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令和二年(二〇二〇年)九月

九月十九日 診断名「脂肪肝」後編

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九月十九日 木曜日 晴

 晴れているのに朝から何もする気が起こらない。昨日かかりつけの医院で脂肪肝と診断されたからだ。何をどうしていけば良いのか、頭が纏まらない。一日中脂肪肝のことを考え続けていた。

 血液検査の結果、肝機能の数値であるALT(GPT)は当初二ヶ月前には38だった数値が先月は55、今回は77と20ずつ急上昇していた。基準値が~40となっているのでもちろん大幅増である。

 「所見から申しますと重度の脂肪肝でしょう。」

 医師はエコー画像を見ながら説明してくれる、しっかりと細かい説明もあり、その中に肝臓がんへの示唆もあった。

 「近年、脂肪肝の研究も進んでまして、脂肪肝を改善するための最も効果的な方法は運動です。」

 少し溜めを入れながらも先生は運動の重要性を説明してくれた。しかし痛風であまり運動も出来ない。どうしようかと思った矢先、先生は続けた。

 「少しずつ身体を動かして行くことが大切です。」

 確かに、これまでは一日の歩数を見ながら足が痛くならない程度にリハビリがてら散歩もしていた。これからは意識して徐々に運動量を増やしていけばよいのだ。そう思い医院をあとにした。

 帰り道は悪いことばかり頭に浮かんで、どうしたものかと途方に暮れているうちに家に着いていた。急激に悪化した数値と、脅し文句とはいえ一割は癌になるとの説明はさすがに堪えた。おかげで家路への道のりはあまり覚えていない。

 家族に病院の結果を伝えると、母は大叔母の話をしてくれた。大叔母も脂肪肝から肝硬変、肝臓がんへと移行し、早々に亡くなったそうだ。それも運動を嫌ったそうで経過は早かったということらしい。

 妻はなってしまったことは仕方ない、どう生活改善するかとのことだ。一先ずは「運動する」という明確な目標はあるので、おやつを避ける食事制限と軽い運動を日々続けることになりそうだ。

 今までもお腹が空いたらたまにゆで卵を食べていた。たまに鶏むね肉もレンチンして食べている。これからは間食は避けつつもゆで卵や鶏むね肉を食べ続ける日々になるのだろうか。

 少し落ち着いてきたら軽い筋トレも始めようかなと思うと少しは気分も前向きにになった気がした。
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