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向けられた刃
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しおりを挟む「リ、ア……?」
ユイセルの目の前で、銀色の閃光が流れたのを知覚したのは、遅れてやってきた剣戟の音が響いたからだった。
突然現れた魔物。
駆け寄ってきたミナリア。
何が起きたのか一瞬わからなかったが、人目のあるところでミナリアが自分に話しかけてくれた感激が優って心臓が跳ねる。
壊れ物のように手のひらをなぞる指先が愛しい。
ミナリアもユイセルも癒術は使えないので、その傷はこの場では治せなかった。
「平気、すぐに治る」
肩を落とすミナリアを安心させようと作った笑顔。
しかし、意に反してミナリアの眼鏡越しの赤眼は、わずかに揺らぎを見せた。
「リア……?」
名前を呼んでも反応のないミナリアに、ユイセルは僅かばかりの焦燥を抱いた。
ユイセルを庇うように背を向けたミナリアの体。
魔物に向かって歩み始めた背中が、何かを呟く。
「……っ?!」
ぶわりと大気中の魔素が揺らいで、木々が騒めいた。
唐突に現れた数多の剣が、ミナリアを囲うように並び、その切っ先を魔物へと向ける。
ミナリアが、明確な戦意を見せている。
それを初めて間近で見て、ユイセルは背筋を震わせた。
真国騎士団特務部隊隊長、ミナリア=リィントス=ファルマダール。
あの日憧れた騎士が、燦然とその場に立っていた。
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