自慰観察依頼

大田ネクロマンサー

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加藤という男(2)

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男はベッドの枕元に座って聞く。

「今日は道具持ってきた?」

昨日から家に帰っていない。だから持ってきていないことを首を横に振って伝える。

「膝枕してあげるからこっちにおいで」

何を言っているのかよくわからなかったが、私は男の誘われるままに男の広げた左内腿を枕にする形で仰向けに寝転んだ。
私の顔のすぐそこに男のいきり立ったペニスがあった。私はそれに頬ずりして少し舐めようと舌を伸ばす。

「こっちをいつもと同じように咥えて」

男は私の顔の前に指を差し出してきた。
私は男の指の先端を舌で舐めた。男はそれを合図に指をそっと私の口に挿入した。男のペニスが少し動いた。

男はさっきと同じように、口の中で私の舌をなぞって刺激する。私は男がゆっくりとした動作で私の口の中をかき回す。そうしてまたゆっくり指を抜いて、また挿入する。この一連の動きで私は自分の体温が上がっていくのがわかる。
男が私の顔を優しく見ている。

私はたまらず、自分のペニスに手を伸ばす。

「我慢できない? かわいいね」

私はゆっくり自分のペニスを擦り始める。男がゆっくり笑って、男のペニスの熱を顔の横で感じる。今日は恥ずかしいくらいにはやく果ててしまいそうだった。男の指を咥える口の隙間から自分自身の熱い息が漏れ出す。

男は口の上壁や舌の隙間などゆっくりゆっくり指を動かす。その度に指隙間から熱い吐息を吐き出し、自分のペニスを握る力と速度を緩める。もっとこうしていたい、そう思うと快感が腰から全身に駆け巡り、瞬きをした時に涙が目の端からこぼれた。

「ほら、イく時、どんな顔してるか見せてごらん?」

私は我慢していた力も早さも全てを解放してペニスを擦り始める。男の目を見つめた。男のペニスが時々跳ねるのを感じる。
男に言われてすぐに私は迫り来る快楽に溺れて、息も絶え絶えに自分の腹に性液を吐き出した。

「上手にイけたね」

男は私をどかすこともなく、枕元にあるティッシュで私の腹を拭いた。私は仰向けで乱れた呼吸を沈めていた。

「今日はゆっくりできるの?」

男はそう言うが、私は答えず男の股間に向かった。

「今日も仕事に戻るんだろう? 今日はもういいから、支度をしよう」

男はそう言って立ち上がった。
仕事に戻る、男はそう言った。私は男に何かを言わなければとベッドの上であれこれ考えていた。男はついてくるだろうと思っていた私が来なかったので振り向いて私を見た。

私は多分自分が思っている以上に困惑した表情だったのだろうと思う。実際今まで男をいかせずに終わることなんてなかったし、自分の仕事のことについて、今後の関係について話さなければならなかった。

「何も心配しなくて大丈夫だよ。君が今考えている最悪な状況にはならない」

私の考える最悪な状況?
そう疑問に困惑し、男を見つめる。

「誰にもバレないし、これからも時々こうやって一緒に過ごす」

男は手を広げて、風呂に行こうと私を誘う。
私はゆっくり立ち上がって、男の後に続いた。

この日男は、君の会社の人があまり通らないところがある、と言って、私自身も知らないような、しかし会社から近い場所まで送ってくれた。

「また連絡するけど、少しでも不安に思うなら無視してくれて構わないから」

男が車を止めた。私は男に何かを言いかけた。
男に聞きたいことはいっぱいあった。
ただ、1つに要約することもできる。

なぜ、こんなことに付き合ってくれるのか。

今までは金を払わなくとも、イーブンな関係だと思っていた。しかし今日、そして今までもそうではないことを知った。

私はしばらく何かを言わなくてはと焦っていたが、こうしている時間がさらに男を拘束すると諦め、車を降りた。
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