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令和二年(二〇二〇年)九月

九月十八日 診断名「脂肪肝」前編

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九月十八日 木曜日 雨のち曇

 今日は先日の採血結果が出る日。小雨のふる中、医院へと向かう。

 医院内はいつものように患者は少ない。いつか廃業するのではないかといつも心配になるくらい人が少ない。受付を済まし席に座るやいなや先生に呼ばれた。

 先生から検査結果の紙を渡されて説明を受ける。痛風の項目である尿酸値は今回6.5、初診である二ヶ月前の9.8からするとだいぶ減ったが、先生は6.0以下に下げたいらしい。これまでの薬に加え、尿をアルカリ性にして排出を促すという薬が処方されることとなった。

 「間食とかしますか?」

 先生がおもむろに聞いてきた。

 「そうですね、今日はお昼ごはんを食べて、三時頃にリッツを食べたくらいですかね。」

 先生は何か考え事をしているみたいだ。

 「お時間があればこれからエコーを撮りたいのですが。」

 この後に予定は無かったので承諾をする。先生は続けて言う。

 「前回採血の結果で肝臓の数値があまり良くなかったのですが、気になることがあるのでエコーを取りたいのです。すぐ行きますから少しお待ち下さい。」と別室へと促された。

 看護師さんに連れられ別室へ。ベッドで横になりお腹丸出しの姿にペーパータオルをシャツとズボンの両方の肌との隙間に詰められ、毛布を掛けられ待つこととなった。

 先生が来るまで暇だった。この部屋は診察室のつもりで作ったのかな、二人目の先生がいつかこの診察室を使うのかな、それまでに潰れなかったらいいな。などと余計なことばかり考えてしまう。この時、自分の肝臓についてはさっぱり頭になかった。

 先生が来てお腹にジェルを塗る。塗りたくる。思ったより冷たく無かった。肝臓の当たりをしっかりと押し付けてエコーを取っていた。思ったよりも早く終わり、診察室へと説明を聞きに行く。

 診断結果は脂肪肝。エコー画像を見せられ、ここの灰色っぽい部分がとか黒い部分がとか正常のとかと告げられる。心の中では「脂肪肝かぁ、生活改めないとなぁ」と思っていたが先生から告げられた一言に衝撃を受けた。

 「脂肪肝のうち10%は肝硬変、そして肝臓がんへと移行します。」

 一瞬気が遠くなった。
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