞いだ。
キュウと目線が合わないよう俺は顔を背ける。

「どうだ、クロネ?」

クロネの方をじっと見た。
キュウを頭に添えてみる。

「そうか・・・キュウちゃんは、精霊じゃったな。それにキュウちゃんたっての頼みという事なら・・・わかった。わかったのじゃ」

よし!!

「・・・やれやれ。もう仕方ないな。高級油揚げ1週間分で手を打とうじゃないか」

そう言うと、キュウはすぅっと2階に向かって浮いていった。

俺達はそれを見送ってから、ずっとここに残っていては誰かに見つかってしまうかもしれないので、いったん塀の外に出てキュウの戻りを待つ事にした。
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