モテない君、危機一髪!

雄太

文字の大きさ
3 / 3

モテない君の憂鬱

しおりを挟む
僕は服をビショビショに濡らせて自分の席にもどってきた。
 課の人たちが一斉に僕を見る。恥ずかしいったらありゃしない。
「まあ尾田さんどうしたの?」
 星野さんが心配そうに近寄ってきた。星野さんは50歳のおばさ社員だが、とても優しい人だ。
「ええ、ちょっと……」
 どう答えていいか分からなかった。
「ちょっと待って、タオル持ってきたげるから」
星野さんが心配して立ち上がってフロアーの更衣室に向かっていった。本当にいい人だ。
「まったく、お前何やってんだ」
課長が苦々しい表情で僕を見る。何なんだ、その言い方は。少しは心配しろってんだ。
星野さんがタオルを持ってやってくる。
「はい、尾田さん、これ」
「ありがとうございます」
 僕はタオルを受け取って体を拭いた。
しかし一体さっきトイレで僕に水をぶっかけたのはどこのどいつだ? うちの会社の社員であることは間違いないだろう。それにしても僕に恨みを持っているやつがいるのか?
 僕は人の恨みを買うようなことをした覚えはないが。
 ふと気づくと今年うちに入った席で新入社員の女の子が僕を見ていた。ちょっとぽっちゃりした眼鏡をかけた真面目そうな女の子だ。彼女は関根早苗さんっていったっけ。さぞ変な先輩だと思って見ているんだろうな。

その日は夕方会社を早めに切り上げると家に向かった。僕は狭いマンションに一人住まいだ。家に帰っても一人で特にすることもない。会社から歩いて10分おそにある焼き鳥屋に入っていった。
 「いらっしゃい」
 いつものようにカウンターの席に一人で座った。
「生ビールお願い」
 僕は会社帰りにここの焼き鳥屋でよく一人でビールを飲む。仕事を終えた後に一人で飲むビールがこれまたうまい。
「えい、くそっ、おい親父、早く酒だしてくれよ」
誰かが騒いでいると思ったら隣に若い男が酔っ払って酒を飲んで騒いでいる。ちっ、人の迷惑も考えないで。
「おい、焼き鳥もまだ出てねえぞ」
まだ騒いでやがる。うっとおしい奴だ。僕が隣の男性を見ると男性と目が合った。
「おい、何だお前、文句あんのか?」
やばい。男がからんできた。
(続)
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます

おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」 そう書き残してエアリーはいなくなった…… 緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。 そう思っていたのに。 エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて…… ※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。

あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。 宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。 対極のような二人は姉妹。母親の違う。 お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。 そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。 天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。 生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。 両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。 だが……。運命とは残酷である。 ルビアの元に死神から知らせが届く。 十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。 美しい愛しているルビア。 失いたくない。殺されてなるものか。 それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。 生まれてくる価値のない、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。 これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

「やはり鍛えることは、大切だな」

イチイ アキラ
恋愛
「こんなブスと結婚なんていやだ!」  その日、一つのお見合いがあった。  ヤロール伯爵家の三男、ライアンと。  クラレンス辺境伯家の跡取り娘、リューゼットの。  そして互いに挨拶を交わすその場にて。  ライアンが開幕早々、ぶちかましたのであった。  けれども……――。 「そうか。私も貴様のような生っ白くてか弱そうな、女みたいな顔の屑はごめんだ。気が合うな」

【完】はしたないですけど言わせてください……ざまぁみろ!

咲貴
恋愛
招かれてもいないお茶会に現れた妹。 あぁ、貴女が着ているドレスは……。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

婚約破棄 ~家名を名乗らなかっただけ

青の雀
恋愛
シルヴィアは、隣国での留学を終え5年ぶりに生まれ故郷の祖国へ帰ってきた。 今夜、王宮で開かれる自身の婚約披露パーティに出席するためである。 婚約者とは、一度も会っていない親同士が決めた婚約である。 その婚約者と会うなり「家名を名乗らない平民女とは、婚約破棄だ。」と言い渡されてしまう。 実は、シルヴィアは王女殿下であったのだ。

処理中です...