自慰観察依頼

大田ネクロマンサー

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金を支払うということ(2)

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ブジーが全て挿入される頃には、汗でびっしょりとなっており、男の服を汚さないか、と前かがみで快楽を我慢していた。
男は後ろで服を脱ぎ、私に見えるよう服を前に脱ぎ捨てていった。

「ほら、よく見せて」

私は男の胸へと背中を戻した。男の硬いものが直に肌に触れ、その熱さに私はさらに息を上げた。

「いつもやってるように」

男はやや強めの口調で言う。私はブジーを抜いたり出したりを繰り返し肩を震わせその快楽に溺れた。徐々に奥にブジーを差し込んでいき、そこで少し我慢をしていた。

「今日は何回もいくところ見せて」

私はたまらずブジーを押し込み、激しい痙攣とともに絶頂を迎えた。私が快楽に打ちひしがれていると、男は言った。

「上手にイけたね、今度はちゃんと顔を見せて」

私は快楽に震える膝でそろそろと体を動かし、正座をする形で男に向き直った。

「いつもはそんな格好じゃないでしょ?」

私は男の目から視線を逸らしながら足を徐々に開いた。

「手が止まってるよ?」

そう言われて正面を見ると、私は目の前にある男のペニスから目が離せなくなった。男のペニスを見ながら、私は自分のペニスをしごいた。

「まだダメだよ、さっきと同じようにやってみて」

私はもう耐えられない快楽がすぐそこまで来ていることがわかっていた。それを躊躇いながらブジーに手を伸ばした。
ブジーを少し動かしただけでも体全体が激しく痙攣し、あまりの感覚にボタボタと涙をこぼした。

「気持ちのいいところに押し込んで」

私は言われるがまま何度か奥にブジーを押し込む。その度に体を痙攣させ、息を激しく吐き出し、何度目かに押し込んだ時に絶頂を迎えた。

「かわいいね」

男は嬉しそうに言う。
私は、糸が切れたように自分を攻め続け、男の前で痴態を晒す。男は黙ってそれを見ていたが、彼のペニスが萎れることはなかった。時々脈を打って跳ねる様が、言い難い感情を湧き起こし、私を何度も絶頂へ導いてくれる。

どのくらい経ったのだろう。
気がついた時には、顔も体も汗なのか何なのかよくわからないくらい、ぐしょぐしょになっていた。

「それ以上は体がもたないよ」

私はまだ疼く体の奥の衝動が暴れ出さないよう、前かがみに、肩を前に出し耐えていた。

「君がしたいようにしてごらん?」

男がそう言うので、私は男の前までそろりと近づき、男のペニスの先を舐めた。そのまま私は前かがみで許しを待った。

「ああ、そうか。気がつかなくてごめん」

男は注意深く、ベッドの上に立ち上る。
やや大柄なため、私は腰を上げた。

「その前に、それを抜いて」

私は膝で立つような形で、震えながらブジーを抜いた。男の顔を見上げると、頷いたので私は男のペニスを貪るように吸った。

私は男に見下されながら、自分の手で慰める。

「これが好きなんだね」

男はそう言うと、私の頭の後ろへ、触れないように手を回した。

「ただごめん、あまりもたないかもしれない」

口の中で一層膨らむ男のペニスが、私のペニスを遠隔で刺激する。
降り注ぐ息遣いが変わり、後ろに回された男の手が少し後頭部に触れた時、私は男のペニスから口を剥がし、腰をベッドに落とした。

男の性液を顔に浴び、興奮で体温が一気に上がる。私は自分の手をさらに早く動かした。

男は慌てて私の顔にかかった性液を拭き取ろうとしたが、私は体を後ろにそらし、それを阻止した。

自分の呼吸音も聞こえないくらい集中が高まり、この世の全ての音が消えたら、性液を太ももに吐き出した。

「男じゃなければならない理由がわかったよ」

男は隙を見て、私の顔を拭き、風呂へ誘った。

男はこの後、金を受け取らない代わりに、もう一度会いたいと言った。さらに、車で送ると言うのでGPSのマップで場所を指定した。



この時私はなぜ、男の乗っている車に気を止めなかったのだろう、と後悔する。

その時、静まりかえるオフィスのエントランスに人影が揺らめいた。こんな時間に、向かってくる影ですぐに社内の人間だと理解する。

「あれ?藤田さんどうしたんですか?」

面倒な人間と出くわしたと思った。私はこの男が苦手だ。

「家に帰ったんですが、風呂だけ浴びたら疲れてしまって」

私は力なく笑い、立ち上がった。
ちょうどエレベーターが待機していたので、2人でそれに乗り込む。

「大丈夫ですか?藤田さん、吉田さん辞めるから結構しわ寄せきてるんじゃないですか?」

吉田とは、同じインダストリーチームの同僚だった。非情な能力主義の会社でも、大企業特有の全体主義がある。だから1人脱落したところでどうということはなかった。

「大丈夫ですよ、川本さんは家に帰ったんですか?」

「外で飯食ってきただけですよ、家に帰ったらもう戻ってこれない」

「ですよね」

「藤田さんのことさっき見かけたんですけど、誰かに送ってもらったんですか?」

ここでエレベーターのドアが開いた。
ああ、友人に、と曖昧に答えて、私は先に降りた。

もうあの男とはこれきりにしよう。そう決めて自席に戻り、メガネをかけて数字の海へ飛び込んだ。
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