隻翼の月に吠える。

みん

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気高き翼

7

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「あ、あぅ、はぁ……っは、ああ……っ」
「リア、ずるい、……っ今のは、ずるいよ……っ」

 どくどくと脈打つユイセルの熱を体内で感じて、ミナリアは体が求めるままに呼吸を繰り返した。
 ゆっくりと、けれど躊躇うことなくそれを納めたユイセルが背後からぴったり覆い被さるように体重をかける。
 背中に響く強い鼓動が、じんわりとミナリアの強張りを解いた。
 翼に鼻先を埋めるユイセルの些細な身じろぎすらも全身が感じとる。
 交わっただけの体。
 でも、ミナリアにはそれだけで十分だった。

「ふ……っ」
「……リア?」

 突然口を押さえて息を吐き出したミナリアに、ユイセルが心配気に声をかける。
 じんわりと広がる胸の中の温かさが、肺を締め付けるように存在感を増していく。
 目尻に涙が浮かんだのは歓喜と安堵からだ。
 肯定され、愛される。
 それだけでこんなにも満たされる。
 満たされているのに。

 もっと愛して欲しいという欲深い感情が、奥底からどんどん湧き出てくるのだ。

 しかし、ミナリアは理解していた。
 その欲張りさえも、この男は容易く受け入れてくれるのだろう。

 最大限の信頼をもって、ミナリアは顔の横に突かれたユイセルの手の甲に、自らの手を重ねた。

「もっと、愛しても……いいんだぞ」

 その権利が、お前にはあるだろう。
 そして、同じだけの愛を、お前に。

「愛してる」
「リア……っ」

 感極まったユイセルの愛でミナリアが溺れることになったのはその直後だった。




「ひ、ぁう……っ! ゆ、ゆいせ、……っ、あ! ま、まて、あっ、ああ……っ、あ!」
「待て、ない……っ、リアの、ばか!」

 ごちゅごちゅと抉るように中を穿たれて、体が逃げを打つように頭の方へとずり上がる。
 腰を両側から掴んだユイセルがそれを許すはずもなく、元の位置へとミナリアの体を引きずり戻しては更に打ち上げた。
 腹の下のクッションがバネの役割を果たして、跳ね返る力で深くまで中を擦り上げる。
 目の中に散る星を瞬きで追い出して、ミナリアは背中を丸めて額をシーツへと埋めた。

「ああう……っ」

 びくびくと痙攣する体をユイセルがなおも攻め立てる。
 ミナリアは背中をシーツに押さえられて、唾液の絡んだ声を上げた。
 快楽の逃げ場がない。
 乱暴に思えてけして丁寧さを忘れない行為に、身体中が換気で震えている。

「リア、リア……っ、すき、すきだ……っ、リア……っ」
「ひ……ん、ん、んんんん……っ」

 感じたことのない悦が全身を蝕む。
 噛み締めた唇を見咎められて、ユイセルの指先が唇から侵入した。
 食いしばることも出来ずに開かされた口蓋から、飲み込めない唾液がだらだらと顎に滴る。
 嚥下する仕草で意図せず指先を吸ってしまい、背後でユイセルが息を呑んだ。

「……っ、?」

 動きを止めたユイセルを、息も絶え絶えに振り返る。

「ユイ、セル?」
「リア……っ」
「ぇあ……っ」

 繋がったまま、くるりと体を反転させられる。
 腰から脳に刺激が突き抜けて、引き連れた声が漏れた。
 正面から見下ろす逞ましい体躯。
 衝撃からやっと焦点を結んだ瞳に見えたのは、確かな熱。
 うっとりと陶酔して潤むユイセルの眼差しに、心から歓喜する。

「……リアをこんな風に愛せるのは、世界で今、俺だけなんだね」

 それは、ぎらぎらとした、雄の目だった。

「……俺のだ」
「……他に明け渡すほど、俺は安くないぞ」
「ん……」

 寄せられた唇を、求められるがままに重ねる。
 もっと深くと強請って、腕を首の後ろに絡めて引き寄せた。
 互いの独占欲が、触れた肌から染み込んで混ざり合う。
 耳を犯す濡れた音が、世界から二人を切り離していくようで。
 
「もっ、と……」

 そしてしばらくの間、ミナリアはユイセルと抱き合っていた。
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