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大陸横断編

044話 希少鉱石「ネオウルツァイド」

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-ハイメス国 王宮-

翌日、再度国王に呼ばれ今度は4人で謁見する。

その場にはハイメス国の王侯貴族や宰相、軍務総省と言った位の高い人々も居る様だった。

公の場で国王自ら終戦を宣言する。
何人か納得のいっていない表情をしている貴族も居たみたいだけど私達には関係無いし。

終戦協定を結んでしまえば、新しい国交も始まるかも知れない。

予定通りハイメス国は国民全土にも戦争終結を宣言し、国防の強化へ国の方針を固め舵を切った。

暗黒神ザナファが復活したらモンスターは今より強化・凶暴化し街々を襲い始める。

国を挙げて周辺の街や村の防衛に当たる様だ。
明日より徴兵や冒険者への依頼も増やすと話していた。

都市を囲う巨大な結界装置の建造も着手するらしい。
デイア姫が指揮するなら多分ハイメス国は大丈夫だろう。

私達は終戦に関する書状を預かり、デイア姫と国王と王妃に挨拶を交わして再度オスロウ国へ向かう。

デイア姫は私達に馬を貸し出してくれた。
馬に乗ればオスロウ国まで3日の所を2日で行けるだろう。

それに山岳地帯以外はよりスピーディに進める。
乗り終えた馬は事情を説明してオスロウ国で預かって貰おう。

「戦争は回避出来ましたけど、希少鉱石レアメタルは貰えなかったですね。」

「オスロウで頼めば拙者は貰えるでござる。」

「賞金は辞退するにしても、願い事は聞いて貰えるからね。ギャルのパンティとか。」

くだらない話をしながら馬の手綱を引き山岳地帯を通る山道を抜け、そこからは乗馬でオスロウ国まで一直線。

ただ乗馬をした事無いせいかオスロウ国に到着する頃にはお尻がやたらと痛くなっていた。

アニメとかで簡単に乗っているけど現実は甘く無い様だ。
長時間乗り続けるのは快適とはとても言えない。

メタルボディのDOSどっちゃん以外は余すこと無く腰にきていた様だ。

オスロウ国に到着すると、城門を警備していた聖騎士隊と隊長のシグ自らが出迎えてくれた。

シグは全員の前で膝ま付いて、サクラの手の甲にキスをしているのを咲耶と2人でニヤニヤ見ていた。

サクラは「次にこの街を出る時は手の甲に毒を塗っておこう。」と物騒な事を言っていた。

サクラの事なので毒を塗った事を忘れて自分の目を擦って、どこかの大佐みたいに「目がぁ~!目がぁ~!?」とか言って騒ぐに違いない。

約一週間で王宮跡地は瓦礫が撤去され更地同然となっていた。

数日ぶりにクリス君に会い、昼食を一緒に食べた。

その後、オスロウ国の生き残った王族・貴族と軍備に関わる各部隊長を集め会議を開いて貰った。

そこでハイメス国で預かった終戦に関する書状を受け渡し隣国の政策と今後この世界に起こる事を説明した。

国王不在で国力が低下しているオスロウ国としては、終戦を受け入れる以外の選択肢は無い。

偽王の件も有り私達の話は王族・貴族も含め、すんなり浸透し新しい城の建設は一時白紙となり都市防衛費に回される事となった。

サクラは武闘大会の優勝賞金を辞退し王国に寄付する事で話纏め、代わりにこの国の希少鉱石レアメタルを貰う約束をしていた。

国家運営費や希少鉱石レアメタルと言った貴重品類は【イシコリドメの鏡】が保管して有った地下宝物庫に厳重に保管して有ったせいか、ヴァッサゴの魔法爆発に巻き込まれず無事だった。

地下宝物庫の一角に厳重に保管してある赤く自然発光する鉱石、各職業最強防具の素材となるアイテム【ネオウルツァイド】。

1度しか加工出来ないと言われる鉱物で不純物の無い純度100%のこの鉱物は無課金でも永久に壊れる事の無い伝説級の装備になる。

オスロウ国が勝利したシナリオなら、敗戦国となるハイメス国に保管して有る最強武器の素材となる希少鉱石レアメタル森羅万象しんらばんしょう】が手に入る。

ただ問題は他の必要素材もレアドロップ品が多数必要な為、サービス終了までに最強武器を手に入れたプレイヤーは数人だけと言う噂だ。

どんな設定だよ。
難易度高過ぎだでしょう。

したがってストーリーモードでは使う事の無いアイテムとしてストレージの肥やしとして有名なアイテムだった。

「これはシノブ殿が受け取るでござる。」

「へっ?私?なんで?」

「皆素材を少しずつ出し合えば足りるかも知れない、防御力は装備防具少ないシノブが最弱ですからね。」

「ありがと。」

確かに忍者は装備防具自体が少ない。
盗賊職系統の上級職の為、基本防御力やHPも低い。

装備品が少ないのは侍のサクラも同じだと思うんだけどな。

でも、ありがたく頂いておこう。

問題は必要素材だ。
武器程では無いけど結構色々とレアな素材が必要なのだ。

クリス君が私に【ネオウルツァイド】を差し出しそれを受け取る。
どの道この街では加工出来る職人が居ない。

次に向かう機械都市ギュノス国でイベントを解放する事で伝説の鍛冶屋と公営競売場オークションが解禁される。

ストーリーモードでは解放されないけど、この世界ではどうなんだろう?

「今日はオスロウ国で宿泊するでござる。」

「そうですね、サクラに賛成です!」

何だか急に仲良くなっているけど・・・
この2人は何か企んでいるんじゃないだろうか。

今晩はオスロウ国で宿を取り、明日の早朝に機械都市ギュノスを目指し出発する事にした。

オスロウ国で一番と名高い料理店で最高ランクを誇る肉料理に舌包みを打ち、宿屋で各々個室を取り休む事にした。

「サクラ、少し相談が有るので2人だけで飲み直しましょうか。」

「しょうがないでござるな・・・DOSドス殿、シノブ殿、申し訳ないでござるが咲耶がどうしても大事な相談が有ると言うので席をは外すでござる。」

夕食の際に酒を飲んでホロ酔い気分のサクラと咲耶は2人だけで飲み直すと話しながら酒場の通りへと歩いて行った。

この時点で私は大体察しが付いていた。
恐らく彼らは大衆浴場に出かけて行ったに違いない。

ハイメス国では大衆浴場が無かったので、わざわざオスロウ国で一泊する計画だったのだろう。

全く最低だな男は。

その後、酔っ払い男と同じ宿は危険だとDOSどっちゃんが小さい黒板に書いて私に伝えて来た。

DOSどっちゃんは意外と心配性だなと思いつつ、彼らが出かけている間に2軒隣りの宿にもう一部屋借りた。

元の部屋は【粘着麻痺罠】を仕掛けておいた。

DOSどっちゃんと別れ、借りた部屋のベッドに横たわる。
今日は誰にも邪魔されずゆっくり休もう。

ここからギュノス国までは徒歩で約1週間程度の旅となる。
途中小さな村を経由して最短ルートで行く予定だ。

道中の戦闘は咲耶に任せておこう。

対電撃装備を付けておけば巻き添えを食らう事も無い・・・

暫く考え事をしていたが、私はいつの間にか睡魔に任せて深い眠りに付いていた。
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