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力の限界
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ただ俺の力が倍増したわけではなく、使いこなせない俺の力をゼスが上手く使ってくれている。
俺の力では杖から発せられる魔法には勝てない。
どうしたらいいか考えているとトワが「俺も操れる?」と聞いてきた。
びっくりしてトワの方を向くと、狙いはローブの人物に向けられているが俺なな話しかけてきた。
トワを操れば俺の力と合わさってもっと強い力が出せると言っていた。
俺の魔力が糸を通してゼスに送ってる事に気付いたのか。
俺はトワの言葉に首を横に振った。
確かにそれだと二人の力で強くなれるだろう。
でも、生きた人間を操る事は禁忌の術だ。
人間は無意識に操られると抵抗してしまい、上手く糸で動かせない。
人形のように脱力させなくてはいけない。
そのために人間の意思を身体から切り離す、ソウルドールとは逆のやり方をしなくてはいけない。
その行為は人の道を外れている。
ゼスをソウルドールに出来たからそれも出来るだろうがやりたくない。
助かるためでも、絶対にやらない。
ゼスは人形だからオンオフが出来るから意思を切り離す必要がない。
でも、トワは生きている…修行をしても意思がある状態の完璧な脱力は不可能だ。
「人は操れない、出来ないんだ」
「…じゃあ執事くんは」
ゼスは火の玉を受け流し続けているが、次々に来る火の玉で前に進めない。
それどころか、少しずつ距離が離れていっている。
トワも火の玉が邪魔で相手に狙いが定まらないから、火の玉を撃ち消す事しか出来ない。
ゼスの体力が切れる事はないが、魔力を出し続けている俺の体力が尽きそうだ。
ゼスと繋いでいる糸を切れば、俺達は火の玉によって死んでしまう。
汗が流れて、指に血が滲んでもこの糸を切らすわけにはいかない。
息をゆっくり吸って吐いて、糸に限界まで魔力を込める。
その時、ドクン…と心臓が大きく鳴った。
この力は…もしかして…
糸が光り輝き、ゼスは槍に氷を纏わせてスピードが上がった。
地面に突き立てると物凄い速さでローブの人物に向かって凍った地面が迫ってきた。
火の玉で消そうとするが、氷の地面の方が早くて飛んだ。
ヒラヒラと一枚の羽根が氷の地面に落ちて、一瞬で凍った。
操り糸が切れて、ゼスは不思議そうに槍を見つめていた。
トワの声ですぐに後ろを振り向いて、俺に駆け寄る。
「リンちゃん!大丈夫!?」
「…ぅ、ぁ…」
「リーン様!!」
身体が熱い、頭がクラクラする…これはクロウの時と同じだ。
どうして…人生で一度だけで薬もちゃんと飲んだ。
ゼスはぬいぐるみがあれば大丈夫だと言っていたし、制御する方法も教えてもらった。
一度やり方を覚えれば、何も恐れる事はないはずだ。
トワは「オーバーヒート!?なんでまた…」と言っていた。
俺も分からない、クロウの空間にいないし戦っていただけだ。
魔力の限界が来たから?
オーバーヒートは魔力の暴走だ。
空っぽの魔力の中で暴走するほど残っていない。
トワは自分の口を押さえていて、顔が真っ赤になって息が荒かった。
人の姿に保てなくなり、耳と尻尾が生えていた。
耐えるように自分の手を噛んでいると血が滲んでいた。
「な、なんでだ…俺は、オーバーヒートしないはずなのに…」
「こ、れは…」
トワは頭を抱えていて、ゼスの息も荒くなった。
オーバーヒートになってからオーバーヒートの事を学んだ。
自分の魔力が暴走する現象、元々ある魔力でしか暴走しない。
ゼスが暴走するはずはない。
俺がゼスに与えた力は借り物…オーバーヒートするはずはない。
ソウルドールとか関係なく、ゼスは魔法使いではないからだ。
なのに、ゼスはトワのように身体の異変に苦しんでいた。
俺のオーバーヒートが引き起こしたのか。
他人に移る事はないのに…
本で読んだ常識は、何も役に立たない。
「ごめっ、ごめん…俺のせいで」
「リンちゃんは…悪くないから」
「私の力不足です…はぁ」
カバンからぬいぐるみを取り出して抱きしめてみたが治る事はなかった。
あの時、クロウとして治ったんだよな。
俺が二人を慰めないと…
二人の手を握って見上げる。
二人はお互いの顔を見合わせていた。
俺の手をしっかりと握って、トワに抱き抱えられた。
「リンちゃん、いい?」と色気がダダ漏れの甘い声で聞いてきて頷いた。
ゼスは俺達に背を向けていた。
「ゼスは…?」
「俺に愛されるリンちゃんは見たくないんだろ、後で慰めてあげて」
そう言ったトワは魔力を全身に溢れさせて、視界が真っ暗になった。
次に現れた場所は綺麗な色とりどりの花が咲く宮殿だった。
トワは「副団長が青姦はマズイでしょ」と笑みを浮かべていた。
その顔は苦しそうで、早く楽にしてあげたかった。
トワと一緒に宮殿に向かい、高そうなベッドに身体を横たえる。
いつもと違い、余裕がなさそうに眉を寄せるトワに俺は背中に腕を回した。
「こんな時に、言うのも変だけどさ」
「ん…ぅっ」
「俺、リンちゃんの事…好きだよ」
俺の力では杖から発せられる魔法には勝てない。
どうしたらいいか考えているとトワが「俺も操れる?」と聞いてきた。
びっくりしてトワの方を向くと、狙いはローブの人物に向けられているが俺なな話しかけてきた。
トワを操れば俺の力と合わさってもっと強い力が出せると言っていた。
俺の魔力が糸を通してゼスに送ってる事に気付いたのか。
俺はトワの言葉に首を横に振った。
確かにそれだと二人の力で強くなれるだろう。
でも、生きた人間を操る事は禁忌の術だ。
人間は無意識に操られると抵抗してしまい、上手く糸で動かせない。
人形のように脱力させなくてはいけない。
そのために人間の意思を身体から切り離す、ソウルドールとは逆のやり方をしなくてはいけない。
その行為は人の道を外れている。
ゼスをソウルドールに出来たからそれも出来るだろうがやりたくない。
助かるためでも、絶対にやらない。
ゼスは人形だからオンオフが出来るから意思を切り離す必要がない。
でも、トワは生きている…修行をしても意思がある状態の完璧な脱力は不可能だ。
「人は操れない、出来ないんだ」
「…じゃあ執事くんは」
ゼスは火の玉を受け流し続けているが、次々に来る火の玉で前に進めない。
それどころか、少しずつ距離が離れていっている。
トワも火の玉が邪魔で相手に狙いが定まらないから、火の玉を撃ち消す事しか出来ない。
ゼスの体力が切れる事はないが、魔力を出し続けている俺の体力が尽きそうだ。
ゼスと繋いでいる糸を切れば、俺達は火の玉によって死んでしまう。
汗が流れて、指に血が滲んでもこの糸を切らすわけにはいかない。
息をゆっくり吸って吐いて、糸に限界まで魔力を込める。
その時、ドクン…と心臓が大きく鳴った。
この力は…もしかして…
糸が光り輝き、ゼスは槍に氷を纏わせてスピードが上がった。
地面に突き立てると物凄い速さでローブの人物に向かって凍った地面が迫ってきた。
火の玉で消そうとするが、氷の地面の方が早くて飛んだ。
ヒラヒラと一枚の羽根が氷の地面に落ちて、一瞬で凍った。
操り糸が切れて、ゼスは不思議そうに槍を見つめていた。
トワの声ですぐに後ろを振り向いて、俺に駆け寄る。
「リンちゃん!大丈夫!?」
「…ぅ、ぁ…」
「リーン様!!」
身体が熱い、頭がクラクラする…これはクロウの時と同じだ。
どうして…人生で一度だけで薬もちゃんと飲んだ。
ゼスはぬいぐるみがあれば大丈夫だと言っていたし、制御する方法も教えてもらった。
一度やり方を覚えれば、何も恐れる事はないはずだ。
トワは「オーバーヒート!?なんでまた…」と言っていた。
俺も分からない、クロウの空間にいないし戦っていただけだ。
魔力の限界が来たから?
オーバーヒートは魔力の暴走だ。
空っぽの魔力の中で暴走するほど残っていない。
トワは自分の口を押さえていて、顔が真っ赤になって息が荒かった。
人の姿に保てなくなり、耳と尻尾が生えていた。
耐えるように自分の手を噛んでいると血が滲んでいた。
「な、なんでだ…俺は、オーバーヒートしないはずなのに…」
「こ、れは…」
トワは頭を抱えていて、ゼスの息も荒くなった。
オーバーヒートになってからオーバーヒートの事を学んだ。
自分の魔力が暴走する現象、元々ある魔力でしか暴走しない。
ゼスが暴走するはずはない。
俺がゼスに与えた力は借り物…オーバーヒートするはずはない。
ソウルドールとか関係なく、ゼスは魔法使いではないからだ。
なのに、ゼスはトワのように身体の異変に苦しんでいた。
俺のオーバーヒートが引き起こしたのか。
他人に移る事はないのに…
本で読んだ常識は、何も役に立たない。
「ごめっ、ごめん…俺のせいで」
「リンちゃんは…悪くないから」
「私の力不足です…はぁ」
カバンからぬいぐるみを取り出して抱きしめてみたが治る事はなかった。
あの時、クロウとして治ったんだよな。
俺が二人を慰めないと…
二人の手を握って見上げる。
二人はお互いの顔を見合わせていた。
俺の手をしっかりと握って、トワに抱き抱えられた。
「リンちゃん、いい?」と色気がダダ漏れの甘い声で聞いてきて頷いた。
ゼスは俺達に背を向けていた。
「ゼスは…?」
「俺に愛されるリンちゃんは見たくないんだろ、後で慰めてあげて」
そう言ったトワは魔力を全身に溢れさせて、視界が真っ暗になった。
次に現れた場所は綺麗な色とりどりの花が咲く宮殿だった。
トワは「副団長が青姦はマズイでしょ」と笑みを浮かべていた。
その顔は苦しそうで、早く楽にしてあげたかった。
トワと一緒に宮殿に向かい、高そうなベッドに身体を横たえる。
いつもと違い、余裕がなさそうに眉を寄せるトワに俺は背中に腕を回した。
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「ん…ぅっ」
「俺、リンちゃんの事…好きだよ」
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