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聖女、最高!
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私は、深沢魅莉亜。聖女として召喚されて、ここ、ラスティナ王国に国賓として滞在してるの。私が聖女だと確信を得るために自らの腕を剣で切りつけたトルティノ殿下には驚いたけど、お蔭でなに不自由なく過ごしていられるわ。
「ああ。ミリー、今日もとても美しいね」
トルティノ殿下はこの国の第2王子で、モデルも真っ青な正統派の王子様。金髪碧眼に通った鼻梁。色気のある口元。卵形の輪郭。逆三角の着痩せする身体。どれもこれも好みど真ん中で困っちゃう。
「フフ。トルティノ殿下も素敵ですよぉ」
「ティーノって呼んでほしいと言ってるでしょう」
「でもぉ、恐れ多くってぇ」
「聖女様なんだから、身分は私より上なんだよ?」
「分かったわ、ティーノ」
今の私は、17歳。部屋に案内されてすぐに、魔法であれこれやっちゃった。だって、コンタクトしてたはずの目が、そのまま目になったんだもん。外せないの。コンタクトと目の融合?ラッキーって思ったわ。だから、他にも出来るはずって思ったの。憧れのボンキュプリな体型の維持はもちろん。肌を綺麗にする。ムダ毛をなくす。食べても太らない体質にする。お手入れの要らないモチ肌を手に入れる。日焼けしない。薄ピンクの綺麗な爪になる。他にも色々ね。年齢を17歳にしたのは、ティーノが18歳だから。20歳じゃ相手にされないかも、でしょう?
「さあ。今日は、クーイルたちと庭でお茶の予定だよ」
ティーノは必ず私をエスコートしてくれる。こんなことされたことない。この世界の男の人って、みんな紳士なのよねぇ。
「こんにちは、ミリー」
「待ってたよ、ミリー」
「今日も綺麗だ」
クーイル、ベネトス、オスカーが、ティーノにエスコートされた私を迎えてくれた。白い肌を持つティーノは王子様だけど、褐色の肌を持つ3人はエキゾチックでゾクゾクする。知的なクーイル。精悍な顔つきのベネトス。優しげなオスカー。それぞれに違った魅力を持つ4人に囲まれた私はさながらお姫様だろう。
「私もぉ会えてうれしいわ」
「ミリーは頑張り屋だから、俺たちがこうして連れ出さないと、いつまでも魔法の訓練をやめないだろう?」
「そうですよ。そんなに焦らなくてもミリーには聖女の才能がありますから大丈夫ですよ」
「さあ、お茶をどうぞ」
全方向からの労いと好意。最高~!
「そうそう。1月後に他国と国民へのお披露目とパレード、それに夜会を開催することに決まったんだ。ミリーの衣装も頼まないとね。明後日、仕立屋を呼ぶからどんな衣装がいいか考えておいて」
お披露目にパレード!!!パレードって、あれでしょ。オープンカーで微笑みながら手を振るやつ。
「うわ。ね、みんなも一緒にパレードするの?」
「トルティノは一緒だけど、私は城で待機かな。その後の準備もあるから」
「俺は護衛として馬でついていく」
「僕は医療班だからねぇ。医務室を離れられないなぁ」
「そうなんだぁ。残念」
折角、みんなで楽しめると思ったのに。仕方ないと諦めて、衣装に力を入れることにした。ここの洋服も可愛いんだけど、お姫様っていったらやっぱりドレスでしょ!足を出すのは恥ずかしいことだといろんな人から諭されて、ロングドレスにしたけど、ふわふわのキラキラは譲らなかったわ。色も白にこだわった。聖女なんだから、神秘的な雰囲気作りは必須よ。超豪華なウェディングドレスよね。隣には完璧な美貌の王子様と釣り合いの取れた美女のわ・た・し。最高~♪
そして、当日。あまりの暑さに涼しくなる魔法を施した。これで、ドレスでも汗ひとつかかない。化粧崩れの心配も要らないわ。
「我が国の衣装とは趣が異なるけど、何を着てもミリーは美しいね」
「ああ。女神様のようだ」
態々、私の晴れ姿を見に来てくれたクーイルとオスカー。ティーノはエスコート役をかって出てくれたし、ベネトスは護衛を務めてくれる。女神様だなんて、本当にその通りよねぇ。自分でも見惚れちゃうわ。
「全員がミリーを賞賛するでしょう」
「こんなに間近で接することが許された僕たちは嫉妬されてしまうよ」
それも満更ではなさそうなオスカーはクスクスと笑んでいる。
「さあ、お披露目だよ。バルコニーに行こう」
ティーノのエスコートで、王宮から張り出したバルコニーに立つ。そこから見える景色は圧巻だ。とにかく、人人人人。見渡す限り何処までも人。その全ての人が私に注目している。
「皆の者。この世界のために精霊王様たちが遣わしてくださった聖女様だ」
王様の一言で地鳴りのような歓声が沸き起こった。私は優雅ににっこりと微笑む。それだけで、歓声は更に膨らんだ。気持ちいいことこの上ない。暫くそこで手を振り、次はパレードが始まる。
「ミリー、疲れてない?」
「少し。でもぉ、大丈夫」
ティーノの気遣いが嬉しい。ティーノと別れて休憩中にお昼を食べた。ティーノは、パレードの最終確認があるそうだ。王子様も大変そう。そして、炎天下の中、パレードは始まった。沿道は人で溢れている。魔法のお蔭でどんなに暑くても平気。
「ミリーの魔法のお蔭で、快適に過ごせるよ」
「やっぱりぃ、主役は素敵でいないとぉ。聖女がへばってたら、不安になるでしょう?」
「さすがミリーだ。そこまで考えてくれていたのか」
本音は違うけど、言わなきゃ分からない。ティーノの言葉に微笑んでいると、「お姫様だぁ」「おうじさまといっしょだね」「おひめさま、きれいねぇ」と言った声が私の耳を擽る。もっと言ってぇ。
かくして、パレードは順調に終わり、私は満を持して夜会に臨んだ。各国の王侯貴族が私に挨拶に来る様は優越感を刺激される。他国から来た年頃の王子様たちの熱い視線にドキドキさせられっぱなしだ。
「聖女様。お初にお目にかかります」
「麗しの聖女様。どうぞお見知りおきください」
「聖女様」「聖女様」と王子様たちにチヤホヤされるのは気分がいい。ホストクラブでもこんなに美形ばかり揃わないと思う。周りの令嬢たちの嫉妬と羨望の眼差しが心地いい。うふふ。聖女最高♪
私は、王子たちが私に接触し、取り入ろうとする思惑にも気付かず、高揚した気分を味わった。
「ああ。ミリー、今日もとても美しいね」
トルティノ殿下はこの国の第2王子で、モデルも真っ青な正統派の王子様。金髪碧眼に通った鼻梁。色気のある口元。卵形の輪郭。逆三角の着痩せする身体。どれもこれも好みど真ん中で困っちゃう。
「フフ。トルティノ殿下も素敵ですよぉ」
「ティーノって呼んでほしいと言ってるでしょう」
「でもぉ、恐れ多くってぇ」
「聖女様なんだから、身分は私より上なんだよ?」
「分かったわ、ティーノ」
今の私は、17歳。部屋に案内されてすぐに、魔法であれこれやっちゃった。だって、コンタクトしてたはずの目が、そのまま目になったんだもん。外せないの。コンタクトと目の融合?ラッキーって思ったわ。だから、他にも出来るはずって思ったの。憧れのボンキュプリな体型の維持はもちろん。肌を綺麗にする。ムダ毛をなくす。食べても太らない体質にする。お手入れの要らないモチ肌を手に入れる。日焼けしない。薄ピンクの綺麗な爪になる。他にも色々ね。年齢を17歳にしたのは、ティーノが18歳だから。20歳じゃ相手にされないかも、でしょう?
「さあ。今日は、クーイルたちと庭でお茶の予定だよ」
ティーノは必ず私をエスコートしてくれる。こんなことされたことない。この世界の男の人って、みんな紳士なのよねぇ。
「こんにちは、ミリー」
「待ってたよ、ミリー」
「今日も綺麗だ」
クーイル、ベネトス、オスカーが、ティーノにエスコートされた私を迎えてくれた。白い肌を持つティーノは王子様だけど、褐色の肌を持つ3人はエキゾチックでゾクゾクする。知的なクーイル。精悍な顔つきのベネトス。優しげなオスカー。それぞれに違った魅力を持つ4人に囲まれた私はさながらお姫様だろう。
「私もぉ会えてうれしいわ」
「ミリーは頑張り屋だから、俺たちがこうして連れ出さないと、いつまでも魔法の訓練をやめないだろう?」
「そうですよ。そんなに焦らなくてもミリーには聖女の才能がありますから大丈夫ですよ」
「さあ、お茶をどうぞ」
全方向からの労いと好意。最高~!
「そうそう。1月後に他国と国民へのお披露目とパレード、それに夜会を開催することに決まったんだ。ミリーの衣装も頼まないとね。明後日、仕立屋を呼ぶからどんな衣装がいいか考えておいて」
お披露目にパレード!!!パレードって、あれでしょ。オープンカーで微笑みながら手を振るやつ。
「うわ。ね、みんなも一緒にパレードするの?」
「トルティノは一緒だけど、私は城で待機かな。その後の準備もあるから」
「俺は護衛として馬でついていく」
「僕は医療班だからねぇ。医務室を離れられないなぁ」
「そうなんだぁ。残念」
折角、みんなで楽しめると思ったのに。仕方ないと諦めて、衣装に力を入れることにした。ここの洋服も可愛いんだけど、お姫様っていったらやっぱりドレスでしょ!足を出すのは恥ずかしいことだといろんな人から諭されて、ロングドレスにしたけど、ふわふわのキラキラは譲らなかったわ。色も白にこだわった。聖女なんだから、神秘的な雰囲気作りは必須よ。超豪華なウェディングドレスよね。隣には完璧な美貌の王子様と釣り合いの取れた美女のわ・た・し。最高~♪
そして、当日。あまりの暑さに涼しくなる魔法を施した。これで、ドレスでも汗ひとつかかない。化粧崩れの心配も要らないわ。
「我が国の衣装とは趣が異なるけど、何を着てもミリーは美しいね」
「ああ。女神様のようだ」
態々、私の晴れ姿を見に来てくれたクーイルとオスカー。ティーノはエスコート役をかって出てくれたし、ベネトスは護衛を務めてくれる。女神様だなんて、本当にその通りよねぇ。自分でも見惚れちゃうわ。
「全員がミリーを賞賛するでしょう」
「こんなに間近で接することが許された僕たちは嫉妬されてしまうよ」
それも満更ではなさそうなオスカーはクスクスと笑んでいる。
「さあ、お披露目だよ。バルコニーに行こう」
ティーノのエスコートで、王宮から張り出したバルコニーに立つ。そこから見える景色は圧巻だ。とにかく、人人人人。見渡す限り何処までも人。その全ての人が私に注目している。
「皆の者。この世界のために精霊王様たちが遣わしてくださった聖女様だ」
王様の一言で地鳴りのような歓声が沸き起こった。私は優雅ににっこりと微笑む。それだけで、歓声は更に膨らんだ。気持ちいいことこの上ない。暫くそこで手を振り、次はパレードが始まる。
「ミリー、疲れてない?」
「少し。でもぉ、大丈夫」
ティーノの気遣いが嬉しい。ティーノと別れて休憩中にお昼を食べた。ティーノは、パレードの最終確認があるそうだ。王子様も大変そう。そして、炎天下の中、パレードは始まった。沿道は人で溢れている。魔法のお蔭でどんなに暑くても平気。
「ミリーの魔法のお蔭で、快適に過ごせるよ」
「やっぱりぃ、主役は素敵でいないとぉ。聖女がへばってたら、不安になるでしょう?」
「さすがミリーだ。そこまで考えてくれていたのか」
本音は違うけど、言わなきゃ分からない。ティーノの言葉に微笑んでいると、「お姫様だぁ」「おうじさまといっしょだね」「おひめさま、きれいねぇ」と言った声が私の耳を擽る。もっと言ってぇ。
かくして、パレードは順調に終わり、私は満を持して夜会に臨んだ。各国の王侯貴族が私に挨拶に来る様は優越感を刺激される。他国から来た年頃の王子様たちの熱い視線にドキドキさせられっぱなしだ。
「聖女様。お初にお目にかかります」
「麗しの聖女様。どうぞお見知りおきください」
「聖女様」「聖女様」と王子様たちにチヤホヤされるのは気分がいい。ホストクラブでもこんなに美形ばかり揃わないと思う。周りの令嬢たちの嫉妬と羨望の眼差しが心地いい。うふふ。聖女最高♪
私は、王子たちが私に接触し、取り入ろうとする思惑にも気付かず、高揚した気分を味わった。
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