乙女ゲームで強悪役な俺が人外攻略達とハーレムになりました

鮎田

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好き同士

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「…んっ」

「リーン様、おはようございます」

「お…はよ、ゼス」

いつものように俺の顔を見つめるゼスがいた。

それだけなら何も変わらないが、ゼスの隣にトワがいた。
びっくりして勢いよく起き上がると、腰が痛くなりベッドに沈んだ。

その腰の痛みでなにが起きたのか全て思い出した。

周りを見渡すと、ここは医務室のようで俺はベッドに寝ていた。
ゼスに「オーバーヒートの抑制薬です」と言われて口に入れて水で流し込んだ。

医務室なのにクロノ先生は何処にもいないみたいだ。
身体を見ると、シャツにズボンという新しい服に変わっていた。

「俺、また迷惑を…」

「俺のせいだ、謝って許されるとは思わないけど…ごめん」

「そうです、貴方が全て悪いです…リーン様を守るなんて事二度と口にしないでいただきたい」

「ゼス!俺はトワ先生のせいだと思わないよ、クロウを捕まえられるチャンスを逃したのは俺だ…二人が助けてくれたんだよね、ありがとう」

「…いや、正確に言うとクロノ先生のおかげだけど」

クロノ先生も助けてくれたんだ、もう外は暗いから帰ったのかな。

トワの話によると、クロノ先生は抑制薬の特徴と医務室の棚の場所を教えて俺をトワ達に任せた。
俺と一緒に倒れていたクロウの襟を掴んで、何処かに引きずって歩いていったそうだ。

追いかけるより、俺を優先して医務室に来て目覚めるまで待ってくれた。

クロノ先生が俺がいると言っていた丸い球体を殴って壊して出してくれた。
明日、クロノ先生にお礼を言いに行こう…クロノ先生はクロウの兄というだけでこの事件には関係ないと思うから…

次は俺の番で、球体の中で何故全裸だったのかと問い詰められた。

詳しく言うのは恥ずかしいが、俺がオーバーヒートをしたと知っているみたいでクロウの攻撃で魔力が身体から抜けていく感覚になった事を伝えた。

「魔力が抜ける?オーバーヒートは確かに力が溢れて周りを巻き込んで魔法が暴走するけど、魔法の暴走は?」

「魔法を使う事が出来なくて、身体が熱くなって…その…興奮…したような感覚で…」

「え…?」

トワとゼスは目を丸くしていて、余計に恥ずかしくなった。
オーバーヒートってそういうのじゃないのか?クロウだって俺と同じようになったのに…

それも伝えると、トワは余計に頭が混乱していた。

どうやら、俺のようにエッチな気分になる事がないらしい。
魔力の暴走で理性を失う人は稀にいるが、そんなエロい事になった人は聞いた事がない。
それどころか、他の人までオーバーヒートをするなんて事はない。

オーバーヒートは誰かがなったら誘発するようなものではない。

だとしたら、俺はなんであの時あんな状態になったんだ?

「リンちゃんがいた場所がアイツの魔力の中ならその影響が強いかもね、不思議な事が起こっても頷ける」

「そう、ですよね」

「これから自分で制御していけばいいよ、オーバーヒートを経験しないと制御出来ないんだ」

「私がリーン様に教えます」

「やり方知ってるの?」

「……リーン様のために一晩で学びます」

ゼスはそう言って俺に「帰りましょう」と手を差し伸ばしてきた。
その手を掴んで、ゆっくりと腰を痛めないようにベッドから降りる。

俺がいない間にゼスとトワの空気が悪くなっていた。
俺を守れなかったからだけど、それは俺自身にも言える事だ。

俺は、俺を守る事が出来なかった…それどころかオーバーヒートをしてあんな事…

ゼスに対して答えを出せていない状態で、俺の意思とは違うにしても最低だ。

今日はゼスと一緒に帰る事にして、トワも家の前まで送ってくれた。
球体にいた時間は短かったかもしれないが、疲れたな。

「リーン様の身体は清めましたが、念のためお風呂に入ったほうがよろしいかと…」

「うん、そうだね」

家に入り、ゼスが着替えを用意するために俺の部屋に向かった。
俺はそのまま風呂場に向かい、さっぱりする事にした。

覚えているかぎりでもかなり汚れていたけど、身体に汚れはない。
綺麗にしてくれたんだよな、本当に申し訳ない。

脱衣所で服を全て脱いだところで、ゼスが着替えを持って入ってきた。

身体の心配をされて「今は大丈夫」と安心させるように笑った。
着替えを置いて、脱衣所から出ようとしたゼスの服を軽く掴む。

ゼスが当然こちらを振り返り、無意識にやっていた行動に俺の方が驚いた。

「どうかされましたか?」

「あっ、えっと…背中流してほしいなぁーって…」

いつもは一人で入るけど、この時間ならルナの世話もないだろうし今はあまり一人になりたくなかった。

ゼスは俺の手を両手で包み込んで「仰せのままに」と手の甲に口付けた。








温かなお湯を浴びて、ホッと一安心してため息を吐く。
ゼスは俺の背中を洗っていて、その顔は真剣そのものだった。
俺が終わったらゼスの背中は俺が洗おうと考えていた。

オーバーヒートか…ゼスの魔力は俺のものだったから、ゼスは経験しないのかな。
それだったらいいけど、トワは制御出来たらオーバーヒートしないと言っていたが万が一そうなる事もある。

俺のオーバーヒートで他人まで誘発されるみたいで、ゼスでもそうなったら油断出来ないか。

「ゼス、ごめん…」

「リーン様が謝る事など何もありません」

「あるよ、ゼスは俺を好きでいてくれているのに…オーバーヒートしたからってあんな事…」

「不可抗力です」

「それでも俺は…トワ先生とも最後までしてないけど触り合いしちゃったし」

正直言って俺はゼスが好きだよ、それが恋愛感情かは恋愛をした事がない俺には分からない。
でも、身体を重ねて触れ合って嫌な気持ちにはならない。
むしろもっとしてほしいと思うほど、気持ち良かった。

男同士だからこそ、そう思えるのは好きだからなんだと思う。

でも、トワの時も嫌な気持ちにはならずに気持ちよかった。
しかもトワのを舐めたんだ、これは言い逃れが出来ない。

じゃあ俺は二人の事が好きなのか?ゲームでもハーレムエンディングなんてあったけど、何故俺?

そもそもトワは俺が好きというわけではない、悩むのは可笑しいけど自分で自分の気持ちが分からない。

頭がパンクして気持ちがぐちゃぐちゃになっていると後ろからゼスに抱きしめられた。

「私が見ているのはリーン様だけです、合意であるなら他の人とどうなっても構いません…私とリーン様が好き同士という事実は揺らぎません」

「ゼスはそれでいいの?」

「もし、私との好きが薄れたりなくなったら……なくならないのなら私は満足しております」

何故、そこでゼスは言葉が止まったんだ?薄れたりなくなったらどうなるんだ!?

トワと触り合ったりしてもゼスへの気持ちは変わらない。
薄れたりなくなったりする事は絶対にないと言い切れる。

ゼスの腕に触れて「好きだよ」と伝えて、後ろを振り向くと唇を重ねた。
熱い舌が触れ合って、お湯の音でリップ音が掻き消される。

オーバーヒートで自分の意思がなくなっていたが、クロウにされた時も嫌な気持ちにはならなかったな。
いや、止めておこう…さすがにそうなると自分が変態なだけなのではと思い始めてきた。

美形な男なら誰でもいいのかと適当に顔がいい男を想像する。

うん、なんか気分悪くなってきた…可笑しいな、男好きになったのかと思っていた。

ちなみにクロノ先生で想像するのは罪悪感に悩まされた。
医務室の先生だからか、清らかなままでいてほしいなと思う俺の願望。

ジークスは、そういう想像とは無縁すぎて考えられなかった。

きっと二人はよく知る人達だから、気まずい気持ちもある。

女の子が好きなままか想像しようとしたが、ゼスの前で申し訳なさすぎて止めた。
男でも想像しちゃったけど、ゼスとのキスで反応しかかった下半身は萎えていた。

俺はちゃんと相手を見て好きになったんだ、それを気付かせたきっかけがエロい事だっただけだ。
好きな人だから俺は身体を許したし、相手にも気持ちよくなってほしかった。

こんな気持ち、絶対にトワには言えないから墓場まで持っていこう。
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