乙女ゲームで強悪役な俺が人外攻略達とハーレムになりました

鮎田

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休日

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翌朝、朝食を食べていた時…ゼスは妙にそわそわしていた。
いつも通り食事を用意して、態度が変わっているわけではない。

いつも一緒にいる俺だからこそ、ゼスは落ち着きなかった。

「どうしたの?」と聞いても「何でもありませんよ」としか言わない。

ずっと隠す事はないとは思うからいつか分かる事ではある。

それまで黙って待ってるしかないか。

朝食を食べ終わり、ゼスはルナの支度の手伝いに行った。
今日は学校が休みだから、ルナは母と一緒に買い物に出かける。
ゼスはその荷物持ちで同行するみたいで、俺は一人で部屋に向かった。

学校がない日ぐらい勉強の事は忘れて俺も遊びに行こうかな。
そういえば俺、生まれ変わってから街を歩いた事なかったな。

昨日、クロノ先生と歩いた時はほとんどの店が閉まっていて見るものがなかった。

今ならいろいろ見て回れるし、新しい発見にもなるかもしれない。

そうと決まれば、寝間着から私服に着替えて家を出た。

人通りが多い広場に行くと、子供達の走り回る音と声が聞こえる。
屋台の中から呼び込む人などで、明るい時間ならではの賑やかな雰囲気がある。

何処から見てみようかな、どうせなら外観では分からないお店の方が発見があるかもしれない。

お店を見渡すと看板が何処にもない紫色の壁のお店があった。
一応お店みたいだけど、何のお店かは全く分からない。
未成年が入ってはいけないとんでもない店ではないよな?

窓もないから本当にどんなお店か分からないが、不安半分ワクワク半分で扉を開けた。

「いらっしゃい」

店の奥からお爺さんのような声が聞こえて背筋を伸ばす。
お店の人だよな、ビックリした…店主がいるに決まってるよね。

周りを見渡すと棚には瓶やカラフルなパッケージが見えた。

何だろうこの瓶、ラベルが書いてあっても何の商品か分からない。

スライムの原液、オオトカゲの尻尾漬け…何に使うんだろう。
もしかして錬金術に使うものかもしれない、俺は錬金術はした事ないからこのお店とは無縁かもしれない。

でもお店に入ったからにはなにか買わないとな。
使い道がないものを買っても仕方ないから、なにかないかなと見渡すと瓶に詰められた飴が見えた。

これならお菓子だから食べられそうだなと飴の瓶を手に取った。
しかし、その瓶は隣からすぐに取られて棚に戻された。

「これは酒が入った飴だ、リーンにはまだ早い」

「ジークス先生」

隣にはジークスが立っていて、籠に商品を入れていて私服姿でいた。
見た目は普通の飴っぽかったけど、大人の飴なのか。

ジークスも今日は休暇で久々に買い物に来たそうだ。

高魔術を使うから錬金術もやるのか、籠の中には干物やカラフルな卵が入っていた。
美味しそうだけど、これも普通に食べちゃいけないんだよな。

大人になったら行く用事が出来たりするのかな。

会計するために奥に行ったジークスを商品を眺めながら待っていた。
少ししたら、袋を抱えたジークスがいて一緒に店を出た。

「リーンは何処かに用事でもあるのか?」

「俺は行く場所もなく街を歩いていただけです」

「そうか、俺はこれから薬の調合をしようと思ってたが付いてくるか?」

「いいんですか?」

他に行く用事がなかったからジークスの用事を見学出来るならしたい。
ジークスはいろんな事を学ばせてくれる、勉強とは無縁の一日を過ごそうと思ったが結局俺の時間はこれにたどり着く。

錬金術は授業選択しないと学べないから初めて見る。

ジークスは二度目の自分の部屋に招いてくれた。

今日のトワは仕事だからうるさい邪魔は入らないととびきり嬉しそうな顔で笑っていた。

錬金術のイメージは大釜で煮込むものかと思っていた。
家庭用でやる時は小さな釜でやるみたいで、清らかな水を釜に入れて火を付けて沸騰させていた。

今日買った干物を入れて、少し魔力を掛けている。
茶色かった水が紫色に変わっていくのを眺めていた。

ずっと見ていると変な感じがして、頭がボーッとする。

「卵の色味だけを取って…」

「……」

「リーン、大丈夫か?あまりにおいを嗅ぐのは…」

ジークスの声が聞こえるが、ふわふわした気持ちで理解は出来なかった。

美味しそうなにおい、喉を鳴らして釜に手を伸ばす。
すぐにジークスに腕を掴まれて、釜から離された。

窓を開けて空気の入れ替えをして、新鮮な空気が部屋に入ってくる。

ジークスは「酔っても休めばよくなるから」と言っていた。

酔ったのか、なるほど…材料にお酒が使われていたのか。
ジークスはこんな少量で酔う人は初めてだと言っていた。

お酒弱かったのか、飲んだ事ないから知らなかった。

「大丈夫か?水飲めるか?」

「ん…せんせ…」

口を開けられて、冷たい水を流し込まれたが上手く飲めない。
水が入ったグラスをジークスが持っていて、俺は手を添える。

動物のようにちろちろと舌を伸ばして飲む事しか出来ない。

もっと飲みたい、身体が熱い…どうすればいいんだろう。

シャツのボタンを二つ外して、窮屈な服から解放されたかった。
もう一つのボタンも外そうとしたが、ジークスに手を掴まれて止められた。

邪魔されて、不満そうに見上げると唇が重なった。
冷たい水が流し込まれて、身体の熱が引いていく。

涼しくなるはずなのに、もっと身体が熱くなっていく。
熱い舌が絡み合って、水はもうないのに求めるように舌を伸ばす。

唇が離れていき、ジークスの瞳が俺を映し出す。

「リーン…」

「ジーク…スせんせ…」

「君を見ていると、どうしても放っておけないな…何故だろう」

そう言うジークスは再び唇が重なり合って、口移しで水を与えられる。
何度か繰り返して、グラスの中が空になって離れていく。

ジークスに身体を預けて、気持ちが落ち着くまでそうしていた。

時間がゆっくりと流れていて、俺もだんだんと目が覚めてきた。
俺が元に戻るまでジークスに頭を撫でられていた。
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