特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

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閑話休題 -次に向けての準備期間-

閑話休題 -68話-[瘴気の亜空間⑤]

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「おそらくですが、この亜空間は魔神族となった者の故郷である星だと思われます」
「では、彼らは勇者と同じような立場になるのかね?
 もちろん立ち位置は違うようだが……」
「破滅に召喚されたというわけでは無いでしょう。
 異世界の者が敵として我らの世界に侵攻してきた。この点を説明する為に少し遠回りをする必要があります」

 教皇の合いの手に応えつつ、
 一旦亜空間の刺客の話から離れ、この異世界の作りから説明を始める。

「まず[世界]の成り立ちを簡単に説明すると宇宙という箱の中に星、太陽系、銀河、銀河群が収められています。
 この宇宙の中に1つ[クリティカルスター]と呼ばれる世界のコアがあるそうです。
 ここさえ潰せば世界を滅ぼせる……そうですが、残念ながらここは本当かどうか調べる事は出来ません」
宗八そうはち、星は分かるが太陽系以降から我らの知識にないワードが出ている。
 そこを補足してもらえるかい?」
「かしこまりました、ギュンター様。
 追加の資料はすぐにご用意いたします。クー」
「こちら、紙とペンになります」

 クーに渡された紙はまさかのクリップボード付きで立ったまま簡易的な絵を描くことが出来た。
 それをクーに手渡すとメリーとクーが部屋を出て行き、
 約1分ほどですぐに写し終えた資料を人数分揃えて帰って来た。

「こちらが星以降の説明をするための資料になります」
「一応、勘違いをしてほしくない事として、
 複数ある世界の中には差があると思われますので全ての世界が銀河群まで含まれるとは考えないでください。
 ちなみに私の世界は銀河群が複数存在する銀河団というさらに広い範囲まで観測していました」

 この場に居るメンバーは俺が異世界出身者と知っている方々なので隠す必要はない。

「どうやって観測をしたのだ?」
「特大の望遠鏡を星の各地に設置したり、
 ロケットと呼ばれる乗り物で宇宙に上がって数年生活しながら観測したりですかね。
 私の生活に宇宙はあまり関係なかったので詳しくは…」
「いや、参考になった。
 意義があるかはともかく、いずれ興味がある奴にでもやらせる価値があるかもしれない」

 これにはアーグエングリン王が興味を示したのだが、意外だな。
 興味無さそうな口調ではあるが明らかに宇宙に夢を馳せている。

「造るのでしたら人の生活圏から離れた地に造ることをお勧めします。
 私の世界でも標高4000~6000mの山や高原に設置していました」
「情報に感謝する」

 こんな異世界でエロゲ知識が役に立つとは……。
 ちなみに星座は88個と決まっている。
 昔の人が増やし過ぎて同じ星であるのに国によってちがう星座に入れられてしまうなど、
 かなりのごちゃつきが散見されたかららしい。

 ちなみに星座を学ぶとゼウス神に失望するばかりなのでお勧めはしない。

「世界にあるクリティカルスターの話は魔神族に聞きました。
 間違っても私が敵に通じているわけではなくあちらも一枚岩ではない様です」
「事情はこれからの話で説明してもらえますか?」
「もちろんです、聖女様。
 話を戻しますが、この世界のクリティカルスターに我らの星が該当しているから破滅に狙われている様です」
「他の星の方が大きかったり、太陽系?に重要な役割を持つ星もあるだろう?
 何故我らの星がそのクリティカルスターになるのだ?」
「違いは世界樹があるかどうかだそうです」

 ラフィート王子の質問には回答できるがここも本当かどうかは不明だ。
 ただ、アニマ曰く世界樹の幼木はあるそうなので眉唾でもないだろう。

「資料にもある世界樹か…。
 これがクリティカルスターのみにあるにしても出現条件が絶望的過ぎる……」
「この幼木とはなんですか?
 これも魔神族から聞いた話でしょうか?」
「いえ、聖女様。それは私の愛娘の四女からもたらされた情報です。
 教国から失われていた情報の1つなので大事に資料は保管してくださいね」
「あ、はい…。そうでしたね……」
「提供に感謝します、精霊使い殿」

 ニッコリ。
 まぁ本来は各国がそれぞれ保管しておくべき重要情報なのに、
 何故か保管を担当していたのは教国のみという謎もあった。
 この世界ちょっとおかしい部分あるよね?

「貴様の四女が何故そのような失われた情報を所持しているのだ?
 貴様に限って秘匿していたとは考えづらいのだが…」
「ご信頼ありがとうございます、ラフィート王子。
 皆様は四神と呼ばれる大精霊をよくご存じかと思われますが、
 四神が治める前にある大精霊が世界を守護していたことをご存じでしょうか?」
〔建国以来我が国はずっと土の大精霊を崇めて来た。
 以前の記録など教国になければ分かるはずもないだろう〕

 続けてラフィート王子からの信頼厚い質問に解答する為、
 皆様の顔を見渡しながら質問を返す。
 真っ先にアーグエングリン王が答え、その回答に呼応するように皆が我が国も同様だという顔を浮かべる。

「大精霊にも伺いましたのでこれは確実な情報ですが、
 四神の前任者は無精王アニマ様という精霊です。偶然にも我が愛しい四女も同じ名前の無精でして……」
「もう良い。聞いた私が悪かった。
 他に人間に有効な話が聞けた場合は開示するようにしてくれ」
「もちろんでございます。
 この情報も私自身欲しておりましたが文献が何故か失われておりまして…。
 アニマは進化することで記憶を取り戻しているようですから、
 これからも有効な情報は共有することを皆様にはお約束いたします」
〔ファグスよ〕
「詳しくは私も把握しておりませんので、戻った暁には説明出来るように伺っておきます」

 また話が反れてしまった。
 まぁ世界樹の幼木は各地にランダムで一定期間生える膝丈のミニマムツリーで、
 その木に実る小さな木の実[可能性の実]がLev.100を超える為の重要アイテムとなる。
 俺たちも早いうちに限界を迎えるだろうしどこかで確保はしておきたいところだ。

「えー、世界樹の出現条件は人口の3分の1が死ぬこと。
 これは人種を問わないので魔族でも人族でも獣人でも進行に影響するとのことです。
 人知れずフォレストトーレの様に人口を減らされている可能性はあるので、
 世界樹の出現は……最悪の展開に進んでいる指標になるでしょう」
「それだけは避けなければなりませんが…、
 魔族との小競り合いで毎日どちらにも死人は出ています。
 出来る限り早めに戦争終結の為に動き出す必要はありますね」

 アルシェの言葉に全員が頷き同意を示す。
 とはいえ、魔王と勇者が戦う舞台を整える為には本来数々の屍を築かなければならない。
 しかし、その屍が山を築けば築くほどに破滅が現実的になる事を考えれば、
 殺すのは最小限の戦争賛成派の勢力だろう。
 魔王だけを殺したからといって始まった戦争が止まるとも思えない。

「魔族領での魔神族の活動を調査するために半年以内に魔族領に潜入する予定です。
 魔族も一枚岩ではないかもしれません。
 もし新情報が分かれば共有致しますので今は報告を優先させていただきます」
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