【完結】もしも願いが叶うならあの時の約束を

翠月 歩夢

文字の大きさ
21 / 26

私と彼の交換日記3

しおりを挟む
『!?』

『……ま、感謝しろよ』
『……? 何に?』
『自分で考えろ』
『…………』


 神様が潤に何か言っている。ここからだと途切れ途切れにしか聞くことが出来ないがきっと試練に対しての労いとかだろうか。


[ザッザッザッ]
[ザクッ!]

『…………』


「……なんか手紙みたいなの読んでないか?」
「え?」
「あれ、お前のか?」
「あ、そ、そう……」


 手紙って言ったらあれしかないよね……。気づいてくれたのは嬉しいけど恥ずかしい。
どうしてあんな手紙を入れたんだろう、私は。


「なんでそんなに動揺してるんだ……?」
「べ、べつに…………」
「ふーん……見てくるか」
「え!?ちょ、ちょっと」


 神様がニヤつきながら潤の元へ行く。私が止めるのも聞かずにだ。神様にあれを見られるのはなんとも恥ずかしい。絶対からかってくるに決まっている。


[前話に記載の茜の手紙]


「ハッ、これはなかなか……」
「ちょっと、笑わないでよ…………」
「悪い悪い」
「潤にも見られたし……最悪……」
「あいつは告白とは思ってなさそうだけどな」
「そうだけど……」


 そういう問題じゃない。


「まぁ、とりあえずこれで最初の試練はクリアだな」
「次はどうするの?」
「さあ?」
「……決めてないの?」
「ものは揃ったからあとは場所と時間だな」
「……何をいってるの?」
「次に行う試練はある場所を探すこと、そしてそこで願いを叶える」
「それって……次で終わりってこと?」
「まぁそういうことだな」
「……試練って言ってた割に短くない?」
「時間が無いんだ。それに……もうすぐ彼岸だろ」
「……彼岸?」
「ああ。その日ならお前らの願いを叶えられるはずだ。……今度こそ」
「……分かった」

 ……なんだか私には神様は悲しげに見えた。
時間が無いとか、どうして悲しそうな目をしているのか、私にはわからなかったけど。
次で願いを叶えられる、潤に会えるというのに……喜べないような感じがした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

25年の後悔の結末

専業プウタ
恋愛
結婚直前の婚約破棄。親の介護に友人と恋人の裏切り。過労で倒れていた私が見た夢は25年前に諦めた好きだった人の記憶。もう一度出会えたら私はきっと迷わない。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

【12話完結】私はイジメられた側ですが。国のため、貴方のために王妃修行に努めていたら、婚約破棄を告げられ、友人に裏切られました。

西東友一
恋愛
国のため、貴方のため。 私は厳しい王妃修行に努めてまいりました。 それなのに第一王子である貴方が開いた舞踏会で、「この俺、次期国王である第一王子エドワード・ヴィクトールは伯爵令嬢のメリー・アナラシアと婚約破棄する」 と宣言されるなんて・・・

初恋にケリをつけたい

志熊みゅう
恋愛
「初恋にケリをつけたかっただけなんだ」  そう言って、夫・クライブは、初恋だという未亡人と不倫した。そして彼女はクライブの子を身ごもったという。私グレースとクライブの結婚は確かに政略結婚だった。そこに燃えるような恋や愛はなくとも、20年の信頼と情はあると信じていた。だがそれは一瞬で崩れ去った。 「分かりました。私たち離婚しましょう、クライブ」  初恋とケリをつけたい男女の話。 ☆小説家になろうの日間異世界(恋愛)ランキング (すべて)で1位獲得しました。(2025/9/18) ☆小説家になろうの日間総合ランキング (すべて)で1位獲得しました。(2025/9/18) ☆小説家になろうの週間総合ランキング (すべて)で1位獲得しました。(2025/9/22)

愛する人のためにできること。

恋愛
彼があの娘を愛するというのなら、私は彼の幸せのために手を尽くしましょう。 それが、私の、生きる意味。

離れて後悔するのは、あなたの方

翠月るるな
恋愛
順風満帆だったはずの凛子の人生。それがいつしか狂い始める──緩やかに、転がるように。 岡本財閥が経営する会社グループのひとつに、 医療に長けた会社があった。その中の遺伝子調査部門でコウノトリプロジェクトが始まる。 財閥の跡取り息子である岡本省吾は、いち早くそのプロジェクトを利用し、もっとも遺伝的に相性の良いとされた日和凛子を妻とした。 だが、その結婚は彼女にとって良い選択ではなかった。 結婚してから粗雑な扱いを受ける凛子。夫の省吾に見え隠れする女の気配……相手が分かっていながら、我慢する日々。 しかしそれは、一つの計画の為だった。 そう。彼女が残した最後の贈り物(プレゼント)、それを知った省吾の後悔とは──とあるプロジェクトに翻弄された人々のストーリー。

【完結】少年の懺悔、少女の願い

干野ワニ
恋愛
伯爵家の嫡男に生まれたフェルナンには、ロズリーヌという幼い頃からの『親友』がいた。「気取ったご令嬢なんかと結婚するくらいならロズがいい」というフェルナンの希望で、二人は一年後に婚約することになったのだが……伯爵夫人となるべく王都での行儀見習いを終えた『親友』は、すっかり別人の『ご令嬢』となっていた。 そんな彼女に置いて行かれたと感じたフェルナンは、思わず「奔放な義妹の方が良い」などと言ってしまい―― なぜあの時、本当の気持ちを伝えておかなかったのか。 後悔しても、もう遅いのだ。 ※本編が全7話で悲恋、後日談が全2話でハッピーエンド予定です。 ※長編のスピンオフですが、単体で読めます。

処理中です...