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楽園とはここにあった
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私のひとり島は、外周歩いて2時間くらいだった。家を中心に、裏にはプライベートビーチっぽい遠浅の砂浜があり、とは言っても船からは見えるけど。横にある畑を抜けて小一時間ほど行くと竹林がある。船着場と家を挟んで反対側には木の実や薬草が茂る小さな森っぽいところがあったりとバラエティーに富んでいた。ひとりで住むにしては広めだと思う。時間はたっぷりあるし、ちょっとずつ整えよう。まずは念願の畑から。
「キュウリ、トマト、タマネギ、ニンジン、ジャガイモ、アマイモ、ダイズ、イ~ンゲン、エダマメはこっちでキャベツ、レタス、ブロッコリー。おいしくなぁ~れ。おいしくなぁ~れ。よし!ハーブは沢山植わってるから、ちょっとお手入れしないとね。そうだ!ブーケガルニを作ろう♪」
この世界、魔力によって出来る野菜が変わる。季節感はゼロ。さて、旅の間に集めた屑魔石を砕いて肥料に混ぜ混ぜ。上から藁をそっと被せて後は見守るだけ。次はブーケガルニにするハーブを摘もう。ローズマリー、パセリ、ローリエ、タイムとこんなもんかな。半分はフレッシュなまま、半分は乾燥させる。他にも、ラベンダーやカモミールやバジルやエキネセアやホワイトセージもあった。紫蘇を見つけたときには感動した。それらを半分くらいに間引きつつ収穫して、庭の四阿でちょっと休憩。ああ。これぞスローライフ。幸せ。そうだ。午後からは、テーブルクロスに刺繍しよう。クッションも味気なかったよね。今日は、刺繍の日だな。船で販売する物も考えなきゃなぁ。野菜は余剰分を売るとして、あとは服かな。私の得意分野。海に入れる程度に暑いこの島の服装は、女性は被るタイプのワンピース。男性は膝丈のズボンに上は裸。若しくはシャツ?肌着?どれも綿。折角だから、麻のチュニックワンピースに7部丈のもっさりパンツとかどうかな。とりあえず作ってみよう。やりたいことありすぎ~。パンも試作してるしね。天然酵母で作る柔らかいパン。お惣菜を入れたら、お昼ご飯にもなるし、いいよね。ああ。砂糖にも挑戦してみたい。時間が、時間がぁ!!!
こうして、ひとり島から出ることなく、幸せで充実したお一人様生活をを送っていた。だから、コロッと忘れてたんだよね。人と交流するということを。そんな中、ある日突然、ベルが鳴ったときには驚いた。実際に飛び上がってしまったほどだ。
「え?何?・・・・ああ。桟橋に人が来たんだ」
ずっとひとりで充実してたから、外の世界のことを忘れてた。私が急いで桟橋に向かうと、ふたりの人の影が見えた。ヘルバーとカイゼスだ。
「ミーア、ごめんね。こいつが、君を全然見ないと心配して、ひとりで突っ込みそうだったから頼み事もあったし、様子を見に来たよ」
「ああ、それは心配かけちゃってごめんなさい。ひとり生活が充実しすぎて時間を忘れてました」
ヘルバーと話しながら結界を出た瞬間、目の前が暗くなった?
「ふへ?・・は、離して!!!変態!」
目の前が暗くなったのは、カイゼスが抱きついてきたから。いくら見た目美丈夫といえど、女性に急に抱きつくなんて、変態しかいない!ジタバタと藻掻いてもびくともしやしない。
「カイゼス、変態は女性の敵。・・・・嫌われるよ?」
ヘルバーが何を言ったのか、秒でカイゼスが離れて、私から距離をとった。その素早さに呆気にとられてしまう。
「さて、この変態は放っておいて。しかし、歴代ダントツの篭もり具合だったねぇ。さすがに1月とは思わなかったよ」
「えっ?!1月ぃ?!」
「はは。気付いてなかったんだ?そろそろ周りも心配するころだから、社会活動を始めようか?」
「はい。心配かけて、ごめんなさい」
それは、心配されるわけだ。まさかそんなに時間が経ってるとは思いもしなかった。15日くらいかなぁなんて。
「まあ、初めはそんなもんだけどね。ところで、暮らしている中で疑問、質問はないかな?」
「あの、鶏は飼っても?あと牛とか?」
「残念ながら、愛玩系の動物以外は飼えないねぇ。鶏卵と乳製品は契約すれば、届けてもらえる。1世帯あたり鶏卵15個、乳製品はミルク1L、バター1箱500g、生クリーム500g、チーズ500g。これが7日分で1月4回。銀貨4枚。足りない分は、街で手に入れてね。但し!もう少しお高めだけどね」
安っ!だって、1回銀貨1枚でしょ?
「契約します」
「じゃあ、後ほど契約書を持ってくるよ。他は?」
ヘルバー、優秀すぎる。かゆいところに手が届きすぎ。
「特には。今日から社会活動を始めるので・・・・」
ふたりして顔を見合わせ、「「フフフ」」と笑い合っていると、離れたところから咳払いが聞こえた。忘れてた。
「もう少し、待てのお勉強をしてからにしてもいいんだけど?」
ブンブンブンと勢いよく首を横に振るカイゼスに、犬耳と尻尾が見えた気がするが、気のせいだろう。叔父さん、強い。そのヘルバーは、私の方を向くと少し申し訳なさそうに口を開いた。
「ミーアにお願いしたいことがあってね」
「あっと。私、来たばかりだし、何も出来ないと思うけど?」
「いえ。とても個人的なお願いでね。見てもらった方が早いと思うから、着いてきてくれるかな?」
そう言うヘルバーに案内されたのは、何故かカイゼスのひとり島だった。
「キュウリ、トマト、タマネギ、ニンジン、ジャガイモ、アマイモ、ダイズ、イ~ンゲン、エダマメはこっちでキャベツ、レタス、ブロッコリー。おいしくなぁ~れ。おいしくなぁ~れ。よし!ハーブは沢山植わってるから、ちょっとお手入れしないとね。そうだ!ブーケガルニを作ろう♪」
この世界、魔力によって出来る野菜が変わる。季節感はゼロ。さて、旅の間に集めた屑魔石を砕いて肥料に混ぜ混ぜ。上から藁をそっと被せて後は見守るだけ。次はブーケガルニにするハーブを摘もう。ローズマリー、パセリ、ローリエ、タイムとこんなもんかな。半分はフレッシュなまま、半分は乾燥させる。他にも、ラベンダーやカモミールやバジルやエキネセアやホワイトセージもあった。紫蘇を見つけたときには感動した。それらを半分くらいに間引きつつ収穫して、庭の四阿でちょっと休憩。ああ。これぞスローライフ。幸せ。そうだ。午後からは、テーブルクロスに刺繍しよう。クッションも味気なかったよね。今日は、刺繍の日だな。船で販売する物も考えなきゃなぁ。野菜は余剰分を売るとして、あとは服かな。私の得意分野。海に入れる程度に暑いこの島の服装は、女性は被るタイプのワンピース。男性は膝丈のズボンに上は裸。若しくはシャツ?肌着?どれも綿。折角だから、麻のチュニックワンピースに7部丈のもっさりパンツとかどうかな。とりあえず作ってみよう。やりたいことありすぎ~。パンも試作してるしね。天然酵母で作る柔らかいパン。お惣菜を入れたら、お昼ご飯にもなるし、いいよね。ああ。砂糖にも挑戦してみたい。時間が、時間がぁ!!!
こうして、ひとり島から出ることなく、幸せで充実したお一人様生活をを送っていた。だから、コロッと忘れてたんだよね。人と交流するということを。そんな中、ある日突然、ベルが鳴ったときには驚いた。実際に飛び上がってしまったほどだ。
「え?何?・・・・ああ。桟橋に人が来たんだ」
ずっとひとりで充実してたから、外の世界のことを忘れてた。私が急いで桟橋に向かうと、ふたりの人の影が見えた。ヘルバーとカイゼスだ。
「ミーア、ごめんね。こいつが、君を全然見ないと心配して、ひとりで突っ込みそうだったから頼み事もあったし、様子を見に来たよ」
「ああ、それは心配かけちゃってごめんなさい。ひとり生活が充実しすぎて時間を忘れてました」
ヘルバーと話しながら結界を出た瞬間、目の前が暗くなった?
「ふへ?・・は、離して!!!変態!」
目の前が暗くなったのは、カイゼスが抱きついてきたから。いくら見た目美丈夫といえど、女性に急に抱きつくなんて、変態しかいない!ジタバタと藻掻いてもびくともしやしない。
「カイゼス、変態は女性の敵。・・・・嫌われるよ?」
ヘルバーが何を言ったのか、秒でカイゼスが離れて、私から距離をとった。その素早さに呆気にとられてしまう。
「さて、この変態は放っておいて。しかし、歴代ダントツの篭もり具合だったねぇ。さすがに1月とは思わなかったよ」
「えっ?!1月ぃ?!」
「はは。気付いてなかったんだ?そろそろ周りも心配するころだから、社会活動を始めようか?」
「はい。心配かけて、ごめんなさい」
それは、心配されるわけだ。まさかそんなに時間が経ってるとは思いもしなかった。15日くらいかなぁなんて。
「まあ、初めはそんなもんだけどね。ところで、暮らしている中で疑問、質問はないかな?」
「あの、鶏は飼っても?あと牛とか?」
「残念ながら、愛玩系の動物以外は飼えないねぇ。鶏卵と乳製品は契約すれば、届けてもらえる。1世帯あたり鶏卵15個、乳製品はミルク1L、バター1箱500g、生クリーム500g、チーズ500g。これが7日分で1月4回。銀貨4枚。足りない分は、街で手に入れてね。但し!もう少しお高めだけどね」
安っ!だって、1回銀貨1枚でしょ?
「契約します」
「じゃあ、後ほど契約書を持ってくるよ。他は?」
ヘルバー、優秀すぎる。かゆいところに手が届きすぎ。
「特には。今日から社会活動を始めるので・・・・」
ふたりして顔を見合わせ、「「フフフ」」と笑い合っていると、離れたところから咳払いが聞こえた。忘れてた。
「もう少し、待てのお勉強をしてからにしてもいいんだけど?」
ブンブンブンと勢いよく首を横に振るカイゼスに、犬耳と尻尾が見えた気がするが、気のせいだろう。叔父さん、強い。そのヘルバーは、私の方を向くと少し申し訳なさそうに口を開いた。
「ミーアにお願いしたいことがあってね」
「あっと。私、来たばかりだし、何も出来ないと思うけど?」
「いえ。とても個人的なお願いでね。見てもらった方が早いと思うから、着いてきてくれるかな?」
そう言うヘルバーに案内されたのは、何故かカイゼスのひとり島だった。
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