特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

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第12章 -廃都フォレストトーレ奪還作戦-

†第12章† -04話-[動き出す瘴気]

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〔手前50体は瘴気の鎧だけ剥がしてそのまま抜けさせてください〕
「了解。後続40はこっちで対処する」
〔お願いします〕

 選手交代して戦闘を開始したのが日の入りだったが、
 それからずっと戦い続けて山向こうからは日の出が見え隠れしている。

「《光竜一閃こうりゅういっせん!》」

 魔力多め、斬撃大きめに撃ち放つと予定通りの集団がすっぽんぽんになって俺たちの真下を通り抜けてリッカとアルシェが待機する後方へて突撃して行った。
 俺とアクアの視線は俺たちが叩く必要のある次の集団に定められる。

「《星光せいこうかがやけ!星光天裂破せいこうてんれつはっ!》」

 夜ほど映えなくなった光の柱によって低ランクが脱落。
 続けて耐えた個体と脇から抜けてきた瘴気モンスターに上空から強襲して蹴散らしていく。
 もうね。
 夜中の間ずっと同じ対応をしていればルーティーンとなるんだよ。
 ゲームのレベル上げと大して変わらん。
 大攻撃で粗方を潰せば中攻撃と小攻撃でなんとでもなる理由は単純で、
 ダンジョンに出るモンスターは単純に視認した人間に襲いかかる。
 外の世界に出る魔物は野生で生きているだけあって無闇に襲ってこない。
 そして瘴気モンスターは凶暴性が無駄に上がっている所為で我武者羅に生き物へと突進を繰り返す。

 よって、慣れれば瘴気モンスターほど楽な戦闘は無い。

〔クリア〕
「こっちも終~わりっと・・・」

 地上を掃討すれば再び空へと逃げる。

『ますたー、アクア眠くなってきたよぉ~』
「もうちょっとだけ耐えな。
 冬の日の出だからおそらく7時くらいだから、
 もう1~2時間もすれば光球を消しても問題はなくなるし、
 兵士達の交代もその辺だろうからな」
『あい~』

 まぁ交代前になればメリーかクーのどちらかから連絡が入ると思う。
 そういう気遣いの出来る奴らだ。

隷霊れいれいのマグニは様子見をしてるのか・・・?
 初日が一番イレギュラーに弱いだろうになんで禍津核まがつかくを使ってこない?」
『使わない理由ってな~に?』
「数が限られているか、
 精霊を捕まえられていないか、
 もっと時間を掛けて今の瘴気モンスターに慣れたところで効果的に使うか、かな?」

 不気味な感じがしない。
 なのに以前使った手札をまだ切らないという選択の意味がわからない。


『ん~、精霊は捕まえようと思えば捕まえられると思うよぉ~?
 魔神族っていっぱい居るよねぇ~?』
「いまのところは5人確認できていて、
 6人目がいるかもって程度だけど10人以上はいると考えておくべきだ。
 確かにあの強さなら捕まえるだけなら手はいくらでもあるだろうな」
『だから1番と3番がアクア的には怪しいかなぁ~って。
 数が少ないから効果的に使いたいんじゃな~い?』
「効果的って場面がどういう時かわからん。
 今のままだとずっと状況は変わらず確実に前進出来るからな」

 向こうから俺たちを見てんのか?
 何が知りたい?
 何を待っている?
 何もアクションを起こさないは起こさないで不安になるなぁ、おい。

「次、少し多めで140程度」
〔半分で行きましょう〕
「了解!《光竜一閃こうりゅういっせん!》」
『《アイシクルエッジ!》《アイシクルバインド!》』

 集団とはいえ横一線という訳では無い。
 まぁだいたい一閃一回で40~50の瘴気が剥ぎ取られ、
 若干足の動きも悪くなる。
 今回最初に当てたのは俺たちが相手をする必要のある後方陣。
 さらに追い打ちでアクアが足止め用に魔法を放てば分断は完了だ。

「《光竜二閃こうりゅうにせんっ!》」

 今度はアルシェたちが相手をする前の集団だ。
 一閃では剥がし切れないなら二回一閃を放てば良い。
 とりあえず剥がしさえすればリッカとアルシェでどうにでもなるから、
 俺たちは再び足止めされた集団に大攻撃をブチかます。

「《星光せいこうかがやけ!星光天裂破せいこうてんれつは!!》」

 チラリ。
 空の戦闘はマリエルの代わりにフリューネが戦っている。
 彼女たちほど積極的では無く、
 俺の周囲から付かず離れずの距離を保つ位置取りで飛行瘴気モンスターをデカイ図体から放つ攻撃で近づく敵を作業のように殺していく。

 いやぁ、人材不足だね。

『《氷鮫の刃ブレイドシャーク!》《勇者の剣くさかべアサルト!!》』
「《ストーンサイクロン!》」

 風と土の合成魔法[ストーンサイクロン]。
 新しく手に入れたスキル[魔道拡張]によって魔法を合わせるのに時間が掛からなくなったのは本当に楽だな。
 まぁ星光天裂破せいこうてんれつはに比べれば範囲は狭いし威力も低い。
 瘴気の鎧を纏っていない低ランクなら範囲内の四割が倒せる程度。
 ついでに言えばランク5に対しては効果は薄い。

「やっぱり魔法は龍の魔石が使える水氷属性の方が高威力にまとまるな」
『終わったら土と光の龍に会わなきゃねぇ~』
「間に合わなかったからしゃ~ない」

 アクアとの束の間の雑談。
 チリッ・・・。
 その時、嫌悪感が走った。
 何だ?首筋に嫌なザラ付きを感じた?
 手を首に当てても何も無い。

『(ぬし様!ベル、すっごく気持ち悪いですっ!)』
〔お兄ちゃんっ!テルナローレがすっごい騒ぎ出したんだけどっ!?
 もぅ!ちょっと静かにしてよっ!!〕
「こっちもベルが騒ぎ出してる!スィーネは周辺警戒!」
〔わかったわ〕

 何だ?何が起こっている?
 騒いでいるのは光精だけ?
 他の光精はどうなっている!?

「アルシェ!光精だけが何かを感じ取っている!何かが起こるかもしれん!
 ギルマスと勇者から情報を集めろ!
 あとフラムとベルをこっちに向かわせてくれ!」
〔わかりました!〕
「《コール!》強制接続!ALLオール!」

 ポポポポポポポポポポポポポロン♪
 受信者がYESを選択するかと問われるまでもなく強制的に繋がっていく。

「全員集合っ!!戦争を再開するぞっ!!」

 光精が興奮して騒いだだけならまだいい。
 だが、本当にヤバい状況になる前兆ならこの兆しを無視してはいけない。
 どうせ休んで十分疲れは取れているだろう。
 ぐっすり眠った奴らの朝食を食う時間が無くなるだけで機を失わずに済むなら安い物だ。


 * * * * *
〔状況確認出来ました!〕
「報告頼む」

 呼びかけが済んだとしても集まるには時間が掛かる。
 その間にアルシェが集めた情報を聞いて各国の状況を確認する。

〔各国の光精はテルナローレさん同様様子がおかしいとの事です。
 エクスさんの言では瘴気が混ぜ込まれているような今にも爆発しそうな気配だとか。
 おそらく・・・〕
「一気に沸くか?」
〔可能性は高いらしいですね〕

 ベルも肩の上で踊って・・・いや、慌てている。
 まさかここで動き始めるとは思わなかった。早すぎる。
 空も地上もまだまだ距離があるんだから、
 上手くいっても今日中に城下町の壁に着けるかどうかだぞ?

 最悪はなんだ?
 空と地上で一気に沸くとして各国に5万くらいか?
 今までは1万程度をコンスタントに沸かせていたからなんとでもなっていたが、
 5万なら流石に手が回らない。
 俺とマリエル、空が攻撃できる七精の門エレメンツゲートはそっちに集中せざるを得ない。
 地上も将軍が全面に出なければ瓦解する部分が出てくるだろう。

 他には・・・俺なら禍津核まがつかくを出すか。
 知っている敵の驚異度で言えば上から2番目だしな。
 コイツは最低でも5万の中に1万は出せたらどこかが瓦解する一助になる。
 魔神族が出てくれば話は全部ひっくり返るけどな。
 1人出てきた場合はとりあえず俺が相手をするつもりではあるが、
 周囲への影響も出て状況が膠着して敵に攻められ放題になるかな?

〔お兄さん、まとまりましたか?〕
「とりあえずはな・・・」

 俺はアルシェに想像を伝える。

「アスペラルダは龍の欠片を使えば大きく傾くことは無い。
 魔神族にも効く威力の攻撃を瘴気禍津核まがつかくが耐えられるとは思えない。
 耐えた個体は各個撃破する」
 〔他国はどうしましょう〕
「正確な戦力がわからないからなぁ。
 ユレイアルド神聖教国はなんとかなると知っているが、
 アーグエングリンはどうなんだろうな。
 防御に自信があっても長引けば2陣3陣で覆るぞ」
〔アインスさん経由で確認を急ぎます〕
「頼む」

 チリリッ・・・ゾクッ!
 首筋を走る不快感が強くなっていると感じていた。
 しかし、今のは・・・っ!

「沸いたぞっ!!馬鹿ども!急げっ!!」
「間に合った!!」
「間に合ってねぇっ!!!」

 続々と朝番の連中が出勤して駆け込んでくるが、
 すでにフォレストトーレでは誰の目にも見える形で瘴気が変な膨らみ方をしていた。
 あれじゃあ沸くというより生まれるって感じだな。

「アクア、お前はアルシェと一緒に戦ってくれ」
『え!?ますたーどうするの~?』
『ボクがマスターに着いていくですよ』
「遅くなり申し訳ありません、ご主人様」
『お父さまっ!』

 メリーに連れられてクーとノイが到着した。

「そういうこと。
 ただ、剣だけは今創って制御権をくれ」
『わかった~!《竜玉りゅうぎょく!》《お魚さんソード!》』
「メリー、マリエルとニルは?」
「もう間もなく・・・あ、来られましたね」

 気配で空を見れば確かにマリエルとニルが一緒に飛んでこちらにやってきた。
 呼吸の様子から朝食と準備運動の時間は取れていたらしい。

「お、遅くなりましたっ」
『準備は万全ですわー!怒らないでくださいなー!』

 お口がムニャムニャしとる。
 怒ってます?怒ってますか?って顔をするんじゃない。

「状況が急変したから収集しただけだから怒りゃあせん。
 マリエルとニルはアルシェの護衛に付け。
 あぁ、アクアも連れて行ってくれ」
「『りょうーかい!』」
『あ~い』
「ボジャ様は途中まで俺たちが連れて行きます。
 スィーネと防衛ラインをお願いします」
『あいわかった』
「前に行くのは俺とメリーとクー、ポシェントとリッカ。
 他メンバーはアルシェの指揮下に入れ」
「「「「「『『『『『了解!』』』』』」」」」」

 指示が終われば全員が動き始める。
 ゼノウPTとセーバーPTは少し後方へと戻り、
 マリエルとニルは空へと舞い上がった。

『アルカンシェは宗八そうはちが守るべき存在ではないのか?』
「アクアを残しているし、
 いざとなれば奥の手もあるから死にはしないよ」

 ポシェントは前方のフォレストトーレから目を離さずに俺に聞いてきた。
 視線の先では瘴気の膨らみが破裂して、
 空にも地表にも瘴気モンスターがわんさかと沸いたところだ。
 ゾッ!と悪寒が走る。

 アスペラルダの兵士も冒険者も各国も動揺の声が朝の冷たい空気の中に轟く。

〔指示が回りました!ご自由に暴れてください!〕
「クーとノイ以外は影の中に入ってくれ!」

 前線よりも前に連れ出すメンバーはクーが制御して広がった影に飲み込まれ、
 俺は地面を蹴って空へと飛び出す。
 フォレストトーレの外壁の多くがモンスターに内側から崩され、
 大なり小なりの瘴気モンスターが溢れ出す。
 足裏に魔力を集めて魔力縮地まりょくしゅくちで一気に距離を稼ぎ、
 敵が広がらないうちに接近を急ぐ。

〔セリア先生もお呼びしますか?〕
「来てもらおう。[弦音つるね]も使えるようになったと聞いているから、
 遠距離で全体を牽制してほしい!」
〔ご依頼しておきます。
 それとユレイアルド神聖教国はやはりアナザー・ワンが多数いるので対応可能。
 アーグエングリンも拳聖けんせいが間に合ったので問題ないそうです〕

 無尽蔵のゾンビアタックが可能な瘴気モンスターの大群相手では、
 如何な防御に自信のあるアーグエングリンでも厳しいかと思っていたが、
 どうやら俺の知らぬ間に[土の拳聖けんせい]が到着していたらしい。
 保有国が土の国なのを意識してそう呼ばれている獣人だ。
 種族はティンダーコレオ。
 崖をも登る強靱な爪に強靱な筋肉で構成された肉体、
 そして大型獣人なのに素早さがバニーやキャットに劣らないという化け物。

 こいつがいるなら最悪他は守っていれば殲滅してくれると期待するまである。
 あくまで強さは噂でしか知らないがな。

「クー、ボジャ様を!あとテルナローレに魔力接続ビータイリンクで供給を開始しろ!
 フリューネ達もここで制空権を確保してくれ!」
『はいっ!』
『わかったよ』
『守りは気にするでないぞっ!』
「わかりました、お願いします!」

 俺の後を追って低空飛行をしていたフリューネとその上に居たフロスト・ドラゴンエルレイニア
 空はこいつらが征してくれれば地上に集中できる。
 同時にクーは影を広げてボジャ様を影の中から外へと導き、
 ボジャ様からもお言葉をいただいた。

「《来よ》《水竜一閃すいりゅういっせんっ!》」

 水精の防衛ラインからまた一息に魔力縮地まりょくしゅくちでフォレストトーレへと近づいた。
 もう目と鼻の先。
 厄介な餌としてはここいらで戦った方がいい。
 そんな位置を定めた俺は龍の魔石を呼び出して躊躇無く斜めに斬り落とす。

『お待たせしましたお父様、全員排出します!』
『《グランドウェポン土属性武器生成!》シフト:ガントレット!』

 街への被害を最小限に抑えた一閃は、
 敵のランクなんて関係なしに全てを文字通りなぎ払った。
 大量の敵の一部が居なくなっても、
 今の攻撃に反応した多くの瘴気モンスターが俺の元へと走り出す。

「《一ノ型:風花抜き》」
『《アイシクルランス!》』

 しかし、近づこうと動いたモンスターは、
 影から飛び出すように出てきたリッカ、そしてポシェントが蹴散らしてくれた。

「互いをフォロー出来て且つ邪魔にならないように広がって対応!
 テルナローレは浄化をし続けろ!
 クーはメリーと合流して戦列に加わってくれ」
〔噂通り宗八そうはちさんは精霊使いが荒いですねっ!
 ずっとやってますよ!ずっっとねっ!〕

 宗八そうはちさんとか聞き慣れなくて耳がゾワゾワするわ。
 あと本当にごめんね。
 確かに夜も受肉してないから本当に丸一日以上働かせっぱなしなんだよね。
 クーはメリーの元へと急いで走って行き無事に合流を果たし・・・。

「『《ユニゾン!》』」

 二人は新たに手に入れたスキルを発動させる。
 その名は[ユニゾン]。
 アルシェもレベルが50になってから同じく手に入れたスキルだが、
 内容としては俺達の精霊纏エレメンタライズとはコンセプトが反対であることがわかった。

 つまり、精霊纏エレメンタライズは精霊を外に纏うのに対し、
 ユニゾンは精霊を内に取り込んで一体化する物だ。
 というか、そもそも精霊纏エレメンタライズはスキルでは無い。
 当時はかなり慎重に調整して契約精霊の善意の元に完成した[技術]なのだ。

 ステータスの上昇率も技術とスキルでは差がある。
 あんなに頑張ったのに酷いよ神様ぁ・・・。

 メリーの胸元へクーが飛び込むと闇光あんこうを伴って体の中にそのまま消えていく。
 花が咲くようにパッと胸元から黒い波紋が広がり、
 通り過ぎた後のメリーの姿に朝日が反射する。

 彼女の髪の色は銀色に変貌を遂げていた。


 * * * * *
「こちらで前に出て量の調整は始めました。
 兵士が無理しないうちに量以外の変化点の洗い出しをお願いします」
〔はい、対応ありがとうございます。
 急ぎ確認と連携を図ります〕

 お兄さんたちが対処に前進し、
 戦闘が始まったのを視界に抑えながらアインスさんとの通話を切る。
 今のところ確かに大型モンスターも同時沸きしているにも関わらず、
 まるで様子見をしているように小型ばかりが全面に出ている印象を受けます。

「一番近い位置取りをしているお兄さんたちが受け止めたとはいえ、
 アスペラルダ方面の全体量から見れば何割かですからね。
 大型が動く前に情報の周知が間に合えばいいんですけど・・・」
『クー達もユニゾンで戦い始めたから、
 囲まれても問題ないと思うんだけどねぇ~。
 どっちかと言えば浄化が間に合って無いように見えるよねぇ~?』

 そもそも戦場がこれほど広いのに、
 各国光精二人と無精使いだけで対応するには規模が大きすぎる。
 +αアルファでお兄さんや勇者様が頑張っても火に油といった感じを受ける。
 それほどに今回の大規模沸きは手が回っていないのだ。

 空はブルー・ドラゴンフリューネ様が対応しているし、
 魔力供給のタンク役はそのお供であるフロスト・ドラゴンエルレイニア様が担当してくださっています。
 フリューネ様が動く際に使用する魔力は魔石を咥えているので、
 そちらからご自身で供給されています。
 継続戦闘は問題なさそうですね。

「そろそろこちらも戦闘に参加しましょうか、アクアちゃん」
『あい!じゃあユニゾン行くよぉ~!』

 アクアちゃんが合図と共に胸に飛び込んでくる。
 あぁ、この万能感は本当に危ないですね。
 胸元から光が広がっていき通り過ぎた後は元の服から変化して、

 見た目はアクアちゃんの使う氷纏マテリアライズ後のドレスアーマー。
 それが人間サイズ、大人用に成長したって感じの見た目で、
 自分の鎧姿に少し照れてしまう。

 服の変化が終われば次は髪だ。
 根元から私の薄水色の髪はアクアちゃんの瑠璃色へと変わっていく。
 それに、最近は伸びてきて肩で整えていた髪の長さも変わり、
 現在のアクアちゃんの髪型であるボリュームのある髪型へと変化した。

 お兄さん曰く「プリキュアで見たことあるな・・・、HUGっとの青い奴の髪型だ・・・」とのこと。

 私はそのプリキュアとやらを知らないのでなんとも言えませんでしたが、
 実際の髪ではないのかボリュームに比べれば断然軽い為、
 動きに支障が出なければ問題ないでしょう。

「アクアちゃん、レンズは左目だけでお願い」
『あ~い』
「全員戦闘用意!
 今回は数が数なので2PTをひと括りで対処を行います。
 前衛は中心にセーバー、左にゼノウとライナー。
 右にノルキアとディテウス。後方は前衛の隙間から精密射撃で四肢を撃ち抜いてください!」
〔〔〔〔了解〕〕〕〕
「お兄さんも光精テルナローレも全部の瘴気を祓うことは出来ていません。
 私も浄化の手段は持ち合わせていますから、
 全力で事に当たってください」

 単体でも十分強いメンバーはお兄さんが連れて行ってしまいました。
 こちらに残る戦力は私とアクアちゃん、護衛にマリエルとニルちゃん。
 そして七精の門エレメンツゲートメンバーのゼノウPTとセーバーPT。
 漏らした敵のみが襲いかかってくるとはいえ、
 昨日の3~4倍の数が同時に襲いかかってくるのだから一つのミスが命取りですね。

「《聖水セントウォーター》セット:アイシクルアンカー」
『魔力はアクアの魔石からまかなうねぇ~』
「もう2つアンカーを出せるようになっていれば攻撃も自動で出来たのになぁ・・・」
『面倒が少しでも減ってるんだから今は満足しないとねぇ~』

 新魔法[聖水セイントウォーター]。
 お兄さんが行っていた別属性同士を掛け合わせる技術から、
 水魔法と光魔法[ライトボール]を合わせて瘴気を浄化できる使い勝手の良い魔法の開発を進めた結果生まれた魔法。

 アクアちゃんは各地で見つけた水を飲んでいたので、
 ノイちゃんの鉱石のように色んな種類の水と掛け合わせては実験を繰り返して、
 やっとのこと適正の高い水を見つけた。
 それが純水。
 お兄さん曰く「不純物の無い水で雷などを防ぐことも出来る」とのこと。
 なんでも魔神族対策として必死に探して飲ませていたらしい。

 ともかくこの聖水セイントウォーター
 他の属性もお兄さんはこれを参考にしてさっさと新魔法を創ってしまった。
 スキル[魔道拡張]の効果凄すぎませんか?

『ますたーはユニゾンを羨ましがっていたよぉ~?』
「フフフ、お互いにままなりませんね」

 今回は槍ではなく新しい杖をお披露目しましょう。

 ■装備■ ※○は強化空枠、●は強化済枠
 杖   :ブライニクルエスト ◇強化:●○○ ◇入手経路:頂き物
 希少度 :激レア 
 要求ステ:STR/36 INT/60 VIT/40 MEN/64
 ステ増減:INT+12/MEN+12
 特殊効果:魔法攻撃力補正+20%/最大MP30%UP/MP自然回復2/万能属性

 うぅ~ん、強い。
 激レアってだけでも手にするのに震える程なのに、
 お兄さんったら魔法ギルドから戻ってきてこんな物をくださるなんて。
 なんですかコレ?
 要求ステータスが杖カテゴリで見たこともないくらい高いし、
 元からステータス増加がINT+10/MEN+10なのに教国で強化してさらに伸びているし、
 特殊効果も上位効果ばかり・・・。

 時間がなくて最大強化が間に合わなかった、ごめん?
 いまさら最大強化でさらに+4されても、ね。
 まぁマリエルも同じく[黒曜こくよう]っていう武器を受け取っていて、
 メリーも[グラグオルク]という短剣を受け取っていた。

 ちょっと喜色の気持ちに引っ張られてクルクルと杖を回して構える。
 格好つけすぎかな?
 先端には大きな魔石が付いているから一応この杖も属性武器に入るのかしら?
 でも、特定の属性って付いてないんだよね?万能属性って結局なんだろ。

『敵ぃ~せっきぃ~ん!』
聖水セイントウォーター、自動射撃開始!
 《勇者の剣くさかべ》」
『《竜玉りゅうぎょくシフト:スナイプ》』

「『ファイヤー!』」

 まずは動きの速いバンダールクアールとレッサートレントドッグ。
 瘴気の影響を受けて体からは黒紫こくしのオーラと紅い瞳。
 お兄さん達は瘴気モンスターに囲まれていて、
 攻撃に加わる隙がなかったモンスターがこちらへとお鉢が回ってきている。

 聖水セイントウォーター着弾。瘴気のオーラは問題なく剥がされた。
 次弾、私の勇者の剣くさかべとアクアちゃんがそれぞれの四肢を狙い撃ちそれぞれが前足を失い地面をスライドする。

「トワイン!モエア!」
〔〔《強弓!》〕〕

 指示の間にも次々と聖水セイントウォーターと攻撃魔法を打ち続ける。
 やはり夜に比べるとお兄さんたちが抑えて尚300体近くが押し寄せる。
 それに間隔がかなり短い。
 倒しきっても本当に一息だけしか休憩を取れない。
 お兄さん達は抑え役だから連携できていても休む時間を作るなんて出来ないですよね・・・。

 5・・13・・30・・56・・81ウェーブ・・。
 攻撃力、魔力量、制御力どれも自分で考えていたより長期戦が厳しい。
 大きいのは・・・まだ動かない。
 今のうちにこの攻勢に余裕を持てるようにしないと。

 理由はわかっている。
 優先順位が選びづらいからだ。
 ただのシンクロならアクアちゃんと合わせて視界が2つあるから視野が広い。
 ユニゾンは完全に一体化する為視野は私の1つのみ。
 だからこの程度で少し焦る。焦りはマイナスでしかない。

 ステータスで言えば約2倍になるユニゾンと、
 視野や思考を広く出来るシンクロを上手く選べるようにならないと今後はみんなの足を引っ張る事になる。
 だから今はごめんなさい。
 ユニゾンの扱いに慣れるまで。
 私が指揮官として成り立つまでもう少し待ってください。

「それにしても多いですね」

 世界に広まる汎用魔法は一対多に弱い。
 中級からは確かに範囲魔法も出てくるけれど、
 せいぜいが目の前の5体程度を想定している。
 上級に至っては広範囲攻撃しか無いのに入手率が低すぎる為、
 こんな戦争が起こったときでも効率的に敵の数が減らせないでいる。

「もっとこう・・・」
『《フロストコメット!》』
「え?」

 一瞬。一瞬です。
 確かに一瞬思い浮かんだこんな攻撃が出来ればなぁというイメージ。
 それがアクアちゃんの聞き覚えの無い詠唱の後に視界に具現化して発動していました。

 私の魔石の魔力が敵の集団の真上に流れていく。
 魔力は氷の礫となりクルクルと回りながら徐々に大きさを増していく。
 やがてそれは龍の巣で見かけた流氷のような巨大な塊となって、動きを、止めた。

『えい♪』

 その声に浮かぶイメージはアクアちゃんが可愛らしく何かを叩き落とす姿。

「あ!全員後退っ!」

 落下を始めた氷塊は勢いも凄まじく、
 落ちた衝撃で地表には吹雪が衝撃はとなって広範囲に広がる。
 綺麗な円形。それが定められたこの魔法の範囲らしい。
 その円の中で氷塊を中心に冷気の爆発が起こる。

「うわっぷ」
『威力弱めたのにぃ~!』

 爆発の所為で氷点下の冷気が突風と成って吹き荒ぶ。

「アクアちゃん、今のは何?」
『アルがイメージしたでしょ~?こんな魔法が欲しいなって』

 確かにイメージはした。
 けれど、私たちが使うオリジナル魔法も魔法式や魔法陣を組み上げて創っている。
 なのに今のは何?

 はっ!

「今のがお兄さんが言ってた精霊魔法!?」
『正解ぃ~!
 シンクロ中のパートナーがイメージをしてアクア達精霊が一時的に使う魔法だよぉ~』

 これが噂の精霊魔法かぁ-!
 精霊魔法は2種類ある。
 ひとつは今回の一時的にイメージを実現させる魔法、
 もうひとつは制御力だけで使う魔法の事だ。

「今までお兄さんは広範囲攻撃を欲しいとイメージしなかったの?」

 自分の事は棚に上げてとりあえずいつも一緒のお兄さんを例に聞いてみる。

『ますたーは魔法戦より肉弾戦だも~ん。
 創らせるのも自分一人で使うものばかりだからねぇ~』
「それもそうですね。
 じゃあ今回初めて広範囲攻撃を創ったわけですね」
大魔法アルスマグナを除けばだけどねぇ~』

 アレは広範囲とかそんな規模じゃ無いもん。
 下手したら国を落とせちゃう可能性すらあるもん。

〔100以上倒しちゃったぞ・・・姫様パねぇ・・・〕
〔もう追いつこうとか考えちゃ駄目な感じよね〕
〔クランリーダーがリーダーなら嫁も嫁だな〕
「ま、まだ嫁じゃ無いですっ!!妹ですから間違えないでくださいっ!!」
〔あ、ヤベ。浄化作業に入りまーす〕

 発言内容に焦っちゃって誰が言ったのか把握できなかった・・・。
 まだだもん。相手にすらしてもらえてないもん。

「ごほんっ!退避指示が遅れて申し訳ありません。
 連携を潰さないレベルの支援を検証しながらの戦闘が続きますので先に謝罪いたします。
 安定したら兵士や冒険者の支援も始めますので都度指示します」
〔〔〔〔了解・・・ぷっ〕〕〕〕

 くっ・・・!
 と、とにかく精霊魔法の有用性を改めて認識しました。
 今まで失念していたけれどこれを利用しない手はないですね。
 広範囲魔法を今のうちに調整して仲間に迷惑が掛からず、
 尚且つ小出しで危なげなグループへの支援が出来る魔法を見つけ出さないと・・・。
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12歳の誕生日 冒険者になる事が憧れのケインは、教会にて スキル適性値とオリジナルスキルが告げられる 強いスキルを望むケインであったが、 スキル適性値はG オリジナルスキルも『スキル重複』というよくわからない物 友人からも家族からも馬鹿にされ、 尚最強の冒険者になる事をあきらめないケイン そんなある日、 『スキル重複』の本来の効果を知る事となる。 その効果とは、 同じスキルを2つ以上持つ事ができ、 同系統の効果のスキルは効果が重複するという 恐ろしい物であった。 このスキルをもって、ケインの下剋上は今始まる。      HOTランキング 1位!(2023年2月21日) ファンタジー24hポイントランキング 3位!(2023年2月21日)

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世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

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