乙女ゲームで強悪役な俺が人外攻略達とハーレムになりました

鮎田

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攻略キャラが先生

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「名前は?」

「リーン・バイツです」

「君は俺のクラスの子だな」

秒で俺の考えは打ち砕かれた。

クラス表を指差されて、視線を向けると確かに俺の名前がそこにあった。
トワも「もう自分のクラスの生徒の名前覚えてんの!?」と驚いていた。
ジークスは呆れた様子で「当たり前だろ」と言っていた。

さすが幼馴染みコンビ、間近で見れるとは思わなかった。

俺は素質がないはずなのに、ジークスのクラスに入る事になった。
もしかして潜在能力者が少なくて補欠なのかもしれない。
それなら納得だ。

「明日からよろしくな、リーン」

「よろしくお願いします、ジークス先生」

二人に頭を下げて、今日で最後になるクラスに向かった。

いい方向に考えよう、高魔術を取得したらいち早く家を出れるかもしれない。
俺が出来るのかは正直分からないが、やらずに諦めるわけにはいかない。

そうやって今まで魔力を高めてきたんだ、俺ならいける。








ーーーーーーーー

教室に戻ると、神龍と英雄の話で持ちきりだった。
一般クラスになった生徒達は羨ましがり、高魔術クラスになった生徒達は誇らしげだ。

俺はどちらでもなく、ぬいぐるみを糸で操る事に集中していた。

右足一本、左足一本…いや、立たせるために足の糸の本数を増やした方がいいか。

白い糸を魔法で作り出し、ぬいぐるみに慎重に結ぶ。
ゆっくりゆっくりやっていたら、教室で騒いでいた生徒が俺の背中にぶつかった。

糸は集中が切れて弾け飛び、ぬいぐるみは力なく倒れた。

後ろから「あれ、コイツ誰だっけ…まぁいいか」という声が聞こえた。
操り糸は魔法で作るから、鋭い刃物よりも切れ味がある。

俺の手は傷だらけになり、血が滲んでいる。

今日はもう授業がないからぬいぐるみをカバンに押し込んだ。

このまま家に帰ったらゼスを心配掛けてしまう。
一度そういう事があり、俺がいじめられているんじゃないかと思って登校に付いて行こうとしていた。
あの時は説得が大変だった、執事同伴とか悪目立ちしてしまう。

心配してくれるのは嬉しいけど、ゼスがソウルドールだとどのタイミングで気付かれるか分からない。
リスクがある事は避けるべきだ。

俺は何のトラブルなく平和に過ごしたいだけなのに…

医務室に向かい、ドアを開けると白衣を着た後ろ姿が見えた。

「クロノせーんせ」

「おや、リーンくんいらっしゃい」

前髪が両目を覆っていて隠れている茶髪の天然パーマのクロノ先生は優しい顔で歓迎してくれた。
誰にでも優しくて、まさに白衣の天使のような人だ。

ゲームの攻略キャラクターの一人で、唯一ゲームでも医務室の先生をやっている。

俺がここに来た理由を分かっているから、先に消毒液の準備をしてくれていた。
傷だらけになった手を見て、表情がほとんど分からないのに強張っているんだろう事は分かる。

申し訳ないな、血が苦手なのに毎日のように怪我の手当てしてもらって…
ゲームでもそういう話があった事を思い出す。

傷をジッと見つめていて、手当てぐらいなら自分で出来るからクロノ先生にそう言おうと思った。

「クロノ先生、血が苦手なら俺がやります」

「血が苦手というわけではないんだけどね、何というか…目眩が…」

それって苦手って事じゃないのか?

無理はしてほしくないけど、震える手で手当てをしてくれた。
指が包帯で巻かれて、血が見えなくなるとホッと一安心していた。

指先が冷たい…さっきまで温かかったのに…

ギュッと両手握り込むように包むと、クロノ先生の肩がビクッと跳ねた。
俺の体温は人より少し高いから、温かくなってくれるかもしれない。

今の俺が出来る精一杯のお返しだ。

手を温めているのに、何故かクロノ先生の顔が真っ赤になっているような気がする。

「クロノ先生、風邪ですか?」

「うっ…そうなのかな、リーンくんのにおいで頭がクラクラする」

「におい…?」

クロノ先生はそう言って俺にもたれ掛かってきた。
普段頑張ってるから、疲れが溜まっているのかな。

医務室の先生は皆に頼りにされているが、頼る事はないのかもしれない。

背中を撫でて、仮眠用のベッドで寝た方がいい事を提案した。

肩にクロノ先生の腕を回して、支えながらベッドに近付く。

ベッドを囲むカーテンを開けて、クロノ先生を寝かせようとした。
俺の力とは別に、引っ張られてベッドに押し倒された。

呆然とクロノ先生を見上げて、長い前髪から真っ赤に色付いた瞳が覗く。

「先生、疲れているみたいだから休まないと」

「こんな状態でも君は優しいね」

「いつもお世話になっているクロノ先生が心配なだけですよ」

クロノ先生の頬に触れて顔色を伺うと、さっきよりは顔色は良くなっていた。
もしかして抱き枕がないと眠れないのかな、少しだけならいいか。

あ、でも…ゼスは時間に厳しいから心配掛けちゃうな。
連絡手段がないけど、急いで帰って説明すれば分かってくれるはずだ。
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