特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

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第13章 -1st_Wナユタの世界-

†第13章† -09話-[白竜への道]

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「ご馳走様でした。さて、改めて黄竜様の紹介とその強力そうな籠手の説明も願えますか」

 お行儀よく口をナプキンで拭いた後に居住まいを正した聖女クレシーダが俺に問いかける。
 まぁ事前に伝えていなかった事もあるし混乱は必然だろう。フリューネで竜には慣れたとはいえ別固体の黄竜には改めて緊張の面持ちだ。

「こちらは黄竜[グリュエザール]。守りに重きを置いた竜で性格は礼儀正しく理性的な判断も出来る素晴らしい竜です」
『今回は無理を言って着いて来させていただきました。改めてよろしくお願いしますね、聖女クレシーダ』
「ご丁寧にありがとうございます。
 不敬にならない様に配慮は致しますが竜の無礼に当たる事をしてしまった場合は教えていただけると幸いです。以降に無礼をしないとお約束いたしますので」
『人の文化と竜の文化に違いがある事は理解しています。希望通り気を付けた方が良い事が見受けられれば注意しましょう』

 流石礼儀正しく大人な対応が出来るグリュエザールだ。
 子供が相手でも対応に差を生むことも無くちゃんと受け答えしてくださり助かるわぁ。

「あとは籠手だっけ?
 これは以前から伝えていたフリューネの精製する高純度魔石を用いてオーダーメイドした籠手だよ。
 グリーズの巣がある島に魔石加工が出来るドラゴドワーフが居たから依頼してさっき受け取ったばかりなんだ」
「へぇ~。見ただけでも強力な防具だと分かる凄い一品だと思います。
 水無月みなづきさんは自力でオーダーメイドまでの道筋を見つけたから何も言えませんが、勇者様も自身の装備をどうしたい等の構想があれば力添え出来るのですが……」
「何でもかんでもメリオの手助けをしてちゃアイツの為にならないけど、成長をのんびり待つ事も出来ない微妙な塩梅だからなぁ。
 基本的には各地を回って迷宮攻略でいいとは思うけど……。レベルはほぼカンストして訳だし」
「ですね」

 さらっとクレアは流したけど[グリーズ]とはイエロー・ドラゴングリュエザールの愛称だ。
 青の守護者しゅごしゃなら仲良くしていて損はないとの事でこの度同行を強要する代わりに許可を頂いた。
 なんでも白竜は竜の中でも一番温厚で常に領域内に瘴気が発生していないか監視をしているくらい瘴気憎しと考えているから、自分達他属性の竜も瘴気を相手取っている俺も歓迎してくれるとはグリーズの言。本当だろうか?

「クレアはこのまま行けるのか?準備は?」
「午前の仕事中にサーニャが用意してくれてます。今日は二人も一緒で本当に良いのですか?」
「まぁソレイユ様の方から良いと言ってるんだし良いんじゃね?
 あの人は性別を無視してクレアを聖女に選ぶくらいお前の事好きだから大事にしている二人もちゃんと何かあれば守ってくれるよ。いざとなれば俺もフリューネもグリーズも居るし、そもそも二人は十分に強いから」
「それもそうですね。大人しく守られる事だけ考えておきます」

 満面の笑みで男の子としてはずいぶん情けない事を口にしては居るが聖女の格好をしているので性別なんて関係なく可愛い。
 まったく、クレアは仕方ないな!撫で撫で!

 そもそも今回の光竜の巣への招待は光精王ソレイユ様から話をいただいた。クレアも同行させろってな。
 光竜の巣を捜索する協力は初対面の時にお願いしていて、それ自体は結構前に見つけたと連絡は頂いていたけど当時は絶賛フォレストトーレ奪還作戦中でありその後も瘴気対策を急ぎ進める前にアーグエングリン陣営を母国へ返せるようにゲートの設置を優先していたからどんどん後回しになっていた。

 その待たせている間に竜を刺激しないよう身を潜めていた光精が白竜クラウディーナに見つかった為、精霊王ソレイユ自らが交渉をして場を整えてくれたらしい。その際に余計な事にクレアがどれだけ可愛いかをこれでもかと伝えた結果、クレアの同行を白竜クラウディーナから願われたそうだ。本当に余計な事を口走りやがって……。

「まずは霊峰シルナヴェールでソレイユ様と合流して、そこから白竜の巣ですよね」
「だな。じゃあさっそく行きますか」


 * * * * *
『あぁ~!クレシーダ!よく来てくれたな!』
「はい、そこまでですソレイユ様」
『ぐぬぬ~!精霊使いッ……いや、<万彩カリスティア>と呼べばいいのかな?』

 こいつ…!大事過ぎて俺が二つ名を貰った事実に萎縮していると理解した上で煽りやがるっ!
 今は器じゃないと思いつつもゆっくりと受け入れているところなのに!

「それでも精霊王なのだから人間のクレアへの干渉はここまでですよ。
 一人を愛すのではなく領域内の全員に出来る限り平等に愛してください」
『それはそうですよ、ソレイユ様』
『シヴァお祖母ちゃんと違うんだね』
『『<万彩カリスティア>に同意致します』』

 俺の言葉にハミング・ベル・側近二名の光精からもお小言を言われてしょんぼりするソレイユ様に同乗して近寄ろうとするクレアの腕を掴む。あれは同情を誘っているのであり、クレアが近づくと捕縛される恐れもあるから近づいちゃダメだよ。

『ちっ!クレアと戯れる事が出来ないのは残念だけど、状況が差し迫っている事は理解しているから今回は話を進めるとしようか!
 白竜の名は[クラウディーナ]。眷族が見つかってしまったから王には王として私が態々足を運んだのさ。とても気の合う竜で驚いたね』
「え? ソレイユ様と意気投合したんですか?」
『そうだが、それが何か?』

 勝手なイメージだったけど白竜ってマザードラゴンみたいな落ち着きのある母性的な竜であると思っていたからクレアの話を聞いて興味本位で呼び出したと思っていたけど、アレなソレイユ様と意気投合した上で興味を抱いたのであれば同類の可能性が否めないぞ。
 初対面だし呼び出されたわけでは無い俺が白竜に強く出る事も難しい……。ここは同行する竜二匹がうまく取り成してくれることを願うしかないのか……?

『ともかく君の話もついでに伝えておいたし縁を繋いだのだからご褒美があってもいいと思うのだけれど?』
「つまりお返しはクレアとの触れ合いだと?」
『そこは察して私が喜ぶことを選んでくれたまえ』

 人柱みたいな扱いをクレアにさせたくはない。
 けれど、光精王自らが働いて得た縁である事は間違いないわけで当然報酬を希望されるのであれば何かしらの形で感謝を伝える必要がある。クレアの代わりに常に傍に控えるクルルクス姉妹で我慢してくれないかな? いつも一緒なら匂いくらい移ってるかもだし。

「「……」」

 視線を送ってみれば光精王の前なので口を開けないと考えている信心深い姉弟が俺の視線に気が付いて目と目が合う。
 しかし考えがわかっていない姉のトーニャと違って、ある程度不穏な考えをしていると察した妹のサーニャからの視線が講義を含み始めた。

「いや、何でもないよ。クレア、どうする?
 流石に無茶な事はしないだろうけど撫でまわされるのは確実っぽい」
「任せてください!私も世界の為になるなら犠牲になる覚悟は出来ています!」
『あれ、クレア? 私との触れ合いを犠牲と考えているのかい!?』
『ソレイユ様。触れ合えるのなら細かい事は気にしない方が良いかと』
『君たち私の側近だよね!? 以前<万彩カリスティア>が来てから扱いが雑になってやしないかな!?』

 クレアも側近光精も俺の影響を受けているのは確かだろう。
 クレアは信仰心はあってもソレイユ様の重い愛ある視線や言動を目の当たりにしているし俺が過保護にも近寄らせない対応から学んでいるのだろうけど、側近はどうかな? 普段からソレイユ様がクレアの情報を光精から報告を受ける度、顔を崩していた様子に辟易としていたのであれば「あぁ、このように扱えばいいのか」と前回の訪問時に学んだ可能性もわずかながらあり得るのか?

「じゃあ何秒か、どのくらいの触れ合いならいいかはクレアの側近とソレイユ様の側近で話し合いをして決めましょう」
『かしこまりました。戻り次第話し合いたいと思います』
『ぐぬぬ~!少しでも触れ合えるならもういいさ!
 さぁ!この子があちらに道を繋げてくれる精霊だよ。いつもの魔法を貼り付けておくれ!』

 前に出て来た光精の背に[ゲート]をささっと書き上げて準備はすぐに終わった。
 あとは白竜の島に行って何事も無く魔石の精製を少しでも多く用意してもらえればナユタの世界でも十分に戦いになるはずだ。
 ソレイユ様と同じ感性……何事もなくは高望みなのだろうか……。

『(パパ~!亜空間が繋がったよぉ~!
 でもヒビが入った程度だから数日中に完全に繋がると思うってセプ爺が言ってる~!)』
「(わかった)」
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