7 / 13
加藤という男(1)
しおりを挟む
男は多分、時間より前に到着し、エンジンを止めて待っていた。車に乗り込んだ時、車内が外気と変わらないくらい空気が冷たかったので、それがわかった。
私が乗り込むなり男は察する。
「あの場所、誰かに見られたの?」
私はこれを無視した。それに男は少し笑った。
「そんなに警戒しなくても大丈夫だよ」
それは待ち合わせの場所のことを言っているのか、私自身に言っているのかわからなかった。
少し車を走らせたところでマンションの地下駐車場に入っていく。男の家なのだろう、マンションは思った以上に豪華だった。
男は車を降りながら言う。
「家賃補助が出るから借りているだけで、俺の持ち物じゃないよ?」
男に誘われるまま、私は男の家へ上がる。
都内でも地価の高い場所であり、高層階であった。
エレベーターを降り、男の部屋に入るやいなや男は言う。
「不躾で悪いんだけど、寒いから先に風呂に入らないか?」
そう言って男は風呂にお湯を溜めるボタンを押してコートを脱いだ。
私は玄関先から直接風呂へ行き、脱衣所で服を脱いだ。男はスーツをハンガーにかけていた。
「家賃高いだけあって、お湯が溜まるのだけは早いから、先に入っちゃって」
男は自分の服を脱ぎながら言う。
私は昨日風呂に入っていなかったこともあり、お湯に浸かる前に体や髪の毛を洗った。
そうしている間に男は先に湯船に浸かって、私が来るのを待っていた。
私はいつも通り男の股の間に入り込み、男の胸に手と耳を当てた。
「もう会ってくれないと思ったよ」
男は言う。私はそれを聞いていた。色々と話さなければならないことはあるのに、男に会ってしまえば、全て杞憂な気がしたのだ。
男は先に湯船に入っていたせいか額から汗が落ちて、それを手で拭った。汗を拭った後、私の目の前の湯に手を下ろした。いつもは私に気を使って男は湯船の縁を掴んでいる。自宅だということもあって気が緩んでいたのかもしれない。
そういったなんの意図もなく、投げ出された男の手はとても魅力的に見えた。私はそっと男の胸から耳を離し、男の人差し指を口に含んだ。
男は少し体を硬直させた。
「いつもこうやって咥えてくれているんだね」
私の顔がよく見えるように、男はゆっくり自分の手を正面に持って行く。私は男の胸に戻り、横を向く形で男の指をしゃぶっていた。お湯の中でもお互いのペニスが硬くなっていることがわかった。
男は注意深く私の口から自分の指を出したり、入れたりする。
そして私の口の中で、舌の外周を優しくそっとなぞる。
私は頭の奥が痺れるのを感じながら、私の口からゆっくり抜いた男の指を追いかけるように口を開け、舌を突き出す。男の指の先端を舐め戻ってくるように促す。
「今日は指を咥えながらしてもらいたいな」
男はそう言うと、風呂から上がるよう私を促した。
男から受け取ったバスタオルに包まれながら、男の家の中を横断した。デザイナーズマンションで家具もしっかり揃えられた高級な部屋だった。多分家政婦も雇っているのだろう、隅々まで掃除が行き届いていた。私が川本の同僚だと知ったならば、私の年収など大体想像がつくだろうに、男が家賃補助などと言い訳する理由がわからなかった。
私が乗り込むなり男は察する。
「あの場所、誰かに見られたの?」
私はこれを無視した。それに男は少し笑った。
「そんなに警戒しなくても大丈夫だよ」
それは待ち合わせの場所のことを言っているのか、私自身に言っているのかわからなかった。
少し車を走らせたところでマンションの地下駐車場に入っていく。男の家なのだろう、マンションは思った以上に豪華だった。
男は車を降りながら言う。
「家賃補助が出るから借りているだけで、俺の持ち物じゃないよ?」
男に誘われるまま、私は男の家へ上がる。
都内でも地価の高い場所であり、高層階であった。
エレベーターを降り、男の部屋に入るやいなや男は言う。
「不躾で悪いんだけど、寒いから先に風呂に入らないか?」
そう言って男は風呂にお湯を溜めるボタンを押してコートを脱いだ。
私は玄関先から直接風呂へ行き、脱衣所で服を脱いだ。男はスーツをハンガーにかけていた。
「家賃高いだけあって、お湯が溜まるのだけは早いから、先に入っちゃって」
男は自分の服を脱ぎながら言う。
私は昨日風呂に入っていなかったこともあり、お湯に浸かる前に体や髪の毛を洗った。
そうしている間に男は先に湯船に浸かって、私が来るのを待っていた。
私はいつも通り男の股の間に入り込み、男の胸に手と耳を当てた。
「もう会ってくれないと思ったよ」
男は言う。私はそれを聞いていた。色々と話さなければならないことはあるのに、男に会ってしまえば、全て杞憂な気がしたのだ。
男は先に湯船に入っていたせいか額から汗が落ちて、それを手で拭った。汗を拭った後、私の目の前の湯に手を下ろした。いつもは私に気を使って男は湯船の縁を掴んでいる。自宅だということもあって気が緩んでいたのかもしれない。
そういったなんの意図もなく、投げ出された男の手はとても魅力的に見えた。私はそっと男の胸から耳を離し、男の人差し指を口に含んだ。
男は少し体を硬直させた。
「いつもこうやって咥えてくれているんだね」
私の顔がよく見えるように、男はゆっくり自分の手を正面に持って行く。私は男の胸に戻り、横を向く形で男の指をしゃぶっていた。お湯の中でもお互いのペニスが硬くなっていることがわかった。
男は注意深く私の口から自分の指を出したり、入れたりする。
そして私の口の中で、舌の外周を優しくそっとなぞる。
私は頭の奥が痺れるのを感じながら、私の口からゆっくり抜いた男の指を追いかけるように口を開け、舌を突き出す。男の指の先端を舐め戻ってくるように促す。
「今日は指を咥えながらしてもらいたいな」
男はそう言うと、風呂から上がるよう私を促した。
男から受け取ったバスタオルに包まれながら、男の家の中を横断した。デザイナーズマンションで家具もしっかり揃えられた高級な部屋だった。多分家政婦も雇っているのだろう、隅々まで掃除が行き届いていた。私が川本の同僚だと知ったならば、私の年収など大体想像がつくだろうに、男が家賃補助などと言い訳する理由がわからなかった。
0
あなたにおすすめの小説
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる