特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

文字の大きさ
88 / 450
閑話休題 -マリーブパリア街道-

閑話休題 -21話-[マリーブパリア街道Ⅲ]

しおりを挟む
「続けて魂の話に移るぞー」
「よろしくおねがいします」
「お、おねがいします」
『もう嫌ですわ-!』

 KKA可愛い賢いアルーシェカはちゃんと頭の整理をしてから臨んでいるが、
 マリエルは多少賢い部分も見え隠れするが、
 どちらかと言えば脳筋なので頭から煙が立っているのが見えるようだ。
 ニルは勝手にクーのところに飛んでいこうとしていたから、
 トンボのように羽を掴んで拝聴させる。

「魂ってのは所謂、特殊な雷で構成されている。
 お前達には説明が難しいのでそういう事で理解してくれ」
「わかりました」
「タマシイハ、イカズチ・・」
『魂は雷・・・』
「人によっては[プラズマ]とかって呼ばれるんだけど、
 まぁ雷で構成されているんだから当たり前だろって感じだな」

 PCとか電子機器がある世界であればもっと上手い事説明出来るんだろうが、
 存在しない以上雷の多様性として説明するしかない。

「俺の世界ではこの魂を分析して、
 魂の上書きが出来るという理論まで立てられているほど、
 情報の塊なんだ」
「上書きって・・・そんなこと可能なんですか?」
「専門的な知識はないけど、俺の知識だけでも仮説は立つくらいだ。
 可能なんだろうな・・」
「じゃあ、姫様の魂を分析してニルちゃんに上書きとかも出来るんですか?」
『え!?ニル死んじゃうんですの-!?』
「いやいや、死なない死なない。仮定の話だから。
 でも、受肉していない精霊に上書きか・・・」

 逆に高次元生命体のニルの魂をコピーして、
 アルシェにペーストした場合は、
 器が適応出来なくてエラーが発生するんじゃないかと考えられる。
 その場合はおそらくアルシェは植物人間になる可能性が高い。

 では、アルシェをコピーしてニルにペーストして成功するのか?
 高次元生命体は肉体がなくてもこうして生き物として存在している。
 それは俺たちの世界の魂とは在り方が違うんじゃないか?
 だから魔神族も生き返らせたりを自在に出来るのか?

「隊長が思考モードに入りましたね」
「黙って待ちましょう。
 でも上書きって想像するだけで怖いですね」
「姫様が何人もいれば心強いですけどね」
「嫌よぉ、お兄さんの体は1つしかないのよ?
 夜が来る度にどうなるか考えるだけでも面倒だわ」
「あ、そっちの心配ですか・・・」

 もしもアルシェをペーストする事で、
 ニルの高次元足る何かを破壊や消したりする事になった場合はどうなるんだ?
 別の次元に行く?対消滅?
 肉体を持たないニルというところがネックではあるけど、
 流石に全部想像の域を出ないな。これは時間があるときにでも考察してみよう。

「すまんな、待たせたか?」
「いえ、大丈夫ですよ。
 待っている間にメリーとクーちゃんが、
 菓子とお茶を出してくれたので少し落ち着きましょう」
「おぉいつの間に・・ありがたく頂戴しよう」

 口に含むクッキーの甘味が今の思考で消費した糖分を回復させ、
 お茶の仄かな苦みが口に広がり頭の中をリフレッシュしてくれる。

「さっきのマリエルの質問だけど、答えは出なかった。
 でも逆だったら多分アルシェは魂が壊れて、
 生きているけど動かない人形みたいな状態になると思う」
「私で仮定を話さないでくださいよ-!」
「ハハハごめんな。高次元の魂の器と下界の魂の器の違いでそうなるんじゃないかってあくまでも予想だ」
「もー!」


 * * * * *
 おやつを食べてから改めて話の続きを始める。

「さっきの話の続きだけど、魂に情報量の限界はない。
 極論、神様は魂である」
「ふんふん、で、その魂があるとなんで体を動かせるんですか?」

 おやつを口に含みながら適当に聞いてくるマリエルの質問だが、
 割と重要っぽいことなのでとりあえず答えてみる。

「そこまでは俺も流石になぁ・・・。
 魂は生命として活動した間の記憶を貯め続けるから入る器の情報はない。
 体の動かし方はDNAと呼ばれる生き物の体に刻まれた情報を利用することになる。
 脳みそは半霊機関でヤハウェが溜め込んだ記憶をDLダウンロードする為の物ってくらいしか・・・」
「脳みそ、ってなんですか?」

 そこからかぁ!!そういうとこやぞ異世界!
 医学の進歩あくしろっ!
 再び枝を手にし、
 世界の横に脳みその絵を描いていく。

「えっと、人だけでなく生き物の頭の中にこんな感じの脳ってのがある。
 ここは体を動かす上でもっとも大事なところで、
 傷が付くだけで下半身だけ動かなくなったり、
 腕は動くが指は動かなかったりと機能不全を起こす。
 最悪死ぬこともあるから、人を殺したいときは頭を撃つのが常識だ」
「つまり、魂とその脳が何らかで結びついて、
 初めて私たちは生きる事が出来るんですね?」
「そうだ。
 で、話は最初に戻ってくるけど、
 ニルには魂が活動する次元の特定と、
 魂の情報を破壊する方法の模索をしてもらってるんだ。
 シンクロ出来れば資料として俺が対処した時の情報を渡せるんだけどな・・・」
「シンクロまだ難しいですよねぇ・・・ひと月も経っていませんし」
「今もそんな扱いじゃ駄目なんじゃないですかぁ?」

 マリエルの指摘に手元に視線を移すと、
 俺に羽を摘ままれたまま長話に眠りこけるニルが映る。
 子供には退屈な話だったか・・・。
 シンクロは同じ目標というか、
 意思がひとつにならないといけないんだけど、
 ニルはアクア以上に自由奔放だからなぁ。

「まぁ、王都に着くまでにはシンクロがなくても、
 魂の認識まではなんとかしたいところだな」
「他にも目標はありますか?」
「魂=記憶と説明しただろ?
 だから勇者が魔神族を倒した後に出てくる魂を捕まえて解析できれば、
 敵陣の情報のほぼ全てが手に入るんじゃないかと思ってな」
「流石隊長、エグイ事考えますねぇ」
「安全を確保したまま丸っと情報が手に入るんだぞ?
 利用しない手はないだろ・・・まぁ、この世界の魂の概念がどうなっているのかはわからんけどな」

 人種だけでも獣人や精霊だけでなくそこからさらに種類が分かれるんだ。
 人間だけ見れば俺達の世界なら白人・黒人・黄色人の3つだけど、
 この世界の住人は複雑だ・・。
 そういう部分に目を向ければ同じシステムであるはずはない。
 だから魂の捕獲が上手くいったところで俺の考えている予定調和にならない可能性もある。
 神様の話も四神に座っている4大精霊しか話は聞かないし、
 まだまだ世界の確信を知るには程遠いな・・・。
しおりを挟む
感想 87

あなたにおすすめの小説

家の庭にダンジョンができたので、会社辞めました。

希羽
ファンタジー
都内のブラックIT企業で働く社畜・佐藤健太(27歳)。 手取り18万、残業100時間。唯一の資産は、亡き祖母から相続した郊外のボロ戸建てだけ。 「このまま死ぬのかな……」 そう絶望していたある夜、庭の物置の裏に謎の穴が出現する。 ​そこは、なぜか最弱モンスターしか出ないのに、ドロップアイテムだけは最高ランクという、奇跡のボーナスダンジョンだった。 試しにスライムを叩いたら、出てきた宝石の査定額はなんと――【1,000,000円】。 ​「……え、これ一個で、俺の年収の3分の1?」 ​スマホアプリで即換金、ドローン配送で手間いらず。 たった10分の庭仕事で5000万円を稼ぎ出した健太は、翌朝、上司に辞表を叩きつけることを決意する。

優の異世界ごはん日記

風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。 ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。 未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。 彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。 モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。

【完結】辺境の魔法使い この世界に翻弄される

秋.水
ファンタジー
記憶を無くした主人公は魔法使い。しかし目立つ事や面倒な事が嫌い。それでも次々増える家族を守るため、必死にトラブルを回避して、目立たないようにあの手この手を使っているうちに、自分がかなりヤバい立場に立たされている事を知ってしまう。しかも異種族ハーレムの主人公なのにDTでEDだったりして大変な生活が続いていく。最後には世界が・・・・。まったり系異種族ハーレムもの?です。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)

排他的経済水域
ファンタジー
12歳の誕生日 冒険者になる事が憧れのケインは、教会にて スキル適性値とオリジナルスキルが告げられる 強いスキルを望むケインであったが、 スキル適性値はG オリジナルスキルも『スキル重複』というよくわからない物 友人からも家族からも馬鹿にされ、 尚最強の冒険者になる事をあきらめないケイン そんなある日、 『スキル重複』の本来の効果を知る事となる。 その効果とは、 同じスキルを2つ以上持つ事ができ、 同系統の効果のスキルは効果が重複するという 恐ろしい物であった。 このスキルをもって、ケインの下剋上は今始まる。      HOTランキング 1位!(2023年2月21日) ファンタジー24hポイントランキング 3位!(2023年2月21日)

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...