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異世界崩壊編 前編
194話 黄衣の王「魔人ハスタ」
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無数のモンスターの残骸と強靭な力で捥ぎ取られた6本の腕が2人の周りに散らばる。
壊れるはずの無い彼女の所有武器【六道輪廻】はその全てが破壊されていた。
クトゥルと同様に修理値無限の装備を破壊する能力が有りそうだとサクラが小声で話す。
アルラトを片腕で吊るし上げている魔人ハスタは此方に気が付き『追いかけて来たのか?』と意外そうな表情をする。
魔人ハスタは大怪我を負ったアルラトを後方に頬り投げ、此方に向き直る。
魔人ハスタが指を鳴らすと【索敵】の敵勢反応が一瞬の内に全て消失する。
今何をしたんだ?周囲を取り巻く赤い敵勢マークが完全に消失する。
「え!?モンスターが消えた。」
「どうしたんですか?シノブ。」
「この街のモンスター反応が全部消えたんだよ。」
この街に点在するモンスターの反応が全て消失したのだ。
「ここに召喚するのか?いや、この街から開放したのか?」
「そんな事よりも今はアルラト救出を急がないと、瀕死の様に見えました。」
そうだ、腕を捥がれて動けない状態のアルラトがヤツの後方に居る。
うまく誘導してアルラトから距離を作り、咲耶に回復魔法を使って貰わないと。
私達は武器を構え陣形を構築する。
ミカさんがアイテムストレージから予備の盾を取り出し装備する。
盾の名前は分からないが、以前装備していた【ヒルドルの盾】の様に特殊な能力は付いていないはずだ。
あの盾が健在ならコダ国で死んだ100名以上の冒険者も蘇生出来たはず。
しかし【ヒルドルの盾】は私を守る為に使い破壊されてしまった。
ミカさんは私と伝説の防具【神衣カヴァーチャ】を守れたのだから問題無い。
むしろ無事で良かったと言ってくれている。
しかし戦闘で死者が出る度に私の中での罪悪感は心の中で増幅し重く圧し掛かって来る。
私がヘマをしなければ多くの人が救えたはずだ。
「シノブ大丈夫?顔色悪いよ。」
シャルが心配そうな顔で見つめて来る。
今は悩んでいる場合じゃ無い、アルラトを救うのが先だ。
私は大丈夫とシャルに伝え雑念を振り払う様に1歩前に踏み出す。
「ミカさん、私が先行します。回避を優先するので、私の後方には立たない様に随時指示をお願いします。」
「分かった。DOS状況に応じて中距離からの援護。サクラとクリスとシャルは右方向へ迂回、私と咲耶は左方向だ。ハーデスは後方からサクラ達を上位魔法で援護をして下さい。魔人ハスタを取り巻くシールドが解除出来るまで極大攻撃魔法は控えて下さい。」
私はミカさんが皆に指示を出すと同時に魔人ハスタの方向に走り出す。
私は【破壊刀イレース】を使うか迷う、あの刀なら簡単にヤツを取り巻くシールドを壊せそうな気がする。
しかし、状況を見る限り魔人ハスタはクトゥル同様にシステムを超越した装備破壊能力を有している。
【破壊刀イレース】は魔人ヨグトスを倒せるかも知れない切り札だ、今失う訳にはいかない。
私は改めて持ち慣れた小太刀【五月雨】、長刀【村雨】を装備し【影分身】を使用し魔人ハスタに一斉に斬り掛かる。
3体の分身体を見た魔人ハスタは少し驚いた表情をしたが【影分身】の斬撃は彼を取り巻くシールドに阻まれ切先が止まる。
『この程度か、驚いて損したな。』
3体の分身体が魔人ハスタの手によって簡単に消滅する。
私は一瞬の隙を付き2本の刀を合わせ剣技【地獄ノ業火】を使いシールド破壊を試みる。
切先が全てシールド内に侵入し燃え盛る青い炎が魔人ハスタの直前に迫るがギリギリで届かない。
思っていたよりも大分硬い。
私の攻撃力ではシールド破壊どころか貫通で精一杯で本体には届かない。
私は反撃が来る前にシールドから刀を抜き飛び退く。
その瞬間に先程居た位置に幾つもの穴が開き地面が抉れる。
ミカさんを行動不能にした重力波の様な風魔法だ。
同じ位置に長時間留まるのは危険だ。
魔人ハスタは指揮者の様に両手を振うと、走っている私の後方をそれを追うかの如く地面が押し潰される様に陥没していく。
攻撃事態は見えないが私自身を狙っているので常に動いていれば攻撃を避けるのは難しくない。
周囲を確認するとサクラ達が迂回し接近して来ている。
私は大きくUターンしてもう1度魔人ハスタに向けて走り、直前で【縮地】を使いシールドに向けて切先を合わせた1点突破攻撃を加えるがやはり本体には届かない。
「シノブ殿!」
サクラの声が聞こえた瞬間その場から飛びのく。
赤黒いオーラを纏った巨大な斬撃が魔人ハスタのシールドと重なり合い周囲に衝撃が走る。
クリス君の【ドラグスレイヤー】による斬撃でもシールドは壊れない。
クリス君の攻撃している逆側からサクラが【縮地】を使い【真・童子切安綱】を使った居合斬り【朧三日月・極】を発動した。
虹色の軌跡を作りながらシールドを斬り裂き、魔人ハスタの横脇腹に傷を付けた。
そのシールドの隙間を縫う様にシャルが魔人の懐に飛び込み巨大な鍵爪を突き刺しに掛かるが魔人ハスタは寸での所で回避をする。
自己再生なのか魔人の傷は直ぐに塞がったが傷を付けられた事によりサクラに向けて怒りの表情を浮かべる。
優先攻撃順位が完全にサクラに向いた様だ。
しかしあの刀はサクラの剣技と合わさると凄い威力だ。
魔人ハスタのシールドを簡単に斬り裂きシャルの攻撃をも本体に届かせた。
攻撃が当たりダメージが入るなら、どんなに強いボスでも勝機は有る。
ゲームを始めた頃は手探りをしながらボスの攻略法を見出し、攻略サイトや上手なプレイヤーの動画を参考にして効率的な動きを学び自身を最適化する。
私は攻撃を回避しながら初心を思い出し、勝てない相手では無いと改めて闘志を燃やした。
壊れるはずの無い彼女の所有武器【六道輪廻】はその全てが破壊されていた。
クトゥルと同様に修理値無限の装備を破壊する能力が有りそうだとサクラが小声で話す。
アルラトを片腕で吊るし上げている魔人ハスタは此方に気が付き『追いかけて来たのか?』と意外そうな表情をする。
魔人ハスタは大怪我を負ったアルラトを後方に頬り投げ、此方に向き直る。
魔人ハスタが指を鳴らすと【索敵】の敵勢反応が一瞬の内に全て消失する。
今何をしたんだ?周囲を取り巻く赤い敵勢マークが完全に消失する。
「え!?モンスターが消えた。」
「どうしたんですか?シノブ。」
「この街のモンスター反応が全部消えたんだよ。」
この街に点在するモンスターの反応が全て消失したのだ。
「ここに召喚するのか?いや、この街から開放したのか?」
「そんな事よりも今はアルラト救出を急がないと、瀕死の様に見えました。」
そうだ、腕を捥がれて動けない状態のアルラトがヤツの後方に居る。
うまく誘導してアルラトから距離を作り、咲耶に回復魔法を使って貰わないと。
私達は武器を構え陣形を構築する。
ミカさんがアイテムストレージから予備の盾を取り出し装備する。
盾の名前は分からないが、以前装備していた【ヒルドルの盾】の様に特殊な能力は付いていないはずだ。
あの盾が健在ならコダ国で死んだ100名以上の冒険者も蘇生出来たはず。
しかし【ヒルドルの盾】は私を守る為に使い破壊されてしまった。
ミカさんは私と伝説の防具【神衣カヴァーチャ】を守れたのだから問題無い。
むしろ無事で良かったと言ってくれている。
しかし戦闘で死者が出る度に私の中での罪悪感は心の中で増幅し重く圧し掛かって来る。
私がヘマをしなければ多くの人が救えたはずだ。
「シノブ大丈夫?顔色悪いよ。」
シャルが心配そうな顔で見つめて来る。
今は悩んでいる場合じゃ無い、アルラトを救うのが先だ。
私は大丈夫とシャルに伝え雑念を振り払う様に1歩前に踏み出す。
「ミカさん、私が先行します。回避を優先するので、私の後方には立たない様に随時指示をお願いします。」
「分かった。DOS状況に応じて中距離からの援護。サクラとクリスとシャルは右方向へ迂回、私と咲耶は左方向だ。ハーデスは後方からサクラ達を上位魔法で援護をして下さい。魔人ハスタを取り巻くシールドが解除出来るまで極大攻撃魔法は控えて下さい。」
私はミカさんが皆に指示を出すと同時に魔人ハスタの方向に走り出す。
私は【破壊刀イレース】を使うか迷う、あの刀なら簡単にヤツを取り巻くシールドを壊せそうな気がする。
しかし、状況を見る限り魔人ハスタはクトゥル同様にシステムを超越した装備破壊能力を有している。
【破壊刀イレース】は魔人ヨグトスを倒せるかも知れない切り札だ、今失う訳にはいかない。
私は改めて持ち慣れた小太刀【五月雨】、長刀【村雨】を装備し【影分身】を使用し魔人ハスタに一斉に斬り掛かる。
3体の分身体を見た魔人ハスタは少し驚いた表情をしたが【影分身】の斬撃は彼を取り巻くシールドに阻まれ切先が止まる。
『この程度か、驚いて損したな。』
3体の分身体が魔人ハスタの手によって簡単に消滅する。
私は一瞬の隙を付き2本の刀を合わせ剣技【地獄ノ業火】を使いシールド破壊を試みる。
切先が全てシールド内に侵入し燃え盛る青い炎が魔人ハスタの直前に迫るがギリギリで届かない。
思っていたよりも大分硬い。
私の攻撃力ではシールド破壊どころか貫通で精一杯で本体には届かない。
私は反撃が来る前にシールドから刀を抜き飛び退く。
その瞬間に先程居た位置に幾つもの穴が開き地面が抉れる。
ミカさんを行動不能にした重力波の様な風魔法だ。
同じ位置に長時間留まるのは危険だ。
魔人ハスタは指揮者の様に両手を振うと、走っている私の後方をそれを追うかの如く地面が押し潰される様に陥没していく。
攻撃事態は見えないが私自身を狙っているので常に動いていれば攻撃を避けるのは難しくない。
周囲を確認するとサクラ達が迂回し接近して来ている。
私は大きくUターンしてもう1度魔人ハスタに向けて走り、直前で【縮地】を使いシールドに向けて切先を合わせた1点突破攻撃を加えるがやはり本体には届かない。
「シノブ殿!」
サクラの声が聞こえた瞬間その場から飛びのく。
赤黒いオーラを纏った巨大な斬撃が魔人ハスタのシールドと重なり合い周囲に衝撃が走る。
クリス君の【ドラグスレイヤー】による斬撃でもシールドは壊れない。
クリス君の攻撃している逆側からサクラが【縮地】を使い【真・童子切安綱】を使った居合斬り【朧三日月・極】を発動した。
虹色の軌跡を作りながらシールドを斬り裂き、魔人ハスタの横脇腹に傷を付けた。
そのシールドの隙間を縫う様にシャルが魔人の懐に飛び込み巨大な鍵爪を突き刺しに掛かるが魔人ハスタは寸での所で回避をする。
自己再生なのか魔人の傷は直ぐに塞がったが傷を付けられた事によりサクラに向けて怒りの表情を浮かべる。
優先攻撃順位が完全にサクラに向いた様だ。
しかしあの刀はサクラの剣技と合わさると凄い威力だ。
魔人ハスタのシールドを簡単に斬り裂きシャルの攻撃をも本体に届かせた。
攻撃が当たりダメージが入るなら、どんなに強いボスでも勝機は有る。
ゲームを始めた頃は手探りをしながらボスの攻略法を見出し、攻略サイトや上手なプレイヤーの動画を参考にして効率的な動きを学び自身を最適化する。
私は攻撃を回避しながら初心を思い出し、勝てない相手では無いと改めて闘志を燃やした。
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