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砂漠の国編

122話 砂漠の国「コダ国」

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祝勝会の翌日に国王に挨拶を済ませ、バンボゥ国を出国し南部の山岳地帯を超える。

約3日間掛けて山岳地帯を下り、更に山道を抜ける。
熱帯植物が生い茂り地平線が見える程の巨大な砂漠地帯が広がっていた。

見渡す限り砂・砂・砂・・・・
世界地図として見ると赤道の少し上に当たる場所で熱帯地域と言う設定だ。

「それにしてもシャルはギャン泣きでしたね。」

「う、うん。そろそろアニマ国に帰国出来たんじゃないかな。」

アニマ国からドラゴン討伐に派遣されていたシャルとエウルゥはバンボゥ国防衛成功したので、帰国命令が出されていた。

しかし、シャルが私に抱き着いて離れようとせずアニマ国の戦士長を辞めて私に着いてくると言って聞かなかった。

怒ったエウルゥが「辞めるにしてもケジメを付けてください。」と説教すると大泣きしながら渋々納得。

「あいる~び~ば~く!」と叫んでいた。

DOSどっちゃんが「ターミネーターか。」と言って、珍しく1人で苦笑していた。

うーん、ターミナータ・・・?
英語の意味は「断ち切る、終端、終焉」・・・何のこっちゃ?

私達は賑やかな亜人種デミヒューマンの2人との思い出を話ながら山際を歩く。
目的は乗り物を借りれる店がこの辺りに出店されているはずなのだ。

「この辺りのはずですが・・・」

「エルは何を探してるの?」

「う~ん、鳥屋って言ったらいいのかな?」

「鳥屋って・・・間違ってはいないけど。」

「焼鳥?」

「違う。乗り物だ。」

私達は砂漠に足を踏み入れず、熱帯植物が生い茂る山際を「とある施設」を探していた。

ゲームではこの辺りに遺伝子改良されたダチョウの様な鳥類「ティオネム」を貸し出しているレンタルティオネム屋が有ったはず。

簡単に説明すると有名ゲームの「ファ●ナルファンタジーシリーズ」に出て来る「●ョコボ」のパクリだ。

見た目をカラフルにしただけのガチパクりだ。

広大な砂漠を渡るのにティオネムは必須と言っても過言では無い。
ゲームでは転送装置が有るので、1度訪れた国家間移動は一瞬で移動出来る。

しかし、この世界では何故か転送装置が使えない。
その為、ティオネムは幾度も利用する事になりそうだ。

本来はサブイベントで1度か2度利用する位で終わりだが、「ティオネムレース」等プレイヤーが主催する大会が開かれたりと別の用途で使用される事が多かった。

程なくしてティオネム屋を見つけた私達は1人1羽レンタルする。

見た目は頭のでかいダチョウでくりくりした円らな瞳が可愛い。
良く人に懐いており撫でると気持ち良さそうに目を細めて頬擦りをしてくる。

「うんうん、可愛いね。」

「・・・美味しそう。」

「止めろ、アルラト!出禁になるぞ!」

私達は手綱を握り恐る恐る乗ってみる。

フワフワの羽がスプリングの様な役割を果たし馬よりも乗り心地は良さそうだ。
しかし、馬よりスピードが出るので振動がヤバそうな気がする。

また尻が死ぬ予感しかしない。
ゲームでは颯爽と走るスピード感が良いんだけど、リアルだと腰から尻の部分が物理ダメージを負うのは容易に予想が出来る。

私達はティオネム屋の店主にコダ国の方角を確認し、砂漠へと走り出した。


-コダ国 入口-


砂漠に出没するモンスターはUMAで有名なモンゴリアンデスワームを実体化させた様な毒と電撃魔法を使用する巨大な環形動物門貧毛綱「ディワーム」が出現する。

DOSどっちゃんが「トレマーズか。」と独り言を言い、咲耶が「古いです。」と返すと、その後2人は映画の話で盛り上がっていた。

どうやら先程からDOSどっちゃんが独り言で言ってたのは映画の話らしい。

砂漠を走っていると私の【索敵】に反応が幾つも有る。
私達は反応を避ける様に目的地の方角を走る。

戦う事も出来るが面倒なので逃げまくりながら約半日、砂漠とオアシスの国「コダ国」に到着した。


-コダ国-

・・・死んだ、主に尻が。

鞍の素材を高反発素材に替えるか更にスプリングを付けるべきだと思う。
馬用と一緒に商品化して特許を出願したらいけるんじゃないか?

街に到着しティオネムを降りるとティオネムは元居たティオネム屋へ勝手に帰還して行った。
なんとも賢い鳥だな、逃げられたりしないんだろうか。

想像以上の乗り心地に咲耶とアルラトはティオネム酔いをして倒れ、DOSどっちゃん以外は尾骶骨にダメージを負っていた。

私達は咲耶とアルラトを引きずりながら入国を済ませる。

丁度正午に差し掛かり日向で立ち止まると汗が浮き出すくらいの気温になっていた。

「暑い。」

「暑いでござるな。」

「暑いですね。」

街並みは石造りの家や施設が大半だがキャラバンのテントの様な簡易的な建物も多く見られた。
写真で見たエジプトの街並みの様な雰囲気だ。

街の中央には直径100メートル以上は有る巨大なオアシスが有り中央の小島の様な場所に、ヤシの木の様な熱帯植物に囲まれた巨大な石造りの城が聳え立っていた。

私達は取り敢えず大きめの宿屋を探し、部屋を確保しベッドに倒れ込む。

宿屋の店主に日が落ち始めると気温がグッと下がり始めると聞いた。
ゲームでは気温と言う環境データが無かったが砂漠地帯は寒暖差が激しいらしい。

安い回復薬を使用して下半身を治し、ダウンしている咲耶とアルラトをDOSどっちゃんに任せて労働組合ギルドでギルドカードの更新と蜃気楼の街の情報収集に出かける。

「砂漠用の装備を買おう。」

「賛成、砂地は歩きにくいし。」

そして暑い・・・とにかく暑い。

暗黒神ハーデスハーちゃんは対火炎耐性装備のお陰で暑さには強い。
1番暑そうな黒衣を纏いながらも平気な顔をしている。

皆の装備もそれなりに魔法防御力は有るが、気温による暑さには耐性が意味無い様だ。
1番最初に雑貨屋に行き熱帯植物の実から作られた日焼け止めを購入し全身に塗りたくる。

ついでに麦わら帽子にシャツと短パン、砂漠で歩き易く造られたスポーツサンダルタイプの【砂漠の具足】を購入し装備する。

冒険者と言うより観光客に近い恰好だが気候に合わせた装備は必要だ。
サクラも涼しい軽装を購入していた、ミカさんは我慢する様だ。

私達は労働組合ギルドに赴き、カードの更新を行う。
店内は冒険者が大勢待機しており、酒場も大変賑わっていた。

蜃気楼の街の噂は住民や冒険者の誰もが知っている位有名になっており、ここ1年位は夜間稀にコダ国の西側の砂漠に出現するとの噂だ。

その為、一攫千金を目的とした冒険者が挙ってこの国に集結している。

労働組合ギルドにも国から高額報酬で調査依頼が出されていた。
しかし、調査依頼を受託して帰還してきた冒険者は1人も居ないともっぱらの噂となっていた。

高難易度ダンジョンみたいな物だから生半可な冒険者では歯が立たないだろう。

「有力な情報は得られなかったね。」

「そうですね、常に出現している訳でも無さそうですし。」

「時間が掛かりそうでござるな。」

手分けして一通りの情報収集を終えた頃には日が沈み始めており少し肌寒くなっていた。

私達は宿泊予定の宿屋に帰還し夕食を食べた後、復活した咲耶とアルラトを加え街の中で営業しているティオネム屋でティオネム人数分をレンタルし砂漠の西側に出向いてみる。

目的の蜃気楼の街は夜間に稀に出現すると言う話だ。

遭遇するまで毎晩砂漠を探す必要が有りそうだ。




約4時間。
歩行速度を上げない様に入念に探してみるが今夜は見つける事が出来なかった。

街に戻る頃にはティオネム酔い患者と尾骶骨打撲患者が多数出ており、全員が即座に就寝する運びとなった。
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