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ご『“友だち”の有効活用/ふれる冬』
3 子どもの舌、オトナの味
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幻想と現実の狭間で星に祈ったあの日から、頻繁に見るようになってしまった夢がある。
ベッドに寝転び携帯電話をいじるサキは、画面に写る幼きハルの姿を見つめていた。ハルが写っている写真はこれしかない。
(はやく写真届かないかなぁ……)
──プルルルル……──
突然の着信音にドキンとしたが、表示されている名前は思っていた人と違った。
「……もしもし」
『サキ。テメェ今ガッカリしただろ。声でわかんだかんな』
「ごめん……」
『んなことより、今からアタシに付き合え』
駅前のファミレスで待っていると言われ、もうすぐ日が暮れそうな空の色の中、急いで向かったサキは指定された店に飛び込み、気だるそうにチョコレートパフェを食べているお姉さんに手を振った。
「紺ちゃん」
本多紺。明るい金色のウェーブがかった髪が特徴的なお姉さん。学校終わりなのか、会うときはいつもブレザーの制服を着ている。
「食べてから行こーぜ」
数ヵ月前、怪しいホテル街を通り抜けようとして、変な男につかまってしまったときに助けてくれた人。あの日、ふたりは時間いっぱいまでゲームをして、ホテルを出る直前に連絡先を交換していた。それからちょくちょく連絡を取り合い、今では普通に遊ぶ間柄になった。
「夢?」
紺は届いたばかりのティラミスに、断りもなく柄の長いスプーンを差し込んだ。
「あ」
「へへ、味見」と言って二口目をもらう。
不満げなサキの顔に後ろめたさを感じてしまった紺は、その気持ちを隠すようにふんぞり返る。
「なんだよ、アタシのおごりなんだからいいだろー?」
「写真撮りたかったのに……崩れちゃった、木星……」
「もくせい?」
「木星っぽくない?」と、崩れていない側の断面を指差すも、紺は即座に「ぽくない」と一刀両断。
「ティラミスって苦いのか甘いのかよくわかんないよなー。スポンジもベショベショだし、ウマイって思ったことないかも」
「じゃあ食べないでよ!」と、サキも一口食べてみる。
上にかけられてある土みたいな見た目の、ザラザラした苦い粉はコーヒーだろうか。中層のねっとりとした白い部分は、マスカルポーネらしいけど味がよくわからない。そのチーズと交互に重ねられてある、コーヒーが染みたスポンジは、少しアルコールのにおいがした。
「どうよ。ウマイ?」
「うー、うん、美味しい」
濃厚で複雑すぎる味わいに、紺の言っていたことがわかってしまった。
それ見抜いた紺は笑って、茶色くなったホイップクリームをパクンと食べる。
「で、夢ってなに?」
「……最近、同じような夢をよく見るんだけどね、そのせいでぜんぜん寝た気がしなくて……」
「どんな夢?」
「それはちょっと……」
「うわ~人に言えない夢見てんの~? チュウガクセイのクセにいやらし~」
「違う! 違うよ! そんなんじゃないもん!」
「でも言えないんだろぉ?」
「言え、る……けど言えないの! ……秘密!」
「焦んなよ」
「焦ってないし! そんなことより、今日は紺ちゃんの用事でしょ? 紺ちゃんの話聞く!」
「はいはいわかったよ」
「誕生日プレゼントって誰の?」
「今誕生日っつったらアイツに決まってんだろ」
「え?」
「『え?』じゃねぇよ。え? キミ、アイツと友だちのくせに知らなかったの?」
紺は、ホイップクリームの間に挟まれたコーンフレークを、スプーンを上下に動かしてジャクジャクと粉砕する。
「12月3日。アイツの誕生日」
「……ハルさんの?」
「そーだよ」
「ハルさんに、誕生日プレゼント渡すの?」
「買うっつってんだから当たり前だろ」
「……毎年あげてるの?」
「そーね」
「ハルさんと、最近会ってるの?」
「会ってるよ」
「そうなんだ……」
ティラミスの崩れた断面を眺めるサキの浮かない顔を、紺は上目で見つめる。
「……なに?」
「わたし、嫌われたかもしれない……」とつぶやいたサキは顔を伏せた。
その様子に、紺はニヤける口元を押さえながら瞳を輝かせた。
「……なんかしたの?」
「わたし……最近全然会ってもらえなくて……。忙しいんだと思ってたけど、紺ちゃんとは会ってるんだね……」
(ちょ~おもしれ~!)
紺は笑いを噛み殺しながら言う。
「たまたまだろっ……」
「……遊ぶ約束しても『急用が入った』って言って、前日に断られるし……絶対避けられてる……」
テーブルに突っ伏しながら話すサキの声色で、泣いていると気づいた紺は、頬杖をついて窓の外へ視線を移した。
「……本気で落とそうかな」
サキはムクリと顔を上げる。
「彼女、いるみたいだよ……?」
「彼女っつーか、結婚してんじゃん。そこ問題視しねーの?」
「でも……奥さんはもう、いないんじゃないかな……」
紺はサキの赤くなった目を見つめ返す。
「なにそれ、死んだって意味?」
「うん……」
「なんで?」
「……ハルさんの家に行ったとき、そういうもの、なにもなかったから。生活感がないっていうか……」
「……アイツんち行ったの?」
「うん」
「へぇ……。ま、それは好都合」
「どうして……?」
「独り身だったら狙いやすいだろ?」
「やっぱり紺ちゃん、ハルさんのこと好きなんだ……」
「だとしたらキミは? どうすんの?」
「どうって、なにが?」
「聞くなよ。わかってんだろ?」
サキは目をそらして、食べる気になれないティラミスにフォークを刺した。
「わたしは……ハルさんとは友だちだから、どうもしないよ」
紺はつまらなそうに「あっそ」と言って、パフェグラスを傾け、底に溜まっていたチョコレートソースを飲んだ。
「じゃあさぁ、もらっていい?」
「えっ……?」
紺は指を差す。
「それ、ティラミスの話。さっきから全然減ってねーし、いらないんだったらアタシがもらう。お子ちゃまにはその味のウマさわかんないでしょ」
「紺ちゃんだって美味しくないって言ってたじゃん」
「ハハ、やっぱウマくなかったんだ」
「うっ……でも食べるの!」
「意地張るなよ。だったら半分こしよーぜ」
「……しょうがないなぁ」
アルコールのにおいが染みたほろ苦い木星を、サキはフォークで、紺はパフェ用のスプーンで、分け合って食べた。
「つーわけで、その友だちのアドバイスを聞かせてもらいたいんだよ。キミがアイツにあげるとしたらなに選ぶよ?」
しっかり口直しをしたあと、ふたりは駅から少し離れた百貨店の紳士服売り場に向かった。
「ハンカチは、どうかな?」
「ハンカチ?」
「よく使ってるの見るから、わたしだったらハンカチかなぁ」
すぐにハンカチが売られているコーナーへ移動するふたり。すんなり決められると思っていたが、生地やデザイン、色など、案外種類があって迷う。奴の趣味嗜好がわからず、紺は聞く。
「どんなん?」
一緒に品定めするサキが手にしたのは、タオル生地のもの。柔らかい肌触りが心地よい。そして、ちっちゃな動物がワンポイント刺繍されたシンプルなデザイン。
「これは?」
「ふ~ん、じゃあこれにする。色は?」
「それは紺ちゃんが決めなよー。プレゼントするのは紺ちゃんなんだし」
「キミは?」
「え?」
「なんか渡さねぇの?」
「……誕生日知らないのに、突然プレゼント渡したら変だよ」
「だったらサプライズってことで」
「……わたしはいいの!」
一度取ったハンカチを戻す意地っ張りな手。
わかりやすくて困る。
「可愛くない奴」
意地悪したくなって困る。
「可愛くないもん」
困った顔が見たくなって困る。
「ホント可愛くないわ」
からかうのが楽しいから、理由はそれだけのはずなのに、目を伏せるサキの憂いを帯びた顔が、退屈な心を動揺させる。
紺はハンカチに目を移した。
サキが選んだハンカチの色の種類は4つ。レッド、ブルー、グレー、パープル。各色ごとに、刺繍された動物も違う。またも迷った紺は、サキがチラチラと送る視線で決めた。
「もう1個買いたいものあるから、入り口にあったでっかい木のとこで待っててくれない?」
赤や金や銀の玉できらびやかに装飾された大きなモミの木を、紺は小さな袋片手に、下るエスカレーターから見下ろす。その近くで見つけたサキは、また困った顔をしていた。サキは二人組の大学生くらいの若い男となにか話をしていて、よく見れば、そのうちの一人に腕を掴まれている。
(黙って待ってることもできねぇのか)
エスカレーターを降りた紺はスイッチを切り替え、サキの元へ近づいた。
「アタシの彼女になにか用ですか?」
その声に振り向いたサキ。紺の姿を見て、ホッと息を吐いた。
二人の男も紺に目を向ける。
「彼女? あ、もしかして君がさっき言ってた友達?」
紺はシニカルに笑う。
「は? 友達? 友達なわけないじゃないですか、恋人ですよ。初めに『アタシの彼女に』って言いましたよね? その意味わからなかったんですか?」
捲し立てる紺に、困惑する二人の男とサキ。
「でも君たち、女の子……だよね……?」
「そーですよ? なにか問題でも?」
「問題はー、ないけど……」
怪訝そうな表情を浮かべる男たちは、顔を近づけヒソヒソと話しはじめた。二人の煮え切らない態度にイラつきはじめた紺が「それで、ご用はなんです?」と、よく聞こえない話に割って入ると、「なんでもないです……」と言って、男たちはそそくさと離れていった。
素っ頓狂な顔つきのサキを、紺は小突く。
「おーいこら、ブスが一丁前にナンパされてんじゃねぇよ」
「……違う違う! 道聞かれてただけだよ!」
「はあ? ホントバカだな。あんな強引な道の聞き方あるかよ。しかも、こんなお子ちゃまに普通聞かねーだろ、大人に聞けよ」
「えー……ごめん……?」
一応謝るサキに、(わかってない)と、紺はため息をつく。
「……ブスはブスでも、オマエは中の上なんだから、それなりに気を付けろよな」
「中の上? 中の上じゃなくて、わたしはまだ中の一だよ」
「は? ボケ? バカ? なに? バカ?」
「そんなに言わなくてもバカなのはわかってるよ……」
「わかってねーよ。オマエはそこそこ可愛いっつってんだよバーカ」
目をそらした紺は、サキを置いて歩き出す。一瞬耳を疑ったサキは眉をひそめて笑い、その背中を追って走った。
「絶対ウソだぁ~」
「嘘つきはお互い様だろ」
「わたしはウソつかないもん。エンマ様が見てるから!」
「なんだそれ……」
サキが笑うと、紺も小さく笑った。
彼女の嘘は強がり。そんな容易い問題に、見えたままの答えを出すのは、とても難解なことだ。
ぼんやりと遠くを眺める紺はボソリと呟く。
「……嫌いにならねーよ」
その声はしっかりと届いていて、サキは隣の顔を覗いた。
「ん? なにを?」
だから紺は足を止めて、サキにしっかりと向き直って言った。
「アイツは誰も嫌いにならない。相手がどんな人間で、こっちがどんな要求をしてもね。もし本当に嫌われたのなら、それは、アイツがキミのことを意識してるってこと。つっても? キミはバカだから、アタシの言ってる意味わかんないだろうけど。これあげる」
紺は小さな紙袋を渡す。
「……なに?」
「サプラぁ~イズ」
袋の中を覗くと、やわらかい赤色のパッチン留めが1つ入っていた。サキが取り出すと、紺はそれを手に取った。
「そのうっとうしい前髪留めてやんよ」
紺はサキの前髪を横へ流し、耳の上辺りでまとめて、パチンと留めた。
「なんか、恥ずかしい……」
視界を遮るものがなくなってしまい、サキは顔を隠すように、さらけ出されたおでこを触る。
「こっちの方が断然いい」と、紺はそのおでこに唇を近づける。
「わっ! えっ、なに!?」
驚いたサキは思わずのけ反って、唇が微かに触れたおでこを押さえた。
「油断するなよ」
紺は自分の唇に人差し指を添えて、戸惑うサキに向かってウィンクする。
「アタシがキミに一目惚れしたこと、忘れないでよね」
「でも紺ちゃん、ハルさんのこと、本気で狙うって……」
サキを見つめる紺は微笑んだ。その表情はどこか寂しそうだった。
・・・
部屋でひとり、手鏡と見つめ合うサキは、前髪をサイドで固定している耳元のパッチン留めに触れた。
『オマエはそこそこ可愛いっつってんだよバーカ』
本心から否定できない自分がいる。そのことを認められない自分もいた。
サキはパッチン留めを外して、前髪をぐしゃぐしゃと払った。
手鏡を置いてベッドに寝そべり、握りしめた携帯電話を開く。
かかってこない電話番号。
別れ際の紺との会話を思い出す。
『オマエさ、アイツが奥さんと死別したって思ってるみたいだけど、死んだんじゃなくて、はじめからいないんじゃねぇ?』
『……いない?』
『本当は結婚してなくて、指輪はただの飾りってこと』
『なんのために?』
『寄り付かせないためにとか……もしくは、永遠の愛?』
『永遠の、愛……?』
『例えば、すごく好きな人がいて、結婚したかったんだけどなんらかの事情でそれが叶わず、でも忘れられないから、君だけを愛し続ける……って意味で着けてるとかね? あの男からは想像つかないけど。まあ、可能性の話』
(いるのかなぁ……すごく好きな人……)
仰向けに寝転がるサキは、胸元に置いた携帯電話に手を添える。
(でもそんなに大切な人がいるなら、ああいうこと、しないよね……)なんて、また考えてしまったサキは、記憶の彼に会いたくなって目をつむった。
『北東の空に、北斗七星が見えるね』
男の子のこの言葉から始まる。
これはわたしの夢。
上空を遮るものはなにひとつない見晴らしの良い丘の上で、わたしは男の子と一緒に空を見上げている。
空にはたくさんの星が浮かんでいて、一つの星がヒュンと動いたのを皮切りに、次々と星が流れ出す。
『宇宙船を使わずに、誰でも簡単に星へ行く方法を知ってる?』
男の子がそう聞いた。
答えずにいると、男の子は空を指差して流れ星を数えはじめた。
わたしは怖かった。絶えず落下する星が怖かった。
ここにいてはいけないと感じて、男の子に声をかけようとしたとき、流星群とともに、マーブル模様の巨大な惑星が、宙から音もなく、ゆっくり、ゆっくりと落ちてきた。
(逃げなくちゃ)
とっさに思ったわたしは男の子の手を引いて走ろうとしたけど、男の子は踏ん張ってこの場を動こうとしなかった。
『手を離せ、死神』
振り向いたわたしは、このとき初めて男の子の顔を見る。
でもその顔は見えない。
口元から上が黒い幕でぶった切られている。
わたしの目は確実に男の子の顔を見ているのに、まるでドラマや映画みたいに編集された映像のような視界。
落ちてくる惑星によって、丘から見える見知らぬ街は静かに崩壊する。
諦めたわたしは男の子の隣で、ただ呆然と火の海に飲み込まれる街を眺めた。
難解で不条理なことも受け入れてしまうのが夢。
ありえない出来事も当たり前とするのが夢。
これを普通のこととして、なんの疑いもなくこの有り様を見ている。
強い揺れが起きた。
足元の地面が徐々に割れ出し、そこに黒い空間があらわれる。
わたしはその隙間に足が落ちそうになった。
『落ちるわけじゃない。地球はね、私たちが離ればなれにならないように、引っ張ってくれているんだよ。私たちは孤独の宙に放り投げ出されないように、私たちの体を地球が引っ張ってくれているんだよ』
そのとき、わたしは誰かに引っ張り上げられた。
本来ならわたしはここで落ちる予定だったのに、今日の夢はいつもと展開が違う。
気づけば男の子はいなくなっていて、わたしはわたしじゃなくなっていた。
足元の地割れは消えて、顔を上げれば突然の場面転換。
目の前には白い服を着た女の子が立っている。身長は低く、垂れた前髪で顔が見えないが、わたしと同じくらいの年の子だとすぐにわかった。
女の子の手元を隠す左の袖口から、ほつれた一本の白い糸が、どこかに伸びている。
わたしが持っていたハサミを女の子に渡すと、女の子はその糸を『パチン』と切った。
すると、切り取った糸の断面が赤く染まって、白かった糸はじわりじわりと赤色に変わっていく。
そして、ひどく後悔する。
女の子がわたしに抱きついた。
腹部に違和感を覚えたわたしはそのまま押し倒される。
馬乗りになる女の子の手にはハサミ。赤くなった刃がこっちを向いていた。
女の子はハサミを振りかざす。
わたしは何度も刺された。
でも痛みはない。刺される感覚はあるものの、苦痛は感じないし出血もない。
(夢だ)
そう、気づいた瞬間、視界がグニャリと歪みはじめた。
パズルが壊れるように、この世界がボロボロと崩れていく。
消えてしまうその前に、わたしは確かめたいことがある。
(教えて、あなたは誰?)
わたしが目の前の顔に手を伸ばしたとき、この手が誰のものなのかを知った。
(やっぱり嫌だ……)
そしてその手は、わたしの意に反して、女の子の乱れた前髪をサイドへ寄せる。
もう少しで顔が見えそう。
(知りたくない……!)
わたしは怖くなって叫んだ。
サキは目を覚ます。
手元には開きっぱなしの携帯電話。
AM6時。
カーテンの隙間から覗く見慣れた世界はまだ暗い。
時間は朝なのに、外は夜。
(これは、どっち……?)
夢に閉じ込められたままな気がした。
これが夢なら空を飛べるはず。
サキは水滴のついた窓を開ける。
寒い風が入ってきて体が一回震えた。
怯むことなく、裸足のまま、窓枠に足をかける。
──行かなきゃ──
部屋の中へ押し戻そうとする風を、全身で受け止める。
──夢なら……──
限りなく現実に近い夢だと信じ、あの人に今すぐこの話を聞いてほしいと、サキは一歩踏み出した。
──夢ならわたしを繋いで──
ベッドに寝転び携帯電話をいじるサキは、画面に写る幼きハルの姿を見つめていた。ハルが写っている写真はこれしかない。
(はやく写真届かないかなぁ……)
──プルルルル……──
突然の着信音にドキンとしたが、表示されている名前は思っていた人と違った。
「……もしもし」
『サキ。テメェ今ガッカリしただろ。声でわかんだかんな』
「ごめん……」
『んなことより、今からアタシに付き合え』
駅前のファミレスで待っていると言われ、もうすぐ日が暮れそうな空の色の中、急いで向かったサキは指定された店に飛び込み、気だるそうにチョコレートパフェを食べているお姉さんに手を振った。
「紺ちゃん」
本多紺。明るい金色のウェーブがかった髪が特徴的なお姉さん。学校終わりなのか、会うときはいつもブレザーの制服を着ている。
「食べてから行こーぜ」
数ヵ月前、怪しいホテル街を通り抜けようとして、変な男につかまってしまったときに助けてくれた人。あの日、ふたりは時間いっぱいまでゲームをして、ホテルを出る直前に連絡先を交換していた。それからちょくちょく連絡を取り合い、今では普通に遊ぶ間柄になった。
「夢?」
紺は届いたばかりのティラミスに、断りもなく柄の長いスプーンを差し込んだ。
「あ」
「へへ、味見」と言って二口目をもらう。
不満げなサキの顔に後ろめたさを感じてしまった紺は、その気持ちを隠すようにふんぞり返る。
「なんだよ、アタシのおごりなんだからいいだろー?」
「写真撮りたかったのに……崩れちゃった、木星……」
「もくせい?」
「木星っぽくない?」と、崩れていない側の断面を指差すも、紺は即座に「ぽくない」と一刀両断。
「ティラミスって苦いのか甘いのかよくわかんないよなー。スポンジもベショベショだし、ウマイって思ったことないかも」
「じゃあ食べないでよ!」と、サキも一口食べてみる。
上にかけられてある土みたいな見た目の、ザラザラした苦い粉はコーヒーだろうか。中層のねっとりとした白い部分は、マスカルポーネらしいけど味がよくわからない。そのチーズと交互に重ねられてある、コーヒーが染みたスポンジは、少しアルコールのにおいがした。
「どうよ。ウマイ?」
「うー、うん、美味しい」
濃厚で複雑すぎる味わいに、紺の言っていたことがわかってしまった。
それ見抜いた紺は笑って、茶色くなったホイップクリームをパクンと食べる。
「で、夢ってなに?」
「……最近、同じような夢をよく見るんだけどね、そのせいでぜんぜん寝た気がしなくて……」
「どんな夢?」
「それはちょっと……」
「うわ~人に言えない夢見てんの~? チュウガクセイのクセにいやらし~」
「違う! 違うよ! そんなんじゃないもん!」
「でも言えないんだろぉ?」
「言え、る……けど言えないの! ……秘密!」
「焦んなよ」
「焦ってないし! そんなことより、今日は紺ちゃんの用事でしょ? 紺ちゃんの話聞く!」
「はいはいわかったよ」
「誕生日プレゼントって誰の?」
「今誕生日っつったらアイツに決まってんだろ」
「え?」
「『え?』じゃねぇよ。え? キミ、アイツと友だちのくせに知らなかったの?」
紺は、ホイップクリームの間に挟まれたコーンフレークを、スプーンを上下に動かしてジャクジャクと粉砕する。
「12月3日。アイツの誕生日」
「……ハルさんの?」
「そーだよ」
「ハルさんに、誕生日プレゼント渡すの?」
「買うっつってんだから当たり前だろ」
「……毎年あげてるの?」
「そーね」
「ハルさんと、最近会ってるの?」
「会ってるよ」
「そうなんだ……」
ティラミスの崩れた断面を眺めるサキの浮かない顔を、紺は上目で見つめる。
「……なに?」
「わたし、嫌われたかもしれない……」とつぶやいたサキは顔を伏せた。
その様子に、紺はニヤける口元を押さえながら瞳を輝かせた。
「……なんかしたの?」
「わたし……最近全然会ってもらえなくて……。忙しいんだと思ってたけど、紺ちゃんとは会ってるんだね……」
(ちょ~おもしれ~!)
紺は笑いを噛み殺しながら言う。
「たまたまだろっ……」
「……遊ぶ約束しても『急用が入った』って言って、前日に断られるし……絶対避けられてる……」
テーブルに突っ伏しながら話すサキの声色で、泣いていると気づいた紺は、頬杖をついて窓の外へ視線を移した。
「……本気で落とそうかな」
サキはムクリと顔を上げる。
「彼女、いるみたいだよ……?」
「彼女っつーか、結婚してんじゃん。そこ問題視しねーの?」
「でも……奥さんはもう、いないんじゃないかな……」
紺はサキの赤くなった目を見つめ返す。
「なにそれ、死んだって意味?」
「うん……」
「なんで?」
「……ハルさんの家に行ったとき、そういうもの、なにもなかったから。生活感がないっていうか……」
「……アイツんち行ったの?」
「うん」
「へぇ……。ま、それは好都合」
「どうして……?」
「独り身だったら狙いやすいだろ?」
「やっぱり紺ちゃん、ハルさんのこと好きなんだ……」
「だとしたらキミは? どうすんの?」
「どうって、なにが?」
「聞くなよ。わかってんだろ?」
サキは目をそらして、食べる気になれないティラミスにフォークを刺した。
「わたしは……ハルさんとは友だちだから、どうもしないよ」
紺はつまらなそうに「あっそ」と言って、パフェグラスを傾け、底に溜まっていたチョコレートソースを飲んだ。
「じゃあさぁ、もらっていい?」
「えっ……?」
紺は指を差す。
「それ、ティラミスの話。さっきから全然減ってねーし、いらないんだったらアタシがもらう。お子ちゃまにはその味のウマさわかんないでしょ」
「紺ちゃんだって美味しくないって言ってたじゃん」
「ハハ、やっぱウマくなかったんだ」
「うっ……でも食べるの!」
「意地張るなよ。だったら半分こしよーぜ」
「……しょうがないなぁ」
アルコールのにおいが染みたほろ苦い木星を、サキはフォークで、紺はパフェ用のスプーンで、分け合って食べた。
「つーわけで、その友だちのアドバイスを聞かせてもらいたいんだよ。キミがアイツにあげるとしたらなに選ぶよ?」
しっかり口直しをしたあと、ふたりは駅から少し離れた百貨店の紳士服売り場に向かった。
「ハンカチは、どうかな?」
「ハンカチ?」
「よく使ってるの見るから、わたしだったらハンカチかなぁ」
すぐにハンカチが売られているコーナーへ移動するふたり。すんなり決められると思っていたが、生地やデザイン、色など、案外種類があって迷う。奴の趣味嗜好がわからず、紺は聞く。
「どんなん?」
一緒に品定めするサキが手にしたのは、タオル生地のもの。柔らかい肌触りが心地よい。そして、ちっちゃな動物がワンポイント刺繍されたシンプルなデザイン。
「これは?」
「ふ~ん、じゃあこれにする。色は?」
「それは紺ちゃんが決めなよー。プレゼントするのは紺ちゃんなんだし」
「キミは?」
「え?」
「なんか渡さねぇの?」
「……誕生日知らないのに、突然プレゼント渡したら変だよ」
「だったらサプライズってことで」
「……わたしはいいの!」
一度取ったハンカチを戻す意地っ張りな手。
わかりやすくて困る。
「可愛くない奴」
意地悪したくなって困る。
「可愛くないもん」
困った顔が見たくなって困る。
「ホント可愛くないわ」
からかうのが楽しいから、理由はそれだけのはずなのに、目を伏せるサキの憂いを帯びた顔が、退屈な心を動揺させる。
紺はハンカチに目を移した。
サキが選んだハンカチの色の種類は4つ。レッド、ブルー、グレー、パープル。各色ごとに、刺繍された動物も違う。またも迷った紺は、サキがチラチラと送る視線で決めた。
「もう1個買いたいものあるから、入り口にあったでっかい木のとこで待っててくれない?」
赤や金や銀の玉できらびやかに装飾された大きなモミの木を、紺は小さな袋片手に、下るエスカレーターから見下ろす。その近くで見つけたサキは、また困った顔をしていた。サキは二人組の大学生くらいの若い男となにか話をしていて、よく見れば、そのうちの一人に腕を掴まれている。
(黙って待ってることもできねぇのか)
エスカレーターを降りた紺はスイッチを切り替え、サキの元へ近づいた。
「アタシの彼女になにか用ですか?」
その声に振り向いたサキ。紺の姿を見て、ホッと息を吐いた。
二人の男も紺に目を向ける。
「彼女? あ、もしかして君がさっき言ってた友達?」
紺はシニカルに笑う。
「は? 友達? 友達なわけないじゃないですか、恋人ですよ。初めに『アタシの彼女に』って言いましたよね? その意味わからなかったんですか?」
捲し立てる紺に、困惑する二人の男とサキ。
「でも君たち、女の子……だよね……?」
「そーですよ? なにか問題でも?」
「問題はー、ないけど……」
怪訝そうな表情を浮かべる男たちは、顔を近づけヒソヒソと話しはじめた。二人の煮え切らない態度にイラつきはじめた紺が「それで、ご用はなんです?」と、よく聞こえない話に割って入ると、「なんでもないです……」と言って、男たちはそそくさと離れていった。
素っ頓狂な顔つきのサキを、紺は小突く。
「おーいこら、ブスが一丁前にナンパされてんじゃねぇよ」
「……違う違う! 道聞かれてただけだよ!」
「はあ? ホントバカだな。あんな強引な道の聞き方あるかよ。しかも、こんなお子ちゃまに普通聞かねーだろ、大人に聞けよ」
「えー……ごめん……?」
一応謝るサキに、(わかってない)と、紺はため息をつく。
「……ブスはブスでも、オマエは中の上なんだから、それなりに気を付けろよな」
「中の上? 中の上じゃなくて、わたしはまだ中の一だよ」
「は? ボケ? バカ? なに? バカ?」
「そんなに言わなくてもバカなのはわかってるよ……」
「わかってねーよ。オマエはそこそこ可愛いっつってんだよバーカ」
目をそらした紺は、サキを置いて歩き出す。一瞬耳を疑ったサキは眉をひそめて笑い、その背中を追って走った。
「絶対ウソだぁ~」
「嘘つきはお互い様だろ」
「わたしはウソつかないもん。エンマ様が見てるから!」
「なんだそれ……」
サキが笑うと、紺も小さく笑った。
彼女の嘘は強がり。そんな容易い問題に、見えたままの答えを出すのは、とても難解なことだ。
ぼんやりと遠くを眺める紺はボソリと呟く。
「……嫌いにならねーよ」
その声はしっかりと届いていて、サキは隣の顔を覗いた。
「ん? なにを?」
だから紺は足を止めて、サキにしっかりと向き直って言った。
「アイツは誰も嫌いにならない。相手がどんな人間で、こっちがどんな要求をしてもね。もし本当に嫌われたのなら、それは、アイツがキミのことを意識してるってこと。つっても? キミはバカだから、アタシの言ってる意味わかんないだろうけど。これあげる」
紺は小さな紙袋を渡す。
「……なに?」
「サプラぁ~イズ」
袋の中を覗くと、やわらかい赤色のパッチン留めが1つ入っていた。サキが取り出すと、紺はそれを手に取った。
「そのうっとうしい前髪留めてやんよ」
紺はサキの前髪を横へ流し、耳の上辺りでまとめて、パチンと留めた。
「なんか、恥ずかしい……」
視界を遮るものがなくなってしまい、サキは顔を隠すように、さらけ出されたおでこを触る。
「こっちの方が断然いい」と、紺はそのおでこに唇を近づける。
「わっ! えっ、なに!?」
驚いたサキは思わずのけ反って、唇が微かに触れたおでこを押さえた。
「油断するなよ」
紺は自分の唇に人差し指を添えて、戸惑うサキに向かってウィンクする。
「アタシがキミに一目惚れしたこと、忘れないでよね」
「でも紺ちゃん、ハルさんのこと、本気で狙うって……」
サキを見つめる紺は微笑んだ。その表情はどこか寂しそうだった。
・・・
部屋でひとり、手鏡と見つめ合うサキは、前髪をサイドで固定している耳元のパッチン留めに触れた。
『オマエはそこそこ可愛いっつってんだよバーカ』
本心から否定できない自分がいる。そのことを認められない自分もいた。
サキはパッチン留めを外して、前髪をぐしゃぐしゃと払った。
手鏡を置いてベッドに寝そべり、握りしめた携帯電話を開く。
かかってこない電話番号。
別れ際の紺との会話を思い出す。
『オマエさ、アイツが奥さんと死別したって思ってるみたいだけど、死んだんじゃなくて、はじめからいないんじゃねぇ?』
『……いない?』
『本当は結婚してなくて、指輪はただの飾りってこと』
『なんのために?』
『寄り付かせないためにとか……もしくは、永遠の愛?』
『永遠の、愛……?』
『例えば、すごく好きな人がいて、結婚したかったんだけどなんらかの事情でそれが叶わず、でも忘れられないから、君だけを愛し続ける……って意味で着けてるとかね? あの男からは想像つかないけど。まあ、可能性の話』
(いるのかなぁ……すごく好きな人……)
仰向けに寝転がるサキは、胸元に置いた携帯電話に手を添える。
(でもそんなに大切な人がいるなら、ああいうこと、しないよね……)なんて、また考えてしまったサキは、記憶の彼に会いたくなって目をつむった。
『北東の空に、北斗七星が見えるね』
男の子のこの言葉から始まる。
これはわたしの夢。
上空を遮るものはなにひとつない見晴らしの良い丘の上で、わたしは男の子と一緒に空を見上げている。
空にはたくさんの星が浮かんでいて、一つの星がヒュンと動いたのを皮切りに、次々と星が流れ出す。
『宇宙船を使わずに、誰でも簡単に星へ行く方法を知ってる?』
男の子がそう聞いた。
答えずにいると、男の子は空を指差して流れ星を数えはじめた。
わたしは怖かった。絶えず落下する星が怖かった。
ここにいてはいけないと感じて、男の子に声をかけようとしたとき、流星群とともに、マーブル模様の巨大な惑星が、宙から音もなく、ゆっくり、ゆっくりと落ちてきた。
(逃げなくちゃ)
とっさに思ったわたしは男の子の手を引いて走ろうとしたけど、男の子は踏ん張ってこの場を動こうとしなかった。
『手を離せ、死神』
振り向いたわたしは、このとき初めて男の子の顔を見る。
でもその顔は見えない。
口元から上が黒い幕でぶった切られている。
わたしの目は確実に男の子の顔を見ているのに、まるでドラマや映画みたいに編集された映像のような視界。
落ちてくる惑星によって、丘から見える見知らぬ街は静かに崩壊する。
諦めたわたしは男の子の隣で、ただ呆然と火の海に飲み込まれる街を眺めた。
難解で不条理なことも受け入れてしまうのが夢。
ありえない出来事も当たり前とするのが夢。
これを普通のこととして、なんの疑いもなくこの有り様を見ている。
強い揺れが起きた。
足元の地面が徐々に割れ出し、そこに黒い空間があらわれる。
わたしはその隙間に足が落ちそうになった。
『落ちるわけじゃない。地球はね、私たちが離ればなれにならないように、引っ張ってくれているんだよ。私たちは孤独の宙に放り投げ出されないように、私たちの体を地球が引っ張ってくれているんだよ』
そのとき、わたしは誰かに引っ張り上げられた。
本来ならわたしはここで落ちる予定だったのに、今日の夢はいつもと展開が違う。
気づけば男の子はいなくなっていて、わたしはわたしじゃなくなっていた。
足元の地割れは消えて、顔を上げれば突然の場面転換。
目の前には白い服を着た女の子が立っている。身長は低く、垂れた前髪で顔が見えないが、わたしと同じくらいの年の子だとすぐにわかった。
女の子の手元を隠す左の袖口から、ほつれた一本の白い糸が、どこかに伸びている。
わたしが持っていたハサミを女の子に渡すと、女の子はその糸を『パチン』と切った。
すると、切り取った糸の断面が赤く染まって、白かった糸はじわりじわりと赤色に変わっていく。
そして、ひどく後悔する。
女の子がわたしに抱きついた。
腹部に違和感を覚えたわたしはそのまま押し倒される。
馬乗りになる女の子の手にはハサミ。赤くなった刃がこっちを向いていた。
女の子はハサミを振りかざす。
わたしは何度も刺された。
でも痛みはない。刺される感覚はあるものの、苦痛は感じないし出血もない。
(夢だ)
そう、気づいた瞬間、視界がグニャリと歪みはじめた。
パズルが壊れるように、この世界がボロボロと崩れていく。
消えてしまうその前に、わたしは確かめたいことがある。
(教えて、あなたは誰?)
わたしが目の前の顔に手を伸ばしたとき、この手が誰のものなのかを知った。
(やっぱり嫌だ……)
そしてその手は、わたしの意に反して、女の子の乱れた前髪をサイドへ寄せる。
もう少しで顔が見えそう。
(知りたくない……!)
わたしは怖くなって叫んだ。
サキは目を覚ます。
手元には開きっぱなしの携帯電話。
AM6時。
カーテンの隙間から覗く見慣れた世界はまだ暗い。
時間は朝なのに、外は夜。
(これは、どっち……?)
夢に閉じ込められたままな気がした。
これが夢なら空を飛べるはず。
サキは水滴のついた窓を開ける。
寒い風が入ってきて体が一回震えた。
怯むことなく、裸足のまま、窓枠に足をかける。
──行かなきゃ──
部屋の中へ押し戻そうとする風を、全身で受け止める。
──夢なら……──
限りなく現実に近い夢だと信じ、あの人に今すぐこの話を聞いてほしいと、サキは一歩踏み出した。
──夢ならわたしを繋いで──
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