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第14章 -勇者side火の国ヴリドエンデ編-
†第14章† -14.5話-[一方その頃。|水無月《みなづき》編⑤]
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また一人の青年を更生させてしまってから数日。俺達は空の上にやって来ていた。
ステータスの強化の外に武具を整える必要があって、武器に関してはグランハイリアと木精ファウナの協力の元でアルシェの武器の後はマリエル=テンペスト=ネシンフラのブーツ系を造ってもらったが侍女のメリー=アルカトラズ=ソルヴァは闇精クーデルカのオプション[閻手]で創られた暗器系を好んで使用している。だから武器ではなく防具系で検討している段階だ。続くメンバーもどういうのが良いかと検討してもらっているので話が決まり次第順次作成していく予定だ。
今回は竜の魔石関係で空の上に来ている。
アスペラルダ国領のブルー・ドラゴン、アーグエングリン国領のイエロー・ドラゴン、ユレイアルド神聖教領のホワイト・ドラゴンの3匹と出会い現在では高濃度魔石作成に協力してもらっている。その魔石をドラゴドワーフが武器や防具に加工してくれるので防御力はもちろんの事、魔力を大量に使用する魔法の補助にも使える。俺は青竜の魔石を[青竜の蒼天籠手]に加工してもらったし、アルシェは現在加工中だが鎧を依頼している。
「竜の巣って〇ピュタの事じゃなかったんだな……」
「お兄さん、ラピュ〇って何の話ですか?」
「それよりいい加減に雲の中へ入りませんか?」
とてつもなく巨大な雲の塊を前に俺とアルシェとマリエルはしばらくその様子を見つめていた。
バサバサと羽ばたき空中でホバリング飛竜してくれているフリューネの上でちょっと感動している俺の呟きにアルシェが興味を示しマリエルは飽きたのか中へ突入しようと催促して来る。まさかフォレストトーレ国領の空の上にこんな大きな雲が常に浮いており、その中に緑竜の巣があるらしい。この情報は先日俺に会いに来たセリア先生とテンペスト様から共有された情報なので確実に居るだろう。
『突入するならあの厚い風の防壁を越えられるように魔法を掛けてよね。流石に僕でもアレはキツイよ』
「それはマリエルとニルがやるから大丈夫。じゃあ、みんなちゃんと捕まってくれ」
「ねえお兄さん、ラ〇ュタって何ですか?」
「ラプ〇タは俺の世界の物語に登場する空飛ぶ島だよ。詳しくは後でね。魔法掛けて」
腰に抱き着くアルシェの上目遣いと胸部装甲アタックを食らいながらも理性を叩き起こして風避けの魔法をマリエル達に掛けてもらう。子供達のほとんどは副契約者と共に別行動をしているので今一緒に居るのは水精アクアーリィと風精ニルチッイと無精アニマの3人だけだ。各々しっかりと身体を固定したのを確認してからフリューネに合図を送って雲と風の防壁に突入を開始した。
凄い勢いで流れていく分厚い雲の中は視界が悪く風をまともに受けた場合は方向性が分からなくなって中心部に抜ける事は出来ないだろうが俺達は卓越した魔法制御で風避けで目的地への方向を見失うことなく進む事数十秒、バフッ!と防壁を抜けた先には本当に朽ちた遺跡と巨大な建築物が建っている浮遊島が存在した。
「うわぁ!すごっ!」
『神秘的な光景ですわー!ですけれど随分と崩れたり大穴が開いていて勿体ないですわねー』
「この島の存在を誰も知らないのですから数百年は浮かんでいるのでしょうし朽ちているのは仕方ないでしょう」
『風竜達が侵入に気付いたみたいだよ~』
俺の後ろからそれぞれの感想が聞こえてくる。
確かに遺跡やら原っぱの広がる場所には薄緑色の竜が竜が首を擡げてこちらを見上げているのが見えた。初めてみる外界の存在と青龍の存在に警戒と好奇心を向けて来ているのか首と視線で追ってはくるもののそれ以上の行動を起こす個体は居ない。その中でも大柄な個体の翆煇竜が数匹遺跡に開いた大穴から出てきて俺達に殺気を向けて来てひと声鳴けば緩慢だった薄緑竜も身体を起こしてこちらに殺気を飛ばし始めた。
『息吹を撃って来そうだね』
「マリエル、前に出て着地までのサポートお願い」
「出た出た隊長の無茶振り……、行こうかニルちゃん。《シンクロ》」
『ですわー!《ユニゾン!》』
ピカっと光りフリューネから飛び立ったマリエルが今にも吐き出されそうな息吹の射線上に舞い降りる。
見た目から薄緑の竜が[ウインド・ドラゴン]で濃緑竜が[エメラルド・ドラゴン]とかかな? そんなどうでもいい事を考えている間に放たれた雷の息吹は一瞬でフリューネに迫ったが間に立つマリエルによって雷は蹴散らされてパリパリと小さな電流を残しながら息吹は霧散してフリューネには届かなかった。続けて何度か放たれる息吹は全て防ぎ、その間に俺達は浮遊島へと降り立った。
フリューネから俺達が地面に降りる間に黄色い竜が近くまで寄って来ていたが先ほどまでの殺気は鳴りを潜め、少しだけ離れた位置で俺達の同行を観察している。フリューネの身体は小さくなりマリエルも地面に降りて来たので俺を先頭に黄色い竜へと近づくと徐に竜は喋り始めた。
『ようこそ精霊使い。緑竜の島へよくぞ参られた』
『はぁ? さっきまで殺気飛ばして息吹を放って来たでしょ?』
『青には話していないし何ならここで待て。事情は風精王から伺っている、グリーン・ドラゴンの元へ案内しよう』
「あ、話は通ってるのね……。フリューネも喧嘩売らないの」
竜って本当に自分達の領域外の竜に攻撃的だよな……。
長達はそこまででも無いけどその他の竜達は本当に排他的で面白い。不満げなブルー・ドラゴンの頭を撫でて先行する翆煇竜の後を付いて行くと遺跡はかなり古くて今の時代とは全く合っていなかった。旧文明の遺跡って感じで気か等は無いけど荘厳な雰囲気を醸しているし植物に侵食されて神秘的な感じもGood!およそ通路とは思えない大穴は自然に崩れたのか彼らがブチ抜いたのかどちらだろうか……。アルシェは興味深そうに周囲を見回しながら楽し気でマリエルもこれからグリーン・ドラゴンに会うというのに緊張せず同じく楽しげだ。子供たちは言わずもがな。フリューネだけが居心地悪そうに険しい顔でキョロキョロクンクンと首と鼻が忙しそうだ。
翆煇竜の案内で最奥の間に辿り着いた。
この遺跡は神殿だったのか複数の太い柱に支えられた神聖そうなその部屋の奥に巨大な深緑の竜が佇んでいた。下位のウインド・ドラゴンよりも色濃く、中位の翆煇竜との中間の体色をした緑色の竜。あれがグリーン・ドラゴンか……。今までの奴に比べると翼が二対四枚となっていて凄く速く飛行できそうだ。その隣には何故か笑顔で上品に手を振るセリア先生の姿がある。
『遠路遥々空の上までよくぞ参られた精霊使いと今代の水精王の娘よ。それに妖精と精霊か…。我が緑竜、[クァイアオーグナ]である。皆一様に歓迎しよう』
白竜に続けて2体目の女性体の緑竜は美しいというよりは威厳や貫禄のある皇太后とかの印象に近い声音をしていた。
彼女の名乗りを受けて俺達も順々に名乗りと挨拶をさせていただく。
「お目に掛かれて光栄です緑竜クァイアオーグナ。私はアスペラルダ王国第一王女護衛隊隊長の水無月宗八と申します。改めて七精霊使いであり、<万彩>の二つ名も拝命しております」
「美しい緑竜クァイアオーグナ、見目麗しい貴女に拝謁出来て幸甚の至りです。私はアスペラルダ王国第一王女アルカンシェ=シヴァ=アスペラルダ。私も水精と契約しておりますので気軽にアルシェとお呼びください」
「初めまして緑竜クァイアオーグナ。アスペラルダ王国第一王女護衛隊副隊長を担っておりますマリエル=テンペスト=ライテウスと申します。隊長の風精霊と契約しており私も精霊使いになりますのでマリエルとお呼びください」
俺達に続いてアクアとニルとアニマも顔を出して挨拶を交わした。
竜だから正確ではないけれど優し気な瞳で俺達と子供達を見回し名前と顔を確認した緑竜はフリューネには話しかけずに再び俺達に向けて口を開いた。
『人の子と精霊の子よ、改めて歓迎しよう。話はセリアティアから伺っています。魔石の生成に協力して欲しいのでしょう?』
「確かにその通りですが、先に何故ここにセリアティア様がいらっしゃるのでしょうか?」
『それは私が分御霊だからですわ。精霊王となったから今まで協力出来ない事が多かった分色々と動いておりますの。それと私のことは今まで通りセリアと呼んで欲しいですわ』
「他の精霊王は協力こそすれ配下の精霊を付けてくれる程度でしたがここまでご自身が協力してよろしいのですか?」
入口で翆煇竜が言っていた風精王とはセリア先生の事だった様だ。
魔石の話がスムーズに進むのは良い事だがアルシェの心配するように精霊王の一人としてあまり俺達に肩入れし過ぎではないかと困惑してしまう。アルシェの母であり水精王シヴァ様も加護を与えたり精霊を派遣してくれたりはしても例え分御霊と言えどご本人が動くことは無かった。他の精霊王がしていない事を目の当たりにすると流石に怒られたりするのではと心配になる。
『実のところ私に出来る事はあまり多くありませんわ。加護を与えたり精霊を派遣したりは勿論出来ますけれど、魔族との戦争や魔神族との戦いには参戦出来ません。基本的には分御霊を使って里を作ったりして風精霊の生活をサポートするのが使命ですの。ですから、せめて緑竜との顔繫ぎくらいはと思って出張ってきましたわ』
「そうなのですね。では、やはり今後はあまり顔を見る機会は少なくなってしまうのですね……」
『うふふ。実は分御霊をアスペラルダに置いても良いとシヴァ様から許可は得ているので会おうと思えば会えますし[揺蕩う唄]も所持していますから相談にも乗れますわよ。ただ、争い事となると精霊王の立場上参加は出来ませんけれどね』
しばらく姿を見せなかったセリア先生は精霊王として帰って来た。
それでも遠い存在になってしまったと考えていたけれど彼女も俺達の事を気にしてくれている事に嬉しくなる。アルシェとマリエルなどは少し涙ぐんでいるくらいだ。遠くなったセリア先生が本当の意味で帰って来てくれた。そう思わずにはいられなかった。
ステータスの強化の外に武具を整える必要があって、武器に関してはグランハイリアと木精ファウナの協力の元でアルシェの武器の後はマリエル=テンペスト=ネシンフラのブーツ系を造ってもらったが侍女のメリー=アルカトラズ=ソルヴァは闇精クーデルカのオプション[閻手]で創られた暗器系を好んで使用している。だから武器ではなく防具系で検討している段階だ。続くメンバーもどういうのが良いかと検討してもらっているので話が決まり次第順次作成していく予定だ。
今回は竜の魔石関係で空の上に来ている。
アスペラルダ国領のブルー・ドラゴン、アーグエングリン国領のイエロー・ドラゴン、ユレイアルド神聖教領のホワイト・ドラゴンの3匹と出会い現在では高濃度魔石作成に協力してもらっている。その魔石をドラゴドワーフが武器や防具に加工してくれるので防御力はもちろんの事、魔力を大量に使用する魔法の補助にも使える。俺は青竜の魔石を[青竜の蒼天籠手]に加工してもらったし、アルシェは現在加工中だが鎧を依頼している。
「竜の巣って〇ピュタの事じゃなかったんだな……」
「お兄さん、ラピュ〇って何の話ですか?」
「それよりいい加減に雲の中へ入りませんか?」
とてつもなく巨大な雲の塊を前に俺とアルシェとマリエルはしばらくその様子を見つめていた。
バサバサと羽ばたき空中でホバリング飛竜してくれているフリューネの上でちょっと感動している俺の呟きにアルシェが興味を示しマリエルは飽きたのか中へ突入しようと催促して来る。まさかフォレストトーレ国領の空の上にこんな大きな雲が常に浮いており、その中に緑竜の巣があるらしい。この情報は先日俺に会いに来たセリア先生とテンペスト様から共有された情報なので確実に居るだろう。
『突入するならあの厚い風の防壁を越えられるように魔法を掛けてよね。流石に僕でもアレはキツイよ』
「それはマリエルとニルがやるから大丈夫。じゃあ、みんなちゃんと捕まってくれ」
「ねえお兄さん、ラ〇ュタって何ですか?」
「ラプ〇タは俺の世界の物語に登場する空飛ぶ島だよ。詳しくは後でね。魔法掛けて」
腰に抱き着くアルシェの上目遣いと胸部装甲アタックを食らいながらも理性を叩き起こして風避けの魔法をマリエル達に掛けてもらう。子供達のほとんどは副契約者と共に別行動をしているので今一緒に居るのは水精アクアーリィと風精ニルチッイと無精アニマの3人だけだ。各々しっかりと身体を固定したのを確認してからフリューネに合図を送って雲と風の防壁に突入を開始した。
凄い勢いで流れていく分厚い雲の中は視界が悪く風をまともに受けた場合は方向性が分からなくなって中心部に抜ける事は出来ないだろうが俺達は卓越した魔法制御で風避けで目的地への方向を見失うことなく進む事数十秒、バフッ!と防壁を抜けた先には本当に朽ちた遺跡と巨大な建築物が建っている浮遊島が存在した。
「うわぁ!すごっ!」
『神秘的な光景ですわー!ですけれど随分と崩れたり大穴が開いていて勿体ないですわねー』
「この島の存在を誰も知らないのですから数百年は浮かんでいるのでしょうし朽ちているのは仕方ないでしょう」
『風竜達が侵入に気付いたみたいだよ~』
俺の後ろからそれぞれの感想が聞こえてくる。
確かに遺跡やら原っぱの広がる場所には薄緑色の竜が竜が首を擡げてこちらを見上げているのが見えた。初めてみる外界の存在と青龍の存在に警戒と好奇心を向けて来ているのか首と視線で追ってはくるもののそれ以上の行動を起こす個体は居ない。その中でも大柄な個体の翆煇竜が数匹遺跡に開いた大穴から出てきて俺達に殺気を向けて来てひと声鳴けば緩慢だった薄緑竜も身体を起こしてこちらに殺気を飛ばし始めた。
『息吹を撃って来そうだね』
「マリエル、前に出て着地までのサポートお願い」
「出た出た隊長の無茶振り……、行こうかニルちゃん。《シンクロ》」
『ですわー!《ユニゾン!》』
ピカっと光りフリューネから飛び立ったマリエルが今にも吐き出されそうな息吹の射線上に舞い降りる。
見た目から薄緑の竜が[ウインド・ドラゴン]で濃緑竜が[エメラルド・ドラゴン]とかかな? そんなどうでもいい事を考えている間に放たれた雷の息吹は一瞬でフリューネに迫ったが間に立つマリエルによって雷は蹴散らされてパリパリと小さな電流を残しながら息吹は霧散してフリューネには届かなかった。続けて何度か放たれる息吹は全て防ぎ、その間に俺達は浮遊島へと降り立った。
フリューネから俺達が地面に降りる間に黄色い竜が近くまで寄って来ていたが先ほどまでの殺気は鳴りを潜め、少しだけ離れた位置で俺達の同行を観察している。フリューネの身体は小さくなりマリエルも地面に降りて来たので俺を先頭に黄色い竜へと近づくと徐に竜は喋り始めた。
『ようこそ精霊使い。緑竜の島へよくぞ参られた』
『はぁ? さっきまで殺気飛ばして息吹を放って来たでしょ?』
『青には話していないし何ならここで待て。事情は風精王から伺っている、グリーン・ドラゴンの元へ案内しよう』
「あ、話は通ってるのね……。フリューネも喧嘩売らないの」
竜って本当に自分達の領域外の竜に攻撃的だよな……。
長達はそこまででも無いけどその他の竜達は本当に排他的で面白い。不満げなブルー・ドラゴンの頭を撫でて先行する翆煇竜の後を付いて行くと遺跡はかなり古くて今の時代とは全く合っていなかった。旧文明の遺跡って感じで気か等は無いけど荘厳な雰囲気を醸しているし植物に侵食されて神秘的な感じもGood!およそ通路とは思えない大穴は自然に崩れたのか彼らがブチ抜いたのかどちらだろうか……。アルシェは興味深そうに周囲を見回しながら楽し気でマリエルもこれからグリーン・ドラゴンに会うというのに緊張せず同じく楽しげだ。子供たちは言わずもがな。フリューネだけが居心地悪そうに険しい顔でキョロキョロクンクンと首と鼻が忙しそうだ。
翆煇竜の案内で最奥の間に辿り着いた。
この遺跡は神殿だったのか複数の太い柱に支えられた神聖そうなその部屋の奥に巨大な深緑の竜が佇んでいた。下位のウインド・ドラゴンよりも色濃く、中位の翆煇竜との中間の体色をした緑色の竜。あれがグリーン・ドラゴンか……。今までの奴に比べると翼が二対四枚となっていて凄く速く飛行できそうだ。その隣には何故か笑顔で上品に手を振るセリア先生の姿がある。
『遠路遥々空の上までよくぞ参られた精霊使いと今代の水精王の娘よ。それに妖精と精霊か…。我が緑竜、[クァイアオーグナ]である。皆一様に歓迎しよう』
白竜に続けて2体目の女性体の緑竜は美しいというよりは威厳や貫禄のある皇太后とかの印象に近い声音をしていた。
彼女の名乗りを受けて俺達も順々に名乗りと挨拶をさせていただく。
「お目に掛かれて光栄です緑竜クァイアオーグナ。私はアスペラルダ王国第一王女護衛隊隊長の水無月宗八と申します。改めて七精霊使いであり、<万彩>の二つ名も拝命しております」
「美しい緑竜クァイアオーグナ、見目麗しい貴女に拝謁出来て幸甚の至りです。私はアスペラルダ王国第一王女アルカンシェ=シヴァ=アスペラルダ。私も水精と契約しておりますので気軽にアルシェとお呼びください」
「初めまして緑竜クァイアオーグナ。アスペラルダ王国第一王女護衛隊副隊長を担っておりますマリエル=テンペスト=ライテウスと申します。隊長の風精霊と契約しており私も精霊使いになりますのでマリエルとお呼びください」
俺達に続いてアクアとニルとアニマも顔を出して挨拶を交わした。
竜だから正確ではないけれど優し気な瞳で俺達と子供達を見回し名前と顔を確認した緑竜はフリューネには話しかけずに再び俺達に向けて口を開いた。
『人の子と精霊の子よ、改めて歓迎しよう。話はセリアティアから伺っています。魔石の生成に協力して欲しいのでしょう?』
「確かにその通りですが、先に何故ここにセリアティア様がいらっしゃるのでしょうか?」
『それは私が分御霊だからですわ。精霊王となったから今まで協力出来ない事が多かった分色々と動いておりますの。それと私のことは今まで通りセリアと呼んで欲しいですわ』
「他の精霊王は協力こそすれ配下の精霊を付けてくれる程度でしたがここまでご自身が協力してよろしいのですか?」
入口で翆煇竜が言っていた風精王とはセリア先生の事だった様だ。
魔石の話がスムーズに進むのは良い事だがアルシェの心配するように精霊王の一人としてあまり俺達に肩入れし過ぎではないかと困惑してしまう。アルシェの母であり水精王シヴァ様も加護を与えたり精霊を派遣してくれたりはしても例え分御霊と言えどご本人が動くことは無かった。他の精霊王がしていない事を目の当たりにすると流石に怒られたりするのではと心配になる。
『実のところ私に出来る事はあまり多くありませんわ。加護を与えたり精霊を派遣したりは勿論出来ますけれど、魔族との戦争や魔神族との戦いには参戦出来ません。基本的には分御霊を使って里を作ったりして風精霊の生活をサポートするのが使命ですの。ですから、せめて緑竜との顔繫ぎくらいはと思って出張ってきましたわ』
「そうなのですね。では、やはり今後はあまり顔を見る機会は少なくなってしまうのですね……」
『うふふ。実は分御霊をアスペラルダに置いても良いとシヴァ様から許可は得ているので会おうと思えば会えますし[揺蕩う唄]も所持していますから相談にも乗れますわよ。ただ、争い事となると精霊王の立場上参加は出来ませんけれどね』
しばらく姿を見せなかったセリア先生は精霊王として帰って来た。
それでも遠い存在になってしまったと考えていたけれど彼女も俺達の事を気にしてくれている事に嬉しくなる。アルシェとマリエルなどは少し涙ぐんでいるくらいだ。遠くなったセリア先生が本当の意味で帰って来てくれた。そう思わずにはいられなかった。
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