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その力は…
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ーートワ視点ーー
執事くんはリンちゃんの学校の送り迎えを毎日やると言っていた。
確かにそれは安全だが、リンちゃんは「ゼスはルナを護衛する役割があるんだからダメだよ」と言っていた。
ルナ…そういえばそんな子が俺のクラスにいたな。
あまり目立たない子だからよくは知らないが、リンちゃんの知り合いだったのか。
執事くんはまだアイツに目を付けられてなさそうだから、俺のように誰かを人質にされて誘き寄せられる事はないか。
今なら、人質にして芋づる式に引き寄せるならリンちゃんを使うだろうし…
リンちゃんの家はなかなか複雑な事があるのかもしれない。
自分の傷口を包帯越しに触れて、ズキズキと痛みが走る。
「事件が解決するまで俺が家まで送り迎えをするよ」
「トワ先生が!?」
「どうせ行くところは一緒だから」
「でも、騎士の仕事もあるのに…」
「護衛も立派な仕事だよ」
リンちゃんの頭を撫でると、後ろにいる執事くんが無表情でこちらを見てきた。
怒ったり焦ったりしないで見られると物凄い圧を感じるなぁ。
リンちゃんは相変わらず何も気付いてない顔をしている。
それほど執事くんを信用しているって事だとは思うが、なんか腹が立つな。
軽く頬を引っ張ってみるとビックリした顔をしていた。
何でも警戒しろとは言わないけど、あんな行動はもうしちゃダメだ。
リンちゃんは騎士ではなく、一般人なんだから…
すぐに執事くんにリンちゃんが引き寄せられて俺の手から離れた。
……もしかして、この執事くんも?…まさか、ね。
「リンちゃんはもう少し警戒心を持った方がいいよ、こんな事に二度と巻き込まれないために」
「…はい」
「君と君を大切に思ってくれている人達を悲しませないためにもね」
俺はベッドの横に置いてある血のついた自分の服を掴んで、クロノの薬を取り出した。
あ、護衛の事…ジークスには言わないでおこう。
面倒な事になるし、自分がリンちゃんを護衛するとか言いかねない。
俺と違って騎士団長が一人の子を護衛する時間がない。
それにジークスはジークスで大きな事件を抱えている。
これ以上またアイツの標的が増えて面倒事は増やしたくない。
あの時は隙を見せたからこうなった、今度こそ…
アイツが現れたらリンちゃんを逃せば大丈夫だ、あんな失敗は二度と起こさない。
執事くんは俺をジッと見ていた、主に俺の頭の上を…
身体を修復するために使った魔力で耳が引っ込みにくくなっていた。
久々にこの姿を誰かに見せたのは久々で恥ずかしいな。
「吸血鬼が悪魔なら、貴方も悪魔なのですか?」
「失礼だな、俺は神獣…神様の一人なんだよ」
「……そうですか」
執事くんは俺に興味がなくなり、リンちゃんをベッドに寝かせていた。
俺も包帯の隙間から指を入れて傷口にクロノの薬を軽く塗った。
執事くんはリンちゃんに頭を下げて、病室から出て行った。
静かになった薄暗い空間で目蓋を閉じた。
軽く身じろぎするだけで身体のあちこちがズキズキと痛む。
顔を歪ませて、シーツを強く掴む。
息も荒く、汗も出る。
あの薬を塗っても全然良くならないな、身体の奥底に毒が広がっているからか。
耐えるように歯を食いしばり、痛みを考えないようにした。
「…トワ先生?」
「ぅ…リンちゃ…?」
まだ眠いのか、目蓋が半分閉じている状態のリンちゃんが俺のベッドの前に来た。
大丈夫だと言おうとしたら、痛みで言葉が出なかった。
寝ぼけているのか、リンちゃんは俺のベッドの中に入ってきた。
腹部の包帯に軽く触れて「いたくないですよ…」とうわ言のように言っていた。
追い返すのも可哀想だと思っていたら、布団の中から温かな光が見えた。
布団を捲ると、リンちゃんの手がほんのり光っている。
さっきまで寝れないほどの痛みだったのに、痛みが引いていく。
高魔術の才能はあるからそれなりに強いと思っていた。
でも、この力は毒も浄化するほどの魔力…最高魔法の一つである治癒魔法が使えるのか。
そんな話聞いた事がない、もしかして本人も分からない無自覚か。、
正直、高魔術の才能があってもただの学生だと思っていた。
アイツから逃げられたのはほとんど奇跡に近い状態。
リンちゃんじゃなくて、執事くんのおかげだと思っていた。
実際俺が起きた時は執事くんと戦っている時だった。
でも、リンちゃんも他になにか力を秘めているかもしれない。
きっとジークスは知らないんだろうな、リンちゃんも知らないんだ…怪我をした人しか知らない。
俺だけが知っているならいいな。
もっと俺だけが知っているリンちゃんを見せてほしい。
リンちゃんに聞こうと思ったが、小さな寝息が聞こえた。
優しく抱きしめると、不思議と安心する。
この子を絶対に守らなきゃ…と思えてくる。
リンちゃんに興味が出てきて、指先で髪に触れる。
サラサラの黒髪で、触り心地がいいと思いながら目蓋を閉じた。
執事くんはリンちゃんの学校の送り迎えを毎日やると言っていた。
確かにそれは安全だが、リンちゃんは「ゼスはルナを護衛する役割があるんだからダメだよ」と言っていた。
ルナ…そういえばそんな子が俺のクラスにいたな。
あまり目立たない子だからよくは知らないが、リンちゃんの知り合いだったのか。
執事くんはまだアイツに目を付けられてなさそうだから、俺のように誰かを人質にされて誘き寄せられる事はないか。
今なら、人質にして芋づる式に引き寄せるならリンちゃんを使うだろうし…
リンちゃんの家はなかなか複雑な事があるのかもしれない。
自分の傷口を包帯越しに触れて、ズキズキと痛みが走る。
「事件が解決するまで俺が家まで送り迎えをするよ」
「トワ先生が!?」
「どうせ行くところは一緒だから」
「でも、騎士の仕事もあるのに…」
「護衛も立派な仕事だよ」
リンちゃんの頭を撫でると、後ろにいる執事くんが無表情でこちらを見てきた。
怒ったり焦ったりしないで見られると物凄い圧を感じるなぁ。
リンちゃんは相変わらず何も気付いてない顔をしている。
それほど執事くんを信用しているって事だとは思うが、なんか腹が立つな。
軽く頬を引っ張ってみるとビックリした顔をしていた。
何でも警戒しろとは言わないけど、あんな行動はもうしちゃダメだ。
リンちゃんは騎士ではなく、一般人なんだから…
すぐに執事くんにリンちゃんが引き寄せられて俺の手から離れた。
……もしかして、この執事くんも?…まさか、ね。
「リンちゃんはもう少し警戒心を持った方がいいよ、こんな事に二度と巻き込まれないために」
「…はい」
「君と君を大切に思ってくれている人達を悲しませないためにもね」
俺はベッドの横に置いてある血のついた自分の服を掴んで、クロノの薬を取り出した。
あ、護衛の事…ジークスには言わないでおこう。
面倒な事になるし、自分がリンちゃんを護衛するとか言いかねない。
俺と違って騎士団長が一人の子を護衛する時間がない。
それにジークスはジークスで大きな事件を抱えている。
これ以上またアイツの標的が増えて面倒事は増やしたくない。
あの時は隙を見せたからこうなった、今度こそ…
アイツが現れたらリンちゃんを逃せば大丈夫だ、あんな失敗は二度と起こさない。
執事くんは俺をジッと見ていた、主に俺の頭の上を…
身体を修復するために使った魔力で耳が引っ込みにくくなっていた。
久々にこの姿を誰かに見せたのは久々で恥ずかしいな。
「吸血鬼が悪魔なら、貴方も悪魔なのですか?」
「失礼だな、俺は神獣…神様の一人なんだよ」
「……そうですか」
執事くんは俺に興味がなくなり、リンちゃんをベッドに寝かせていた。
俺も包帯の隙間から指を入れて傷口にクロノの薬を軽く塗った。
執事くんはリンちゃんに頭を下げて、病室から出て行った。
静かになった薄暗い空間で目蓋を閉じた。
軽く身じろぎするだけで身体のあちこちがズキズキと痛む。
顔を歪ませて、シーツを強く掴む。
息も荒く、汗も出る。
あの薬を塗っても全然良くならないな、身体の奥底に毒が広がっているからか。
耐えるように歯を食いしばり、痛みを考えないようにした。
「…トワ先生?」
「ぅ…リンちゃ…?」
まだ眠いのか、目蓋が半分閉じている状態のリンちゃんが俺のベッドの前に来た。
大丈夫だと言おうとしたら、痛みで言葉が出なかった。
寝ぼけているのか、リンちゃんは俺のベッドの中に入ってきた。
腹部の包帯に軽く触れて「いたくないですよ…」とうわ言のように言っていた。
追い返すのも可哀想だと思っていたら、布団の中から温かな光が見えた。
布団を捲ると、リンちゃんの手がほんのり光っている。
さっきまで寝れないほどの痛みだったのに、痛みが引いていく。
高魔術の才能はあるからそれなりに強いと思っていた。
でも、この力は毒も浄化するほどの魔力…最高魔法の一つである治癒魔法が使えるのか。
そんな話聞いた事がない、もしかして本人も分からない無自覚か。、
正直、高魔術の才能があってもただの学生だと思っていた。
アイツから逃げられたのはほとんど奇跡に近い状態。
リンちゃんじゃなくて、執事くんのおかげだと思っていた。
実際俺が起きた時は執事くんと戦っている時だった。
でも、リンちゃんも他になにか力を秘めているかもしれない。
きっとジークスは知らないんだろうな、リンちゃんも知らないんだ…怪我をした人しか知らない。
俺だけが知っているならいいな。
もっと俺だけが知っているリンちゃんを見せてほしい。
リンちゃんに聞こうと思ったが、小さな寝息が聞こえた。
優しく抱きしめると、不思議と安心する。
この子を絶対に守らなきゃ…と思えてくる。
リンちゃんに興味が出てきて、指先で髪に触れる。
サラサラの黒髪で、触り心地がいいと思いながら目蓋を閉じた。
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