94 / 252
伝説の武器編
094話 亜人種
しおりを挟む
「さてと、余り気乗りはしないでござるが・・・。」
見るからに細く痩せ細った白い体に扱けた頬、目の下には睡眠不足なのか血行不良なのか分からないが目立つ隈がハッキリと浮かんでいる。
正直余り近付きたく無い。
だが依頼された仕事だから仕方が無い・・・
我慢して事情徴収しよう。
拙者は陰気な雰囲気を漂わせている黒魔術師を最初のターゲットに選ぶ。
食事でも美味しい物は最後に取っておくタイプなのだ。
「良い湯加減でござるな!」
まるで昔からの知り合いの様に気さくな感じで極自然に近付き、彼女の真隣に浸かり手ぬぐいを頭に乗せる。
少し温めの温度なのか長湯してものぼせ無さそうな感じで心地良い。
女性も多いし仕事さえなければ、のんびりと過ごせるのに。
隣の黒魔術師・・・
正確には黒魔術師ではないかも知れないが彼女は何やらブツブツと独り言を呟いている。
彼女は拙者の言葉に反応は無い。
聞こえなかったのだろうか?咳払いをして再度話掛けて見る。
「いやぁ~良い湯でござるな!其方も観光で来られたのでござるか?」
「・・・・・静かに、今神のお告げが聞こえています。ブツブツブツ・・・・」
「あ、ああ・・・申し訳ないでござるよ。わははは・・・失礼したでござる。」
何かの宗教的な儀式か?どちらにしても普通じゃない。
関わらない方が良さそうだ。
世間話をする雰囲気じゃない事を感じ取り黒魔術師と距離を取り次の容疑者に向かう。
高額な壺とか指輪とか売りつけてきたら面倒だ。
次はあの筋肉だ。
筋肉は間違いなく冒険者だ。
さしずめオスロウ国のクリスみたいに大剣を装備するタイプのウォーリアーと言った風貌をしている。
戦士は自身の剣や拳が届く範囲に入るのを嫌う人間が多い。
間合いを気にしながら少し距離を取り湯舟に浸かる。
「良い湯でござるな、骨の髄まで染み渡る。」
「ああ、そうだね。あんた冒険者か?」
筋肉の名前は「ウルズ」。
冒険者で先日このギュノス国へ訪れたばかりだと言う。
暗黒神復活後モンスター討伐の依頼が増え、そこそこの稼ぎが有り懐が温かくなったので温泉と国営賭博場が目当てでギュノス国へ来たらしい。
平たく言えば観光客だ。
適当に世間話をして体を洗って来ると洗面場所に移動する。
大して情報は得て無いが表向きはテロを行う工作員ではなさそうだ。
洗面場所を見ると女将が持参したであろう多数の洗顔薬やボディソープ類を周囲に並べて体を洗っていた。
拙者は女将の真横に座り話しかける。
「綺麗な肌をしているでござるな。何か良い化粧品でも使用しているでござるか?」
「あら、分かりますか?お目が高いですね。」
女将の名前は「カオル」。
東の商業区で女性向けの化粧品メーカーを経営する敏腕社長らしい。
そして何より話が長い。
マシンガンセールストークとでも言うのだろうか。
まず褒める。
拙者を上げて上げて上機嫌になった所にあなたにピッタリの商品がコチラ!と20品程紹介された所で、体が冷えて来たので湯舟に浸かると言い撤退する。
女将は別の意味でヤバイ、拙者が男で無ければ化粧品を1品位は買わされていただろう。
それ位、彼女の口が達者なのだ。
ジャパネット●かたバリの求心力と言うか今買わないと損する様な気持にさせる。
美人で若く見えるが首筋や手の甲等の年齢を隠せない部分を近くで見ると分かる。
彼女は30代に見える50代後半「美魔女」と言うヤツだ。
そそくさと洗面場所を移動し露天風呂に戻る。
最後は亜人種の猫耳だ。
遠目で見てもかなりの美少女だ。
人間年齢で16歳くらいだろうか?
色白のスレンダーな体付きで薄青色の髪に頭部に生える猫耳。
・・・真っ先に頭に浮かんだのが某新世紀生物兵器アニメのレイちゃんにそっくりな容姿だった。
拙者が近付くと、警戒心が強いのか同じだけの距離を取る様に移動して一定の距離を取る。
意を決して少し離れた距離から話しかけてみた。
「今晩は!そんなに警戒しなくても妙な事はしないでござるよ。少し其方に興味が有って、お話したいと思っているでござる。」
「ござる?ござるって何ですか!差別用語ですか?!」
「誤解でござる!拙者の地元で武士が使う語尾みたいなものでござる。」
「ふん・・・・変なの!」
ある程度の距離を保ちつつ会話が出来る様になった。
彼女の名前は「シャル」。
亜人の王国「アニマ国」から機械都市ギュノス国を単独で視察に来たらしい。
ゲームには存在しない国名を聞いて拙者の彼女への興味は違うベクトルに向かう。
アニマ国について興味が湧いた拙者は先程、女将から習得した話術を使用しシャルを褒めて褒めて褒めまくり出身国で有るアニマ国をまるで天国の様に表現した。
上機嫌になった彼女は拙者の近くに寄って来てアニマ国を素晴らしい国だと自慢し始める。
最初の拒絶的な彼女とは違い自慢げに自国と自身の事をペラペラと喋った。
不意に彼女が呟いた言葉が気になる。
「人間種にも、同じ目線で話をする人も居るんですね。」
「どう言う事でござるか?」
シャルが言うには人間種や機械種は亜人種や妖精種を軽視し奴隷として売買する事が有るらしい。
ゲーム本編には明確に出てこなかったがNPCの台詞でそういう歴史を語っていた人物が数人居た。
多分そのゲーム設定の世界観のまま歴史が進んでいるのだろう。
少し暗い表情になった彼女にいつか必ずアニマ国に遊びに行くから国内を案内して欲しいと頼むと喜んで了承してくれた。
うむ、彼女は素直で良い娘だ!工作員では無いだろう。
4人中3人の素性は分かった。
3人共嘘を言っている様子は無い。
ただ1人だけ真面に会話が成立していない見るからに怪しい人物が居る。
・・・黒魔術師だ。
どちらかと言うと神とか言っていたから信仰心の高い聖職者かも知れない。
過去のローマ法王にもSNSで画像加工されて魔王の様な見た目の人が居たし。
もしかしたら神のお告げの名の元に破壊工作を行うと言う事も有るだろう。
宗教的な解釈だと「与えられた試練」や「罪の償い」等で神の虐殺を受け入れる傾向に有る宗教も存在するし、まぁ人間が罪深いのが原因なのだが。
咲耶殿の方は情報が集まっただろうか?
露天風呂の隅に咲耶殿の姿を見つけ合流する事にした。
見るからに細く痩せ細った白い体に扱けた頬、目の下には睡眠不足なのか血行不良なのか分からないが目立つ隈がハッキリと浮かんでいる。
正直余り近付きたく無い。
だが依頼された仕事だから仕方が無い・・・
我慢して事情徴収しよう。
拙者は陰気な雰囲気を漂わせている黒魔術師を最初のターゲットに選ぶ。
食事でも美味しい物は最後に取っておくタイプなのだ。
「良い湯加減でござるな!」
まるで昔からの知り合いの様に気さくな感じで極自然に近付き、彼女の真隣に浸かり手ぬぐいを頭に乗せる。
少し温めの温度なのか長湯してものぼせ無さそうな感じで心地良い。
女性も多いし仕事さえなければ、のんびりと過ごせるのに。
隣の黒魔術師・・・
正確には黒魔術師ではないかも知れないが彼女は何やらブツブツと独り言を呟いている。
彼女は拙者の言葉に反応は無い。
聞こえなかったのだろうか?咳払いをして再度話掛けて見る。
「いやぁ~良い湯でござるな!其方も観光で来られたのでござるか?」
「・・・・・静かに、今神のお告げが聞こえています。ブツブツブツ・・・・」
「あ、ああ・・・申し訳ないでござるよ。わははは・・・失礼したでござる。」
何かの宗教的な儀式か?どちらにしても普通じゃない。
関わらない方が良さそうだ。
世間話をする雰囲気じゃない事を感じ取り黒魔術師と距離を取り次の容疑者に向かう。
高額な壺とか指輪とか売りつけてきたら面倒だ。
次はあの筋肉だ。
筋肉は間違いなく冒険者だ。
さしずめオスロウ国のクリスみたいに大剣を装備するタイプのウォーリアーと言った風貌をしている。
戦士は自身の剣や拳が届く範囲に入るのを嫌う人間が多い。
間合いを気にしながら少し距離を取り湯舟に浸かる。
「良い湯でござるな、骨の髄まで染み渡る。」
「ああ、そうだね。あんた冒険者か?」
筋肉の名前は「ウルズ」。
冒険者で先日このギュノス国へ訪れたばかりだと言う。
暗黒神復活後モンスター討伐の依頼が増え、そこそこの稼ぎが有り懐が温かくなったので温泉と国営賭博場が目当てでギュノス国へ来たらしい。
平たく言えば観光客だ。
適当に世間話をして体を洗って来ると洗面場所に移動する。
大して情報は得て無いが表向きはテロを行う工作員ではなさそうだ。
洗面場所を見ると女将が持参したであろう多数の洗顔薬やボディソープ類を周囲に並べて体を洗っていた。
拙者は女将の真横に座り話しかける。
「綺麗な肌をしているでござるな。何か良い化粧品でも使用しているでござるか?」
「あら、分かりますか?お目が高いですね。」
女将の名前は「カオル」。
東の商業区で女性向けの化粧品メーカーを経営する敏腕社長らしい。
そして何より話が長い。
マシンガンセールストークとでも言うのだろうか。
まず褒める。
拙者を上げて上げて上機嫌になった所にあなたにピッタリの商品がコチラ!と20品程紹介された所で、体が冷えて来たので湯舟に浸かると言い撤退する。
女将は別の意味でヤバイ、拙者が男で無ければ化粧品を1品位は買わされていただろう。
それ位、彼女の口が達者なのだ。
ジャパネット●かたバリの求心力と言うか今買わないと損する様な気持にさせる。
美人で若く見えるが首筋や手の甲等の年齢を隠せない部分を近くで見ると分かる。
彼女は30代に見える50代後半「美魔女」と言うヤツだ。
そそくさと洗面場所を移動し露天風呂に戻る。
最後は亜人種の猫耳だ。
遠目で見てもかなりの美少女だ。
人間年齢で16歳くらいだろうか?
色白のスレンダーな体付きで薄青色の髪に頭部に生える猫耳。
・・・真っ先に頭に浮かんだのが某新世紀生物兵器アニメのレイちゃんにそっくりな容姿だった。
拙者が近付くと、警戒心が強いのか同じだけの距離を取る様に移動して一定の距離を取る。
意を決して少し離れた距離から話しかけてみた。
「今晩は!そんなに警戒しなくても妙な事はしないでござるよ。少し其方に興味が有って、お話したいと思っているでござる。」
「ござる?ござるって何ですか!差別用語ですか?!」
「誤解でござる!拙者の地元で武士が使う語尾みたいなものでござる。」
「ふん・・・・変なの!」
ある程度の距離を保ちつつ会話が出来る様になった。
彼女の名前は「シャル」。
亜人の王国「アニマ国」から機械都市ギュノス国を単独で視察に来たらしい。
ゲームには存在しない国名を聞いて拙者の彼女への興味は違うベクトルに向かう。
アニマ国について興味が湧いた拙者は先程、女将から習得した話術を使用しシャルを褒めて褒めて褒めまくり出身国で有るアニマ国をまるで天国の様に表現した。
上機嫌になった彼女は拙者の近くに寄って来てアニマ国を素晴らしい国だと自慢し始める。
最初の拒絶的な彼女とは違い自慢げに自国と自身の事をペラペラと喋った。
不意に彼女が呟いた言葉が気になる。
「人間種にも、同じ目線で話をする人も居るんですね。」
「どう言う事でござるか?」
シャルが言うには人間種や機械種は亜人種や妖精種を軽視し奴隷として売買する事が有るらしい。
ゲーム本編には明確に出てこなかったがNPCの台詞でそういう歴史を語っていた人物が数人居た。
多分そのゲーム設定の世界観のまま歴史が進んでいるのだろう。
少し暗い表情になった彼女にいつか必ずアニマ国に遊びに行くから国内を案内して欲しいと頼むと喜んで了承してくれた。
うむ、彼女は素直で良い娘だ!工作員では無いだろう。
4人中3人の素性は分かった。
3人共嘘を言っている様子は無い。
ただ1人だけ真面に会話が成立していない見るからに怪しい人物が居る。
・・・黒魔術師だ。
どちらかと言うと神とか言っていたから信仰心の高い聖職者かも知れない。
過去のローマ法王にもSNSで画像加工されて魔王の様な見た目の人が居たし。
もしかしたら神のお告げの名の元に破壊工作を行うと言う事も有るだろう。
宗教的な解釈だと「与えられた試練」や「罪の償い」等で神の虐殺を受け入れる傾向に有る宗教も存在するし、まぁ人間が罪深いのが原因なのだが。
咲耶殿の方は情報が集まっただろうか?
露天風呂の隅に咲耶殿の姿を見つけ合流する事にした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
77
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる