特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

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閑話休題 -ポルタフォール街道-

閑話休題 -02話-[アスペラルダ~ポルタフォール道中Ⅱ]

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 アスペラルダを出発してから5日が過ぎた。
 馬車であればもう到着しているかもしれないが、
 クーの様子を見ながらなので、
 速度が上でもひとつひとつの行動も準備も手早く済むであろう玄人連中より遅いのは仕方ないな。
 それでも徒歩で掛かる期間の半分で着く予定なので、
 2~3日中には[ポルタフォール]に着くだろう。

「そういえば、ポルタフォールって大きな湖の上にある街なんだよな?」
「そうですね。
 湖の底がとてつもなく深くて、
 大きい穴という意味のホールと、
 水が引いている時に見られる滝のフォールを掛けて名が付いたそうです」
「その水はこの地域の山などを通して、
 最後に浄化された水が流れ込んでくる中心点なのです。
 穴の底から水脈を通って各地にある水源などから、
 湧き水として循環しているのです」
「じゃあ今まで通ってきた河の水も1度は[ポルタフォール]を経由しているって事?」
「その通りです」

 なんだかんだで走行中でも話が出来る程度に余裕が出た俺達は、
 次の街に着く前に整理をしていた。

「その穴って相当深いんだろ?溺れるやつがいるんじゃないか?」
「聞いた話だと死亡者は居ないらしいです」
「え?なんで?」
「さぁ?メリーは聞いたことがありますか?」
「私が聞いたのは溺れた人はいつの間にか、穴の淵にある浜辺に打ち上げられるそうですよ」
「不思議ですねぇ」
「いや、海流みたいなもので運ばれたんだろう」
「海流って何ですか?」
「海には自然の流れが決まっていて、
 ただのボートもいずれはどこかの浜に辿り着くんだよ。
 まぁ遭難者が死んだあととかがほとんどだけどね」
「湖は海より狭く、浜に囲まれているから生還できるということですか?」
「そうだと思うよ、湖だから詳しくはわからないけどね。
 精霊が流れを造っているのかもしれないし」
『あくあもできる?』
「いや、無理だと思うよ。何人も精霊が必要なんじゃないかな」
『そっかぁー』
「そろそろ休憩時間です」
「じゃあ、次の終点でな」
「『はーい』」

 一旦休憩を挟む。クーもこの数日で確実に成長をしており、休憩中に眠らなくなった。

「クー。核が劣化した感覚はあるか?」
『いえ、特には』
「クーが加階してからそろそろ2週間経つし、
 成長もアクアの時とは違って意識的に促進を図っている。
 劣化状況の確認の為、夜に1度核の交換をしよう」
『わかりました』
『ますたー、あくあはー?』
「アクアはもう専用の核になってるんだから、
 交換は必要ないってアルカトラズ様からお墨付きをいただいてるだろ。
 前みたいに不調に見えたら確認しよう」
『・・・あー、なんかねむいなー』
「構って欲しいのがバレバレだぞ。
 そんな演技してないでいつもみたいに来ればいいだろ」
『わぁーい、ますたー!』
『あの、マスター・・・』

 少し緊張した面持ちでモジモジするクー。
 珍しく自分の意思を表に出す闇精霊に意識を向ける。

『これまでマスターをマスターとお呼びしておりましたが、
 自分なりに考えまして、その・・呼び方を替えようかと思います』
「あぁ、そういえば好きに呼ぶように言ってたな。
 クーが呼び安いなら好きに決めていいぞぉ」

 アクアを胡座に座らせて、クーと見つめ合う形を取る。

『マスターは優しくしてくださいました。
 マスターは頼り甲斐があると感じました。
 マスターはクーの事を大切に扱ってくださいました。
 まるで・・・お父様のようだと思いました』
「わかりますよクーちゃん。ついつい甘えたくなるんですよね」

 クーの真剣な話の途中でアルシェが合いの手を入れる。
 しかし、お父様かぁ。こいつらはまだ幼いから言い得て妙だが・・・。

『クーはマスターをお父様と呼びたいと思います。
 精霊にとって仲間は家族も同然ですが父母という括りではありません。
 唯一アルカトラズ様が肉親のような立場でいらっしゃいますが、
 あの方はクー達に何かを求めることはありませんし、干渉もしてきません』
「・・・・・」
『ですので。もし家族がいたら、父親が居たらと考えたら。
 お姉さまとマスターが思い浮かびました。
 クーはマスターをお父様と認識してします。
 そう、呼びたいと思っています・・・呼んでもいいでしょうか?』

 暫しの沈黙があった。
 もちろんクーの呼び方を容認するのは簡単だが、
 正直に言うと複雑な気持ちでもある。
 まだ、嫁もいないのに俺を父と呼ぶ存在を認めてもいいのだろうか、と。

 嬉しいのは嬉しいさ、
 初めはアクアにベッタリだったクーが俺にここまで心を開いてくれたんだからな。
 もともと年下の子として扱ってきた部分は大いにあるし、
 純粋なところに心安らぐことはある。
 しかし、お父様!
 お父様はわりと引き返せなくなるラインの呼び名ではないだろうか?
 俺さ、いずれ元の世界に帰る予定がある身なんで、
 クーに泣かれると参っちゃうじゃないか?
 アクアだって泣き喚くぞ、精神年齢はクーより幼いように感じるからな。
 あぁ、俺はどうすれば・・・(ここまで1秒)

 目をクーに向ければ、すぐに返事が無いことを不安に思い俯く姿が目に入る。
 あぁ、ダメだ!子供を泣かせる大人にだけはなりたくないんだ!!

「いいよ、Myドーター」
『・・・え?マスター?』
「お父様じゃなかったのか?」
『っ!お父様っ!!』

 ゴロゴロと喉を鳴らして俺に擦り寄るクーを見て思う。
 俺に父親が務まるのだろうか。
 自分の父親を思い出すが、
 小学生の時に離婚してそのまま家を出た背中に答えは出なかった。
 まぁ、父親になったものは仕方ないだろ、
 子供にも戦いをさせる鬼父を目指そうじゃないか。

「あんなに甘えて・・・羨ましくなんてないんですからねっ!」
「何を言ってるんだか。
 時々夜中にテントに潜り込んで俺が起きる前に戻っているのを知らないとでも?」
「え゛!?」
「情報源は秘密だ」
「メリー!」
「今回は私ではありませんよ」
『あくあだよー』
「あ、アクアちゃん・・・くっ、怒るに怒れないよー(泣)」
「こいつらはまだ幼いから今だけだよ。
 成長は早いはずだからすぐに親離れするさ。
 アルシェはラインを引く話をどこにやったのかな?」
「ぐっ!まだ未定です」
「メリーも止めなくなったのか?」
「いつも走って疲れてますし、
 アルシェ様が出ていくのに気づかなかったですねー(棒)」

 わいわいと会話をしつつも、出発の準備を進める。
 あと、一息で[ポルタフォール]に着く。
 もう解決してしまっているかもしれないが、
 百聞は一見に如かずだから、ひと目見て回ろう。

「じゃあ、行くぞー」
「はい」
「準備は出来ております」
『ごー』
『影に失礼します、お父様』

全員の姿を確認して出発する。
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